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 治に居て乱を忘れず、一日が為に百年兵を養うが、国防であり国家安全保障と言うモノだ。
 殆ど自明とも公理とも私(ZERO)には思えるこんな「常識」さえ、異論・異説・異教徒・異端者の前には瓦解・雲散霧消する事は、「憲法9条が最大の抑止力」と素面で公言して憚らない社民党を想起すれば「明らか」ではある。
 
 であるならば、斯様に「間抜け」で「平和ボケ」な記事が、毎日新聞に掲載されたとて、異とするには足らない、のであるが…昔日の威光は既に無いとは言え、「オピニオンリーダー」とかつては「自他共に認めていた(*1)」全国紙に掲載されることは、新聞社にとっても(*2)不幸な事であろう。
 

 

<注釈>

(*1) ある処からは、「完全に自称」ないし「自称・自覚すらなくなった」であるが。 
 
(*2) ひょっとすると、民主主義体制下にある日本国民にとっても。
 ま、「正論」ばかりなら良い訳では無く、「異論異説異端としての価値」なら、ありそうだが。 
 
【毎日】尖閣諸島:侵攻ある?ない? 可能性を探る
毎日新聞 2014年02月18日 15時53分
   http://mainichi.jp/select/news/20140218k0000e010309000c.html
国有化された尖閣諸島。手前から、南小島、北小島、魚釣島=沖縄県石垣市で20
12年9月、本社機「希望」から
拡大写真
西部方面普通科連隊が2006年に公開した離島防衛のための上陸訓練=長崎県佐世保市の陸上自衛隊相浦駐屯地で
 ◇ある 南シナ海支配の足掛かりに
 ◇ない 部隊駐留難しく戦略的意義薄い

【1】 日本政府による国有化、反日デモ、中国による一方的な防空識別圏の設定……沖縄県・尖閣諸島を巡る日中の対立は、もはや引き返せないチキンレースのように刻々と緊張の度を高めてきた。行き着く果ては最悪の事態、すなわち「中国軍の尖閣侵攻」なのか。あってはならないことが起こる可能性を、あえて探った。【庄司哲也】

【2】 201×年×月。第11管区海上保安本部(那覇市)所属の巡視船のレーダーが尖閣諸島最大の魚釣島(うおつりしま)に向かう中国漁船10隻の姿を捉えた。巡視船は日本領海に侵入しないように無線で警告しつつ、中国漁船団に並走しながら航行。だが漁船団は警告を無視し、領海内に入った。

【3】 魚釣島が目前に迫ると突然、1隻の漁船が体当たりを仕掛けてきた。巡視船の船体に穴が開き、両船は停止。その隙(すき)を突いて他の漁船が魚釣島西側の船着き場に接岸した。乗り込んでいた約90人の漁民が上陸。野営のための用具、食料に加え小銃や機関銃など武器らしきものも陸揚げした。実は、上陸したのは漁民を装った軍の工作員や民兵だった。目的は島の占拠で、船底には対空ミサイルや機関砲も隠されていた??。
 
【4】 中国による尖閣諸島への上陸について著書「尖閣を獲(と)りに来る中国海軍の実力」(小学館101新書)でそうシミュレーションするのは、元統合幕僚学校副校長(海将補)の川村純彦さんだ。中国は「海洋強国」を掲げる習近平国家主席の下、尖閣諸島周辺で艦船の航行を常態化させ活動を拡大している。その狙いを川村さんは「米国並みの核抑止力を持つため南シナ海を完璧に支配下に置くこと」と説明する。

【5】 川村さんの解説はこうだ。尖閣諸島自体は東シナ海にあるが、中国は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を唯一の報復手段としており、水深が深く潜水艦の活動に適した南シナ海を制しようとしている。だが、その北方に位置する台湾を統一しなければ南シナ海での潜水艦の安全は確保できない。もし、台湾の武力統一に踏み切れば中国が最も恐れる米国の介入を招くのは必至。空母を含む米太平洋艦隊を阻止するには東シナ海を勢力下に置いておかねばならず、その足掛かりが尖閣諸島の奪取なのだという。

