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時は古代、処はローマ。ローマ帝国五賢帝の一人・ハドリアヌス帝の治世。ひょんな事から古代ローマから現代日本へのタイムスリップ能力を手に入れてしまった浴場設計技師ルシウスが、現代日本の浴場文化にカルチャーショックを受けながらも体当たりで挑む!…てな調子で始まった「テルマエ・ロマエ」。映画化もされて大ヒットし、続編も作られて来年公開と言う「話題作」が、一足お先に完結編となったのがこの第Ⅵ巻だ。
「テルマエ・ロマエ」第Ⅵ巻を一言でいうならば、「大団円」であり、もう一言付け加えるならば「鉄っちゃん大活躍」である。
「大団円」の方は、前Ⅴ巻でヒロイン「伊東温泉の才媛」小達さつきに愛を告白しつつ古代ローマへ帰ってしまったルシウスと、そのあとを必死で追うヒロイン・さつきの顛末であるが、ネタバラシになってしまうので、多くは語るまい。この漫画に於けるネタバラシは、ミステリほどには致命的ではなかろうが、「まだ読んでいない人から、読む楽しみを奪ってしまう」のは作者に対し失礼であるし、作品に対し無礼であろう。私(ZERO)が当ブログで取り上げる本や映画は、「一人でも多くの人に見てもらいたい/読んでもらいたい(※1)」ものなのだから、ネタバラシは基本的に避けたい。早い話が、「それは読んでのお楽しみ」だ。
となれば、語るべきは「鉄っちゃん大活躍」の方になる。ヒロイン・さつきの祖父であり、天才的整体師であり、腕っぷしも相当なもの(※2)である「鉄っちゃん」こと小達鉄蔵は、前巻でも相応の存在感を発揮していたが、本第Ⅵ巻では、まずさつきの発掘調査スポンサー探しに奔走し(※3)、返す刀で古代ローマに逆タイムスリップ。ラテン語は一語も解さないまま(※4)、天才的整体術でハドリアヌス帝相手に「一世一代の施術」を実施。感激したハドリアヌス帝手ずから、身に着けた「黄金のブレスレット」を下賜される。ついでにルシウスとも再会を果たし・・・さつきのパイアエ発掘調査実施を決定的にする。
ルシウスは、主人公だからかっこよいのは当然だが、鉄蔵だって負けていないぞ。
惜しむらくは…映画「テルマエ・ロマエ」に登場した、満天の星空をバックにしたルシウスの決め台詞「全ての道は、ローマに通じているのだから」がエンディングシーンにならなかった事。いや、ローマはユーラシア大陸で、我が国の道は、少なくとも陸路ではローマに通じてはいない(※5)、と突っ込みつつ、あのカットが結構気に入っていただけに、残念だ。
<注釈>
(※1) それらが、果たしてどれほどの人に良い影響を与えるかは、不明不確かではあるが。(※2) どうも、整体術を格闘技にしている様で、巧みに関節を決めて来る。秘孔は突かない。
(※3) これがまた、あちこちに相当な「貸し」があって、瞬く間にスポンサーを集めてしまう。
(※4) と言うか、古代ローマ滞在中、鉄蔵のセリフは一切ない。ゴルゴ13並みだ。(※5) 逆に、海国兵談にある通り、海路はローマどころかロンドンにもニューヨークにも通じている。