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 国同士の外交関係を、個人同士の人間関係に譬える/擬えるのは相当怪しい/用心しなければならないアナロジーなのであるが、例えば、貴方に敵対・対立している相手が、貴方の身上進路について滔々と尤もらしい説教・諫言・忠告を始めたとしたら…貴方はその説教・諫言・忠告を素直に受け止め、従うだろうか?

 無論、私(ZERO)ならば、そんな「説教・諫言・忠告」は、少なくとも疑ってかかる。「公論は敵より出るに如かず(※1)」とは言うモノの、斯様な「説教・諫言・忠告」が公論・正論であり、我が身にとって良きアドバイスである可能性は、低い。逆に称賛の言葉であったとしても「褒め殺し」あるいは「油断慢心を誘う甘言」を疑うべきであるのに、「説教・諫言・忠告」なんざぁ眉に唾付けずに聞けるものか。

 であるならば、人民日報海外版コラムと言う正真正銘掛け値なし中国共産党のプロパガンダが、「日本に対する忠告」なんて掲げていたら、疑わない奴ぁ余程の間抜けか平和ボケぐらいなものだろう。

<注釈>

(※1) この場合の「公論」は、普通は賞賛・褒め言葉であるが。 



①【人民日報海外版コラム「望海楼」】日本は非現実的な幻想を抱いてはならない

  http://j.people.com.cn/94474/8395248.html
【】はZeroがつけたパラグラフ番号

【1】 1年前の今日、日本政府は中国政府と中国人民の強烈な反対を顧みず、いわゆる「島購入」を頑として行った。来りて往かざるは礼に非ざるなり。中国政府は果断な行動を起こした。外交部(外務省)の声明発表、領海基線の公布から、権益維持巡航の常態化、東中国海の一部海域の大陸棚確定案の提出まで、中国政府は痛快至極なコンビネーションブローを繰り出した。中国側は強力な反撃行動によって、日本側の「単独管理」という釣魚島(日本名・尖閣諸島)の長年来の状況を一挙に打破し、闘争の主導権をしっかりと自らの手中に握り、悪事を始めた者を叩きのめしたのである。(文:盈思・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

【2】 新たに就任した安倍氏は事態の好転を急いでいるが、前任者の失敗から教訓を汲み取っていないのは明らかで、逆に思い上がり、誤った道を突き進んでいる。

【3】 まず、厄介な事態を引き起こした側である安倍氏が、日本の自縄自縛の根本的原因が「右傾」にあることが分からないわけはない。だが安倍氏とその閣僚は就任以来、常軌を逸した言動を繰り返している。「侵略の定義は定まっていな
い」「参拝は当然」「慰安婦は証拠不十分」などの発言、および敗戦記念日に侵略国としての加害責任と「不戦」の誓いへの言及を止めたこと、「戦後体制からの脱却」を愚かにももくろみ、平和憲法の改正を積極的に推し進めていることに、国際社会はすでに強い警戒心を抱いている。一方、主権と領土保全を守り、反ファシズム戦争の勝利の成果を守り、人類の正義と正しい道理を守る中国政府と中国人民の行動には支持が高まり続けている。われわれの事業は正義であり、正義の事業を打ち負かすことはできない。正義にもとり時代に逆行する安倍政権のやり方が行き詰まるのは必至である。韓国の朴大統領が指摘したように、歴史に対して無神経な者に未来はないのである。

【4】 次に、中日の力の逆転は大きな趨勢であり、負け惜しみの心理を抱いて向き合っても、無用な面倒を自ら引き起こすだけだ。中国周辺で徒党を組み、いわゆる「戦略的外交」の推進に拍車をかける、あるいは悲痛な表情を浮かべ、スローガンを叫び、世論を惑わすといったやり方も徒労に終わるだけだ。中華民族が好きなように虐げられた時代はすでに過ぎ去り、もう戻ってはこない。釣魚島をめぐる中日間の対決は(武侠小説の)郭靖が降龍十八掌で梁子翁の野狐拳と戦ったように、日本が慌てふためき敗走する以外にないのである。

