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先行記事「反論に非ず、せいぜい"泣き言"―【毎日社説】「秘密法の報道 自民の反論は筋違いだ」の酷さ(*1)」に於いて、自民党の内部文書「特定秘密保護法に関する誤った新聞報道への反論」に対する毎日社説の「反論の反論」を、手厳しく批判した。批判した理由は先行記事にした通り、「特定秘密保護法に反対しているから」ではなく、「特定秘密保護法に反対するあまり、全く何の"反論"にもなっていなかったから」。なればこそタイトルを「反論に非ず、せいぜい"泣き言"」とし、「反論の反論」と称する部分も、それ以外の部分も「痛罵」と言っても良い位強く非難した。
それを知ってか知らずか…否、当ブログの様な弱小ブログ記事を知っていない事は賭けても良いぐらいだが…東京新聞もまた同じ「特定秘密保護法に関する誤った新聞報道への反論」に反論する社説を掲載している。これは如何かと読んでみれば・・・
<注釈>
【東京社説】秘密保護法 自民の「反論」は正当か
2013年12月23日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013122302000141.html
【1】 特定秘密保護法を批判する報道に対し、自民党が「反論」と称する文書を同党の国会議員に配布した。反論権は十分に認め、謙虚でありたい。それを踏まえても、中身には疑問を持たざるを得ない。
【2】 文書のタイトルは「特定秘密保護法に関する誤った新聞報道への反論」だ。東京新聞(中日新聞東京本社)や朝日新聞、毎日新聞の報道や社説を二十三本、取り上げて、それぞれ逐条的に「反論」を加えている。
【3】 例えば、「『行政機関の長』が、その裁量でいくらでも特定秘密を指定できる」と書いた新聞について、「反論・事実に反します」と冒頭で記す。さらに「特定秘密は、法律の別表に限定列挙された事項に関する情報に限って指定するもので、(中略)恣意(しい)的な運用が行われることはありません」と記している。
【4】 問題なのは、肝心の別表の中身があまりに茫漠(ぼうばく)としていることだ。外交分野では「外国の政府との交渉」と書いてある。こんな言葉では、どんな交渉も含みうる。拡大解釈も、恣意的な運用も可能であろう。どこが「限定」していると言えるのか、不可解というほかはない。
【5】 「国会や司法のチェックも及ばない」と書いた新聞にも、「反論・事実に反します」とし、「国会の求めに応じ、特定秘密を提供しなければならず、国会で必要な議論ができます」と書く。
【6】 この記述は、議員が誤解しよう。たしかに国会の秘密会に提供する定めはある。だが、行政機関の「長」が「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」に限られる。
【7】 そもそも特定秘密とは「安全保障に著しい支障があるため、特に秘匿するもの」である。支障がないと行政側が判断する情報は元来、特定秘密になりえない。法を読む限り、論理矛盾でないか。
【8】 テロリズムの定義をめぐっても、「反論」があった。政府とは異なる解釈ができる条文の書き方で、根源的な問題である。法律自体が欠陥なのだ。
【9】 自民党の文書は「一部の新聞は誤情報を流して国民を不安に陥れています」と記している。批判に背を向ける姿勢がうかがえる。
【10】 報道機関は良心に従い、権力を監視し、問題点があれば、報道し、言論を述べる。野党も追及する。国民もデモなどで声を上げる。民主主義社会では正常な風景である。国民を不安に陥れるのは、秘密保護法そのものである。
流石は地方紙。毎日以下。
さて、如何だろうか。
先行記事で取り上げた毎日社説に比べると、「反論の反論」以外の部分は殆ど無い。それだけ「反論の反論に徹した」社説とは言えそうだ。その「反論の反論」はパラグラフで【3】~【4】、【5】~【7】、【8】にて3点を「反論の反論」としている。
