応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
「三次元プリント」とか「3Dプリント」と言うのは、チョイと面白い技術である。藤子不二雄の漫画「ドラえもん」の「ひみつ道具」の一つに「立体コピー」なるものがあったが、「三次元の立体を三次元の立体として複製する」モノだったから(※1)、概念的には正に「三次元プリント」を予言していたと、言い得よう。 尤も現存する「三次元プリント」は、「プリントするためのデータ」として、3D-CADのデータを用意するなり、既にある立体を「三次元スキャン」して3Dデータ化するなりの手間が必要だし、「プリントアウト」される立体の素材にも相当厳しい制限が付く。普通は樹脂=プラスチックの立体としてしか「プリントアウト」出来ず、現状では「専用の樹脂=プラスチック」を使う「三次元プリンター」ばかりである。
だが、そんな三次元プリンターも、技術の進歩から低価格化と、「工場・研究所」から「一般家庭」への進出傾向が見え始め、さらなる低価格化とさらなる進歩が期待されると、AFP通信が報じている。「ドラえもんの秘密道具・立体コピー」実現に、現実世界は近付いているらしい、と、以下のAFP通信記事①が報じている。
しかしながら、「夢の新技術、三次元プリンター」は、正に「夢の新技術」であるが故に、両刃の剣たり得ると、別のAFP通信記事②が報じている。
<注釈>
(※1) その手順が、「専用の立体コピー紙の上に立体を乗せる」だったのは、マンガらしい安直さと言うか、「夢がある」と言うか、非現実的・非論理的ではあったが。
①3Dプリントで「新たなる産業革命」到来か
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2941630/10654420
2013年05月06日 15:21 発信地:ジュネーブ/スイス
【5月6日 AFP】新たな産業革命の到来かと専門家らに言わしめ、発明当時の蒸気機関や電信と同じくらいの重要性・可能性を秘めているとされる技術──3Dプリント。
どんな物でもボタン一つで作り出すことができるプリンターという発想は、まるでSFの世界の技術に思えるかもしれない。
だが、3Dプリントの技術は現実のもので、既にめざましい発展を遂げている。今や研究室やニッチ産業の域を超えてより幅広い市場に進出する準備はできているようだ。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(Ecole Polytechnique Federale de Lausanne、EPFL)のオリビエ・オルモ(Olivier Olmo)氏は、「10年か20年以内には、この(3Dプリント)技術が誰にでも利用可能になるという、一種の革命が起きると私は確信しています」と将来に向けての抱負を語る。同氏曰く、制限は「現在の技術」だという。
■「製造」の概念も変わる
3Dプリントでは3次元の設計図が必要となる。設計図は実在の物体をスキャンするか、もしくはコンピューター上で一から作成する。この設計図から2次元の「層」のデータを構築し、プリンターへと送られる。プリンターはプラスチック、カーボン、金属などの素材を薄い層として何度も重ね、一つの物体を作り上げる。堅い製品にも柔らかい製品にも対応でき、可動部品を組み込むことも可能だ。
国際法律事務所「DLAパイパー(DLA Piper)」の技術専門家、サイモン・ジョーンズ(Simon Jones)氏は、「理論上、実在する全てのものは、3Dプリントで製作することが可能。われわれが知る『製造』を変える可能性があります」と話す。また3Dプリント技術を使うことで、必要な製品を必要とされている場所で製作し、環境への負荷を減らすことができるほか、小規模生産におけるコスト削減、さらには大量生産による無駄を防ぐことも可能になるかもしれないという。
3Dプリントで作れるのは、実在する製品の複製だけではない。ベルギーに拠点を置く3Dプリントサービス「i.materialise」のカルラ・ファン・ステーンベルゲン(Carla van Steenbergen)氏によると、骨折患者の体の特徴に合わせてボルトを作ることにより、従来型のボルトより劣化の進行度合いを遅くするなど、これまでの技術では不可能だったことも可能になるかもしれないという。
医療用の3D画像データから模型を作成するサービスを提供する企業「プリビュー・メディカル(Prevue-Medical)」のトリスタン・ルノー(Tristan Renaud)氏は、「正直、3Dプリントは主流と言えるにはまだほど遠い。だが、何かが起きている(始まっている)兆候はある」と語る。同社の技術責任者、エリック・ジーグラー(Erik Ziegler)氏によると、プリンターのコストを考えれば、今後ともオンラインの3Dプリントサービスが主流になる可能性が高いという。
別のコンセプトとして、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)が考案した「ファブラブス(Fablabs)」がある。「ファブリケーション(製作)」と「ラボラトリーズ(研究所)」を短くした造語で、小規模の製造施設を広く一般に提供することを目的としている。
自宅での3Dプリントに興味がある人々に向けては、2000ドル(約20万円)ほどで手に入るプリンターが幾つか販売されている。コンピューターの価格がそうだったように、需要が拡大するにつれプリンターの価格は徐々に下がっていくとみられている。
■知的財産権など多くの問題も
一方、3Dプリント技術は、知的財産の分野をはじめ、多くの問題を内包している。すでに所有している物の複製を作るのは正しい行為と言えるのか。3Dの物体をデザインした人々の権利は、音楽産業を悩ませているファイル共有のような問題から守られることになるのか、など。
「商業的な影響は増大するでしょう。3D(プリント)技術のコストが実用的なレベルまで下がれば、それを防ぐのはとても難しくなるかと思います」(ジョーンズ氏)
.
②3Dプリンターで作れる拳銃、CADファイルをネットで公開
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2942617/10704388
2013年05月07日 10:58 発信地:ワシントンD.C./米国
米ニューヨーク(New York)で開催された「3D印刷技術」展で、デモ印刷中の3Dプリンター(2013年4月22日撮影、資料写真)。(c)AFP/Emmanuel Dunand
関連写真1/1ページ全1枚
【5月7日 AFP】3Dプリンターで部品を「印刷」してプラスチック製の拳銃を組み立てられる無料ダウンロード用のファイルがネット上で公開された。試射も成功しており、銃規制推進派の人々からは懸念の声があがっている。
このファイルは米テキサス大学(University of Texas)の法学生コディ・ウィルソン(Cody Wilson)さん(25)がCAD(コンピューター利用設計システム)を用いて作成したもので、単発式の小型拳銃「リベレーター(Liberator)」を製作することができる。3Dプリンターを利用した銃器のオープンソース開発を推進する米テキサス(Texas)州の非営利団体「ディフェンス・ディストリビューテッド(Defense Distributed)」のウェブサイトで、6日からダウンロードが可能となった。
リベレーターの説明では、米国の銃規制法が定めるとおり金属探知機に反応するよう、用心金(トリガー・ガード)前部に3センチほどの金属片をエポキシ樹脂で接着するよう指示している。これと撃針(ファイアリング・ピン)を除き、パーツは全てプラスチック製だ。
米経済誌フォーブス(Forbes)は、テキサス州オースティン(Austin)郊外で先週行われた試射の様子をウェブサイトに掲載。引き金に黄色の紐がつながれたリベレーターは、見た目は白と青のおもちゃのピストルのようだ。
フォーブスは「実用可能」との判断を下しているが、弾薬を装填(そうてん)した2度目の試射では銃が暴発したという。
リベレーターのファイルは当面の間、ネットで公開される。リベレーターが、ほぼ全ての部品を3D印刷技術で製作した世界発の完全な銃器であることは明らかだ。
だが開発者のウィルソンさんは達成感を感じていない。「やるべき仕事は、まだたくさんある」