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 「(笑)」とか「(爆)」とか、あるいは「www」などとして、「笑って居る事」特に「嘲笑して居る事」を表わす表現は、ネット上には多くある。私(ZERO)はあまりこの表現は好まないのだが、今回は敢えてタイトルにした。
 俎上に取り上げるのは人民網の記事。題材は日本の教科書検定基準に対する「国際世論の批判だそうで、要は、「日本の新教科書検定基準を批判しているのは、中国政府=中国共産党ばかりでは無い!!!」と強調したいのだろう。
 
 だが、それにしても・・・

 
【人民網】国際世論、日本の教科書検定基準改定を批判 ――誤った歴史観の宣伝に警戒しなければならない
    http://j.people.com.cn/94474/8517297.html
 2014年01月20日13:39

【1】 日本の文部科学省は先日、教科書の検定基準を改定し、教科書を扱う際に政府見解を尊重するよう求めた。国際世論は新基準について「日本の歴史教科書は誤った歴史観を宣伝する道具になりかねない、非常に危険な動きであり、日本政治の右傾化の新たな現れでもある。侵略の歴史を覆い隠そうとする日本政府の企ては、日本に対する国際社会の反感を引き起こすだけであり、災いが自らに跳ね返ることになる」と考えている。

■歪曲された、誤った歴史の正当化は非常に危険

【2】 日中友好8・15協会の加藤富士夫常任幹事(元高校教師)は19日、人民日報の取材に「教科書検定基準の改定に強く反対する。生徒たちの歴史観に悪い影響を与えるからだ。今後、さらに多くの日本の教師が自ら学び、本当の、客観的な歴史を生徒たちに教えることで、日本政府の誤った政策が生徒たちに与える悪影響を軽減することを希望する」と述べた。
 
【3】 凌星光・福井県立大学名誉教授は19日、人民日報の取材に「米国を始めとする連合国軍が日本を接収管理する前に、日本政府は悪行の証拠を大量に焼却した。戦後、右翼は書面による命令の証拠が見つかっていないことなどを口実に、南京大虐殺や慰安婦の強制連行といった犯罪行為を否定した。以前は日本政府は国内外の世論を考慮せざるを得ず、世界の非難を無視して大罪を犯す勇気がなく、教科書検定に一定の良心の余地を残していた。だが今や戦争経験者が少なくなり、日本社会全体が深刻に右傾化し、侵略の歴史を改竄する右翼勢力が勢いを得る中、安倍内閣も検定基準を改定する勇気を持った。今後、教科書は右翼内閣の誤った見解を押しつけられ、日本軍国主義の罪を反映する歴史上の事実が覆い隠されうる。こうして日本の若者と周辺国の若者との間の歴史認識問題における溝の解消が難しくなり、日本の国際化と国際協力が深刻に阻害される。われわれは日本の国民や有識者と共に、日本軍国主義の罪を清算する世界的な教育運動を展開することで、日本右翼を孤立させ、日本の若者がアジア運命共同体構築の道を一日も早く歩み始めるようにしなければならない」と述べた。

【4】 日本「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長は19日、人民日報の取材に「新検定基準を適用した教科書からは南京大虐殺、従軍慰安婦などアジア近隣国に対する日本の侵略と植民地支配の罪に関する歴史上の事実が削除され、歪曲された、誤った歴史が正当化されるだろう。今回の検定基準によって『近隣諸国条項』は有名無実化する。安倍政権のこうした悪辣なやり方に断固反対する」と述べた。

【5】 朝日新聞は18日付で、北海道の読者、土井寿さん(75)の声を掲載した。土井さんは「安倍首相の教育改革は非常に危ない。安倍首相の教育観は、日本の未来を担う青少年を、平和を希求し、真理と正義を愛する人間に成長させることではなく、『強い日本のための部品』となる教育をすることだ」と指摘した。

■誤った歴史観の教科書は近隣国との摩擦を次の世代に残すだけ

【6】 韓国外務省はこのほど書面の声明で「日本政府は自国の未来を考えて、生徒に正しい歴史教育を行うべきだ。韓国は日本の青少年が誤った歴史を学び、韓日の摩擦が次の世代に残されることを望まない」と表明。「日本政府は『近隣諸国条項』の精神と趣旨に基づき、日本の誤った行為によって損なわれた近隣国との関係を考慮するだけでなく、日本自身の未来も考え、歴史を直視し、正しい歴史教育を行うべきだ」と強調した。
 
【7】 タイで発行されている中国語紙「亜洲日報」の銭豊副社長は人民日報の取材に「教科書検定基準の改定は日本政治右傾化の新たな現れであり、アジア各国は懸念を抱かざるを得ない。日本は第2次大戦中、アジアの人々に対して途方もない大罪を犯した。日本は歴史を認め、反省して初めて、アジアの人々の信頼を得られる。日本政府は歴史の隠蔽を企てて、教科書検定基準を改定した。これは日本に対する国際社会の反感を引き起こすだけであり、災いが自らに跳ね返ることになる。もし本当にアジア諸国との関係を良くしたいのなら、日本の指導者は歴史を改竄するのではなく、南京大虐殺で亡くなった中国人に懺悔し、強制連行された慰安婦に謝罪と賠償を行うべきだ」と述べた。

