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 言うもサラナリだが、「社説」と言うのは「新聞社の公的・公式な主張」であり、それ故に「新聞の存在理由(少なくともその一半)」だろうと、私(ZERO)は考えている。これが言論の自由をある程度確保した西側自由主義世界ならぬ「言論の不自由な新聞」となると、少々事情が異なるが、宣伝広報プロパガンダを目的とした宣伝機関たる新聞の社説となると、これはもう「あからさまなプロパガンダ」と考えるべきで、逆説的にやはり「その新聞の存在理由」となる。

 大陸は支那の環球時報と言えば、これはもう押しも押されもせぬ「党の口舌=中国共産党の宣伝機関」。その社説が、斯様な事を主張している。


①【環球時報社説】釣魚島対峙1周年 中国は失ったものより多くを得た
    http://j.people.com.cn/94474/8398533.html

【1】 日本による釣魚島(日本名・尖閣諸島)の「国有化」から昨日で1周年。この1年間、中日は釣魚島の領有権争いのためにほぼ全面的に反目し、政治関係、経済関係は後退または停滞し、釣魚島での両国の法執行部隊の対峙が常態化した。(環球時報社説)

【2】 この1年間の得失を計算すると、中日はおよそ「両損」と見られるだろうが、こうした評価は単純に過ぎる。日本は釣魚島の不法支配の固定化という目的を達成していない。日本は当初、釣魚島に対する主権を守る中国の決意を見くびり、中国の反応を読み間違えていた。このため、その後の事態の推移の中で、いささか対応が間に合わなかった。日本の「島購入」行動に反撃するため、中国の海上法執行部隊は釣魚島海域に大規模に挺進し、同海域での法執行を常態化するとともに、釣魚島から12海里内に繰り返し進入した。日本は事実上、ぼろもうけを狙ってわずかな元手も失うという痛い目に遭ったのである。

【3】 中日関係が過去40年余りで最も冷え込んだことは中日双方にとって損失だ。だが日本経済はすでに中日相互依存の均衡点を超えて、対中依存を強めている。中日対峙に対して、日本の耐える力は中国よりも弱く、焦慮は中国よりも大きい。

【4】 中日反目の最大の受益者は日本右翼だ。対中強硬姿勢によって安倍政権の支持率は高まったが、これは日本政治内部のことだ。日本右翼は「普通の国」化という戦略目標を単独で実現できる勢力ではない。国際環境の警戒と拒絶には日本内部の努力を打ち消す能力がある。

【5】 中国の得点はまず、釣魚島の領有権争いでより有利な位置についたことにある。共同通信が10日認めたように、釣魚島に対する日本の「実効支配」は揺らぎ始めている。また、より重要なこととして、中国は海上の領土主権を守る意志を実際の行動によって対外的に示した。中国の決意はより信ずべき、より抑止力あるものとなった。この意義は釣魚島一島の争いを超越している。

【6】 中国の最大の目標は平和的台頭の実現だ。釣魚島摩擦が1つの島をめぐる争いを超えるエネルギーを集めたのは、それが中国の台頭に対する日本や米国を含む一部勢力の反発をある程度代表しているからだ。言い換えるなら、釣魚島は中国の台頭に対する日本など外国の不満、さらには敵視感情の爆発口となった。中国はこの爆発口をしっかりと挟むことに成功し、このラウンドに勝利し、中国を嫌う勢力に対して黙って回答を突きつけたのだ。

【7】 現在の中国には日本と長期間対峙するための元手がある。中国の最近の輸出状況は好転しており、日本市場での損失は中国経済の大局に影響を与えていない。また、国の対日政策に対する国民の支持率は高く、現在の政策には強い持続可能性がある。

【8】 中日対立は日本をさらに米国寄りにするだろうが、米日は昔から同盟国で、日本には米軍が駐留している。米日のさらなる接近の余地と価値は事実上限られており、中国に対してかけられる追加圧力にも限りがある。

【9】 中日のよそよそしい関係、さらには「冷たい対立」は続く。重要なのは、すでに中国が戦略の主導側になり、中国の方が力の増加が速く、引きつける力を次第に強めているということである。日本があちこちでかき集めている対中「価値観包囲網」は虚偽かつ非現実的であり、対日関係において中国社会は空前の団結と自信を見せている。

【10】 国内の姿勢は一致しており、長期執行の資源は潤沢であり、大局的な国際環境とマッチしている。このような対日政策は目下「最良のもの」であるはずだ。中日関係は何が「適切な」対外関係なのかをわれわれが理解する助けとなった。それは必ず関係国と「あなたよし、私よし」というわけではなく、中国の国益に最も沿うものであるべきなのだ。

【11】 日本は釣魚島に「領土係争はない」との頑なな姿勢を変えなければならない。さもなくば中国は日本との関係を決して改善しない。中国は釣魚島をめぐる戦争の勃発をできる限り回避する必要がある。だがこれは主に、中国との衝突に対する日本の潜在的コストを増やし、恐れを募らせる方法によるべきだ。この点は、過去1年間やり遂げた。日本が2020年五輪開催権を獲得したことから、今後7年間はより気楽にやり遂げることができる。

【12】 釣魚島は日本にとっては教訓がより多く、中国にとっては獲得した経験がより多い。われわれは現在までの自らの答案に高得点をつけてよい。
(編集NA)

「人民網日本語版」2013年9月12日


②【阿比留瑠比の極言御免】「尖閣」強硬発言は中国政府の「悲鳴」
  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130919/plc13091912140006-n1.htm
2013.9.19 12:14 [尖閣諸島問題]