【6】 シミュレーションの続き。「反日過激派の独断で政府は関与していない」との中国の言葉に欺かれた日本政府が自衛隊の出動をちゅうちょする間に中国が尖閣諸島の「実効支配」を世界に宣言。ついに日本政府も奪還を決断し武力衝突へ。航空機の性能やパイロットの能力に優れた日本側が制空権を握り、海戦にも勝利して尖閣を奪い返す。「現状では自衛隊が優勢だが、そもそも中国側にその気を起こさせないようあらゆる準備をすべきです」と川村さん。
 
【7】 「グレーゾーンの事態への対応の必要性が認識されている。自衛隊が十分な権限でタイムリーに対応できるか、法整備で埋めるべき隙間がないか、十分な検討が必要だ」。4日に開かれた首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」で安倍晋三首相はそう発言した。武装集団に対して自衛隊が出動する場合、相手が外国の軍隊であり、その国の戦争の意思がはっきりしていれば自衛隊法の「外部からの武力攻撃」に該当し、首相は武力が使える「防衛出動」を命じることができる。一方、偽装漁民のように正体不明の武装集団による破壊活動は、同法の「一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合」に当たり「治安出動」が適用される。このケースは警察活動の延長と解釈されるので武器の使用は制限される。

【8】 実際、1978年には中国沿岸から約100隻の漁船が尖閣諸島周辺に押し寄せ、その多くに機関銃が装備されていた。安倍首相が「グレーゾーン」の一つと指摘したのはまさに川村さんの想定したようなケースであり、安保法制懇はこうした事態への対処を検討している。

【9】 そもそも中国に尖閣上陸の意思があるか、疑問視する声がある。「尖閣諸島には飛行場も港湾もない。最大の魚釣島ですら大規模な部隊を駐留させ維持するだけの大きさがない。そんなところを中国が攻める戦略的な意義を見いだすのは難しい」。軍事評論家の神浦元彰さんはそう見る。上陸部隊への食料の補給をどうするのか▽日米安全保障条約が発動し在日米軍が介入したら▽中国同様、尖閣諸島の領有権を死活問題と考える台湾の攻撃をどうかわすか??といったハードルがあるからだ。
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【10】 日本政府は2002年に離島防衛を主な任務とする西部方面普通科連隊(長崎県佐世保市)を創設するなど離島防衛強化を進めているが、神浦さんは「米ソ冷戦期に日本ではソ連軍が北海道に侵攻するという説がありました。だが『なぜ北海道にだけ侵攻してくるのか』を明確に説明できる人はいなかった。それと同じで政府は都合のいい想定で自衛隊の存在意義をつくり出そうとしているのでは」と冷ややかだ。

【11】 元在中国日本大使館防衛駐在官で東京財団研究員の小原凡司さんも「中国による尖閣侵攻」には否定的だ。「中国が軍事力の拡張を続けているように見えるのは、グローバル化した自国の経済活動を保護するためです。その意味では、中東からの石油などの海上輸送路となる南シナ海の方が、東シナ海よりもはるかに重要です」と指摘する。

【12】 2012年9月、国営通信新華社系のニュースサイト「新華網」はロシアの軍事専門家による中国軍の尖閣上陸シミュレーションを掲載した。それによると航空兵力は日中拮抗(きっこう)しているが、ミサイル艦を大量保有する中国軍は自衛隊の艦船に打撃を与え、日本側が中国の尖閣諸島上陸を阻止するのは難しい。しかし、米国が日米安全保障条約に基づいて介入する可能性が高く、そうなれば中国は撃退されるので「中国は軍事行動を控える」と結論づけている。

