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「現代国語の問題」、と考えてみよう。基本的な読解力の問題だから、高校入試レベル、或いはひょっとすると、学校によっては中学入試レベルかも知れない(※1)。以下の問題が出題された、としよう。
【問題】以下の二つの文章を読み、質問に答えなさい。
<注釈>
(※1)大学入試としては、相当恥ずかしいレベルな気がするが、大学によってはそれもアリだろう。
.①オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会の決議(全文)
http://www.asahi.com/national/update/0909/SEB201209090010.html
我々は、本日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ強行配備に対し、怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるためにここに集まった。
沖縄県民は、米軍基地の存在ゆえに幾多の基地被害をこうむり、1972年の復帰後だけでも、米軍人等の刑法犯罪件数が6000件近くに上るなど、米軍による事件・事故、騒音被害も後を絶たない状況である。
1995年9月に、米海兵隊員3人による少女暴行事件が起こり、同年10月には事件に抗議する県民総決起大会が行われ、8万5千人もの県民が参加し、米軍に対する怒りと抗議の声を上げた。県民の強い抗議の声に押され、日米両政府は、96年の日米特別行動委員会(SACO)により米軍普天間基地の全面返還の合意を行った。
しかし、合意から16年たった今日なお、米軍普天間基地は市街地の真ん中に居
座り続け、県民の生命・財産を脅かしている。
そのような中、日米両政府は、この危険な米軍普天間基地に「構造的欠陥機」であるオスプレイを配備すると通告し、既に山口県岩国基地に陸揚げがなされている。さらに、オスプレイは米軍普天間基地のみでなく、嘉手納基地や北部訓練場など、沖縄全域で訓練と運用を実施することが明らかとなっており、騒音や墜落などの危険により、県民の不安と怒りはかつてないほど高まっている。
オスプレイは開発段階から事故をくり返し、多数に上る死者を出し、今年に入ってからもモロッコやフロリダ州で墜落事故を起こしている構造的欠陥機であることは、専門家も指摘しているところであり、安全性が確認できないオスプレイ配備は、到底容認できるものではない。
沖縄県民はこれ以上の基地負担を断固として拒否する。そして県民の声を政府が無視するのであれば、我々は、基地反対の県民の総意をまとめ上げていくことを表明するものである。
日米両政府は、我々県民のオスプレイ配備反対の不退転の決意を真摯(しん
し)に受け止め、オスプレイ配備計画を直ちに撤回し、同時に米軍普天間基地を閉鎖・撤去するよう強く要求する。
以上、決議する。
2012年9月9日
オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会
内閣総理大臣 安倍晋三殿われわれは2012年9月9日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備に対し、怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるため、10万余の県民が結集して「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」を開催した。にもかかわらず、日米両政府は、沖縄県民の総意を踏みにじり、県民大会からわずかひと月もたたない10月1日、オスプレイを強行配備した。沖縄は米軍基地の存在ゆえに幾多の基地被害を被り、1972年の復帰後だけでも、米軍人の刑法犯罪件数が6千件近くに上る。沖縄県民は、米軍による事件・事故、騒音被害が後を絶たない状況であることを機会あるごとに申し上げ、政府も熟知しているはずである。特に米軍普天間基地は市街地の真ん中に居座り続け、県民の生命・財産を脅かしている世界一危険な飛行場であり、日米両政府もそのことを認識しているはずである。このような危険な飛行場に、開発段階から事故を繰り返し、多数に上る死者を出している危険なオスプレイを配備することは、沖縄県民に対する「差別」以外何物でもない。現に米本国やハワイにおいては、騒音に対する住民への考慮などにより訓練が中止されている。沖縄ではすでに、配備された10月から11月の2カ月間の県・市町村による監視において300件超の安全確保違反が目視されている。日米合意は早くも破綻していると言わざるを得ない。その上、普天間基地に今年7月までに米軍計画による残り12機の配備を行い、さらには14年から16年にかけて米空軍嘉手納基地に特殊作戦用離着陸輸送機CV22オスプレイの配備が明らかになった。言語道断である。オスプレイが沖縄に配備された昨年は、いみじくも祖国日本に復帰して40年目という節目の年であった。古来琉球から息づく歴史、文化を継承しつつも、また私たちは日本の一員としてこの国の発展を共に願っても来た。この復帰40年目の沖縄で、米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人に振る舞っている。国民主権国家日本のあり方が問われている。安倍晋三内閣総理大臣殿。沖縄の実情を今一度見つめていただきたい。沖縄県民総意の米軍基地からの「負担軽減」を実行していただきたい。以下、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会、沖縄県議会、沖縄県市町村関係4団体、市町村、市町村議会の連名において建白書を提出する。1、オスプレイの配備を直ちに撤回すること。及び今年7月までに配備されるとしている12機の配備を中止すること。また嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること2、米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること
【Q1】:上掲二つの文章にある「オスプレイ配備計画を撤回」「オスプレイ撤回」の意味として、最も適切なのは以下のうちどれか
【1】「オスプレイ沖縄配備計画の撤回」「オスプレイ沖縄配備の撤回」
【2】「オスプレイ日本配備計画の撤回」「オスプレイ日本配備の撤回」
【3】「オスプレイ沖縄配備だけ計画の撤回」「オスプレイ沖縄配備だけの撤回」
【4】「オスプレイ日本配備だけ計画の撤回」「オスプレイ日本配備だけの撤回」
【5】「オスプレイ全世界配備計画撤回」「オスプレイ全世界配備撤回」
.【Q2】:上掲二つの文章から、「オスプレイ配備計画撤回」「オスプレイ配備撤回」を求める理由を述べなさい。
.試験としての「正解」、現実としての「正解」、そして「曲解」
さて、如何だろうか。
試験問題とした場合、上記【Q1】五択問題で言えば、選択肢【1】「沖縄配備(計画)撤回」が「正解」であろう。なにしろ上掲①「県民大会決議」にしろ、「建白書」にしろ、沖縄の基地、沖縄のオスプレイの話しかしていない。さらには、上記①②共冒頭近くに「日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ強行配備に対し」と明記されている。「日米両政府によるオスプレイ強行配備」に該当する場所は、現状沖縄しかない。これでは、選択肢【2】「日本配備(計画)撤回」と解釈する事すら困難である。従って選択肢【1】が「正解」だろう。試験問題としては。
だが、現実は試験問題ほど単純ではない。上掲①、②問題文に示された事象以外の種々の事象が背景にあるのだから。
一つには、オスプレイは既に配備開始以来5年以上を経て、アフガニスタンで実戦にも投入されており、駐留部隊としては沖縄が初の海外展開とは言え、アメリカ本土にはすでに各地に配備されている事。即ち、既にオスプレイ配備済みの基地がある、という事だ。こうなると上記【Q1】選択肢【1】「沖縄配備(計画)撤回」は、選択肢【3】「沖縄だけ配備(計画)撤回」と等価とならざるを得ない。同様に選択肢【2】「日本配備(計画)撤回」は、選択肢【4】「日本だけ配備(計画)撤回」と等価となる。
従って、上記【Q1】の「現実としての正解」は、表向き・表面的には選択肢【1】「沖縄配備(計画)撤回」であろうが、実質的には選択肢【3】「沖縄だけ配備(計画)撤回」に他ならない。オスプレイ反対を唱えるお歴々が、意識する/しないに関わらず。
さらには、上記【Q2】の回答が問題になる。上掲①、②では「基地負担」だとか「米軍人の犯罪」だとか、オスプレイには直接関係ない事象も羅列されているが、同時にオスプレイを「構造的欠陥機」と断じ、「安全性が確認できない」とも評している。だから、【Q2】の回答は、【A2】「オスプレイが、安全性の確認できない構造的欠陥機だから。」となる。早い話が、「オスプレイは危険だから」と、言い得よう。
以上の通り解釈すれば、上掲①、②の「県民大会決議」だの「建白書」だの仰々し
いタイトルが付いた、それ相応に「公式」公的な文章は、「オスプレイは危険だから、沖縄だけ配備(計画)撤回を要求する。」となる…私(ZERO)には、他に解釈のしようがない。
で、さらに一歩踏み込んで考察するならば、オスプレイが危険な構造的欠陥機で墜落事故の危険性が高いならば、その墜落事故に於いて絶対に巻き込まれるのはオスプレイに搭乗する米軍人である。オスプレイに搭乗する米軍人は、墜落事故が無人地帯で起きようが、洋上で起きようが、無論沖縄県外だろうが、米本土だろうが、必ず巻き込まれる。
であるならば、「オスプレイは危険な構造的欠陥機」と知る者が為すべき事は、「オスプレイ飛行停止・運用禁止」選択肢【5】を要求する事であろう。少なくとも米軍人を人間扱いするならば、それが人の道と言うモノだ。
であるのに、上掲①、②は「オスプレイは危険だ」と断じつつ「沖縄だけ配備(計画)撤回」しか要求していない。この意味する処は、「米軍人がオスプレイ墜落事故で沖縄県外でいくら死のうと知った事ではない。沖縄県内で墜落するのだけは困るから、沖縄配備だけ撤回しろ。」である…これまた、上掲①②を再読しても、私(ZERO)には他に解釈のしようが無い。
ところが…オスプレイ反対をブログで訴えておられる「awa**ri58 」様は上記解釈に「何の根拠もない」と言われるし、同じくオスプレイ反対を唱える「星の歌」様は「曲解極まりない」と仰る。
で、両氏をはじめとするこの世の「オスプレイ反対派」に、改めて尋ねようではないか。貴方らは、オスプレイを一体どうせよと要求しているのか、と。また、そう要求する理由は何か、と。
それが「沖縄配備だけ反対」あるいは「日本配備だけ反対」であり、その根拠が「オスプレイは危険だから」である限り、「貴方らは、”米軍人がいくら死のうと知った事ではない”と公言する、非人道的なまでの利己主義者だ。」と断ぜざるを得ないぞ。
さらに言えば、”米軍人がいくら死のうと知った事ではない”と公言する輩を、日本政府も、米政府も、真面に相手をする可きではない。況や米軍が、相手をする訳が無い。
如何に、「オスプレイ反対派」。