東京新聞社説「反論の反論」検証1
パラグラフ【3】~【4】は先行記事にした毎日社説も取り上げた「行政機関の長が恣意(しい)的に特定秘密指定を広げる恐れ」である。
1〉 「特定秘密は、法律の別表に限定列挙された事項に関する情報に限って指定するもので、(中略)
2〉恣意(しい)的な運用が行われることはありません」と記している。
3〉 問題なのは、肝心の別表の中身があまりに茫漠(ぼうばく)としていることだ。
2〉恣意(しい)的な運用が行われることはありません」と記している。
3〉 問題なのは、肝心の別表の中身があまりに茫漠(ぼうばく)としていることだ。
として、以下パラグラフ【4】にて縷々「別表の茫漠さ」を非難している。
ではあるが、先般可決成立した特定秘密保護法の、特定秘密を範囲指定した別表が「茫漠としている」のは、ある意味当然ではなかろうか。
まず第一に、今回の特定秘密保護法は「特定秘密を指定し保護する仕組みを明確にする」モノであり「何を特定秘密とするか」は上掲東京社説に従っても「別表に従い行政機関の長が指定する」と定めるモノ。その別表が、上掲東京社説にある通り、
4〉 外交分野では「外国の政府との交渉」と書いてある。
のだそうだ(*1)。これを
5〉 こんな言葉では、どんな交渉も含みうる。拡大解釈も、恣意的な運用も可能であろう。
6〉 どこが「限定」していると言えるのか、不可解というほかはない。
6〉 どこが「限定」していると言えるのか、不可解というほかはない。
と、上掲東京社説は非難する訳だが、「行政機関の長による特定秘密指定」を全く信用しないのは東京新聞の勝手としても(*2)、「外交分野における特定秘密指定」に、一体どんな「限定」を付けろと、東京新聞社説は主張しているのだろうか。「米国政府との交渉」とか「共産圏国政府との交渉」とか、「国限定」にするのも特定秘密指定としてはおかしな話だろう。
更には、この別表で示される特定秘密事項が具体的になればなるほど「何を秘密にしようとしているか」が明確になる。先述の通り秘密と言うモノは「何を秘密としているかも秘密」なのが当たり前。であるならば、特定秘密保護法の別表が「茫漠としている」のも、ある程度は当然だ。正に上掲東京新聞社説パラグラフ【3】~【4】は、先行取り上げた毎日社説言う処の「筋違いの反論」の見本ではないか。
さらには、先行記事にした毎日社説では
、
毎1〉 反論は
毎2〉「特定秘密は、法律の別表に限定された事項の情報に限って行政機関の長が責任を持って指定するものであり、
毎3〉 指定は(有識者で作る)情報保全諮問会議の意見を反映させた基準に基づいて行われます」として、
毎5〉 囲い込みは「ありえません」と結論づけた。
毎2〉「特定秘密は、法律の別表に限定された事項の情報に限って行政機関の長が責任を持って指定するものであり、
毎3〉 指定は(有識者で作る)情報保全諮問会議の意見を反映させた基準に基づいて行われます」として、
毎5〉 囲い込みは「ありえません」と結論づけた。
としているから、上記1〉~3〉では上記毎3〉「(有識者で作る)情報保全諮問会」が「全く抜け落ちている」と言う疑義が相当にある。上記1〉に(中略)とある中に「(有識者で作る)情報保全諮問会」が入っているのならば、態々自民党文書の反論論旨を捻じ曲げてまでのパラグラフ【3】~【4】の「反論の反論」な訳で、これはもう、情報操作と頓珍漢の合わせ技。「毎日以下」と断ぜられるのもさることながら、箸にも棒にもかからない。
<注釈>
(*1) この辺り、原典に当たりたい処だよな・・・全文公開してくれないかな「特定秘密保護法に関する誤った新聞報道への反論」(*2) 先行記事にも書いた通り、この辺はある種水掛け論であろう。
東京新聞社説「反論の反論」検証2
パラグラフ【5】~【7】は「国会や司法のチェック」を巡る議論となっている。自民党文書が
