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「公論は敵より出づるに如かず」と言う。「公平な論評・客観的な評価は、敵対している相手からこそ得られるものだ」と言う意味。なにしろ「敵対している相手」だから、間違っても依怙贔屓はしない(だろう)し(※1)、真剣に観察もするからこちらの長所、相手にとっての脅威も的を射ている、と、期待しての言葉だろう。
一方、タイトルにした「逆さ感状」と言うのはさらに発展して、「戦った相手からもらう感謝状」の事。「戦った相手からもらう」ぐらいだから、思い切り味方の足を引っ張ったことに与えられるのか、と思うと、さに非ず。「敵ながら、天晴れ」と敵から褒めてもらう感謝状で、戦国時代の武士はこれを名誉とした、と言う。強さも、敵に褒められるぐらいなら本物、と言う事。些か浪曲的で、和風情緒一杯=「大陸や半島や世界じゃ通用しそうにない」考え方だが、言わんとする処は判ろう。
大陸は支那、中国共産党政権が、「日本の敵」であるか否かは議論が分かれるかも知れないが、「安倍政権の敵」である事は、多分、自他共に認める処だろう。なにしろ先行記事にした通り、安倍政権の展開する価値観外交は、「典型的な人格分裂」で「どんどん偏執的になって」いるそうだから。
であるならば、「党の口舌=中国共産党の宣伝機関」人民日報を母体とする人民網のかような記事は、さて、どう評価したものか。
<注釈>
(※1) 「褒め殺し」と言う手もあるから、必ずしも「敵は意図的に褒めない」訳ではない。
【人民網】安倍政権は「短命」に終わらぬ可能性
http://j.people.com.cn/94474/8298143.html
※ 「< >」は、ZEROが振った小見出し番号
日本の東京都議選は23日、投票が行なわれた。同日夜に発表された開票結果によると、自民党は候補者59人全員が当選して第1党の座を奪還、連立与党を組む公明党も候補者23人全員が当選し、両党を合わせて過半数を獲得する圧勝を収めた。参院選の「前哨戦」である都議選の結果は、投票先を決めかねている一部の有権者にとって参考になるかもしれないと専門家は指摘する。国際金融報が伝えた。
<1> ■「中間テスト」で勝利
「都議選は安倍政権の政治的業績をチェックする『中間テスト』と見なせる。参院選は安倍政権の半年間の執政成績をチェックする『期末テスト』だ」。中国社会科学院日本研究所の専門家、厖中鵬氏は「国際金融報」の取材に「都議選は地方議会選挙に過ぎないが、東京都が日本の首都、政治の中心であること、そして参院選を7月21日に控えていることから特に注目される。日本の政界では東京都の政治を押さえることのできた者が、政府で一層の発展の資本を獲得すると見込まれる。都議選の雰囲気は全国的な参院選への『ウォーミングアップ』の作用を果たしている」と指摘する。
2009年の都議選で自民党は総崩れし、40年余り維持してきた第1党の座を失った。4年後の今日、同党は「失地回復」に成功した。一方、第1党だった民主党は今回の選挙で43議席から15議席へと大幅に後退。日本共産党は17議席を獲得し、民主党を抜いて第3党へと躍進した。日本維新の会は34人の候補者を擁立したが、2人しか当選しなかった。
厖氏は「7月の参院選で他の政党はいずれも安倍氏が率いる自民党のライバルではない。民主党はすでに総崩れで、生活の党と社民党も再起不能。維新の会は橋下徹代表の舌禍の下、参院選ではいくらも議席を得られない。日本共産党は都議選で大きな成果を上げたが、参院選でも優勢を保てるかどうかはなんとも言えない。このため自民党と公明党および安倍内閣がミスを犯さない限り、特に安倍内閣が橋下氏のような致命的発言をしない限り、両党は順調に参議院を制することができる」と指摘した。
