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 「日中友好人士」ないし「中日友好人士」なる呼び方と言うか称号があるそうだ。原義は「日中友好に貢献する人」なのだろうが、実質は「中国共産党にとって都合の良い日本人」であり、「日本人でありながら、日本の国益よりも中国の国益を優先する人」。平たく言えば「売国奴」と言うのが実態だろう。

 今回取り上げる人民網記事に登場するのは「友好人士」ならぬ「日本の識者」ではあるが、そこは「靖国に強く反対」という事で人民網に「選ばれた」お歴々。さて、如何なる面子かと言うと・・・

【人民網】日本の有識者、靖国参拝に強く反対
http://j.people.com.cn/94474/8430642.html

【1】 安倍晋三首相が17日、第2次大戦のA級戦犯14人を祀る靖国神社に供物を奉納したのに続き、新藤義孝総務大臣、加藤勝信官房副長官を含む国会議員約160人が18日午後、秋季例大祭中の靖国神社を参拝した。侵略の歴史を正しく認識できず、侵略戦争を否認さらは美化までする安倍内閣の行為は日本国内の見識の高い人々およびメディアの強い非難と反対にさらされている。

【2】 日本共産党の志位和夫委員長は17日の記者会見で「靖国神社の最大の問題は過去の侵略戦争を自存自衛の正義の戦い、アジア解放の聖戦だったと美化していることだ。(安倍首相の)『真榊』奉納は参拝に相当し、侵略戦争の美化であり、厳しく批判すべきだ」と表明した。

【3】 毎日新聞は18日付社説で「靖国は単に戦没者を祀った神社ではなく、第2次大戦のA級戦犯14人が祀られている。当時A級戦犯を祀るのには、東京裁判を否定する意図があったことを関係者は認めている」と指摘。さらに「就任以来中韓両国との首脳会談を実現できずにいることについて、安倍首相は『対話のドアは常にオープンだ』とする一方で、訪米中の講演で『もしみなさんが私を右翼の軍国主義者と呼びたいのであればどうぞ』と表明した。安倍首相が両国との関係改善を望んでいるのかどうか疑わざるを得ない」とも指摘した。

【4】 藤田高景・社民党本部平和市民委員会前事務局長は人民日報の取材に「安倍首相は私費で靖国神社に供物を奉納したと主張するが、『個人』名ではなく『内閣総理大臣』名だった。国会議員による靖国神社集団参拝は政治的パフォーマンスであり、政治家としての姿勢を疑わざるを得ない。陸海軍所属の軍事施設だった靖国神社を集団参拝する行為は、軍国主義国家への回帰の願望をある程度反映してもおり、彼らを批判すべきだ」と述べた。

【5】 日中協会の白西紳一郎理事長は人民日報の取材に「靖国神社は中国などアジア諸国に対する日本軍国主義による侵略戦争の美化の象徴だ。日本は第2次大戦後に侵略戦争を反省し、日本国民も二度と侵略戦争を発動しないとの姿勢を世界に表明した。閣僚など国を代表する地位にある人間は絶対に靖国神社を参拝すべきでない。今回の安倍首相の供物奉納、閣僚の参拝は日本国民の戦争への反省に背く行為と言える。もし本当に中国などアジア諸国との友好を望むのなら、今後も絶対に靖国神社に供物を奉納すべきでないし、ましてや参拝してはならない。もし中国を友好訪問し、中国との友好関係を維持したいのなら、日本の首相は日中友好平和条約など中国との4つの政治文書を厳格に遵守すべきだ。過去の約束を遵守しないのなら、日本は世界各国の信頼を得ようがない」と述べた。
(編集NA)

