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 「脱原発」を標榜した政党は、先の衆院選挙で雨後の竹の子の如くと言うか、雲霞の如くと言うか、小沢一郎が裏で糸引いた「未来の党」から共産党まで数多あったが、「衆院選に勝った」と言い得るのは共産党ぐらいで、未来の党から民主党(*1)まで尽く敗北しているし、何より原発再稼働容認を明言した自民党大勝の前には「共産党の勝利」すら霞んで見える体であった。

 それでも、山本太郎の様な「脱原発」しか言わない議員なんてのが当選してしまったからか、はたまた「世論調査の結果」から脱原発さえ訴えれば選挙に勝てるとでも思ったか、兎にも角にも元首相同士がタッグを組んで、「脱原発」を旗印にして…東京都知事選に出馬するんだそうだ。

 

<注釈>

(*1)「2030年代までに原発ゼロとなるよう、あらゆる政治的資産を投じる」なんてアジ文を「エネルギー政策」などと称せてしまうのは、脱原発原理主義以外の何ものでもなかろう。 
 
①細川元首相が出馬表明「原発問題に危機感」 会談後、小泉氏「支援する」
2014.1.14 13:32 [東京都知事選]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140114/stt14011413380004-n1.htm
記者の質問に答える細川護煕元首相(左)と小泉純一郎元首相=14日午後、東京都港区 (小野淳一撮影)
 東京都の猪瀬直樹前知事の辞職に伴う都知事選(23日告示、2月9日投開票)で、細川護煕元首相(76)が14日午後、都内のホテルで記者団に対し「今の日本が抱えている原発問題などについて、私なりに国の存亡に関わる危機感を持っている」と述べ、立候補を正式表明した。これに先立ち、同じく「脱原発」を主張する小泉純一郎元首相(71)と同ホテル内で会談で支援を取り付けた。
 小泉氏は細川氏と並んで記者団の取材に応じ、「この国の形、特に原発問題をどうするか、共感できるところがたくさんあった。都知事選への立候補には心から敬意を表明したい」と語った。
 さらに「原発がなくても日本は発展できる。東京が原発なしでやっていける姿を見せれば必ず国を変えられる。細川さんが当選すればエネルギー問題、原発問題で国政に影響を与えることになる」と強調した。
 細川氏は数日中に記者会見を行い、選挙公約などを発表する。記者団には「原発(問題)は知事として非常にやりがいのある仕事。全力でやりたい」と意欲を見せた。
 

「脱原発」を公約した都知事は何をするのか?

 小泉氏と細川氏。二人の元首相がつるんで、細川氏が都知事選に出馬すると言う報道。
 
①1〉「原発(問題)は知事として非常にやりがいのある仕事。全力でやりたい」
 
と言うのだから、「脱原発」を公約した事は一寸疑いようが無いんだが…都知事が原発問題で何をやる心算・計画・思惑なのか、上掲記事からはサッパリ判らない。
 
 そこで細川都知事候補の言ならずとも、「都知事が出来る脱原発政策」は何かと、ネットを探ってみると・・・
 
②【朝日】東京から「原発ゼロ」を進める必然性
文 保坂展人  http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201401140048.html
2014年1月14日
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「脱原発」で手を組んだ細川元首相と小泉元首相

 細川護煕元首相が東京都知事選挙(1月23日告示、2月9日投票)に立候補する、と伝えられています。「原発ゼロ」を掲げる小泉純一郎元首相と連携して、「脱原発」を訴えるという展開に少なからぬ衝撃が広がっているようです。そんななか、さっそく「原発・エネルギー政策を地方選挙で争うべきでない」という牽制(けんせい)球が飛び交っています。

 
 3年で何もかも忘れたのでしょうか。2011年3月11日、東日本大震災の甚大な被害とともに、東京電力福島第1原子力発電所の連続メルトダウンは何をもたらしたでしょう。昨年の夏、官邸の内外から見た原発事故のドキュメントを5~6冊読みましたが、「首都圏3千万人の避難」を念頭に置くという事態が起きていたことは否定しようがありません。それほどまで深刻な状況へと向かっていたのです。

 現実に、福島第1原発周辺の16万人の人たちは住み慣れた家を後にして、長期にわたって避難生活を送っています。世田谷区にも400人近い方たちが長期滞在しています。何より原発事故の現場は長期にわたる収束作業が続き、廃炉への道もイバラの道です。汚染水とのたたかいも続いています。

 そうした意味では、福島第1原発事故は収束どころか、いまもなお「現在進行中」なのです。

 安倍内閣は「原発再稼働」の方針を掲げ、経済産業省は国のエネルギー計画の中で原発を「基盤となる重要なベース電源」として位置づけようとしています。(「消えた『原発ゼロ』むしろ『重要電源』へ」)