<2>■参院選の勝利はほぼ決まり
安倍氏の率いる自民党の圧勝は「アベノミクス」への人々の賛同と期待による点が大きいとアナリストらは指摘する。時事通信によると、民主党の海江田万里代表は選挙演説で株価の急落を受けて「アベノミクス」の危険性を批判したが、大きな効果は上がらなかった。「『アベノミクス』は有権者の士気を鼓舞した。有権者は『アベノミクス』が利益をもたらすと本当に思い、特に円安を通じて目にした『経済効果』によって、『アベノミクス』に差し当たって賛同した」と厖氏は指摘する。
日本経済新聞とテレビ東京が21-23日に実施した共同世論調査では、安倍内閣の支持率は日経平均株価と円相場が最近調整局面に入ったことなどを受けて、5月と比べ2ポイント下落したが、それでも66%の高水準を維持した。「アベノミクス」を評価する回答者も55%に上った。26日の通常国会閉会に伴い、与野党の選挙戦が正式に幕を開ける。「続いて自民党は都議選の勢いに乗って参院選で一気呵成に勝利を目指す」。厖氏は続く選挙戦でも自民党は「経済カード」を切り、「アベノミクス」を大いに発揚すると見る。一方公明党は「保守、中立、公道」という一貫した特色を引き続き保持し、9条を中心に憲法改正への反対などで論陣を張るだろう。
厖氏の分析では、日本共産党は引き続き反原発、集団的自衛権の行使反対の旗を高く掲げ、憲法改正に反対し、自民党の政策を批判する。最大野党・民主党は反原発など自民党と異なる政策をいくつか打ち出すかもしれないが、勢力が大幅に衰えており、新たな綱領を打ち出しても逆転は難しい。
<3>■「安倍ドクトリン」が間もなく登場する
近年日本の国会は衆参両院を異なる政党が支配する「ねじれ国会」の状態をしばしば呈し、様々な政策決定や法案が頓挫して、民衆の不満を招いてきた。「ねじれ国会」の現状を解消し、安定政権が樹立されることを日本社会は一致して期待している。
「安倍氏の率いる自民党が圧勝し、参議院を支配することができれば、安倍政権は『ねじれ国会』の『呪い』を打破し、2-3年の長期政権となって、全ての政策を推し進めることとなる。自民党が圧勝できなかったり、数議席伸ばすだけで『ねじれ国会』を解消できなければ、安倍政権は自民党内で求心力を失い、退陣を迫られる。このため安倍氏の率いる自民党にとって、7月21日の参院選は負けることのできない選挙だ。そしてその勝利は圧勝でなければならない」と厖氏は指摘する。
現在の状況を見ると、安倍氏が「圧勝」を収めるのは決して難しいことではない。甘利明経済財政相はこのほど、安倍首相は内閣の機能を強化し、経済改革を推進するため、参院選後に内閣を改造するとの見方を示した。
厖氏によると、安倍氏が首相の権力を完全に固めた時が「安倍ドクトリン」が形を整え始める時でもあり、「アベノミクス」は安倍氏を盛り立てるために安倍氏自身およびそのブレーンが操った手練手管に過ぎない。参議院を押さえれば、「アベノミクス」も政治的使命を一応果たしたことになる。その後、「安倍ドクトリン」が登場すると考えられる。「安倍ドクトリン」は経済、政治、外交、さらには軍事を含む一揃いの政策綱領だ。「安倍ドクトリン」の第1の目的は安倍内閣を小泉純一郎内閣に続く第2の長期政権とすること、第2の目的は「安倍ドクトリン」の導きの下で日本を経済的苦境から脱却させ、集団的自衛権を行使し、海外に派兵することのできる強大な国家にすることだ。また、安倍氏を「傑出した首相」「歴史に名を残す」首相として描き出すものである。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年6月25日
