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些か旧聞に属するが、大陸は支那の中国共産党政権が2年ぶりに出した中国国防白書が、尖閣諸島について「日本が騒動を起こした」など、我が国を名指しで非難したそうだ。報じられたのは4/16(火)で、これを受けて産経新聞が社説で取り上げたのが4/18(木)。他紙も続かないかと、特に朝日辺りに期待したのだが、どうやらスルーしてしまったようなので、致し方なくこのまま記事としよう。
①尖閣「日本が騒動起こした」中国、2年ぶり国防白書で名指し批判
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130416/chn13041612570000-n1.htm
2013.4.16 12:54 [中国]
【北京=川越一】中国国務院(政府)は16日、2年ぶりに国防白書を発表し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる問題に絡み、「日本が騒動を引き起こした」と主張した。白書で日本を名指しで批判するのは極めて異例だ。白書では「中国軍は中国の主権と安全、領土を脅かす行動に即応し、断固として防止する」と宣言。海洋強国の建設を促進し、「核心的利益」を守る決意を改めて示した。
「中国武装力の多様化運用」と題する今回の白書では、「中国は覇権や覇権主義的な行動を求めないし、軍拡競争にも乗り出さない」とする一方、中国人民解放軍の任務を「領土、領海、領空の防衛」などと定義した。
特に、「海洋管理を強化する」と強調して、尖閣諸島周辺や、ベトナムやフィリピンなど東南アジア諸国と領有権を争う南シナ海における活動を、さらに強める方針を明確にした。
中国は海洋権益の拡大に執着しており、それを支えるために、先進的な潜水艦や駆逐艦、護衛艦を投入して、近海での作戦能力向上を急いでいる。昨年9月に就航させた空母「遼寧」は、「強大な海軍の建設」の象徴として位置づけられているようだ。
白書は「ある国がアジア太平洋地域の軍事同盟を深化させ、地域の緊張をつくり出している」とも指摘した。「ある国」は、アジア太平洋地域に安全保障の軸足を転換したオバマ米政権、そして、米国との同盟関係を強化する方針を明確にしている、日本の安倍政権を指すとみられる。
国防省の楊宇軍報道官は記者会見で「軍事同盟強化は時流に合わない」と強調。“中国包囲網”が形成されることを警戒していることをうかがわせた。
また、白書では宇宙、サイバー空間の安全にも言及している。陸軍機動作戦部隊、海軍、空軍の現有兵力数がそれぞれ85万人、23万5000人、39万8000人にのぼることや、各軍区に所属する集団軍の番号など編成の一部を初めて明らかにした。
しかし、戦略ミサイル部隊と武装警察部隊、陸軍の残る部隊の兵力は公開せず、「不透明」との批判がやまない国防費に関する記載も省かれた。
人民解放軍総参謀部当局者は記者会見で、「戦争には反対するが、国家の核心的利益は絶対に犠牲にしない」と主張。「強軍の建設」を掲げる習近平指導部の対外強硬姿勢が、白書にも反映された形だ。
②【産経社説】中国の国防白書 プロパガンダ文書を嗤う
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130418/chn13041803250000-n1.htm
2013.4.18 03:24 [主張]
習近平政権になって初めて中国政府が発表した国防白書は尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる問題に論及し、「日本が騒動を引き起こした」と名指しで批判した。
尖閣諸島が歴史的にも国際法上も日本領土であるのは明白だ。中国が一方的な主張で軍事力行使さえ示唆したことに、世耕弘成官房副長官は記者会見で「中国独自の主張に基づく言動は一切受け入れられない」と述べ、外交ルートを通じて抗議したことを明らかにした。当然である。
国防白書には「中国は覇権や覇権主義的な行動を求めないし、軍拡競争にも乗り出さない」とあるが、実際はその正反対だ。事実、白書発表の日、中国海軍・南海艦隊のミサイル駆逐艦とフリゲート艦が沖縄本島と宮古島の間を通過し、翌日には尖閣周辺海域に入った。「領土拡張」をにらんだ軍事的威嚇と受け取られよう。
中国の海洋監視船による日本領海への侵入は常態化している。白書は中国軍が「主権と領土を脅かす行動を断固防止する」と明記し、海軍は潜水艦や駆逐艦などの刷新を急いでいる。昨秋には初の空母「遼寧」を就役させた。
今年1月、海上自衛隊の艦艇に中国海軍が射撃管制用レーダーを照射した事例もあり、日本政府は中国海軍の尖閣への軍事的関与を抑止する態勢づくりが急務だ。
「覇権を求めない」とする中国の主張が現実の行動と乖離(かいり)している例は尖閣だけではない。南シナ海の大半を自国の領海と主張し、3月には海軍艦船がベトナム漁船に発砲した。領有権をめぐってフィリピンが国連海洋法条約に基づき仲介裁判所に提訴しても応じない。この点でも白書は「海洋管理を強化する」と威圧的である。
そもそも国防白書には、その軍事力の合理性や主張について国際社会が納得しうる説明が求められるはずだ。同時に国防力全体の透明性も問われている。
今回の中国の国防白書には陸軍機動作戦部隊や海軍、空軍の現有兵力数が明記された。しかし、地域の安全保障に重大な影響を与える戦略ミサイル部隊や国内の治安を取り締まる武装警察部隊などの兵力、さらに「不透明」と批判される国防費について言及がなく、隠蔽(いんぺい)の印象がつきまとう。
