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沖縄と言えば日本最南端の県。と同時に、沖縄電力は日本で唯一原発を持たない電力会社だ。理由は単純明快で、沖縄本島の電力需要は一カ所の原発で賄えてしまうから。実際、沖縄電力HPによると(※1)H23年度の沖縄電力の最大電力需要(送電量)は「1341千kw」=「1.341 GW」。新型の原子炉は一基で1GWの発電が出来るし、普通原発には複数の原子炉を擁する(※2)から、なるほど沖縄に原発があっても使い難そうだ。そのくせ沖縄二紙の脱原発原理主義ぶりが東京新聞並み(※3)であるのは、恐らくは「日本の脱原発」が「大陸は支那様の利益になる(※4)」からだろう。
それは兎も角、日本の中では低緯度で、その分日照量が期待できる沖縄のメガソーラーと聞けば、その稼働率は、大いに気になる処だ。
<注釈>
(※2) 発電の立ち上がり、立下りや、稼働停止しての保守点検、炉心交換もあるから、当然だな。
(※3) つまりは国内トップクラス。
(※4) 一つには日本の核武装を大いに阻害できるし、二つには日本の原発輸出を阻止し、その分中国の原発を輸出しやすくなる。
オリオン、メガソーラー3カ所10月着工へ
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-06-05_50105
経済 2013年6月5日 09時46分
オリオンビール(浦添市、嘉手苅義男社長)は10月にも、名護市仲尾次と嵐山ゴルフ場隣、糸満市西崎の3カ所でメガソーラーの設置工事を始める。発電規模は3カ所合計で約4・7メガワットで、年度内に発電を始める予定。年間2億円の売電収入を想定している。
仲尾次は名護市有地に1・99メガワット、嵐山はグループ企業の嵐山ゴルフ場の所有地に1・2メガワット、西崎は県内企業の工場の屋根を賃貸して1・5メガワットのメガソーラーをそれぞれ設置する。投資額は3カ所合計で17億6500万円。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、売電事業に参入する企業が全国的に増えている中、売電収入を新たな収益源に位置付ける。
また、県外向けビールの出荷強化に向け、早ければ7月にも大阪事務所の開設を予定している。海外出荷も増やしているため、将来的には台湾や米国にも現地採用の駐在員を配置する方針。
.計算式
さて、始めようか。
今回も、例によって「定格発電量で24時間365日発電した場合の電力量」と「実際に発電できる【であろう】年間発電量」の比率で以って「稼働率」を出す事にしよう。
くどい様だが「定格発電量で24時間365日発電した場合の電力量」と言うのは、発電量が日照や風力に依存し、「お日様任せ」「風任せ」で発電量を制御できない太陽光発電や風力発電にとっては「極めて非現実的な仮定」である。だが、発電所として期待される理想の発電量は、発電原理・方式に関わらず「定格発電量で24時間365日発電した場合の電力量」であると言う観点から、斯様な「稼働率」を冷たい計算式/冷たい推算式シリーズでは、採用している(※1)。
1〉 発電規模は3カ所合計で約4・7メガワットで、年度内に発電を始める予定。
2〉年間2億円の売電収入を想定している。
だそうなので、上記1〉から「定格発電量で24時間365日発電した場合の電力量」を計算すれば、
4.7MW × 24H × 365日/年 = 41172 MWh/年 ・・・式(1)
これに対し「実際に発電できる【であろう】年間発電量」、上記2〉「年間2億円の売電収入」と、「経済産業省 資源エネルギー庁HP(※2)に基づく「10kW以上の太陽光発電電力買取価格」、「37.8円/kwh」とから、以下の式で計算できる。
2億円/年 ÷ 37.8円/kwh = 5291005 kwh/年 = 5291 MWh/年 ・・・式(2)
上記式(1)及び式(2)から、稼働率が計算できて、
5291 MWh/年 ÷ 41172 MWh/年 = 0.12851 ≒ 12.9% ・・・式(3)
となる。「約13%」であり、やっぱり「一声1割の稼働率」と言う事が、沖縄でも実証された形だ。
ついでだから計算しよう。最大発電量4.7MWのメガソーラー3カ所が、最大電力需要に占める割合は、
4.7MW ÷ 1341千kw = 0.003505 ≒ 0.35% ・・・式(4)
さらに、沖縄電力の年間総電力需要「7440百万kwh(H23実績)(※3)」に占める割合は、
5291005 kwh ÷ 7440百万kwh = 5.291 GWh ÷ 7440 GWh =
0.0007112 ≒ 0.07% ・・・式(5)
「合計4.7MWのメガソーラー発電所」は、沖縄電力の電力需要ピークに合わせてその全力を発揮したとしても、電力需要の0.35%(上式(4))しか占めず、その発電量を全量完全有効活用したとしても、年間総電力需要量の0.07%(上式(5))しか占めない。
3〉 投資額は3カ所合計で17億6500万円。
だそうだから、上記2〉「年間2億円の売電収入」からすると、9年足らず(※4)で減価償却できる(※5)。オリオン社の商売としては悪くなさそうだ(※6)が、電力需要への貢献は、上式(4)及び(5)の通り。「屁のツッパリ」と呼ぶのもはばかられるほど。
かてて加えて太陽光発電だものだから、発電量は制御できずに出来高払い。つまりは電力供給の不安定化要因でもある。火力発電の燃料代節約、水力発電(※7)の水量維持(※8)には役立つだろうが。
<注釈>
(※1) 無論、発電量が制御可能な火力、原子力、水力と制御不可能な太陽光、風力を、共通の土俵で評価するのにも、かなり無理があるのだが。殊に、「電力需要に応じて発電する他ない」現状及び見通せる限りの将来に於いて、「発電量が制御可能」である事は、絶大な意味を持つ。
(※3) 同じく「経済産業省 資源エネルギー庁HP
(※4) これぐらいは暗算で良かろう。
(※5) 筈。売電価格が上記の37.8円/kwhを維持するものとして、だな。無論、太陽光発電量全量強制買い上げ制度も持続するものとして、だ。
(※6) クリーンだのエコだののイメージアップしつつ、程なく儲かる商売なんだから、日当たりの良い土地が余っている企業としては、実に「おいしいビジネス」なんだろう。でも「これで原発ゼロも大丈夫!」等と勘違いしてはいけないな。今我が国の大半の原発が稼働停止に追い込まれても、停電なんて事態が起きないのは、先ず第一に火力発電が頑張っているから。太陽光なんて「増えた」と言っても1%から1.4%になった程度だ。(※7) は、沖縄には無いか。と思ったら、小水力発電は稼働しているとのこと。離島用としては、一つの選択肢であるのだな。http://www.okiden.co.jp/environment/report2011/sec7/sec75.html(※8) は、小水力発電では、出来ない事もあるな。