応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/

 タイトルにもした通り、私(ZERO)は殆ど週刊誌なんて買ったことが無い。立ち読みすら、この前立ち読みしたのは当ブログ記事にした「週刊ポストの普天間基地移設先鳩山ウルトラC案」が最後じゃないかと思うぐらい。電車の釣り広告や新聞広告で「雑誌記事のタイトル」ぐらいは知れるが、「(無料だから)立ち読みにでも読もう」なんて気にすら、殆どならない。

 その理由は…まあ、以下掲載する「日刊ゲンダイ」記事を御一読あれ。

【日刊ゲンダイ】オスプレイが市街地に墜落する日
【政治・経済】 http://gendai.net/articles/view/syakai/143853
2013年8月6日 掲載

<安全神話は“でっち上げ”>

別名「未亡人製造機」、オスプレイが沖縄の普天間基地に追加配備され、沖縄県民の怒りが爆発している折も折、別の米軍ヘリがキャンプ・ハンセン内の山中に墜落、炎上した。米軍はてんで情報を出そうとしないが、この事故でハッキリしたことがある。米軍の言う「安全」なんて、まったく信用できないことだ。政府はただちにオスプレイも拒否しなければウソである。

墜落、炎上したヘリは嘉手納基地所属のHH60。戦闘救難ヘリである。乗員の基本構成はパイロット2人を含む4人で、墜落時にも4人が乗っていたが、無事が確認されたのは3人だけだ。

「米軍は事故にショックを受けているでしょうね。というのもHH60は敵陣地に味方の飛行機などが墜落した場合に救助に行くヘリだからです。敵の攻撃に備えて、強固な防弾装置を備えているし、崖下などで救助活動を行うことも想定、パイロットも熟練者が起用されている。雨アラレの銃弾を浴びたって、ビクともしないヘリが落ちたわけです」

こう言う軍事評論家・神浦元彰氏は「だから、オスプレイなんて、とんでもないんです」とこう続けた。

「落ちないヘリなんてないんですよ。この飛行機なら大丈夫という話ではない。問題は市街地に普天間飛行場があり、そこにオスプレイが配備され、何回も飛ぶことなんです。ヘリは墜落する際、場所を選べない。今度の事故も山中に落ちたのは偶然でしかありません」

しかも、オスプレイといえば、安全性に疑問が投げかけられているだけではない。安全性を“捏造”してきたヘリなのだ。琉球新報社会部長の松永勝利氏が言う。

「在沖縄米軍トップは昨年、共同通信のインタビューでオスプレイについて『もっとも安全な航空機』と言いました。根拠として、事故率の低さを示しましたが、海兵隊はクラスAの事故に該当する損害額を100万ドル以上から200万ドル以上に引き上げて、クラスAの事故率を小さく見せていた。情報隠しをする組織の説明をうのみにして、安全性を信じるわけにはいきません。だからこそ、知事や41市町村長が普天間配備に反対しているのに今月3日、新たに12機のオスプレイが追加配備され、その直後にヘリ墜落が起こった。私に言わせれば、起こるべくして起きた事故ですよ。墜落現場の近くでは農作業をしている人がいた。沖縄県民はいつもこうして、危険にさらされているのです」

安倍政権はどう対応するのか。それでもオスプレイの追加配備を認めるのか。米軍のポチはいい加減にして欲しい。 .

「日刊ゲンダイ」は週刊誌では無かろうが、同じ穴の貉だろう。


 さて、如何だろうか。

 最初に断わった通り、上掲記事は「日刊ゲンダイ」の記事だ。だから、「週刊誌の記事ではない」。だが、「週刊現代」は講談社発行で、「日刊ゲンダイ」は講談社系の日刊現代発行だそうだから、経営関係はあるのだろう。尤も、「タブロイド判の新聞」と言うのは、「週刊誌よりも位が下」と評されることが多いようでもあるから、上掲記事が「週刊現代」記事のレベルを示すものでは無い、かも知れない。

 それにしてもひどいものだ。なにしろ上掲記事は、①軍事評論家・神浦元彰氏 ②琉球新報社会部長の松永勝利氏 へのインタビューと ③日刊ゲンダイ自身の寸評だけから出来ていて、③「日刊ゲンダイ自身の寸評」は、以下の数行しかない。

1>  この事故でハッキリしたことがある。米軍の言う「安全」なんて、まったく信用できないことだ。
2> 政府はただちにオスプレイも拒否しなければウソである。

3>  安倍政権はどう対応するのか。それでもオスプレイの追加配備を認めるのか。米軍のポチはいい加減にして欲しい。

 上記①、②二人のインタビューは、「オスプレイは危険である事の立証」として引用されているから、要は上記1>の裏打ち。言いたい事は上記2>と3>に集約されており、「判りやすい記事」と評する事は出来よう。

 が、上記①、②、インタビューによるオスプレイは危険である事の立証と来たら、これも酷いもので・・・

①1> 「落ちないヘリなんてないんですよ。この飛行機なら大丈夫という話ではない。
①2> 問題は市街地に普天間飛行場があり、そこにオスプレイが配備され、何回も飛ぶことなんです。
①3> ヘリは墜落する際、場所を選べない。今度の事故も山中に落ちたのは偶然でしかありません」

