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先行記事「石平氏vs中国共産党@「中国経済の行方」 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38355202.html 」で取り上げた「人民網】李稲葵氏「世界は中国経済を読み誤っている」 http://j.people.com.cn/94476/8304870.html」にて、人民網の報じる処では、「遅くとも10月までに改革計画政府案を策定」となっていた。それもただの政府案では無い。「改革を通じて問題を解決し、不良債権を取り除き、不良債権が正常な資金の流動に影響を与えないようにすると同時に、地方財政も再編を始動し、比較的確かな、持続可能な新税源を得る」となっていた。
はやその10月も終わり、11月も深まったと言うのに「遅くとも10月までに策定」と豪語されていた処の「中国政府の改革計画」とやらは、さて、どうなっているかと言うと・・・
①【環球時報】383プランが示す改革の提案 国民の声を反映
http://j.people.com.cn/94476/8442085.html
中国政府上層部のブレーン機関・国務院発展研究センターが公表した「383」改革プランが注目を集め、株式市場にも動揺が生じている。「383」とは、「三位一体の改革構想、8つの重点改革分野、3つの関連改革」の略称だ。これは政府系シンクタンクが中共第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)の招集前に公表した、比較的整った改革のロードマップだ。環球時報が伝えた。
【1】 政府の政策決定を左右できるシンクタンクは存在しない。しかし同センターは国家改革・政策の形成に対して真の影響力を持ち、中国の全シンクタンクの中で長年にわたり首位の座を占めてきた。「383」プランには、行政審査・認可、汚職撲滅、土地制度、財政・税制などの国民が関心を持つ分野が含まれ、多くの大胆な提案がなされている。政府が最終的に同プランの提案をどれほど採用するかは不明だが、その意義を低く見積もることはできない。
【2】 同プランは改革に向けた強い希望と決意を示した。これは同センターのみのものではなく、中国のシンクタンクに共通するものだ。シンクタンクは指導部とつながりを持つため、その考え方と研究方針は偶然の産物でも、机上の空論でもない。
【3】 同プランは多くの面で民間の意見を反映しており、多くの提案はネット上でよく見かける内容となっている。民間の声に積極的に応じることは、現在の政策決定の重要な出発点となっている。これは政府系シンクタンクのみならず、政府そのものの業務態度と手段の真の変化を示している。
【4】 同プランに含まれる改革の分野は広範であるため、今回の改革は小規模な調整ではなく、大々的かつ幅広い改革になることを裏付けている。
【5】 同プランは発表後、非常に高い注目度を示したが、世論の反応は拍手喝采ばかりではなかった。例えば公務員の廉潔年金制度に対しては、反発や皮肉が大部分を占めた。これは改革に対する民間の呼び声は高いが、真実の世論環境は複雑であり、改革に対するポピュリズムの「より好み」が深刻であることを再び示した。
【6】 また同プランの改革が十分でなく、特に政治体制の改革に触れていないと指摘する声もある。これは、社会には常に、新しく急進的な改革の需要が存在することを反映している。全社会が改革の尺度について議論を戦わせるならば、政府が「保守的」に見えるばかりか、政府系シンクタンクも腕を振り上げ旗を掲げる役割を長期的に演じることが困難になる。
【7】 三中全会が目前に迫っているが、中国の新たな改革計画が制定されるため、具体的な改革の内容に関する噂が錯綜している。その一部は事前に降る「小雨」(改革の先触れ)の可能性があるが、一部は採用されるとは限らない提案で、さらには一部のグループの希望に過ぎない場合もある。それにも関わらずこの希望が世論の場に置かれ、逆に改革を迫ろうとしている。【8】 三中全会は改革に対して歴史的な強い推進力を形成し、そのために歴史に記録されることだろう。中国共産党第十八回全国代表大会の招集後、新指導部は異なる角度から改革継続の重大な意義を論じ続けている。世論は新たな改革のスタートに対して、この一年間で多くの下準備を完了しており、「深い改革」が実施されようとしている。
【9】 また中国の新たな改革は民意に対する反応であるが、ネット上の世論に影響され、それに故意に迎合することはない。新たな改革は中国社会を奮い立たせるが、新たな反発も不可避となる。中国が改革のために改革に取り組むことはない。改革の評価は大多数の人の受ける印象、改革が中国にもたらす変化によって決まる。これを見定めるには、時間が必要だ。ネット上の称賛に対する過度な注目は、軽率の感がある。
【10】 国務院発展研究は「383」プランにより、改革に対する全面的な提案を示した。このような提案に対する議論の公開が進められており、議論の参加者にはシンクタンク、個人、それから一部の「グループ」が含まれる。ネットはその議論の場となっている。この議論を秩序化させるためには、その公開を進めるだけではなく、多くの提案が採用されないことに社会が徐々に慣れる必要がある。そうすることにより、民主主義が相対的に完全なものになる。【11】 中国は巨象であり、目を開いてはいるが、局部にしか目が届かないことが多い。中国はいかに改革を進めるべきかという問題に対して、「自分が最も良く分かっている」と思い込むべきではなく、この国がさまざまなルートを通じて集めた全国民の知恵を信じるべきだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年10月31日
②【WSJ】決められない政治-北京スタイル .
