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沖縄二紙のオスプレイ反対記事なんざぁ、今更取り上げたって仕方がない。何しろ、県民大会決議だの、建白書だのに恥ずかしげもなく掲げる「オスプレイは危険だから、沖縄配備だけ反対」などと言う、「米軍人も沖縄県民以外もいくら死のうが知ったことではない」と明言する人非人なほどに非人道的な主張を、「県民の総意」などと抜かせてしまえるのが沖縄二紙なんだから、人道主義もへちまもあったモンじゃぁない。無論、そんな県民大会決議だの、建白書だのを臆面もなく公開できてしまう「沖縄県民」にそもそも問題がありそうだが。
一方で私(Zero)はと言えば、オスプレイの沖縄配備を歓迎し、そのCombat Range拡大と巡航速度向上による抑止力向上に期待する者だから、「沖縄二紙のオスプレイ反対記事」なんざぁ、ちゃんちゃらおかしくてしかたがない。とは言え、今回取り上げる沖縄タイムス記事は、「オスプレイ沖縄配備反対/賛成」なんて次元を越えて、そもそも新聞記事として、問題なんじゃぁなかろうか。
読谷350人 オスプレイ飛来に抗議
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-05-03_48807
2013年5月3日 09時51分【読谷】読谷村の米陸軍トリイ通信施設にオスプレイが飛来したことを受けて、石嶺傳實村長ら村民約350人が2日、同施設渡具知ゲート前で村民集会(主催・同実行委員会)を開いた。同機が住宅地上空を飛ぶ不安や、同施設所属の兵士によるパラシュート訓練の常態化を懸念して同機の配備撤回を訴えた。
石嶺村長は「日本ではゴールデンウイークで穏やかな生活を送っている。なぜ村民が抗議の声を上げないといけない状況にあるのか」と怒った。パラシュート訓練兵が同施設から搭乗するのは、環境審査や日米合意をないがしろにしているとし、「黙っていると認めたことになる」とオスプレイの配備反対や普天間飛行場の県外移設を求めた。
新垣修幸村議会議長は、過去に米軍ヘリからパラシュートで投下されたトレーラーで当時11歳の少女が圧死した村内での事件を上げ、「村民の脳裏から離れることはない」と指摘。沖縄全体が同機の訓練基地になっていると怒った。
抗議集会には、闘牛など地元の牛4頭を参加者が引き連れて米軍に抗議した。
.この記事売りモノ
さて、如何だろうか。
最初に断った通り、上掲記事は沖縄タイムスの記事である。上記URLから誰でも無料で読める記事ではあるが、おそらくは紙媒体の沖縄タイムスの紙面に掲載され、販売されている記事であり、その販売した料金が、巡り巡ってこの記事を書いた沖縄タイムス記者や、その原稿を推敲した(筈の・・・断言はできない)デスク・編集長の給料になっている(筈である。どこぞから秘密資金の提供でも受けていない限り。ああ、広告料もあるか)。つまりは早い話、上掲記事は商品であり、売り物なのであり、買ってくれる人、買わされる人が、あるのだ。
その買ってくれる人もある、商品たる記事の文章が、なんともまあ・・・
1> 読谷村の米陸軍トリイ通信施設にオスプレイが飛来したことを受けて
( 中略 )
2> 同機(オスプレイ)が住宅地上空を飛ぶ不安や、
3> 同施設所属の兵士によるパラシュート訓練の常態化を懸念して
4> 同機(オスプレイ)の配備撤回を訴えた。
状況を整理しよう。
① 沖縄配備のオスプレイは、現時点では普天間基地に配備されている。
② 今回、上記①のオスプレイが読谷トリイ通信施設に飛来し、兵員を搭載してパラシュート効果訓練を実施した。
③ 上記②に対し、「石嶺傳實村長ら村民約350人」が「オスプレイ普天間配備撤回」を訴えた(上記4>)。
④ 上記③の理由は、上記2>「オスプレイが住宅地上空を飛ぶ不安」上記3>「トリイ通信施設所属の兵士による降下訓練の常態化を懸念」である。
さて、読者諸君に問おう。上記③と上記④は、論理的につながるか?