・・・ウィキペディアによると、この軍事評論家・神浦元彰氏なる人は、軽率な言動で知られる人らしいが、上記①3>はどうだろう。「オスプレイ危険神話」で一時期話題になった「オートローテーション機能」と言うモノを、この人は知らないのだろうか。一般的に回転翼機は固定翼機の様な滑空は出来ないが、「動力を切られた回転翼による滑空」とも言うべきオートローテーションなら、出来る。少なくとも上記①3>「ヘリは墜落する際、場所を選べない。と言うのは、根源的な誤りだ(※1)。
 オスプレイについて言うならば、チルトローター機と言う特殊事情により、「回転翼機モードでは一定の速度以上でないとオートローテーション機能を発揮できない」事は判明している。これを以って「欠陥機だぁぁぁぁぁ!」と騒いだのは沖縄二紙はじめとするマスコミだが、オスプレイの左右双ローターは機械的にリンクしており、片発停止しても制限付きながら飛行も、回転翼機/固定翼機のモード変換も可能な設計。回転翼機モードで片発停止しても、固定翼機モードに直して不時着どころか、条件によっては飛行継続・任務続行さえ可能だ。だから、「米航空規定で回転翼機には必ず要求されるオートローテーション機能」も、オスプレイの様なチルトローター機には要求されていない。

 詰まる所、上記①3〉は、「オスプレイの危険性を、全く実証論証していない。」そもそも、ヘリの話をしている。

 では上記①1〉~①2〉はどうか、と言うと…上記①1〉は本当だ。嘘ではない。この世にある航空機で「落ちない航空機」と言うのは「飛ばない航空機」だけだ。尚且つ普天間基地が市街地の中にある以上、いつかは普天間基地周辺の市街地に墜落するだろう。それは、オスプレイに限らず、ありとあらゆる航空機について同じことが言えるし、普天間基地返還後にここを空港とするならば、その空港に発着する民間機についても全く同じことが言える。

 つまり、上記①1〉~①2〉もまた、「オスプレイの危険性を、全く実証論証していない」。
 大体、現状配備されている海兵隊型オスプレイは、旧式化しているCH-46輸送ヘリの代替であり、オスプレイが配備される分、CH-46は退役している。尚且つ「10万飛行時間当たりの重大事故件数」である事故率は、オスプレイの方がCH-46より低い。即ち、CH-46輸送ヘリをオスプレイで代替する事は、普天間基地の安全性を高めている」のである。

 その「オスプレイの低い事故率」=「高い安全性」を「捏造」と断言するのが記②琉球新報社会部長の松永勝利氏な訳だが・・・・

②1〉 「在沖縄米軍トップは昨年、共同通信のインタビューでオスプレイについて『もっとも安全な航空機』と言いました。
②2〉 根拠として、事故率の低さを示しましたが、
②3〉 海兵隊はクラスAの事故に該当する損害額を100万ドル以上から200万ドル以上に引き上げて、クラスAの事故率を小さく見せていた。
②4〉 情報隠しをする組織の説明をうのみにして、安全性を信じるわけにはいきません。

・・・これもひどいねぇ。
 まず言わねばならないのは、上記②3〉「クラスAの定義」は、少なくとも不完全である。正確には、以前は「死亡事故もしくは100万ドル以上の損害額」を「クラスA」に分類し、重大事故として数えていたのを、ある処で「死亡事故もしくは200万ドル以上の損害額」に定義変更したのである。この定義変更によって「クラスA事故」でなくなるのは、「死者が出ずに、損害額が100万ドル以上200万ドル未満の事故」だけ。これによって「クラスA事故の件数」が減るのは確かだが、以前の定義でも新しい定義でも「死亡事故はクラスA事故」である事に変わりは無い。これを以って上記②4〉「情報隠しをする組織」と断じ、「安全性を信じるわけにはいきません。」と宣告するとは、一体何様なんだっ・・・・て、ああ、「琉球新報社会部長」ならばそんなものか。何しろオスプレイは、クラスA事故率は低いが、クラスB,C事故率は高い」を以って「だから危険だ」と断じてしまえる新聞社だ。念のために補足すると、「クラスB,C事故」とは「負傷事故もしくは損害額200万ドル以下」の事故である。貴方なら、「クラスB,C事故率は低いが、クラスA事故率は高い」航空機を「より安全」と判断するだろうか(※2)。

 だが、まあ、どこの誰が何を言おうと、それを記事にして評価するのは、上掲記事の場合日刊ゲンダイだ。その日刊ゲンダイの寸評は、上記1〉~3〉の通り。上記②を鵜呑みにしたのか、あるいは「墜落事故が発生した」からか(※3)米軍の言う「安全」なんて、まったく信用できない」と「ハッキリした」と断言し、日本政府に「オスプレイ拒否」を求めている。明きメクラと言うか、心此処にあらざれば見るとも見えずと言うか。
 ああ、「日本政府にオスプレイ拒否を求める」だけだから、コヤツもまたオスプレイは危険だから日本配備だけ反対」と言う非人道的なまでに利己的な主張を(※4)唱えているな。

 なんにせよ、日刊ゲンダイがこれでは、週刊現代は読む気がしないし、やっぱり週刊誌なんざぁ、立ち読みする気にもなれないな。


<注釈>

(※1) 専門家としては「致命的」とも言い得るほどの。尤もこの人は、ウイキペディアによると、斯様な「専門家として致命的な誤り」を何度もやらかしているらしい。

(※2) 琉球新報は、そう判断してしまうのだが。 

(※3) 妙な話だ。上記①1〉で「落ちないヘリなんてない」と断言されているというのに、ここは都合よく解釈ないしスルーして 

(※4) 意識してか、無意識にかは、知らないが。