ある意味「敗北宣言」。ひょっとすると「褒め殺し」
さて、如何だろうか。
「とても人民網の記事とは思えない。」と言うのが、私(ZERO)の率直な感想だ。特に、小見出し番号<3>より前の<2>までの部分は、殆ど「淡々と事実を報じる」ばかりで、寧ろ安倍政権に対する評価は「高い」と言える。国内メディアでいえば、朝日と言うより産経に近い、と言い得そうなほどだ。前述した「公論は敵より出に如かず」に従うならば、上掲記事の前半部分は、「安倍政権への逆さ感状か?」と、期待したくなるが…ま、人民網や人民日報が、我が国の戦国武士ほどの公明正大さを持っているとは期待出来ない。多分に、「褒め殺し」であろう。
漸く上掲記事の終盤<3>「「安倍ドクトリン」が間もなく登場する」で、「中国共産党の謀略宣伝」らしくなる。それまでは、安倍政権の高支持率維持と参院選挙勝利を報じていた上掲記事が、ここ<3>では、その参院選勝利後に登場する(と予想する)「安倍ドクトリン」を以下の通り報じ、上掲記事を終えている。つまりは以下1>~4>は、上掲記事の〆である。
1> 「 安倍ドクトリン」は経済、政治、外交、さらには軍事を含む一揃いの政策綱領だ。
2> 「安倍ドクトリン」の第1の目的は安倍内閣を小泉純一郎内閣に続く第2の長期政権とすること、
3> 第2の目的は「安倍ドクトリン」の導きの下で日本を経済的苦境から脱却させ、集団的自衛権を行使し、海外に派兵することのできる強大な国家にすることだ。
4> また、安倍氏を「傑出した首相」「歴史に名を残す」首相として描き出すものである。
で、上掲記事及び上記1>~4>の通り報じられる「安倍ドクトリン」。私(Zero)には、「大変結構な事」とは思えても、全く「憂うべき事」と思えないのである。上記4>「安倍首相伝説の構築」は我が国にとって直接利益とはならないだろうが、特に害になるとも思えないし、上記3>「経済的苦境からの脱却」は安倍政権ならずとも日本政府がここ20年ほど追求してきた目的だ。上記2>「長期政権化」と言うのも歴代内閣が目指していたことは明らかで、ただ第1次安倍内閣を含めて「実現したくても、実現しなかった」事。「安倍ドクトリン」なんて新造語を持ち出さなくても、普遍的な「現役政権の目的」であろう。
上記3>「集団的自衛権の行使」「海外派兵できる国」は、そりゃ中国共産党にとっては大いに問題かも知れないし、我が国でも議論の余地ある処と言い得そうで、社民党や共産党ならこれだけで「安倍ドクトリン」非難理由になりそうだ。が、私のような「ほとんど生まれつきの右翼」にとっては上記3>「集団的自衛権行使」も「海外派兵できる国」も、「普通の国化」でしかなく、「安倍ドクトリン」支持理由にしかならない。広く世間一般の日本人にしても、「無条件の安倍ドクトリン非難理由」にはなりそうにない。
それだけ、我が国をめぐる安全保障環境が悪化し、厳しくなったから。その悪化し厳しくなった理由の大半は、中国共産党政権にある。
つまりは、中国共産党政権の自業自得なのであるが、上掲記事で「安倍ドクトリン」なるモノを「警告」し、安倍政権に対する警鐘を鳴らそうという意図=安倍政権批判と言う意図は、( もしそれがあるならば、)美事に失敗しているのである(※1)。
ああ勿論、上掲人民網記事に「安倍政権を非難してやろう」と言う意図はハナッから微塵も無い、と言う可能性は、看過するべきではない。だが、つい先ごろの同じ人民網、多分同じ「編集NA」による「安倍政権・価値観外交に対する非難」を想起すると、とてもじゃないが信じられないぞ。
<注釈>
(※1) 無論、「私(ZERO)の見る処」にしか、過ぎないが。