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米艦船防護やミサイル迎撃は容認 集団的自衛権、細野氏言及
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130513/stt13051300200000-n1.htm
2013.5.13 00:18 [核・ミサイル事情]
民主党の細野豪志幹事長は12日、集団的自衛権に関し、「一緒に行動している米軍が攻撃を受けた場合、日本として当然やるべきことはやる。米国にミサイル攻撃がなされた場合に日本のミサイル防衛システムで撃ち落とすことも理屈として必要だ」と述べ、自衛隊艦船による米艦船の防護や米国を狙ったミサイルの迎撃は容認すべきだとの考えを表明した。
同時に「米国本土やハワイが攻撃されたときに自衛隊を出すことは考えられない」と述べた。広島市内で記者団の質問に答えた。
集団的自衛権をめぐり、政府は「保有するが行使はできない」との憲法解釈をしてきた。安倍内閣は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を設置、行使容認に向けた検討を進めている。
細野氏の発言は、安保法制懇の検討対象と重複する。同氏は「党憲法調査会の中で詰めた作業になる。一つ一つ方向性を出していくのがあるべき姿だ」と述べ、党内で意見集約していく考えを示した。
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民主党としては珍しいぐらい正論だが、それ故に「民主党の考え」はまとまらないだろう
タイトルにもした通り、民主党の幹事長と言う相応の肩書を持つ御仁が、「民主党には珍しいぐらい」の正論を述べている。題材が「我が国の集団的自衛権行使」である事を勘案するならば、「民主党とは思えないぐらいに正論」と言っても良いぐらいだ。
細1〉 「一緒に行動している米軍が攻撃を受けた場合、日本として当然やるべきことはやる。
細2〉 米国にミサイル攻撃がなされた場合に日本のミサイル防衛システムで撃ち落とすことも理屈として必要だ」
ここまでは、安部首相が「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)にて行使容認に向けた検討を進めている、所謂「四類型」の一部について、明白に「集団的自衛権行使容認」を明言している。集団的自衛権の問題は、「行動を共にする米軍が攻撃を受けた場合」と「米国向けミサイル攻撃」だけではないし(※1)、個別的自衛権にだって相当に問題あるんだが、「集団的自衛権行使の問題の一部」に「民主党がまともな意見を出す」だけでも、長足の進歩と言える(※2)。
ところが・・・
細3〉 「米国本土やハワイが攻撃されたときに自衛隊を出すことは考えられない」
上記細3〉で「自衛隊を出す」のは、多分、陸上部隊か水上艦艇の派遣を念頭に置いているのだろうが、上記細2〉「米国にミサイル攻撃がなされた場合」は、どう考えても上記細3〉「米国本土やハワイが攻撃されたとき」なのであるから、上記細2〉「日本のミサイル防衛システムで撃ち落とす」事を上記細3〉「自衛隊を出す」事に相当しない、と言うのは、相当に無理のある理屈だろう。そりゃミッドコース迎撃の洋上配備型ミサイル防衛システムは、弾着点である米国本土やハワイの遥か手前で迎撃する事になるのであるが、「長い腕を以って遠距離から実力行使」する事を「兵を出したことにならない」と解釈するには、相当な牽強付会が必要だ(※3)。
かてて加えて・・・
細4〉 「党憲法調査会の中で詰めた作業になる。一つ一つ方向性を出していくのがあるべき姿だ」と述べ、
〉党内で意見集約していく考えを示した。
つまりは、上記細1〉~細2〉の「真面な意見」は、未だ「民主党としての意見」ではなく、党としての意見は、「これから意見集約していく」のだそうだ。
少なくとも先々回の衆院選挙結果による「政権交代」=民主党政権発足から、鳩山内閣崩壊まで、あれだけの時間をかけて「普天間基地移設先辺野古代替案」一つまとめられなかった民主党(※4)が、「意見集約」して集団的自衛権についてまともな意見を出せるなんて、全く期待も予想も出来ないんだがね。
ま、所詮は忘却土に落ちるべき過去の党だが、集団的自衛権についてまともに意見集約が成れば、それを免れる可能性も出て来よう。成らなければ、それこそ忘却土に落ちるまで。成れば、多少は民主党も政党らしくなるかも知れない。
どっちに転んでも、こちらに損は無い。いや、実に楽しい見世物だ。
<注釈>
(※1) それを言うならば、四類型とて、典型例ではあっても、全ての場合を尽くしてはいない。而して、ありとあらゆる場合を想定するのが、安全保障の基本だ。対策対処できない場合も、想定だけはしなければならない。
(※2) とは言え、”あの”鳩山由紀夫が「沖縄駐留米海兵隊は、抑止力と知った」なんて言い出したこともあるのだから、「民主党のまともな主張」ってのは、全く信用できないんだが。(※3) まあ、そんな牽強付会でも「だから集団的自衛権を行使せず、ミサイル迎撃はしない。」なんて結論よりは、遥かにマシではある。(※4) あろう事か、オッペケペーながら社民党さえ「代替案」を提出したと言うのに。