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 「WSJ紙+日本人女性記者=ダメ記事」と言うのは、少なくともある種の「決めつけ」であろうし、「偏見」「差別」とも言い得よう。「判断基準の一種」ではあるから「公式」とも言い得ようが、少なくとも無条件に当てはめ、判断すべきではない。そんな事をすれば、誤判断の元である…と、自分にも再三言い聞かせているんだが…(ため息)
.【WSJ】安倍首相はタカ、オバマ大統領はハトに? .

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304827404579105860945239806.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsFirst

ニューヨークのホテルで会見する安倍首相(27日)
. 「私を右翼の軍国主義者と呼びたいのならそう呼んでもらいたい」

と、安倍晋三首相が英語でにこやかに言い放ち、会場を埋めた約400人の日本通ら関係者がいっせいに明るく笑った。25日、ニューヨークの高級ホテル昼食会でのことだ。

米保守系シンクタンク、ハドソン研究所は同日、創設者で軍事理論家ハーマン・カーン氏の名を冠した「ハーマン・カーン賞」を、国連総会で訪米中の安倍首相に贈与。首相は国家の安全保障について演説した。同賞は、国家安全保障に貢献したリーダーに贈られるもので、米国人以外が受賞したのは初めて。過去には、ロナルド・レーガン元大統領、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官など、米国では筋金入りの保守派リーダーが受賞している。

安倍首相の「右翼の軍国主義者」発言は、次のくだりで飛び出した。

「今年、私の政府は11年ぶりに防衛費を増額しました。『すぐそばの隣国』は、毎年10%以上の軍事費の伸びを、1989年以来20年以上続けています。私の政府の伸び率はたったの0.8%です」

増額の理由はこうだ。

「安全保障についてお話しますが、脅威がボーダーレスとなった世界で、日本はきちんと役割を果たすことができるかという問題です」

「国連平和維持活動(PKO)の現地で、ある国の軍隊が助けを求めてきても、日本の部隊は助けることができません。憲法違反になるからです。日本近海の公海で攻撃を受けた米国の戦艦を助けることもできません。助けると、憲法違反になるからです」

こうした発言を日本の首相からじかに聞くのは、米国人にとっては日本の変化を感じさせ、かなりのインパクトがあっただろう。昼食会は終始なごやかで、首相の着席時、演説中はほぼ全員のスタンディング・オベーションという歓待ぶりだった。

日本の首脳から久しぶりに"タカ派"発言を聞いて思い出したのは、オバマ大統領がシリア問題について、全米向けのテレビ演説を行った9月10日のことだ。

その内容は「米国は世界の警察官ではない」という驚くべき内容だった。

8月にシリアで化学兵器による攻撃が起きたが、米政府によると、シリア政府の攻撃で1400人以上の市民が死亡。米国が武力行使に踏み切るのかどうか、8月下旬から国内外の注目が集まっていた。

しかし、オバマ大統領は、合衆国憲法で保証された大統領権限の行使でシリア攻撃を主導するのではなく、連邦議会の承認を得たいという、慎重な姿勢を示していた。

オバマ演説の直前には、ロシア政府が、シリアの化学兵器を国際管理下におくことを提案。さて、どうするのかと再び注目が集まったテレビ演説だった。

ところが、オバマ大統領は議員や退役軍人から「米国は世界の警察官でなくてはならないのだろうか」という書簡を受け取ったことに触れ、「私は、シリア攻撃の必要性に対して抵抗してきた。なぜなら、イラクとアフガニスタンの2つの戦争の末、ほかの国の内戦を解決することはできないからだ」と主張した。

演説の締めくくりはこうだった。

「化学兵器による死から子供たちを守り、私たち自身の子供たちの安全を長期間確実なものにできるのなら、行動こそが解決策だと信じる」

ただし、これは「攻撃」ではなく、化学兵器の禁止に関する国際ルールを支持する考えだろう。

しかし、10数分と比較的短かった演説は、ちぐはぐな印象を残し、しかも「70年以上続いた」(同大統領)世界の警察国家の役割を返上するという重大な方針転換を示すものだった。

その2週間後、キッシンジャー氏も同席した保守派の会合で、安倍首相が「国家安全保障会議」設立を宣伝し、「日本は地域、世界の平和と安定に今までにも増してより積極的に貢献していく国になる」という決意を示した。

オバマ大統領は世界の安全保障について「世界の警察国家」を返上すると消極的姿勢をみせた。一方で、安倍首相は、積極的に貢献するという。日米首脳がまるで互いを補完するような方針表明に、何かの「符合」を感じてしまうのは、筆者だけだろうか。

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津山恵子(つやま・けいこ) ジャーナリスト


東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、AERAに執筆した。米国の経済、政治について「AERA」「週刊ダイヤモンド」「文藝春秋」などに執筆。著書に『モバイルシフト 「スマホ×ソーシャル」ビジネス新戦略』(アスキーメディアワークス)など

.平和ボケの大間抜け


 さて、如何だろうか。

 細かい事はさて置こう。上掲記事見出しにもなり、上掲記事〆の一文、

1〉 オバマ大統領は世界の安全保障について「世界の警察国家」を返上すると消極的姿勢をみせた。
2〉一方で、安倍首相は、積極的に貢献するという。
3〉日米首脳がまるで互いを補完するような方針表明に、何かの「符合」を感じてしまうのは、筆者だけだろうか。

