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「蒸気ローラー(Steam Roller)」と言っても、実物は私(ZERO)も見た事は無い。イメージは、鉄製ドラムを転がしてアスファルトを踏み固めるロードローラーのさらにゴツイ奴。それが蒸気機関で動かされたのは、多分、「重いものをゆっくり動かすのに適した機関だったから」。鉄道が蒸気機関から始まって、ディーゼル機関、電機機関へと発達発展した事や、軍艦の機関が蒸気タービンからディーゼル機関やガスタービン機関、あるいはそれらの組み合わせに発展した事からも、昔(※1)は「重いものをゆっくり動かす」のには蒸気機関が適していた、もしくは他に無かった(※2)からだろう。
であるならば、「蒸気ローラー(Steam Roller)」と言う言葉には「デカくて、ゴツくて、重くて、些か古い」と言うイメージがあるのだろう。これを踏襲し、さらに拡大発展させたのが、「ロシア式蒸気ローラー(Russian Steam Roller)」。普通は「戦術」と後ろについて、「ロシア軍/旧ソ連軍のお家芸・伝統的戦術=凄まじいまでの物量作戦による損害に構わぬ平押しゴリ押し戦術」を指す。旧ソヴィエト連邦USSRは解体して再び「ロシア」に戻り、NATO軍を戦々恐々とさせた「ロシア式蒸気ローラー( Russian Steam Roller)」戦術はかつてほどの脅威ではなくなった( 筈 )だが、国民性に根差した軍隊の性格と言う奴は、ソヴィエト連邦解体ぐらいじゃ、変わらないらしい。
<注釈>
(※1) 多分、19世紀から20世紀前半
(※2) ディーゼル機関も電機機関もガスタービンもまだ未発達だった
揚陸艦が砂浜に出現 露カリーニングラード
2013.8.22 23:50 [ロシア]
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130822/erp13082223540004-n1.htm
海水浴場に突如現れたロシア軍の水陸両用揚陸艦(ロイター)
海水浴客でごった返す砂浜に突如現れたのは、全長約60メートルの巨大なロシア軍の水陸両用揚陸艦。18日、バルト海に面するロシア・カリーニングラード州での出来事だ。ロシア国防省は、「揚陸艦は通常の訓練中で、上陸したのは軍が所有する砂浜だった」と説明しているが、軍の敷地は数キロ離れているとの情報もあり、上陸は軍側のミスだった可能性もある。海水浴客らは上陸時、大きな水しぶきを上げる様子を呆(ほう)然(ぜん)と見つめていた。けが人はいなかったという。
「敵の上を乗り越えようが、脇をすり抜けようが、下を潜ろうが、そんな事は気にするな!」
さて、如何だろうか。
如何にもイワンらしい話であり、如何にも「ロシア式蒸気ローラー」戦術を想起させよう。何しろ、海水浴客でごった返す海浜へ向けて、エアクッション揚陸艇が強襲揚陸かけてしまったと言うのだから。「全長約60メートルの巨大なロシア軍の水陸両用揚陸艦」と、上掲記事は報じるが、別の報道では「ズーブル級」とも伝えられ、写真に見られる艦影からしても、NATOコード「Pomornik」級と呼ばれる満載排水量550t、揚陸部隊230名と戦車3両を揚陸出来る、大型エアクッション艇に相違ない。
それにしても、写真に見られ、本文にもある通り「海水浴客でごった返す海浜」へ向けて、こんな良く晴れて視界の良い日に揚陸を敢行するとは、「海水浴客に構わず揚陸訓練を続行した(※1)」としか思われない。
1〉 ロシア国防省は、「揚陸艦は通常の訓練中で、上陸したのは軍が所有する砂浜だった」と説明している
とも報じられているが、「軍が所有する砂浜」が写真の通り「海水浴客でごった返す」のも妙な話である。第一、いずれにせよ「海水浴客に構わず揚陸訓練を続行した」事に変わりは無い。
さはさりながら…実は章題にした「敵の上を乗り越えようが、脇をすり抜けようが、下を潜ろうが、そんな事は気にするな!」と言う科白は、如何にも「ロシア式蒸気ローラー(Russian Steam Roller)」的ではあるが、実は第2次大戦当時米軍きっての戦車使いであったジョージ・S・パットン将軍の名科白。確かに、戦時ともなればロシア軍ならずとも「海水浴客に構わず揚陸敢行」ってのもアリなんだろうがね。
今回の事件は、ロシア軍の航法ミスと、無責任な揚陸訓練続行の結果だと思うぞ。
<注釈>
(※1) 「民間人に構うな!突撃!!」と、下命したかどうかは判らないが。