「人民網日本語版」2013年10月20日

日中友好人士一覧


 さて、如何だろうか。

 如何も何もないな。安倍首相の靖国神社への供物奉納及び安倍内閣閣僚の靖国参拝に対し、

1〉日本国内の見識の高い人々およびメディアの強い非難と反対にさらされている。

と言う人民網の記事。

 で、上掲記事で日本国内の見識高い人々に挙げられているのが、

(1) 日本共産党の志位和夫委員長

(2) 毎日新聞は18日付社説

(3) 藤田高景・社民党本部平和市民委員会前事務局長

(4) 日中協会の白西紳一郎理事長

以上、「4人」な訳だ。

 さて、読者諸兄に尋ねようではないか。上記(1)~(4)の「4人」のうち、「見識高い」と認めうるのは、誰か、と。

 上記(1)共産党委員長と上記(3)社民党本部平和市民委員会前事務局長なんてのは、まあ論外だろう。「インテリ=左翼」とされた昔もあったのだそうだが、その頃であっても「左翼=インテリ」では無かったし、況や、昨今の左翼に「高い見識」なんざぁ、望むべくも無い。殊に、社民党や共産党なんてのは、安全保障と言う点では紛れもない気違いであり、一方で「靖国問題」は相当部分が安全保障の問題だ。かかる問題に社民党や共産党を「見識高い」なんて評せるのは、余程の阿呆か、意図がある、と考えるべきだ。

 上記(4)日中協会理事長もかなり怪しい。何しろこの人、一寸検索かけたぐらいじゃ「日中協会に昔から関わっている人」としか判らない。まず間違いなく「筋金入りの日中友好人士」なのだろう。少なくとも上掲記事に表れる「人民日報の取材に対する回答」は、中国共産党の主張そのまんまで、絵に描いた様な「日中友好の情景」だ。それは逆説的に日中協会理事長殿の「見識」を示しているのだが。

 上記(3)毎日新聞社説ってのもねぇ。かつては随分「見識高い」と思われていたのが新聞社説だが、その権威持ちに落ちて久しい。それは、新聞社自身の主張のお粗末さがバレ、「メッキがはがれた」事による。それでも上記(1)~(4)の中では、まだ「見識高い」と認められそうな方ではあるが、その引用されている部分が、

2〉「靖国は単に戦没者を祀った神社ではなく、第2次大戦のA級戦犯14人が祀られている。
3〉当時A級戦犯を祀るのには、東京裁判を否定する意図があったことを関係者は認めている」と指摘。

と言うのだから、これまた中国共産党大喜びの「批難」だろう。さらに、

4〉「就任以来中韓両国との首脳会談を実現できずにいることについて、
5〉 安倍首相は『対話のドアは常にオープンだ』とする一方で、訪米中の講演で
6〉 『もしみなさんが私を右翼の軍国主義者と呼びたいのであればどうぞ』と表明した。
7〉 安倍首相が両国との関係改善を望んでいるのかどうか疑わざるを得ない」とも指摘した。

とも引用されているのだから、中国共産党にとって正に好都合。上記6〉~7〉の「安倍首相問題発言」も、前後の脈絡も、実際の講演会場はここでドッと湧いた「受けたジョーク」である事もまるっきり無視しての問題発言視。マスコミの常套手段とは言え、これで「見識高い」ってんだから、笑わせてくれる。

 それにしても、上記(3)パラグラフ【3】で「毎日新聞社説」を「安倍首相の靖国供物奉納及び安倍内閣閣僚の靖国参拝に反対する」者として、引用できてしまうんだから、中国共産党の図々しさったらないね。先行記事「断じて行えば、鬼神も之を避く― 」でも取り上げた10/18付毎日社説のタイトルは「靖国と首相 参拝見送りは妥当だ」であり、その〆は、

毎1〉 中韓両国にも参拝見送りを前向きに受け止めるよう求めたい。
毎2〉靖国問題を利用してナショナリズムをあおるような言動は慎むべきだ。
毎3〉お互いに大局を見すえ、関係を再構築してもらいたい。

であった。斯様な毎日新聞社説の「健気」とも言いうる期待をモノの美事に粉砕しておいて、その社説から都合の良い部分だけ「日本国内の見識高い人々による安倍政権批判」として引用出来てしまうのだから。

 何れにせよ、人民網言う処の「見識高い日本人」と言うのは「日中友好人士」と同様に、「中国共産党にとって都合の良い人物」としか思われない。

 まあ、「友好人士」なんて称号をありがたがる人間も減ったろうから、別の称号が必要なんだろうがね、中国共産党としては。


【おまけ】 上記(1)~(4)の内、上記(2)「毎日新聞」は、単に「日本のメディアだから取り上げられた」と言う可能性を、上記本文では見落としていた。即ち、上掲人民網コラムに取り上げられるには「日本のメディア」でありさえすれば良くて、何も「見識高い」と認められた訳では無い、と言う解釈。
 それでも「中国共産党にとって都合の良いメディア」と言う選定基準は変わりそうにないから、上掲記事に修正の必要性は、殆ど無いな。