「責任ある大国」であるべき中国の国防白書は、プロパガンダ文書にすぎず、嗤(わら)うほかない。
中国の公式文書ならば、プロパガンダなのは「理の当然」
さて、如何だろうか。
私は、漢文はある程度読めるが、現代中国語いわゆる「中文」と言う奴は読めない。特にあの奇妙奇天烈に簡素化された「簡字体」となるとサッパリだ。だから当該「中国国防白書」を入手できたとしても読めないだろうが、今回の報道はその事実を「残念だ」と後悔させるに足る。即ち、「当該”中国国防白書”の原典を、是非読みたかった」と、思わされた。
そう思わされた理由の第一は、それは我が国に対する誹謗中傷に溢れていると、上掲①産経報道に報じられて居るから。世のマスコミは基本的に誤報・虚報を避けている筈だが、誤報虚報が殆ど不可避であるのもまた紛れもない事実。それは産経とて同様であるし、事実「モノの美事に”永久機関”詐欺に騙された」事例は当ブログにも記事にした処(※1)。そうでなくても事実を一部だけ伝える事で印象を操作するなんてのは簡単な事だ。
故に、現場・現物・現品・原典にあたる事で「生の情報」を入手する事は重要である。この場合「中国国防白書」の原典を読むことで、産経報道による情報操作を排し、「本当に我が国に対する誹謗中傷に溢れているか」を検証したかったのであるが、読めないモノは仕方が無い。せいぜい、「上記①産経報道で報じられて居る以外の事実もあるかも知れない」と留意しながら、進めるとしよう。
上掲①報道によれば、当該”中国国防白書”の内容は以下の通り。
①1> 尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる問題に絡み、
①2> 「日本が騒動を引き起こした」と名指しで日本を批判し、
①3> 「中国軍は中国の主権と安全、領土を脅かす行動に即応し、断固として防止する」と宣言。
①4> 「中国は覇権や覇権主義的な行動を求めないし、軍拡にも乗り出さない」とする一方、
①5> 中国軍の任務を領土、領海、領空の防衛と定義した。
①6> 特に、「海洋管理を強化する」と強調
いやまあ、牽強付会と厚顔無恥は大陸・支那・中国の「御国柄」とは言え、凄まじいものだ。ここ20年ほども二けた成長を続けて、経済以上の「大躍進」ぶりを見せている国防費を指して上記①4>「軍拡にも乗り出さない」と言えるのならば、一体どんな規模の国防費成長率ならば「軍拡」と呼びうるのだろうか。
チベットを併合してチベット族を弾圧し、それに対するチベット族の抗議の焼身自殺が連綿と続いている現況に対し上記①4>「覇権や覇権主義的行動を求めない」と主張できる厚顔無恥も凄まじい。
流石は「嘘も百回言えば本当になる」国と、感嘆すべきところか。
かくも牽強付会にして厚顔無恥である中国国防白書であるから、上記①5>「中国軍の任務を領土、領海、領空の防衛と定義した。」所で、全く安心出来ない。何しろ我が国固有の領土で、上記①2>で我が国を批難までしている尖閣諸島はおろか、沖縄までも「核心的利益」などと公言しだしたのが支那・中国共産党政権なのであるから。以前から「核心的利益」と称し続けている、中華民国・台湾も含めて、上記①5>で言う「領土、領海、領空の防衛」は、「侵略宣言」に他ならない。
左様な次第であるから、上掲②産経社説で、
②1> 「責任ある大国」であるべき中国の国防白書は、プロパガンダ文書にすぎず、嗤(わら)うほかない。
と揶揄されるのも、無理からぬところである。
だがしかし、章題にもした通り産経社説の占めの一文、上記②1>に私としては「全面的に首肯」は出来ない。
何故ならば、現在大陸は支那を「支配」している中国共産党政権は、幾つもの虚構の上に成立した、いわばプロパガンダに支えられた体制であり、それ故に「中国の公式文書」は大なり小なり「プロパガンダに違いない」からである。
虚構の一つは、未だ一党独裁体制を敷く中国共産党が党名にしている「共産主ある。その虚構性は前世紀末に共産党の御本尊ソ連の共産党が一党独裁体制を崩壊させることで、「身を以って実証して見せた」所である。
二番目の虚構は、経済大躍進をもたらした「社会主義市場経済」であろう。これは第一の虚構「共産主義」とも密接に関わるが、「市場経済」の方で利益と経済効率を追求しつつ、「社会主義」の方で国家統制・国家保護を利かせるものだから、不良債権ならぬ「不良国営/半国営企業の乱立」を招きかねず、どうも実際に招いてしまっている。
三番目の虚構は、習ナントカが先頃の演説で多用した「大中華民族」ないし「大中華の栄光」だろう。「大中華」ったって現在「中華人民共和国」を構成する民族は漢族を筆頭に五十六もあるそうだから、「大中華に属するのは何処までか、或いは全五十六族を包含するのか」と言う「線引きの問題」もさることながら、沖縄まで「核心的利益」なんて言い出すものだから、「琉球族」ないし日本人を「大中華」に含めるかと言う大問題が、逆に「大中華の虚構性」を明らかにしている。
かくも多くの虚構に支えられた体制は、その虚構故にプロパガンダに頼らざるを得ない。中国共産党政権が、各種報道からサイバー空間まで情報操作に尽力するのもその故だろう。況や「政府御用達」の公式文書を、プロパガンダに利用しない、訳が無い。
我が国では盗人にもあるとされる「三分の理」すらない「強盗の理屈」を、中国国防白書なる公式文書で公言できてしまうのは、プロパガンダ文書なるが故、である。
<注釈>
(※1) アルキメデス以前-