沖縄県・尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=2012年9月
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)への領土的野心をあらわに日本を挑発し、非難し続ける中国の論理展開がずっと腑に落ちなかった。ただ最近、これは国内外の問題をうまく処理できずにいる中国の「悲鳴」のようなものなのだろうと、ひとまず得心した。

中国政府高官らは「日本が盗み取った」(李克強首相)、「日本の行動(尖閣国有化)は戦後の国際秩序と原則への重大な挑戦だ」(楊潔●国務委員)などと、激しい言葉で国際社会に訴えている。

だが、日本は日清戦争以前から尖閣諸島をどの国も支配していないことを10年間も確認した後、国際法の要件を満たして1895年に領土に編入した。中国が領有権を言い出したのは、それから70年以上もたった1970年代以降、東シナ海に石油埋蔵の可能性が指摘された後のことだ。

尖閣諸島のうち昨年9月に国有化したのは魚釣島など3島だが、大正島などはもともと一貫して国が保有してきた。なぜ今回の国有化に限って反発するのか。

また、先の大戦後の日本の領土を法的に確認したサンフランシスコ平和条約で、尖閣諸島は南西諸島の一部と認められている。戦後の国際秩序に挑戦しているのは、むしろ中国の方ではないか。


外務省国際法局関係者は、中国の矛盾と一貫性のなさをこう指摘する。

「中国は最近、尖閣諸島のことを『神聖な領土』と言い出した。だが大東亜戦争後、尖閣諸島を在日米軍が訓練用の射爆撃場として使用してきたことに対して
も、中国はほとんど抗議すらしてこなかった」

かように中国の論理は粗雑にすぎる。果たして俗に言う「嘘も100回言えば真実になる」効果を狙っているのか。それとも言い募っているうちに、自分でも本当にそうだと信じ込んでしまったのか-。

「中国要人の言葉は、世論を意識した国内向けだ。ただ、彼らは日本の主張や日本側の資料をよく知らないので、本当にそう思い込んでいる部分もある」

対中交渉経験がある外務省幹部はこう分析した上で「いずれにしろ、彼らが強い言葉を使うのは、国内統治と国際関係への自信のなさの表れだ」と強調する。

実際、中国のプロパガンダは功を奏していない。米国のオバマ大統領は今月5日の安倍晋三首相との会談で尖閣諸島に関し、「力による現状変更」に反対する考えを伝え、中国を牽制(けんせい)した。それに先立ち先月来日した共和党の重鎮、マケイン上院議員も「尖閣は日本の領土」と明言した。

とはいえ、日本側の足元も実は危うい。内閣府が先月発表した尖閣諸島に関する世論調査によると、「戦前、日本人が居住していた」ことや「日本が有効に支配しており、解決すべき領有権問題は存在しない」ことを知る人は5割前後にとどまり、国民の問題意識は必ずしも高くない。

政府は尖閣諸島をはじめわが国の領土について、国際広報の強化だけでなく国内での教育、周知活動をてこ入れしなければ、いつか中国に足をすくわれかねない。
(政治部編集委員)

●=簾の广を厂に、兼を虎に


ならば、現状は中国共産党政権にとって「ベター」なのだろう


 さて、如何だろうか。

 言うまでも無かろうが、上掲①が中国共産党のプロパガンダ紙「環球時報」の社説。言って居る事は要するに尖閣諸島国有化1年で中国共産党はさらに優位に立ったと言う主張。タイトルそのまんまだから、実に「判りやすい」。

 上掲②は産経新聞の名物記者・阿比留瑠比氏のコラム。「中国共産党政権の尖閣諸島に対する支離滅裂な強硬論は、国内外統治が上手く行かないための”悲鳴”である」と言う説。「外敵を作って国内を統治する」いつもの手であり、「その外敵に対し優位にある/勝利しつつある」と喧伝する事で「中国共産党の権威を高める」手法。尤も、上掲②記事の中に「実際、中国のプロパガンダは功を奏していない。」と米国の反応を挙げているから、プロパガンダ効果は専ら国内統治向けしか奏功していないものと、推定できる。

 上掲①、②記事を通読し、上掲②記事をある程度信じるならば、上掲①記事は「中国人民向けの大本営発表(虚偽の勝利を誇大宣伝)」と見る事が出来る。

 何度か書いているが、当ブログでは日中関係について、日中冷戦を覚悟し、日中再戦の準備を為すべきだと主張している。それで初めて「日中開戦を回避できる」可能性が生じるのであり、日中戦争の覚悟や準備の不足は戦争誘因となる。
 外交と言うのは戦争と同様国益追求の手段であり、友好関係を保つ/向上すると言うのは外交の一手段だ。「日中友好40年」は我が国の国益に資する事微々たるものであったのだから、今さら「日中友好再開」を、焦る所か、実施する理由すら殆ど無い。

①1〉 釣魚島は日本にとっては教訓がより多く、中国にとっては獲得した経験がより多い
①2〉われわれは現在までの自らの答案に高得点をつけてよい。

と言う自画自賛が上掲①環球時報社説の〆だ。

 中国共産党政権にとって、結構な事ではないか。ならば我が国が「「領土係争はない」との頑なな姿勢を変えて/変えさせて日中関係改善を図る 上掲①パラグラフ【11】」必要は無い。少なくとも上掲①環球時報社説では、中国側には全く無いと宣している。

 先述の通り、私(ZERO)も「日中関係改善」の必要なんざぁ全く無いと考えているし、報じられる限り安倍首相も、特に焦ってはいない様だぞ。