【13】 また、中国政府管轄下のウェブサイト「中国網」は昨年3月、故・劉少奇元国家主席の息子で中国人民解放軍総後勤部政治委員の劉源・上将(大将)の発言を伝えた。習近平主席と同じ太子党(党高級幹部子弟)出身で習氏が信頼する軍人の一人とされる。そのインタビューで、緊張が高まる日中関係について問われた劉氏は「戦争とは何なのか。それはとても残酷なもので代価も大きい。別の方法で解決できるならば極端な暴力的手段で解決する必要はない」と非戦の考えを明らかにした。

【14】 劉氏の発言こそが「中国の本音ではないか」とみるのは小原さんだ。「中国の尖閣諸島に対する戦略的な関心はむしろ薄く、日本側に中国を意識しすぎる面がある。自衛隊と中国軍対話のチャンネルはほぼ閉ざされており、信頼醸成こそが急務ではないでしょうか」。尖閣を「戦場」にしてはならない。
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中央政府の許可も無しに射撃管制レーダを照射して、それを事後追認させてしまった人民解放軍相手に「信頼醸造」とは、随分間抜けな話ではないか


 さて、如何だろうか。
 
 本記事タイトルを「間抜けな設問」としたのは、無論上掲毎日記事が見出しに掲げる「閣諸島:侵攻ある?ない? 可能性を探る」を指しての事である。この設問を「間抜け」と断じたのは、他でもない。「尖閣諸島振興の可能性は、「ある」と考えて準備する=国防努力に努めるのが当然だから」だ。
 
 実際の「中国の尖閣諸島侵攻」があるのかないのか、議論するのは別に構わない。どちらの説も上掲毎日記事にもある通りあろうさ。だが、先述の通り「治に居て乱を忘れず、一日が為に百年兵を養うが、国防であり国家安全保障」なのだから、「中国の尖閣諸島侵攻は"無い"と考えて準備しない=国防努力を怠る」なんてのは、政府としては愚の骨頂。自衛隊としては怠慢だ。無論、無限の金と時間がある訳では無い我が国及び自衛隊が「想定しうるすべての自隊に万全の備えをする」訳には行くまいが、「可能性の有無で議論が分かれる」程度の「中国の尖閣侵攻」に対し、準備万端遺漏なきよう努力して、当然であろう。
 
 であると言うのに、上掲毎日記事と来たら、その〆が・・・
 
1〉 「中国の尖閣諸島に対する戦略的な関心はむしろ薄く、日本側に中国を意識しすぎる面がある。
2〉 自衛隊と中国軍対話のチャンネルはほぼ閉ざされており、信頼醸成こそが急務ではないでしょうか」。
3〉 尖閣を「戦場」にしてはならない。
 
、「信頼醸造こそが急務の一言にすがって、国防努力を蔑にしようと言う気満々だ(*1)。
 上記3〉「尖閣を「戦場」にしてはならない。」には、日本人ならば大概は賛同しよう。私(ZERO)とてそうだ。
 
 だが、その為にこそ、「尖閣を"戦場"に想定した国防努力」が必要なのである。
 
 逆に「「尖閣を"戦場"に想定した国防努力に欠陥・欠点・欠如」があれば、それは戦争誘因とさえなり得る。何しろ相手は、章題にもした通り、「我が自衛隊護衛艦への射撃管制レーダー照射を、中国共産党の事前許可なく実施し、事後承諾させてしまった」人民解放軍だ。射撃管制レーダーを事前承諾なしに実施した人民解放軍と、それを事後承諾してしまった中国共産党相手の「信頼醸造」なんざぁ、当てにも出来なければ、期待も出来なかろう。言うなれば相手は、「既に盧溝橋の一発を撃った後」なのだ。
 
 尚且つ、尖閣諸島に限らず琉球沖縄も、南シナ海も、「核心的利益」と称して領土的野心を剥き出しにしている相手だ。対独宥和政策が第2次大戦を惹起した史実を想起しつつ、冷静冷徹に対処すべきであろう。
 
 Parabellum!戦いに備えよ。

 

<注釈>

(*1) 私(ZERO)の僻みだろうか?