に表れた、平和ボケの大間抜けぶりはどうだろうか。

 そりゃ津山恵子記者と言うのは、以前取り上げたWSJ記事ではNY空軍ウイークを酷く批判的に記事にし(※1)、ついでに2009年に戦艦ニューヨーク(※2)が寄港した際」なんて表現で私(ZERO)の度肝を抜いてくれた御仁だ。 私(ZERO) なんぞとは宗教も思想も異なろうが、「アメリカが”世界の警官”を返上」するのならば、そのアメリカが”世界の警官” たる事を期待していた国が自前の防衛力を向上し「タカ派姿勢」となるのは当たり前。それ以外の選択肢、例えば「別の国に”世界の警官”たることを期待する」等もあり得るだろうが、自前の防衛力向上=「タカ派姿勢」に転じる国も、あるのが当然、無ければ不思議。上記3〉何かの「符合」なんざぁ、「感じる」までもない。

 日米の「互いを補完するような方針表明」発表タイミングの良さに、上記3〉「何かの「符合」を感じ」るのであれば、それは「日米間で安全保障上の相互連携が取れていること示唆している」とも言える。左様な「日米の連携を示唆する」事もまた、我が国にとっての抑止力なのであるから、我が国としては上記3〉「何かの「符合」」もまた慶賀すべき事の筈であるが…上掲記事に表れた津田恵子記者のトーンは、だいぶ異なるようだ。

 その行間に読み取れるのは、タカ派になるのは悪い事」、特に日本がタカ派になるのは悪い事」と言う前提意識。
 まあ、先行記事で取り上げた「NY空軍ウイーク」に対する謂われなき(※3)非難からも、そんな前提意識は「予想通り」ではあるが・・・

 繰り返すが、「世界の警官」を自認していたアメリカが、その役を降りると言うならば、自前の防衛力を強化する=タカ派姿勢を示すのは、至極当たり前の事。
 「対策も無しにハト派のままでいる」なんざぁ、大間抜けのバカ野郎しか出来はすまい。

 さはさりながら、上掲記事の安倍首相演説引用に曰く。

4〉日本近海の公海で攻撃を受けた米国の戦艦を助けることもできません。

 さて、軍艦マニア(※4)にゃ言うもサラナリだが、「戦艦」と言う艦種はとうの昔に滅び去ってしまった「絶滅艦種」である。米海軍は第2次大戦戦後も長いこと戦艦アイオワ級を保有していたが、21世紀を待たずに退役させており、今じゃ「戦艦」と言う軍艦は(※5)存在しない。無論「米国の戦艦」もだ。上記4〉の通り安倍首相が演説したのならば、事実誤認という事になる。
 尤も、上記4〉安倍首相の演説は英語で為されたのかも知れず、上記4〉津田恵子記者の「英文和訳の結果」であるかも知れない。もしそうならば、ひょっとして津田恵子記者は、WARSHIP(※6)ないし COMBAT VESSEL(※7)を「戦艦」と訳しているのではなかろうか。

 もしそうならば・・津山恵子記者の(※8)英語能力には、真剣な疑義を呈せざるを得ないのだが…ニューヨーク在住なのに、ねぇ。
 尤もWSJ紙には、アメリカ在住のくせにアメリカ銃社会に対する根源的認識不足を露呈する( としか、私(ZERO)には思えない )肥田美佐子記者なんてのも、居るからなぁ。

 如何に、津山恵子記者。
 如何に、WSJ紙。


<注釈>


(※2) LPD-17 San Antonio級ドック型揚陸艦の5番艦 LPD-21 New York の事らしい。そりゃ揚陸艦も軍艦だけどさ。 

(※3) と言って悪ければ、「私(ZERO)とは大いに異なる」 

(※4) そりゃ日本で「軍艦マニア」なんてのは、少数派なのだが。 

(※5) 現役には。SF映画「BATTLESHIP」では、記念艦ミズーリ(アイオワ級戦艦三番艦)を現役復帰させて、異星人相手に16インチ砲弾をお見舞いしていたが。 
(※6) 普通は「軍艦」と訳す 

(※7) 普通は「戦闘艦」だろうな。 

(※8) 平和ボケや軍事忌避は、当人とWSJの勝手だから、こちらの知った事ではないが。 



追記…やっぱり、ダメじゃなイカ?

 首相官邸HP  http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0925hudsonspeech.html  に、上掲記事が引用する安倍首相の演説が全文(和文)と動画が共に掲載されている。和文全文の方は「イージス艦」「米艦」となっており、動画は(案の定)英語で「Aegis Ship」「US Ship」となっている。

 従って、上掲記事は「Warship」ないし「Combat Vessel」を「戦艦」と訳した訳では無かったが… 「Aegis Ship」または「US Ship」を「米戦艦」と「訳していた」事になる。

 これが、WSJ紙に署名記事を書く、米国在住フリーランスジャーナリスト様の英語力ないし軍事常識、と言う訳だ。

 少なくとも、安全保障に関する記事を書く以上は、恥ずべき事態ではないのかね。
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