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 以下に掲げるのは、何れも産経の記事。何れも題材は「中華人民共和国の崩壊兆候」である。

 
【石平のChina Watch】バブル崩壊、今度こそ「狼」は来た!
2014.1.9 11:58
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140109/chn14010912020003-n1.htm
 昨春、北京市内で開催された不動産物件展示会。"バブル崩壊"が現実味を帯びてきた(共同)

 中国では昨年末から、不動産バブルの崩壊を危ぶむ声が聞こえてきている。例えば12月21日、北京中坤投資集団会長で全国工商連合会不動産商会副会長の黄怒波氏は、北京市内で開かれたフォーラムの席で、スペインにおける不動産バブル崩壊を引き合いに出し「スペインの現在は中国の明日、中国で次に倒れるのは不動産業だ」と喝破した。1週間後、同じ全国工商連合会不動産商会の常任理事を務める経済評論家、朱大鳴氏の論文が多くのメディアに転載された。その中で同氏は「不動産バブルはいったん破裂したら取り返しのつかないこととなる」と述べ、今後数年は「このような事態の到来に備えるべきだ」と提言した。

 中国の不動産業の中枢に身をおく2人が口をそろえて「バブル崩壊」を警告しているのだから、事態の深刻さは推して知るべきであろう。実際、昨年後半から不動産バブルの崩壊はすでに目の前の現実となりつつある。
 昨年10月30日、国内各メディアはいっせいに、国務院発展研究センター・李偉主任が行った、「地方の中小都市では不動産バブルの破裂がすでに始まっている」との爆弾発言を報じた。中央政府直属シンクタンクのトップが「バブルの破裂」を公言するのは前代未聞の事態である。これによってバブル崩壊が、すでに隠せない事実であることがよく分かった。
 
「地方中小都市」の中で著しい経済成長で知られる浙江省温州市では、不動産平均価格が昨年末までに、最盛期の半分以下に落ちていることが報道されている。「鬼城(ゴーストタウン)」の乱造で有名な常州市、貴陽市、大同市なども「第2、第3の温州」となると予測されている。そして、地方都市の不動産価格の暴落はいずれ大都市に波及してくる。12月24日付証券日報の掲載記事は、11月末以来、北京市内の中古不動産の平均価格が急速に下落していると報じている。それは都市部にも危険が迫ってきていることの信号であろう。

 新年早々、中国の各メディアがいっせいに取り上げたのは、香港屈指の財閥の李嘉誠氏率いる長江実業集団が南京市内で所有していた国際金融センタービルを売却した話である。実は昨年1年間、長江実業集団は中国国内で持つ不動産物件を次から次へと売りさばき、126億人民元(約2200億円)を回収して中国大陸からの事業の撤退を急いでいる。
 かつて香港財閥の中では率先して中国に投資し、未来を見る目の確かさで知られた李嘉誠氏の行動は当然、迫ってくる危険を察知した上での決断だと理解されている。冒頭の黄怒波氏や朱大鳴氏の警告のように不動産バブルの崩壊は避けられない必至の趨勢(すうせい)なのであろう。

こうなった最大の理由は昨年9月26日掲載の本欄が指摘したように、地方債務や「影の銀行」などの大問題を抱えて金融不安の拡大が危惧されている中で、中国の金融システムが保身のためにリスクの高い不動産関係融資から手を引いたことにあろう。国内の各商業銀行が住宅ローンへの融資停止に踏み切ったのは昨年9月以降のことだが、10月末には早くも「地方中小都市でバブルの破裂が始まっている」という前述の李偉主任の爆弾発言が出た。金融引き締めの効果は一目瞭然である。

 もちろん今年2014年は、地方負債の問題がさら深刻化してきている中で、金融の安全を第一義に考える中国政府は不動産業に対する金融引き締めを継続していくしかない。そうすると不動産はますます売れなくなり、価格のさらなる下落は避けられない。バブル破裂の動きはいっそう加速化するであろう。

 どうやら今度こそ、長年恐れられてきた、バブル崩壊という名の「狼」は本当にやってくるのである。

                   ◇
【プロフィル】石平
 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
 
 
【正論】年頭にあたり 大陸国家が海洋に野望を抱く時
2014.1.9 03:24 [正論]
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140109/chn14010903250000-n1.htm
 □明治大学名誉教授・入江隆則

 ハルフォード・マッキンダーという英国の地政学者がいて、『デモクラシーの理想と現実』という名著を残しているのはよく知られている。彼が同著で吐いている傾聴すべき数々の名言の一つに「大陸国家が海洋に乗り出して、海洋国家を兼ねようとすると、必ず失敗する」というテーゼがある。むろん、西洋史に限定する必要はない。例えば、19世紀末から20世紀初頭にかけての帝政ロシアの崩壊などはその典型であろう。

 ≪マッキンダー無視する中国≫

 周知のように、時のロシア皇帝ニコライ2世は、シベリア東端まで延びた大陸国家としての自国領域に満足せず、極東艦隊やバルチック艦隊などの大艦隊をつくって海洋への進出を目指そうとした。その結果、海洋国家である日本との間に摩擦が生じて日露戦争が起こり、そこでの敗北が帝政ロシアの急速な崩壊に直結した。

