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昔、僅かばかりの昔。「日本軍国主義の復活!」と言えば、水戸黄門の印籠級の破壊力を持っていた。「日本の朝鮮半島植民地統治には、良い点もあった。」と政府高官がオフレコ記者会見で発言しただけで、「オフレコ紳士協定」は破棄されて大々的に報じられ、当該高官は辞職を余儀なくされた。田母神空幕長(当時)が「日本(大日本帝国)は侵略国家では無かった」と寄稿しただけでマスコミ挙げての大騒ぎとなり、空幕長の座を追われたのも、記憶に新しい処だ(*1)。何れも直接的に「日本軍国主義の復活!」と非難された訳では無いが(*2)、「日本軍国主義の復活につながりかねない」だけでこの騒ぎ、この威力。実に恐るべきは「日本軍国主義の復活!」批判であった、訳だ。
左様、「批判であった」。過去形である。誠に幸いな事に。
何しろ現日本国首相安倍晋三氏と来た日には、特定秘密保護法を巡る日本新聞業界左半分総力挙げての「日本を戦争できる国にする(*3)」キャンペーンも、米国スピーチに於ける「どうぞ私を軍国主義者とお呼び下さい」冗句(*4)も、その冗句を問題発言化しようとした日本マスコミ(の一部)の攻撃も、果ては中韓揃って(*5)の「日本軍国主義復活ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」批判も、ほとんど効果を挙げて居ない。辞職・辞任の「じ」の字どころか、内閣不信任案の「な」の字すらなく、一般的には時間とともに低下してくる首相としての支持率もサッパリ下がらない。かつての「日本軍国主義の復活!」の恩恵を大いに被っていた中韓にしてみれば、切歯扼腕の体であろう。
それは、下掲人民日報海外版記事からも、読み取れる。
ああ、無論、「直接文言として書いてある」訳では無い(*6)。
<注釈>
(*1) ま、そのお蔭で田母神氏は、「日本核武装論」も公言出来れば、都知事選に立候補も出来たのだから、それこそ「良い点もあった」のであるが。(*2) 田母神空幕長(当時)の方は、「直接非難されていた」と言い得るか。(*3) 何度も書いて居るが・・・国が「戦争できるようにする」のは当たり前で、「国が戦争できない」なんてのは国の怠慢だ。戦争なんてのは国しか出来ないのだし、「国が戦争出来ない」と言うのは「国防出来ない」という事。正真正銘掛け値なし、これ以上の問題はなさそうなぐらいの国防上の大問題だ。(*4) 2013年ハーマン・カーン賞受賞に際しての安倍内閣総理大臣スピーチ http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0925hudsonspeech.html?google_editors_picks=true(*5) それも「総力を挙げて」と形容したくなるほどの(*6) 実に良いネタを提供してくれた、アワモリ氏と星の旅氏には、感謝のほかないな。やっぱり異論異説は大事にしないといかん。
【人民日報海外版】戦争責任を否認して社会正義の非難と懲罰を受けている安倍
2014年02月14日09:46 http://j.people.com.cn/94474/8535781.html
日本の村山富市元首相は11日昼頃、ソウルに到着し、韓国の元慰安婦3人と面会した。
【1】 第2次世界大戦時の日本の戦争責任と日本軍の残虐行為はすでに反駁の余地がない事実であり、戦後の国際軍事裁判および道徳の審判によってとっくに歴史に汚名を残している。(文:歩平・中国社会科学院近代史研究所研究員。人民日報海外版掲載)
【2】 戦後の東京裁判は日本軍国主義の戦争犯罪について主に「平和に対する罪」「人道に対する罪」および「通常の戦争犯罪」の3種類・55項目の訴因をあげた。日本政府は東京裁判および戦後の各国の日本に対する裁判の結果を受諾し、戦犯に対する懲罰を引き続き執行することを約束してようやく、国際社会の承認を得て、新たな過程に入ることができた。