 このままでは、停止している原発が次々と再稼働のプロセスに入っていくのも時間の問題かもしれません。3・11以後、柏崎刈羽原発や浜岡原発が稼働していた時、福島第1原発事故に相当する重大事故(シビアアクシデント)に見舞われた場合、住民の健康と安全を守らなければならない自治体の責務を果たすことは不可能だと感じました。避難計画すらありませんでした。(「『原発再稼働』の倫理を問う新潟県知事の覚悟」)

 今回の原発事故が起きる前は、国が「重大事故は起こらない」としているので、東京でも避難計画等を策定する必要はないと考えられてきたのです。しかし、日本列島は地震の活動期に入っています。強烈な揺れや噴火、津波等の自然災害に耐えうる安全対策は未了です。
 
 にもかかわらず、再稼働のみならず原発を「重要なベース電源」と位置づけるということは、「福島第1原発のような重大事故は、さすがにもう起こらない」と考えることにした、ということでしょうか。原発の輸出を進めたい政府は、国内で原発を止めしまっては、海外への売り込みに支障をきたすと判断しているのでしょうか。

 原発の危険性は、立地している県に限るものではないことは、私たちが3年前にイヤというほどに経験していたはずです。放射性物質の拡散は広範囲で、東京でもペットボトルの水を配布するという事態が起きました。世田谷区では空気中の放射線量も繰り返し測定し、給食の放射性物質の検査を今も継続しています。

 原発の重大事故時の影響を考えた時、東京もまた被害を回避することは困難です。県境はおろか、場合によっては国境さえ越えてしまうのです。なにより、東京は日本で最大の電力消費地でもあるのです。原発問題に無関係であるはずがありません。

 それだけに、細川・小泉というふたりの元首相が東京から「原発ゼロ」を訴え、実現する道を探っていくということには、必然性があると思います。
 私は、地方自治体の現場からエネルギー問題に取り組んできました。当初こそ「それは国政の課題で基礎自治体のやることではない」という声もありましたが、現在は「エネルギー問題は地方自治体の現場から変えるしか道はない」と実感しています。

 私は以前、このコラムでも、次のように書きました。
 
 <首相経験者の発言が脚光を浴びるのは、永田町政治がこの問題で国民の声を代表していないということも示しているように思います>(「原発ゼロ 小泉・細川連携で流れ変わるか」)

 永田町や霞が関では「なし崩し的な原発回帰」が強まっています。多くの人が「脱原発」「原発ゼロ」へと舵(かじ)を切らずにいる政治をよしとしているわけではないのです。

保坂展人(ほさか・のぶと)
1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03~05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。
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③【朝日社説】東京都知事選―首都で原発を問う意義
 2014年1月15日(水)付
 「脱原発」を東京都民に問いたい。

 細川護熙元首相がこう訴えて、2月9日の東京都知事選に立候補を表明した。

 主な顔ぶれが固まり、原発政策が大きな争点となる。

 都知事選で原発を問うことに違和感を示す向きがある。安倍首相も「エネルギー政策は東京都だけではなく、国民みんなの課題だ」と述べている。
 たしかに国民全体が考えるべき問題ではある。だが同時に、都民が当事者として考えるにふさわしいテーマでもある。

 人口1300万超の東京は、日本の電力の1割強を使う大消費地だ。なのに、主な供給源は遠隔地にある。原発の立地自治体や周辺が抱える様々な矛盾や葛藤とも無縁でいられる。

 そんな東京で選挙を通じて議論が深まれば、都民の節電意識が高まったり、再生能エネルギーの普及に弾みがついたりする可能性がある。大量生産、大量消費のライフスタイルの見直しにつながるかも知れない。
 自分たちのありようを再考するという点で、自治体選挙で問うてならぬという法はない。

 都は東京電力の大株主だ。知事は、東電の経営に物申すこともできる。
 東京では一昨年、原発稼働の是非を問う住民投票の条例案が都議会で否決された。前回の知事選や都議選では、原発問題は五輪招致やアベノミクスの後景に退いた。

 今回、エネルギー政策が正面から問われることには意義がある。出馬を表明した舛添要一元厚労相や宇都宮健児前日弁連会長らも「脱原発」を訴える。具体論を戦わせてほしい。

 もっとも、気をつけなければならない点がある。

 細川氏に支援を要請された小泉元首相は「この戦いは、原発ゼロでも日本が発展できるというグループと、原発なくしては発展できないというグループとの争いだ」と語った。

 かつて、郵政民営化の一点だけを争点に衆院を解散した小泉氏らしい明快さではある。

 だが、東京都には超高齢化への対応など、避けて通れない重要課題が多い。選挙を「原発にイエスかノーか」の一色に染め上げ、スローガンの争いにすることには賛成できない。
 
 細川氏には20年前、東京佐川急便からの借入金問題を追及され、投げ出すかのように首相の座を降りた経緯がある。

 カネの問題で猪瀬前知事が任期途中で辞任した後の選挙だ。自らのけじめも細川氏には問われるところである。