 現在の「プーチンのロシア」は一昔前のソ連時代に比べれば、この歴史的教訓をよく見据えて、大陸国家の節度を踏み外さないようにしているかにみえる。対照的にこの教訓を完全に無視して、大陸国家でありながら海洋進出の大陰謀を画策しているのが、共産党一党独裁が続く中国である。
 日本では目下、中国が尖閣諸島上の日本領空を含む空域に一方的に設定した「防空識別圏」が話題になっているが、これは中国による世界規模の海洋進出衝動の一端にすぎない。太平洋を米国と二分して西側を支配し、さらには、東南アジア海域からインド洋にかけての広大な海洋を軍事的影響下に置いて、東はニュージーランドから西はアフリカのサハラ以南まで勢力圏に入れようとしていることは、誰の目にも明らかだ。

≪列強浸食への劣等感と怨念≫

 中国がなぜ、かかる野望を抱くようになったかについては、さまざまな動機が考えられる。1つには、1840年に英国とのアヘン戦争に敗れて以来、西欧列強や日本に浸食されほぼ100年間にわたり半植民地状態にされたのに伴う劣等感と外部世界への憤怒があるとみるのが至当だろう。
 アヘン戦争以前の中国は、自他ともに許す、東洋ではもちろん、世界の大国中の大国だったのだから、以後、今日までの中国人の鬱屈と悲哀は並大抵のものではなかったと想像される。加えて、経済大国になった中国が、海底資源獲得に貪欲になっていることも背景として忘れてはなるまい。

 ここで現在に至るまでの大国の興亡史を概観しておけば、大陸国家の全盛期だった中世が終わり、16世紀に大航海時代が始まるや、スペイン、ポルトガル、オランダなどの確執が続き、それらの闘争に最終的に勝ち残った英国が二百数十年間、「七つの海」を支配した。その大英帝国も20世紀になって第一次、第二次の両大戦で勝者となりながらも国力が衰退して、大西洋の対岸の米国によって覇権を徐々に奪われていった。

 注目すべきは、米国もまた、四方を海に囲まれた英国のような島国ではないものの、大西洋と太平洋をともに自国の活動域と認識する海洋国家だということである。第二次大戦後の冷戦では大陸国家ソ連に勝利し、数十年の間、唯一の超大国を自任していた。が、それも束(つか)の間、旧ソ連と同様の大陸国家たる中国の挑戦を受けているのが、現下の情勢である。
 世界の海洋に張り出
していずれ米国と肩を並べ、究極的には米国をも凌(しの)ごうとする大陸国家、中国の巨大な野心は、マッキンダーの予言通り潰(つい)えるのか、それとも予言を覆して成就するのか。

 ≪足元脆弱で早期に崩壊も?≫

 その野望国家の足元の国内を見ると、高級幹部の子弟、太子党が権力内部で台頭し、都市、農村の貧富の格差が広がり、その都市内でも富が偏在し、年間十数万件もの暴動が発生するなど深刻かつ複雑な難題が山積しており、内政上は極めて脆弱(ぜいじゃく)だといえる。

 にもかかわらず、いや、だからこそ、一連の問題で増大する国民の不満や怒りの矛先を、共産党ではなく日本などの「外敵」に向けさせ、国民の中華民族主義を昂揚(こうよう)させるために海洋覇権を目指しているのだ、とよくいわれる。しかし、それだけでは、この破天荒な対外膨張は説明できない。

 たぶん、中国というこの異形の大国の、壮大なまでに矛盾した内外での動きが、少なからぬ人々に中国早期崩壊論を語らせる理由ともなっているのであろう。

 よしんば、それがやがて眼前の現実になったとしても、日本としては決して巻き込まれてはならない。距離を置いて眺め事態の推移に任せるべきだと考える。

 その後にこそ、経済はもちろん文化や歴史をも含めて日本が改めて見直されるようになり、この地域で日本が真に主導的な役割を果たせるようになるのではないか。アジアで、ひいては世界で「新秩序」が立ち現れてくることに、私は期待している。今年の初夢などに終わらせたくはない。(
いりえ たかのり)

 

希望はするが、期待すべからず。Parabellum!

 さて、如何だろうか。
 
 「中華人民共和国崩壊説」が世上(の一部)で囁かれるようになって久しい。当ブログにもいくつかその趣旨の記事をアップしている。
 
 理の当然ではあろうが、当の中国共産党政権はそんな「崩壊説」を否定し、「分裂主義者の戯言」だの、「CIAから金を貰って書いて居る」だの、痛烈に罵倒しているし、逆に「中華民族の偉大な未来」などの喧伝は大いにやっている…まあ、「中華民族」なんて抜かす時点で、砂上の楼閣よりも儚い幻想である(*1)事を示しているが。
 中国共産党救国伝説だの「中国の夢」だのの虚構頼みで政権維持を図っている限り、遅かれ早かれ中国共産党政権が崩壊・倒壊する事には確信が持てよう。その意味で上掲日本の記事は、左様な確信に対する「裏書」たり得る。
 
 だが、油断すべきではない。殊に、尖閣諸島に対する「核心的利益」宣言=侵略宣言にて領土的野心を剥き出しにし、「日本軍国主義復活大キャンペーン」を実施している中国共産党政権に対しては、油断も幻想も禁物だ。
 
 章題にもした通り、我々は中国共産党政権の崩壊を、期待すべきではない。
 しかしながら、希望は出来るし、備えるべき、でもある。
 
 Parabellum! 戦いに備えよ

 

<注釈>

(*1) 北京五輪で描いて見せたのは「五十六族共和」としての「中華人民共和国」だが、相当数の回教徒を含み、チベット仏教を弾圧してダライ・ラマ師の帰還さえ許さないでは、「五十六族共和」も「大中華民族」も、虚しかろう。
 大体、一党独裁政党が、中国「共産党」ではないか。