【5】 最後に、日本側は現実に即さぬ幻想を抱いてはならない。人、信無くば立たず。釣魚島の領有権争いの存在を認めず、中日間に係争棚上げの共通認識があったことを認めないのでは、日本側に問題解決の誠意があると信じさせることはできない。過ちを犯したら認めなければならず、過ちを犯したら代償を支払わなければならないのである。その場をしのぎ、過去に戻ろうとしても無駄だ。もちろん、日本側は現在の状況の下で、引き続き中国など周辺国との協力を推進し、経済的利益を得ることを期待しては、なおさらにならない。日本側が現在すべきは、大きな視野と勇気をもって、歴史を直視し、態度を改めて実際の行動を取ることで、両国関係の健全な発展に影響をあたえるこの障害を取り除くことである。

【6】 日本社会の右傾化は日増しに明らかになっている。これには深い歴史的、現実的原因があり、釣魚島問題にも複雑な要素を増やした。日本の近現代史を俯瞰すると、明治維新であれ、第2次大戦後の急速な復興であれ、日本は頭を割られて流血するほどの痛い目に遭って初めて、改心することを知り、少しはまともな性格になるのである。したがって、この闘争は並外れて困難なものとなる。これは主権と権益を維持する闘争であり、それ以上に「心理的に攻め立てて、敵の闘志を打ち砕く」闘争である。われわれは団結できる全ての力を団結する必要がある。これには日本国内の見識の高い者も含まれる。われわれは時と勢いがわれわれの側にあることを認識し、戦略的不動性を保ち、急がず焦らず、果敢に、強靱に闘う必要がある。もちろんわれわれは、なおさらに自国の事をしっかりと達成し、大国となる必要がある。中国が強大になればなるほど、勝利は早く訪れる。
(編集NA)

「人民網日本語版」2013年9月10日



これ即ち勝機なり


 さて、如何だろうか。

 先述の通り上掲人民日報海外版コラムは、「我が国・日本に対する忠告」と言う形をとっている。その「御忠告」を抽出すれば、以下の通りとなろう。

(1) 日本の自縄自縛の根本的原因は「右傾」にあり、これは正義にもとり時代に逆行する 【3】

(2) 中国は今や強大である【4】

(3) 尖閣諸島に領有権問題があり、それを棚上げにする日中共通認識があったと言う「史実」を認めない限り、日中友好は無い。【5】

 いや実に「有り難い御忠告」ではないか。

 だが、その「有り難い御忠告」も「敵対者」からのモノとなると、意味が違って来る。上記(2)パラグラフ【4】「俺は強いんだぞぉ!」と言う虚仮脅しになるし、上記(1)パラグラフ【3】「正義」「時代」による権威付け。「先生に言ってやるぅ!!!」と言う捨て台詞と、大差は無い。

 第一、我が国が、右傾化しようが正義にもとろうが時代に逆行しようが、「正義にもとり時代に逆行」するが故に衰退しようが、我が国の勝手である。それを「有り難い御忠告」で阻止しよう/止めさせようと言うのだから、中国共産党政権の意図は明らかだろう。

 「我が国・日本の”右傾化”は、誰よりも中国共産党政権にとって都合が悪い」

 その理由もまた上掲コラムから読み取れよう。それは上記(3)にも表れている。即ち、

 「我が国・日本の”右傾化”は、尖閣諸島の領有権問題化を妨げており、中国共産党政権にとって都合が悪い」

 再三繰り返す通り、中国共産党政権と言うのは我が国にとっての敵対者なのであるから、彼が損失は我が利益である。従って、

 「よって、我が国・日本は、中国共産党政権に対抗・対峙するためにも、”右傾化”すべきである

と言う、殆ど生まれつきの右翼たる私(ZERO)としては、なかなか心楽しい結論を得て仕舞える(※1)。




<注釈>

(※1) 「心楽しい」が故に、警戒すべきではあるが。上掲人民日報海外版コラムが、「手の込んだ褒め殺し」である可能性も、無視すべきではないだろう。