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303343404579166932414524844.html?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesSecond
【北京】【1】 国外の中国称賛派にとって、中国の政治制度は、一つの点で、機能不全に陥っている西側民主主義諸国よりはるかに優れている。断固として行動し、経済成長を押し上げる結果を生み出すという点だ。
中国に最近の「大リセッション(景気後退)」を乗り切らせた洪水的な投資を考えたらいい。高速鉄道の目覚ましい拡張などの投資がそれで、2008年の北京オリンピックさえもそうだ。
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それでは、3中総会(第18期中央委員会第3回総会)という共産党の重要会議を控えて、本格的な経済改革が進む兆候が、なぜこれほど少ないのだろうか? 経済にとって徹底的な改革が必要との認識が広く行き渡っているが、向こう10年間の中国の経済路線を設定する3中総会は、小幅な改革が打ち出されるにとどまると予想されている。3中総会は11月9日から12日まで開催される。
その理由は、西側でしばしば起こっているのと全く同様で、「政治的に可能なもの」への配慮が、長期的な経済利益に最良な改革推進の意欲をくじく公算が大きいからだ。換言すれば、3中総会は一種の妥協の産物しか生み出さない見通しで、それは混乱した民主主義国の状況を連想させる。とりわけワシントンでの最近の政府と議会との妥協を想起させる。妥協は、中国のようなトップダウンの権威主義的な体制に似つかわしくない。
それは既得権益の力のせいだ、と批判する人々も中国で少なくない。富裕でコネでつながった集団は国営企業と党上層部内におり、中国版の政治的行き詰まりに陥っていると批判する向きもいる。
既得権益を持つ集団はシステムの中核に巣食っており、過去においては経済成長を生み出す能力があることを証明した。2桁成長を当然のように毎年実現したのだ。
しかし今や成長は鈍化しつつある。地方政府は、拡大のはずみを堅持するため、融資を非現実的な事業に注ぎ込んでいる。それは膨大な無駄と、債務の急激な膨張を生み出しており、将来の金融危機の種をまいていると懸念する向きもいる。
. 習近平総書記(国家主席)が直面する難題は、本当のトラブルに衝突する前にいかにこのシステムを再編するかだ。しかし、西側諸国のトップと同じように、習氏にとってそれは連携関係を構築し、一般市民に手を差し伸べ、反対派を孤立させるとともに、妥協を受け入れることを意味する。
【2】中国の「ミスター市場」が訴える政治改革
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その結果、エコノミストたちは、3中総会で広範な改革が発表されるという予想を引っ込めた。
米財務省中国駐在財務公使などを務め、現在はブルッキングス研究所(ワシントン)の上級フェロー、デービッド・ダラー氏は「彼らは漸進的な変化を探るだろう」と述べ、「抜本的な進展になる公算はほとんどない」と語った。
また英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの中国担当主任エコノミスト、Louis Kujis氏は、最も詳細な改革は改革派当局者の牙城である金融サービス分野で提示されるだろうと予想している。同氏は「論議は終わった」と述べ、為替レートの自由化と、厳しい管理下にある資本勘定の開放に向けて進むだろうと予想した。
恐らく驚きではないのだが、改革面でエコノミストが最も予想していない分野は、党の支配が最も根深い部門、つまり国営企業だ。
政府に甘やかされて業界を支配する独占的企業、つまり国営企業が、民間部門の起業精神とイノベーション(革新)によって推進されるべき中国の新成長モデルの発展にとって最大の脅威になる。だが、そうした事実にもかかわらず、国営企業の改革はエコノミストの間でも最も可能性が低いとみられている。
地方レベルでは、既得権益が市政府と建設・不動産企業コングロマリットを結び付け、それが彼らに富をもたらしている。その結果、3中総会の会合から打ち出される地方レベルの改革は極めて控えめになる公算が大きい。
. また、居住者ルールの大幅な緩和を予想する向きもほとんどいない。中国の推定2億5000万人の出稼ぎ農民に対し、都市部に定着するのを認める改革だ。こうした改革に伴う人口の移動を認めれば、経済全体の変容につながるだろう。しかし、それは市政府にとって教育、医療、社会福祉の形で巨額のコストを抱えることにな
り、歓迎されない動きだ。
これと同様に、自分たちの農地により強い法的な権限を農民に与える土地改革に対する地方政府の抵抗もある。現行システムは市政府に都合が良い。市政府は郊外の農地を接収ないし時には「収奪」して、不動産開発業者に売却し、法外な利益を得ているためだ。
習総書記が経済の変化の加速を望んでいることを疑う向きは少ない。実際、同総書記が3中総会で、意表を突く形で改革の「ビッグバン」を打ち出す可能性も依然残されている。
しかし現時点では、3中総会は高度な目標達成への意欲を公表するが、具体的な行動はそれほど盛り込まないとみられている。方向性は打ち出すが、行動には踏み出さないだろう。
中国の公式メディアは最近の論説で、先の政府閉鎖など米国の民主主義の破たんを揶揄(やゆ)した。新華社通信は、合意できない米国の政治家たちの無能ぶりを指摘し、世界の「脱アメリカ化」を呼び掛けたほどだ。ワシントンの政治的な混乱のとばっちりから国際社会を守るため、というのだ。
しかし、指導部の前に立ちはだかる政治的行き詰まりという点では、北京とワシントンには共通したものがあるようにみえる。