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敢えて、多くは語るまい(*1)。以下に掲げるのは毎日新聞と東京新聞の社説。題材は我が海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船の衝突事故である。
この衝突事故の結果、釣り船に乗っていた4人のうち二人が亡くなった。その事自体は痛ましい事であり、哀悼の意を捧げるに私(ZERO)とて人後に落ちるものでは無い。
だが、その衝突事故について、下掲の通り海上自衛隊及び輸送艦「おおすみ」を評する言説を、社説として、新聞社の主張として、全国どころか全世界へ公開公言する毎日・東京両紙とは・・・
ああ、「敢えて、多くは語るまい」と冒頭宣したばかりだったな。今回は、唯、毎日・東京両紙の主張を記録するに止めよう。
左様、今回は。
<注釈>
(*1) この書き出しも、何回か使った気がするが・・・
【毎日社説】:海自艦衝突事故 原因の徹底究明を図れ
毎日新聞 2014年01月16日 02時30分
広島県大竹市沖の瀬戸内海で海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船が衝突した。釣り船は転覆して乗っていた4人が海に投げ出され、船長が死亡、1人が意識不明の重体だという。海自艦の衝突事故はこれまでにも繰り返されている。原因の徹底した究明が必要だ。
おおすみは定期整備のため、呉基地から岡山県玉野市に向けて航行中だった。釣り船は広島市を出発して沖にある島に向かっていた。事故当時は晴れて視界は良く、波も穏やかだったという。
現場付近は多くの大型船や遊漁船が行き交う海域だ。小さな島が多く、海岸線が複雑に入り組んでいるため、潮の流れも速い。
衝突時の詳細な状況はまだよく分かっていないが、おおすみと釣り船は同じ方向に進んでいた。左側を航行していた釣り船をやり過ごそうとおおすみが減速した後、事故が発生したとみられる。
双方の回避行動が妥当だったかが焦点になる。釣り船から見れば、おおすみは長さで20倍以上もある巨体だ。衝突すればひとたまりもない。おおすみの見張りは十分なものだっただろうか。
海上保安庁による捜査と、国土交通省の運輸安全委員会による事故原因の調査が必要だ。乗組員の聴取のほか、船舶自動識別装置による航跡・速度の解析も重要となる。海自は捜査と調査に全面的に協力しなければならない。
海自の艦船が関係する事故は記憶に新しいものだけでも、神奈川県横須賀港沖で潜水艦「なだしお」と遊漁船「第1富士丸」が衝突し釣り客30人が死亡(1988年)▽千葉県野島崎沖でイージス艦「あたご」と小型マグロ漁船「清徳丸」が衝突し漁船の親子2人が死亡(2008年)▽関門海峡で護衛艦「くらま」と韓国船籍のコンテナ船が衝突し火災が発生(09年)??などがある。
防衛省は、あたごの事故を受けて、報告・通報を含む見張り能力の向上と指揮の徹底をはじめとする再発防止策を打ち出している。今回の事故の原因究明を待たずに、再発防止策は末端まで浸透しているか、規律の緩みはないのかについて、改めてしっかりと検証する必要がある。
あたごの事故では、防衛省幹部による状況説明が二転三転し、国民の自衛隊不信を高めた。同様の事態を招くことがないよう、迅速な情報開示が求められる。
政府は事故直後、首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置して対応に乗り出した。この機会に、首相と官房長官が先頭に立ち、自衛艦の安全航行と管理・指導体制の徹底を図るべきだろう。.【東京社説】自衛艦衝突 見張りは十分だったか
2014年1月16日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014011602000138.html
海上自衛隊の艦艇と民間船舶の衝突がまたしても発生した。今回は、快晴で見通しがよく、波も穏やかな中での事故である。果たして見張りは十分だったのか。しっかり解明してもらいたい。
残念だが、「まさか」よりも「またか」と言いたくなる。自衛艦の衝突事故は、これまでも相次いできた。
一九八八年七月に神奈川県横須賀市沖で潜水艦「なだしお」と釣り船「第1富士丸」が衝突した事故では、釣り船の三十人が死亡した。海難審判は、一審が「なだしお主因、釣り船に一因」、二審は「双方に同等の責任」と裁決し、判断が分かれた。
一方、刑事裁判の判決は、艦長と船長をいずれも有罪としたが「なだしおが前進強速をかけた過失行為が事故の一次的原因」と認定した。二〇〇八年二月に千葉県の房総半島沖でイージス艦「あたご」と小型漁船が衝突した事故では、漁船の父子が行方不明となり、死亡認定された。海難審判は「あたご側の監視不十分が主因」と結論付けたが、刑事裁判では「あたごに回避義務はなかった」として自衛官二人の無罪が確定した。
原因の究明に主眼を置いて行政責任を問う海難審判と、当事者の刑事責任を追及する裁判で結論が異なることは、海難事故のとらえ方の難しさを示す。
しかし、死者を出した両事故以外にも、この十年で五件の衝突が起きている。実に二年に一件という割合だ。海自に厳しい目が向けられるのもやむを得まい。
今回の事故現場は、プレジャーボートも含め大小の船が頻繁に行き交う瀬戸内海であり、より慎重な見張りが行われていたはずである。しかも、「あたご」が未明の海で衝突したのとは対照的に、波穏やかで見通しのよい快晴の海だった。一体、なぜ、防げなかったのか。
事故に至った経緯はこれから解明が進められることになる。「なだしお」では、航泊日誌の改ざんが問題になったこともあった。海自には、小野寺五典防衛相も約束した通り、捜査への積極的かつ誠実な協力が求められる。
何よりも国民を守るのが本務の自衛艦が、こうも度々、事故の当事者となってはなるまい。
過失の有無は未解明だが、二度と事故を繰り返さないためには、例えば、外部の専門家も交えて徹底的に事故を検証し、再発防止策をまとめる必要もあるだろう。