【3】 実際のところ、東京裁判の結果を受諾するだけでは到底不十分だ。東京裁判の過程で、日本軍国主義の「人道に対する罪」に対する追及は徹底的でなかったからだ。いわゆる「人道に対する罪」は、戦争発生前または戦争中に一般住民に対して行われた殺人、絶滅、奴隷化、強制移送その他の非人道的行為、または政治的・民族的理由によるあらゆる迫害行為を指す。こうした犯罪行為の共同計画または陰謀に参画した全ての指導者、組織社、教唆者、共謀者は、こうした計画の達成のために何者かが行った全ての行為に対して、責任を負うべきだ。この観点から言って、中国人労働者の強制徴用、慰安婦の組織的強制連行および女性に対する性暴力、国際条約違反の生物化学兵器使用といった戦争中の日本の犯罪行為は、戦後の裁判で見落とされた犯罪行為であり、今日も人権重視の意義上、改めて認識し、追及する必要がある。
NHKの新会長は慰安婦問題について大いに放言し「戦争をしたどの国にもあった」と公言した。このうわごとは、直ちに国内外から強く批判された。写真出典:超級軍事網。
【4】 女性を始めとする戦争中の日本の人権侵害行為を、国際社会は早くから強く非難してきた。1992年2月の国連人権委員会で、日本の民間団体が日本軍による戦争の慰安婦強制連行の状況を報告。多くの国々の政府と非政府組織(NGO)が日本軍の行為を激しく非難した。同年5月、国連人権委員会の現代奴隷制作業部会は国連事務総長への文書を採択し、国際法に基づく立場で日本軍の慰安婦問題に注目するよう求めた。1993年6月にウィーンで開催された国連世界人権会議は「女性に対する暴力の廃止に関する宣言」を採択し、女性の人権を侵害する行為を強く非難すると同時に、実効性ある追及の原則を打ち出した。宣言の「戦争中の女性に対する奴隷制」は実際には日本軍慰安婦問題に対する間接的批判だ。続いて国連人権委員会差別防止小委員会は慰安婦を人権と基本的自由権を深刻に侵害された被害者と位置づけ、賠償、補償、名誉回復を得る権利を認め、日本政府に対して、1年以内に賠償問題について意見を提出し、事件の真相を調査し、資料を公表し、被害者に正式に謝罪するよう要求した。
【5】 だが国際社会の強い非難を前に、安倍晋三は2006年に初めて日本の首相に選出された後に、あろうことか「政府や軍が慰安婦の連行と強制に介入したことを証明する証拠はない」と公言し、慰安婦問題を認めた「河野談話」を否定する内閣官房長官談話を発表することまで計画した。この行動は国際世論の憤りをかき立てた。
【6】 アジアの中国、韓国だけでなく、米国の下院とカナダ、オランダ、スウェーデンなどの議会も日本政府に対して歴史的責任を認めて謝罪を行うよう促す決議を採択し、慰安婦問題について注目し、謝罪し、教育を行うことが日本政府の重大な義務だと指摘した。それからすでに7年が過ぎたが、戦争中の人権侵害行為について日本政府はいかなる謝罪もしないばかりか、安倍晋三は首相として公然と靖国神社を参拝し、戦後の裁判の結果を否定し、国際社会を軽視している。編集NA)
【7】 安倍晋三の一貫した政治姿勢と平和憲法改正に力を尽くす行動とを結びつけ、侵略戦争を発動した日本軍国主義者の言動と照らし合わせると、このような日本の政治家が日本および国際社会にとってどれほど危険なのかが難なく分かる。このような逆行に対して、米ニューヨーク州上院はすでに先月29日に慰安婦問題に関する決議を採択した。米下院議員も第2の慰安婦問題決議を提出する計画だ。日本国内でも女性に対する性暴力と人道に対する罪をめぐる戦争賠償訴訟が常にある。日本の戦争責任を否認する安倍晋三の行為は社会正義の強い非難と懲罰を受けている。(
「人民網日本語版」2014年2月14日
「非難」は未だしも「懲罰」は受けていないようですが、何か?
