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Sie Kommen 彼奴らは、来た 

 さて、字数制限が厳しいのでいきなり前ふりも無し(※1)に全文引用した【人民日報記事】「国際条約上、釣魚島の主権は中国に帰属する」は、如何だろうか。

 その主張の第一は、上掲記事タイトルに明確に表われていよう。即ち、

【1】 尖閣諸島は中国領土だ。

と言う主張。
 その根拠は大凡5000字にわたる上掲記事の大半を占めているが、要は以下の三点で、

【2】 尖閣諸島は琉球諸島ではなく台湾に属する。

【3】 カイロ宣言、ポツダム宣言は、日本に対し台湾も琉球/沖縄も統治を認めて
いない。

【4】 サンフランシスコ講和条約は、日本の沖縄・尖閣諸島統治の根拠となるが、中国には関係ない。

 以上から、直接表現はされていないが、以下の事も主張している事はほぼ自明だろう。

【5】 琉球諸島も中国領土だ。

 即ち、タイトルにした通り、上掲人民日報記事は、正真正銘掛け値なしの中国共産党政権による日本侵略宣言である。本章の章題を「Sie kommen」とした所以である。

 さて、「中国共産党政権による日本侵略宣言」と言うのは確かに由々しき事態であるが、その根拠と来たら全くお笑い草だ。「支那人は息をするように嘘を吐く」とは言う。また、「嘘も百回言えば本当になる国=中国」とも言われる。さらに言えば、人民日報なんてのは押しも押されもせぬ「党の口舌=中国共産党の宣伝機関」なのだから、その記事が嘘八百であるのは常態・常識でもあろう(※2)。それにしたって、限度とか節度とか言うモノが…無いらしいな。支那人には。

 まず先行記事にも書いた上記【3】と【4】の矛盾、即ちカイロ宣言・ポツダム宣言は肯定するが、サンフランシスコ講和条約は否定すると言うのを指摘せねばなるまい。尚且つ、日本の領土の定義を講和条約ではなく二つの宣言に寄ろうと言う不可思議さも。カイロ宣言・ポツダム宣言は、「日本に対する降伏勧告」で、サンフランシスコ講和条約は「日本の降伏結果」なのだから、サンフランシスコ講和条約の方が「日本の領土」について詳細に決めているのは理の当然。で、「カイロ宣言・ポツダム宣言は肯定するが、サンフランシスコ講和条約は否定する」と言う上掲人民日報記事及び中国共産党の見解は、上記【4】の前半「サンフランシスコ講和条約は、日本の沖縄・尖閣諸島統治の根拠となる」のが都合が悪いから。上掲人民日報記事も「如何に中国共産党がサンフランシスコ講和条約の無効性を訴えて来たか」縷々語るばかりで、「無効性の根拠」なんざぁ「周恩来の言葉」ぐらいしか無い。なるほど、「嘘も百回言えば本当になる国」だな。

 第一、カイロ宣言もポツダム宣言も、当事者はアメリカ、フランス、中華民国であって、逆立ちしたって中華人民共和国ではない。まだ中華人民共和国は、陰ぐらいはあっても、形になっていない頃だ。

 だから、上掲記事のこんな記述も噴飯ものと言うべきだろう。

1〉 1945年10月25日、中国政府と日本側との間で降伏式が行なわれ、台湾は正式に中国に復帰した。

ここで言う「中国」は、縦から見ても横から見ても中華民国であって、中華人民共和国ではない。中華人身共和国建国は1949年10月1日。「台湾復帰」の約4年後で、「アリバイは成立している=台湾復帰の当事国ではありえない」。事実、台湾は今でも中華民国の施政権下にある。

2〉 沖縄の帰属問題に関しては、日本の降伏文書に署名した中国を含む連合国構成国間の協議によって決められるべきであり

の方はと言えば、「日本の降伏文書調印」は1945年9月2日。ここで言う「中国」もまた、中華民国であって、中華人民共和国ではない。まだ成立もしていない中華人民共和国は、「降伏文書に署名」していないのだから、沖縄の帰属問題を協議できる訳が無い。

 挙句の果てに、

3〉  カイロ宣言とポツダム宣言の国際法としての効力に公然と疑問を呈し、
4〉 世界反ファシズム戦争の勝利の成果の否定を企てるものであり、
5〉 戦後国際秩序に対する重大な挑戦行為である。

と、「日本の尖閣諸島(及び沖縄)支配を非難する」のだから、笑止千万だ。「カイロ宣言とポツダム宣言」を以って「戦後国際秩序の確立」とするならば、その最大の破壊者は、カイロ宣言・ポツダム宣言時には建国すらしていなかったくせに、支那大陸を支配して「中華人民共和国」を名乗っている、中国共産党政権に他なるまい。

 即ち、中国共産党政権こそ、「カイロ宣言とポツダム宣言の国際法としての効力に公然と反旗を翻し、戦後国際秩序に対する重大な挑戦行為」を実施している張本人である。

 「カイロ宣言とポツダム宣言の国際法」を遵守するならば、中国共産党は直ちに支那大陸の施政権を中華民国に「大政奉還」して、然るべきであろう。

 如何に、人民日報。
 如何に、中国共産党。


<注釈>

(※1) 前ふりどころか、突っ込みすらも入れられなかった。 

(※2) 嘘を並べたてて宣伝するってのは、結局のところ「オオカミ少年化」してしまい、宣伝としても謀略としても損なのだがね。