【8】 フンボルト大学ベルリンで教育史を研究する張楽氏は人民日報の取材に「日本の歴史教科書改訂の最新の動きは非常に危険だ。名目上、日本の小中高校はまだ『自主的に』歴史教科書を選択できるが、政府の規定には日本政府と出版社の『イデオロギー同盟』を結成する傾向があり、市場は封じ込められ、日本の民衆、特に若い世代に歪曲的な誤った歴史観が広められる」と指摘。「ドイツの教育学界は、どのように歴史を書き、記憶を記し、観念を再構築するかは、教育学界だけの問題ではなく、国民社会全体の発展の方向および政治の意思決定と緊密に関連すると考えている。ヒトラーが政権に就くことができたのは、ワイマール共和国末期の社会世論、ドイツ社会の歴史観が緊密に関係する。第2次大戦後、ドイツの政府と民衆は歴史教科書で歴史を素直に認め、過ちを認め、深く省察し、再び過ちを犯さぬよう警戒するとの広範な共通認識を形成した」と述べた。
 
【9】 あるスイス紙は19日の報道で「教科書検定基準の改定は日本政府の『歴史改竄』の企てだ」と指摘。あるドイツ人読者は記事下方のコメント欄に「安倍氏の見解に照らせば、ドイツ人はみな『愛国的でない』ことになるが、これは明らかに現実と一致しない。ドイツ人は歴史に向き合い、耳を傾けることをより望んでおり、より批判的にも扱っている。安倍氏のやり方は事実上、民衆をコントロールして事実を知らず、無関心にさせるものだ。これは日本の人々にとって良いことではなく、彼らを孤立させ、うとくさせることだ」と書き込んだ。(
編集NA)
 「人民網日本語版」2014年1月20日
 

人民網認定「国際世論」

 さて、如何だろうか。
 上掲人民網記事から、「国際世論」として取り上げられ、日本の新教科書検定基準を批判していると言う主体を抽出してみよう。( 例によって、【】はパラグラフ番号 ☆印は「人民日報の取材に対して」 )
 
(1) 日中友好8・15協会の加藤富士夫常任幹事(元高校教師)【2】☆
 
(2) 凌星光・福井県立大学名誉教授 【3】☆
 
(3) 日本「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長 【4】☆
 
(4) 朝日新聞掲載 北海道の読者、土井寿さん(75)【5】
 
(5) 韓国外務省 【6】
 
(6) タイの中国語紙「亜洲日報」 銭豊副社長 【7】☆
 
(7) フンボルト大学ベルリンで教育史を研究する張楽氏 【8】☆
 
(8) あるスイス紙 【9】
 
(9) あるドイツ人読者 【9】
 
 以上9主体。
 さて、以上9主体を以って、読者諸兄は「国際世論」と認識し、上掲人民網記事見出しの通り「国際世論が日本の新教科書検定基準を批判している!!」と信じるか?同感するか??
 
 無論、私(ZERO)の答えはNoだ。
 
 何しろ、上記(1)~(9)の9主体の内、過半数の(1)(2)(3)(6)(7)は☆印「人民日報の取材に対して」の回答だ。即ち押しも押されもせぬ中国共産党の宣伝機関・人民日報が態々取材に行ってコメントを取ってきた主体。つまりは「人民日報の御眼鏡に適った」=「中国共産党にとって好都合ないし不都合では無い」主体だ。サンプリングに偏りがある、どころではあるまい。上記(1)「日中友好8・15協」や上記(3)日本「子どもと教科書全国ネット21」なんて団体も、団体名からして「日本の新教科書検定基準を批判」しそうだ。と言うか、上記(3)日本「子どもと教科書全国ネット21」なんて団体は「日本の新教科書検定基準を批判」するのが、そもそもの存在理由なのではないか??

 上記(2)(6)(7)は、名前からして中国系であり、中国共産党としてはその影響力を行使しやすそうな主体だろう。そりゃ上掲人民網記事は、世論調査結果を報じるものでは無いが、斯様に偏ったサンプリングで「国際世論」とは、片腹痛いな。
 
 上記(5)韓国政府反日気違いぶりは今に始まった事では無い。「韓国外務省」の一例だけなのが、少ないぐらいだ。どうせ奴バラ、滑って転んでも日本政府を批判するだろう。従って、今般「日本の新教科書検定基準を批判した」処で、何ほどの事は無い。ただ、まあ、世界百数十カ国のうちの一つの国として、「国際世論」の一翼を担ってはいるから、上記9主体の中では、一番マシかも知れない。
 
 上記(4)「朝日新聞の読者」と言うのも、大笑いだ。どうやら投書欄からの引用らしいが、朝日の投書欄は朝日新聞ベッタリの、朝日新聞記者以上に朝日新聞らしい意見に満ち溢れている。そりゃ中国共産党に好都合な意見の宝庫であろうさ。だが所詮、北海道に住む一朝日新聞読者の意見でしかない。それが「国際世論」かね。日本人も、北海道在住者も代表してなぞ居ないが。
 ああ、朝日新聞読者だけは、代表して居るかも知れないな。だがそうだとすると、韓国外務省と同様「いつもの反日・反政府・反安倍首相」でしかないし、「日本の新教科書検定基準」も殆ど関係ない。
 
 上記(8)(9)に至っては、「やっとネット上で対日批判を見つけましたと読めて仕方がない。人民網記事がその情報源を人民日報に依存するのは仕方がないとしても、こんな情報源で記事を書いて、恥ずかしくないのかね、人民網記者は。
 
 まあ、聞くだけ野暮と言うモノだ。報道機関=中国共産党の宣伝機関である中国共産党支配下では、言論の自由も思想信条の自由も無いのだから、フリージャーナリズムもジャーナリスト魂も、無いのが当然視され、あっても隠す。だからこんな記事も「恥ずかしげもなく」書けてしまうし、書かざるを得ない。
 
 以上のように考えると、上掲人民網記事を書いた記者には、情状酌量の余地がある可能性はある。
 だが、上掲人民網記事自体は、箸にも棒にもかからないプロパガンダ記事である事には、疑念の余地が無いぞ。