7〉 「国会の求めに応じ、特定秘密を提供しなければならず、国会で必要な議論ができます」と書く。
と反論するのに対し、上掲東京社説は、
8〉 (特定秘密の提供は)行政機関の「長」が「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」に限られる。
事を問題視した上、
9〉 そもそも特定秘密とは「安全保障に著しい支障があるため、特に秘匿するもの」である。
10〉支障がないと行政側が判断する情報は元来、特定秘密になりえない。法を読む限り、論理矛盾でないか。
10〉支障がないと行政側が判断する情報は元来、特定秘密になりえない。法を読む限り、論理矛盾でないか。
と噛みつくのだが…、さて、この論理は「正しい」とは言わぬまでも、「妥当なもの」であろうか。
まず、ここは東京新聞社説を信用して上記7〉~10〉に虚偽や著しい情報操作は無いモノと考えよう。
① 特定秘密は、上記9〉「安全保障に著しい支障があるため、特に秘匿するもの」である のに対し、
② 上記7〉「国会の求めに応じた特定秘密の提供」は上記8〉「行政機関の「長」が「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」に限られる。
としよう。上記①と②は東京社説が上記10〉の言う「論理矛盾」であろうか。ああ、「法を読む限り」なんてアリバイは作ってあるが
少なくとも「論理矛盾」とは言い得まい。ある事項を特定秘密なり軍機なり社外秘なり部外秘なりに指定して「秘密として保全」する場合には、自ずとレベル・範囲が異なってくる。特定秘密は上記9〉「安全保障に著しい支障があるため、特に秘匿するもの」なのだから、かなり高いレベルでの秘密=非公開ではあるが、「国会限定で公開」されれば「国会で必要な議論をする」のに支障は無い。当該自民党文書「反論」の言う上記7〉はこの「国会限定で公開」を意味し、上記8〉は「国会限定であっても公開できない特定秘密があり得る」と考えれば、論理的な齟齬は生じていない…と言うか、「安全保障に著しい支障があるため、特に秘匿するもの」特定秘密とは、そういうモノ/そうなるモノ、少なくともその可能性があるモノと、東京新聞社説氏は想像出来ないのだろうか。
いや、多分、想像できていても、あえて無視しているのだろう。つまりはパラグラフ【5】~【7】にある「反論の反論」は、詭弁であるという事だ。
東京新聞社説「反論の反論」検証3
パラグラフ【8】は・・・「テロリズムの定義」である。恐らくは、正に今回「特定秘密保護法案」を巡る国会審議で取り上げられた件なのであろうが、上掲社説からは断定はし難い。何にせよ、先行記事にもした通り「特定秘密保護法に於けるテロリズム」の定義なんざぁ、些事や枝葉末節では無いかも知れないが、二義的ところか三義的か四義的な話。ここでの「テロリズムの定義」で決まって来るのは「特定日身の指定範囲」でしかなく、特定秘密保護法を以ってテロリズムを摘発するとか罰するとかでは、ないのだから。
だが、次の点は看過しかねる。
11〉 政府とは異なる解釈ができる条文の書き方で、根源的な問題である。
12〉法律自体が欠陥なのだ。
12〉法律自体が欠陥なのだ。
…果たして、東京新聞社説氏は気づいているのだろうか。上記11〉「政府とは異なる解釈ができる条文の書き方」を以って「根源的な問題」と断じ上記12〉「法律自体が欠陥」と断定する論理に基づくならば、「日本国憲法は立派な欠陥憲法である」事に。
「日本国憲法は欠陥憲法だ」と言う主張には、私(ZERO)は諸手を挙げて賛成しよう。だが、上記11〉~12〉の論理に従って東京新聞が「日本国憲法欠陥論」を主張するとは、少なくとも俄かには信じ難い。
如何に、東京新聞。
判定:毎日以下
これでは地方紙ではなく、痴呆紙だ。
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