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「公論は敵より出ずるに如かず」とは、何度か引用している(*1)成句。正しくは「公論は敵讐より出ずるに如かず」であるらしいが、何にせよ「敵讐/敵から誉められるぐらいならば、大したモノ」という事。戦国武将が最高の栄誉と考えたと言う「逆さ感状」=「敵軍からもらう感謝状」と言うのも相通じるものがあるだろう。
そんな成句をタイトルにしたのは、後掲の通り「人民日報海外版」側が日本国の安倍首相を「礼賛」する記事を載せた、と報じられたから。無論、中国共産党一党独裁政権の宣伝紙である「人民日報海外版の"礼賛"」だ。少なくともプロパガンダや「褒め殺し」である可能性を念頭に置きながら、読む必要があろう。
これも何度も繰り返しているが、プロパガンダは、プロパガンダと承知・覚悟で扱うならば、有効な情報源なのだから。
<注釈>
(*1) 逆さ感状?―【人民網】「安倍政権は「短命」に終わらぬ ... http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38308032.html
「積極的平和主義」は安倍政権の発明した新たな流行語だ。この「道徳的正義感」に満ちた旗印の下、安倍政権はどのような戦略構想を持っているのか?安倍氏の気力はどこから来るのか?人民日報海外版が伝えた。
■【1】意気込み高く、気力満々
日本の安倍晋三首相は27日、自衛隊朝霞駐屯地での観閲式で、「集団的自衛権」の法的基盤の検討を継続すると表明。「世界の平和と安定のために積極的に貢献していかなければならない。積極的平和主義が、21世紀の看板だ」と述べた。AFP通信によると、3万4000人の参加する日本の新たな「島嶼防衛」大規模軍事演習はすでに日程が固まった。
安倍氏はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「日本は経済分野でのリーダーシップだけでなく、アジア太平洋の安全保障レベルでも舵を取ることを希望している」と自らの「意気込み」を述べた。今年3月の訪米時に戦略国際問題研究所(CSIS)で行った講演では「日本は戻ってきた」「世界の繁栄と平和に一層の責任を負わねばならない」と述べた。
日本政府関係者によると、安倍氏は「領空」を「侵犯」した中国無人機について、撃墜など強制措置を含む防衛省の対処方針をすでに了承した。これは領土問題における新たな強硬姿勢と受け止められている。
安倍氏は先日、「亡霊参拝」問題でもまた「大言」を吐いた。衆議院で「第1次安倍政権の任期中に参拝できなかったことは『痛恨の極み』」としたうえで、「私の気持ちは変わっていない」と述べて、小泉純一郎元首相のように毎年1回参拝する考えを示した。共同通信は、安倍氏が就任から満1年となる12月26日の前に靖国神社を参拝する可能性を指摘した。
「集団的自衛権」を主張し、「平和主義」の旗印を掲げる。日本は国際問題で意気込み高く、気力に満ちているように見える。
■【2】国際的地位を再定義?
経済情勢の好転は、安倍政権の極めて大きな政治的自信、政治的得点となっている。円安、投資牽引、消費刺激の「アベノミクス」は日本国内で大好評を博し、日本は他の主要国に先駆けて衰勢からの転換を果たした。日本内閣府が9月に発表した、2013年4-6月期のGDP改定値は前期比0.9%増、年率換算で3.8%増となった。また、日経平均株価は年内に40%以上上昇した。
経済情勢の好転は安倍氏の指導する自公連立政権の参議院総選挙での勝利を直接後押しもした。英紙フィナンシャル・タイムズは「安倍首相が手にした権力はすでに非常に大きい」と報じた。
「強い経済を取り戻すことで、日本は再び自信も取り戻すだろう。世界をより良くするために、われわれは一層の貢献をしていくだろう」と安倍氏はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで直言した。
米国の微妙な地域戦術も日本の強硬姿勢を刺激している。中米間の経済・協力は緊密化し続け、2国間貿易額は昨年過去最高の4847億ドルに達した。税関の最新統計によると、今年第1-3四半期に中米貿易は中国・ASEAN貿易に次ぐ6.7%の伸びを示した。また、中日間の係争についても、米国の姿勢は日増しに曖昧になっている。朝日新聞によると、米日安全保障協議委員会で米側は日本側の要望に対して回答を差し控えた。
安倍氏は「日本が米国の撤退と中国の軍事力強化を憂慮しているこの地域のリーダーとなることを希望する」と大仰に世界に宣言した。
■【3】「大言壮語」はいつ止むのか?
安倍氏は11月にラオスとカンボジアを訪問して、1年以内にASEAN10カ国を全て訪問するとの目標を達成する予定だ。さらにモンゴル、ロシア、韓国など地域の国々の首脳と会談することで、「合従連衡」の戦略地図は明々白々となる。
日本はASEAN支援に力を入れているが、一つの事実として、ASEAN貿易における日本の比重は下がり続けている。中国社会科学院経済・政治研究所の沈驥如研究員は「日本が農産物市場を開放していないため、ASEANの農産物は対日輸出時に高額の関税を課せられる。これがASEANの対日輸出に根本的影響を与えている」と指摘した。
安倍氏の「積極的平和主義」との表現は、日本国内からも大いに糾弾され、問題視されている。民主党の海江田万里代表は「平和を名目に軍事力を前面に出そうとするものだ」と指摘。共産党の市田忠義書記局長は「平和主義ではなくて、好戦主義だ」と論評した。編集NA)
香港のウェブサイトは「安倍氏およびその政権に対する民衆の支持も、他の野党への失望と拒絶の反映だ」と指摘した。この他安倍氏は頻繁に発言する中で、域内各国の「手の内」をすでに探り出したようだ。朝鮮核問題は常に安全な範囲内に抑制され、韓国も日本との領土係争について言葉で攻撃するだけだ。これは日本の「怪気炎」にみじんも影響を与えていない。
安倍氏の「大言壮語」は、今後も相当長期間止むことはないと予想できる。(
「人民網日本語版」2013年10月29日
「韓国カードが効かない!」と、切歯扼腕の体か?