さて、如何だろうか。
章題でネタバラシしているようなものだが、上掲記事から「安倍首相が受けている非難と懲罰」を抽出すると、以下の通りである。( 例によって【】はパラグラフ番号 )
(1) 1992年2月の国連人権委員会で多くの国々の政府と非政府組織(NGO)が日本軍の行為を激しく非難した。【4】
(2) 1992年5月、国連人権委員会の現代奴隷制作業部会は国連事務総長への文書は日本軍の慰安婦問題に注目するよう求めた。【4】
(3) 1993年6月 国連世界人権会議「女性に対する暴力の廃止に関する宣言」にある「戦争中の女性に対する奴隷制」は日本軍慰安婦問題に対する間接的批判だ。【4】
(4) 国連人権委員会差別防止小委員会は慰安婦を人権と基本的自由権を深刻に侵害された被害者と位置づけ、日本政府に対して、1年以内に賠償問題について意見を提出し、事件の真相を調査し、資料を公表し、被害者に正式に謝罪するよう要求した。【4】
(5) 2007年以前 中国、韓国だけでなく、米国の下院とカナダ、オランダ、スウェーデンなどの議会も日本政府に対して歴史的責任を認めて謝罪を行うよう促す決議を採択し、慰安婦問題について注目し、謝罪し、教育を行うことが日本政府の重大な義務だと指摘した。 【4】
(6) 米ニューヨーク州上院はすでに先月29日に慰安婦問題に関する決議を採択した。 【7】
(7) 米下院議員も第2の慰安婦問題決議を提出する計画だ。【7】
(8) 日本国内でも女性に対する性暴力と人道に対する罪をめぐる戦争賠償訴訟が常にある。【7】
・・・以上(1)~(8)の8件だが、「非難」ばかりで「懲罰」は1件も無い。第2次安倍政権発足以来の「非難」さえ上記(6)~(8)の3件だけ。第1次安倍内閣が受けた(かも知れない)「非難」ですら上記(5)だけだ。言い換えれば上記(1)~(8)の8件の内半分は「日本に対する非難」ではあろうが「安倍首相に対する非難」ではないし、残りも「非難」ばかりで「懲罰」は無い。つまりは上掲人民日報海外版が期待する(*1)「社会正義」は「期待ほどの厳しさを持っていない」し、安倍首相に及ぼす効果・影響はさらに「期待以下」という事だ。
実に目出度い限りだ。
さはさりながら・・・上掲記事パラグラフ【3】の特に
1> 実際のところ、東京裁判の結果を受諾するだけでは到底不十分だ。
2> 東京裁判の過程で、日本軍国主義の「人道に対する罪」に対する追及は徹底的でなかったからだ。
2> 東京裁判の過程で、日本軍国主義の「人道に対する罪」に対する追及は徹底的でなかったからだ。
は、先行記事(*2)で取り上げた「【人民日報海外版コラム「望海楼」】でたらめな論理を振りかざす日本の政治家 http://j.people.com.cn/94474/8522698.html」に於ける「(日本政治家のでたらめな)論理(2)」に対する指摘、
> 中国政府と国民は軍国主義者と日本国民を区別し、これまで日本国民に批判の矛先を向けたことは一切ない。
> もし安倍首相ら政治家による靖国神社参拝が、一般の戦死者を弔うためだとすれば、
> 日本政府が14人のA級戦犯を靖国神社から分祀すれば良いだけのことだ。
> もし安倍首相ら政治家による靖国神社参拝が、一般の戦死者を弔うためだとすれば、
> 日本政府が14人のA級戦犯を靖国神社から分祀すれば良いだけのことだ。
と、全く矛盾するのではないかね。
まあ、上記「(日本政治家のでたらめな)論理(2)に対する指摘」は、上記コラムの中でさえ既に矛盾を来していた事は、先行記事にした通りだが。
<注釈>
(*1) それは、殆ど確実に「中国共産党の期待」でもあるのだが。(*2) 受けて立とうではないか―【人民日報海外版コラム】「でたらめな論理を振りかざす日本の政治家」に対する反論 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38835418.html