少なくとも直結はしない。特に上記3>の理由はそうだ。トリイ所属通信施設所属の兵士にパラシュート降下能力が求められるか否かは、普天間にオスプレイが配備されているか否かに関わらない。現状パラシュート降下能力が求められる以上、降下訓練は不可欠であり、単純な話、「オスプレイ普天間配備撤回」が大願成就したとしても、別の機体を使って降下訓練は実施されるに違いない。
無論、上記2>「オスプレイが住宅地上空を飛ぶ不安」なんてのが胡散臭くてしかたがないのは再三繰り返す通りだ。「不安がる」分には論証も証拠もなしにいくらでも「不安がれる」。「オスプレイは危険だ!」という論証立証に失敗した米軍基地反対派の逃げ口上に聞こえてしかたがない。が、それでもまだ「論理としてはつながっている」分マシではある。
即ち、上掲記事に報じられる「石嶺傳實村長ら村民約350人」なる者の(※1)「オスプレイ普天間配備撤回」を訴える理由は、せいぜい半分しか筋が通らないのである。
ところがこの村長殿は、さらに暴走する。
5> 石嶺村長は「日本ではゴールデンウイークで穏やかな生活を送っている。
6> なぜ村民が抗議の声を上げないといけない状況にあるのか」と怒った。
7> パラシュート訓練兵が同施設から搭乗するのは、
8> 環境審査や日米合意をないがしろにしているとし、
9> 「黙っていると認めたことになる」と
10> オスプレイの配備反対や
11> 普天間飛行場の県外移設を求めた。
上記5>~6>は無視して良かろう。ゴールデンウイークなんてのはアメリカには関係ないし、軍隊にはもっと関係ない。抗議行動に集まった「350人」の中にも「ゴールデンウイークだから参加できた」者だってあるだろう。そもそも、たまたま抗議行動がゴールデンウイークだからこう言っているだけで、正月だろうが年末だろうがただの平日だろうが、この村長殿がその時節にかこつけて文句を付けたであろうことは、賭けても良いぐらいだ。間違ったって「この時期に降下訓練してくれて助かった」なんて言いやしない。何ならこの村長殿に「いつならば降下訓練をしても良いのか」と尋ねてみるが良い。
上記7>~8>は、何のことを言っているのかサッパリ判らない。オスプレイはじめとする戦術輸送垂直離着陸機が兵員を輸送し、ヘリボーンなりエアボーン=落下傘降下するのは、極当たり前の通常の運用形態。ひょっとしてそれが日米合意では「輸送」の一言で済まされていて「パラシュート降下を含むなんて知らなかったぁぁぁぁ!」と言っているのかも知れないが・・・お前さん、戦術輸送ヘリコプターとつきあって何年になるんだい?「知らなかった」で済む話かよ。
況や、環境審査にパラシュート降下の有無が影響するなんてのは、噴飯モノだ。
挙げ句の果てに上記11>では「普天間飛行場の県外移設要求」まで持ち出す始末。そりゃ上記10>「オスプレイ普天間配備反対」と、矛盾するとは言わないし、通底するモノはあるが、上記④の理由では、相変わらず筋はせいぜい半分しか通らないぞ。
上記9> 「黙っていると認めたことになる」と、当該村長はのたもうて居るそうだが、「しゃべった分だけ」あるいは「報じられた分だけ」、「ボロが出ている」と評するべきではないのか。「何はともあれ/何が何でも、米軍基地反対」であり、オスプレイに対する(「危険」ですらない)不安だの、降下訓練だのは、口実でしかない、と感じられて仕方がないのは、私(Zero)だけだろうか。
で、そんな「読谷村村長の暴走」を報じた沖縄タイムスは、村長の暴走を制止するどころか、煽っているようで、これまた今更ながら、「ボロが出ている」。村長に続いて村議会議長殿を引っ張りだして。
12> 新垣修幸村議会議長は、
13> 過去に米軍ヘリからパラシュートで投下されたトレーラーで当時11歳の少女が圧死した村内での事件を上げ、
14> 「村民の脳裏から離れることはない」と指摘。
15> 沖縄全体が同機の訓練基地になっていると怒った。
上記13>「過去に」というのは、実に巧妙な表現だ。「昔のことだよなぁ」と調べてみたら、実に1965年6月12日の事故だった。そりゃ事故で圧死した少女はお気の毒ではあるが、その後50年近く死亡事故はない実績を全く評価せず、「パラシュート」の一点で「オスプレイの降下訓練」と結びつける牽強付会は凄まじい。通常は「論理の飛躍」と言うところである上、先述の通り「降下訓練とオスプレイ配備に直接の関係はない」のだから、上記15>「沖縄全体が同機(オスプレイ)の訓練基地になっている」と怒った。 のは全く頓珍漢だ。先述の通り、「オスプレイが配備されなければ、別の機体で降下訓練する」だけであるし、そもそもが米軍基地反対ならば、米軍基地反対を言うべきであって、オスプレイはダシでしかない。
16> 抗議集会には、闘牛など地元の牛4頭を参加者が引き連れて米軍に抗議した。
・・・これに至っては、絶句するほか無いだろう。ここで引っ張り出された「闘牛など地元の牛4頭」は、それこそ山車でしかない。横断幕や旗、あるいは御神輿でしかない。ひょっとすると「牛さえも抗議している!」ってパフォーマンスなのかもしれないが、パフォーマンスというより、コントだろう。
そんなコントなデモを、コントな部分まで含めて報じる沖縄タイムスには、一定の評価を与えるべきかもしれない。が、上掲読谷村村長殿及び村会議長殿の論理的飛躍を補足する義務を怠っている点は、全く評価できない。
あるいは、そんな「補足」は不要なのかもしれない。ひたすら米軍基地反対であれば、論理もへちまもなく、上掲村長殿及び村会議長殿の「論理的に飛躍した」主張に共感してしまうのだろう。
如何に、沖縄タイムス。と、聞くだけ野暮か。
<注釈>
(※1) そりゃま、村長まで偽物とは思わないが、350人の方は怪しいもんだぞ。