さて、如何だろうか。
お気付きだろうか。パラグラフ番号を振った通り、全体としては3つのパラグラフから成っている上掲記事は、その前半2/3=パラグラフ【1】~【2】に於いては、「新たな強硬姿勢」「「大言」を吐いた」「大仰に世界に宣言した」等の否定的な表現を端々にあるものの、全体としては、「日本の安倍首相を絶賛」しているのである。その「絶賛」を数え上げるなら、以下の通り。
(1)「積極的平和主義」を掲げ、安全保障で世界に貢献する事を宣言した。 パラグラフ【1】
(2)経済情勢は好転し、成長率、株価は上昇した。 パラグラフ【2】
(3)経済好転で先の参院選にも勝利した。 パラグラフ【2】
(4)「日本の強硬姿勢」に対し、米国の一定の支持を取り付けた。 パラグラフ【2】
「安倍首相自身の靖国神社参拝」や「集団的自衛権」についても触れてはいるが、上掲記事パラグラフ【1】~【2】の文脈の中では、日頃これ等を痛罵してやまない人民日報記事に於いては珍しい位に積極的・好意的・肯定的に読めてしまう。
最後のパラグラフ【3】で漸くいつもの「安倍首相批判」に転じるかに見えるが、
(5)中国以外のアジア諸国やロシアを歴訪し、「合従連衡(対中国包囲策)」の戦略地図を明々白々とした。パラグラフ【3】
とは認めている。これとて見様によっては、「安倍首相への褒め言葉」=「逆さ感状」であろう。その「合従連衡戦略地図」は「絵に描いた餅」に終わるだろう/終わって欲しいと言う人民日報と中国共産党一党独裁政権の「思い」が、それに続く、
①「ASEAN貿易における日本の比重低下」
②「「積極的平和主義」に対する日本国内からの糾弾」
として現れて居る様だ。が…上記①は未だしも、上記②「積極的平和主義糾弾者」が②-1 民主党の海江田万里代表 と②-2 共産党の市田忠義書記局長 と来ては、それは確かに「日本国内からの糾弾」ではあろうが、いわば「中国共産党の身内」=傀儡ではないか。
まあ、②-1は、昨年までの政権与党・今でも野党第一党代表だから、「糾弾者として期待したくなる」のも理解出来ないではないが、殆ど結党以来「自民党政権を糾弾」し続けた集大成が、昨年までの民主党政権時代なのだから、虚しい期待だね。
まあ、②-1は、昨年までの政権与党・今でも野党第一党代表だから、「糾弾者として期待したくなる」のも理解出来ないではないが、殆ど結党以来「自民党政権を糾弾」し続けた集大成が、昨年までの民主党政権時代なのだから、虚しい期待だね。
1〉 この他安倍氏は頻繁に発言する中で、域内各国の「手の内」をすでに探り出したようだ。
2〉朝鮮核問題は常に安全な範囲内に抑制され、韓国も日本との領土係争について言葉で攻撃するだけだ。
3〉これは日本の「怪気炎」にみじんも影響を与えていない。
2〉朝鮮核問題は常に安全な範囲内に抑制され、韓国も日本との領土係争について言葉で攻撃するだけだ。
3〉これは日本の「怪気炎」にみじんも影響を与えていない。
と言う上掲記事パラグラフ【3】終盤の記述は、「半島の奴ら、なんて情けないんだ!」と言う「中国共産党の怒りと嘆き」とも取れる(*1)し、「半島情勢を充分制御してる安倍政権への礼賛」とも取れる。尤も後者は、「礼賛」と言うより「やりきれない怒り」かも知れないが、我が国にとっては「良い事」であろう。
挙句の果てに上掲人民日報記事の〆で、
4〉 安倍氏の「大言壮語」は、今後も相当長期間止むことはないと予想できる。
断じているのだから、「当面、打つ手なし」と宣言している訳だ。
日本にとっては大変結構な事だ。
結構過ぎて、「何か裏があるんじゃないか」と疑えて来るぐらい。それは即ち、少なくとも表面上「安倍首相の対中国外交は成功を収めている」という事だ。
結構過ぎて、「何か裏があるんじゃないか」と疑えて来るぐらい。それは即ち、少なくとも表面上「安倍首相の対中国外交は成功を収めている」という事だ。
何やらフォーラムを北京で開いて、中国共産党ベッタリの日本人を侍らして、「日中関係の即時改善が必要」とか何とか、さえずらせるるわけだな。それにしても底の浅い謀略だがねぇ。
<注釈>
(*1) そう解釈したが故の、この章題だ。
【追伸】人民日報の「お勧め」に従わなかった成果
先行記事「合従策対連衡策―「【人民日報海外版コラム】安倍氏の「結束して対抗」は必ず挫折する」に何を読むか http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38351798.html」に於いて取り上げた人民日報海外版コラムでは「対中包囲網=合従策なぞ無駄だから、やめる事を安倍政権にはお勧めする」と「忠告」していた。
上掲人民日報コラムからすると、そんな「お勧め」にうかうかと乗らなかった安倍政権の合従策は「全面的に正しかった」事になる。
左様、人民日報コラム自身が、認めるほどに、な。
それ即ち、今回、公論は敵より出でた、事になる。