応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/


 端的に言って、私はAFP通信と言うメディアを信用していない。ミサイル発射実験では北朝鮮ベッタリの報道で「日本は北朝鮮ミサイルを迎撃するな」と抜かす(※1)し、Ady Gill号沈没の際には狂犬SSの発表を右から左に流すモンで「Ady Gill号が二度沈んで」いる(※2)。福島原発事故にも相当ひどい記事があったが、この記事は…実に、NHKラジオ放送ニュースよりも酷い。

 上掲記事は、記事タイトルにもなっている通り、WHOの報告書として福島原発事故の影響見積りが示され、「福島原発付近で「がん発症リスク増」」と報じられたと言うモノ。具体的には当該記事中の以下の数行こそがその「がん発症リスク増」だ。

1>  報告書によると、福島原発の20キロメートル圏内では、
2> 乳幼児期に放射能にさらされた女性が甲状腺がんを発症する確率は1.25%だった。
3> これは、一般の日本人女性が甲状腺がんにかかる確率(0.75%)と比べ、70%高い。

…これだけ読んで、貴方はどう感じるだろうか。福島原発から20キロ圏内では、今後甲状腺がん発生率が1.7倍に跳ね上がる!と、誤解しないだろうか。

 左様、誤解である。繰り返す、誤解である。それもトンデモナイぐらい酷い誤解。

 上記1>~3>だけ読めば上記のような誤解も無理はない。確かに、上掲AFP通信報道
では福島原発から20キロ圏内では、今後甲状腺がん発生率が1.7倍に跳ね上が
る!」と誤読させ得る要素に満ち満ちている。その上、問題のWHO報告書に上記1>~
3>の記述が有る事は、私が聞いたNHKラジオニュースでも触れていたから、「嘘は吐いていない」。

 だが、嘘を吐かず、本当の事だけを並べても、真実には程遠い虚像を伝える事はできる。左様、捏造報道や、虚報に依らずとも、偏向報道でも十分情報操作はできるのだ。
 NHKラジオニュースでは報じられ、上掲AFP通信では伝えられない報道事項(※3)を思いつくまま列挙すると、以下の様になる。

 ① 甲状腺ガン発生率が1.7倍と推算されたのは、福島原発20キロ圏内でも最も放射線量が高い地点である(※4)。

 ② モデルとした地点は避難命令が出されて居り、現在そこに住む人はいないが、報告書のモデルはここにずっと住み続けた人を設定している。
 
 ③ 報告書のモデルは上記①地点産の、出荷検査に引っかかるモノもある飲食物を、恒常的に飲食し続けている。

 上記①~③「実際には無い仮定」に加えて、零歳女児(※5)と言う最も放射線の影響を受けやすいモデルを設定しての「実際には無い程の、最悪中の最悪ケースで最大限被害を見積もって(※6)」それで漸く上記2>「甲状腺ガン発生率で1.25%」上記3>「一般日本人女性の1.7倍」である。

 放射性物質拡散予測結果の公表が遅れて避難が遅れただのなんだのと批難されていた日本政府や原子力規制委員会であるが、このWHO報告書はそんな「遅れ」は些かの影響も与えなかっただろうと、いわば「お墨付き」を与えた形だ。

 だからであろう、上掲記事冒頭や末尾にある通り、自称「環境保護団体」とやらが、当該WHO報告書を批難しているのは。

4>  国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は、この報告書を激しく非難している。
5> 同団体の核放射線専門家、Rianne Teule氏は「WHOの報告書には欠陥があり、
6> やるべきことの半分しか終えていない」と語り、
7> 「この報告書は明らかに原子力産業を保護するという政治的目的を持ったものであり、
8> 人々の健康を重視した科学的報告書ではない」と非難している。

 GPの言う事は相変わらず訳が分からないし、どうせ「福島原発事故の被災者は、バタバタと放射線症で死んでいく」と言う報告書以外は受け付けそうにないが、何が「欠陥」で何を「やるべき事」と主張して居るのか、明示しなければ議論も何もな始まらないぞ。

 ま、ハナッから議論する気も無ければ、議論できる状態でもないからこそGPなのであろうが。

 GPなんざぁどうでも良い事であるが、上掲記事の報じるWHO報告書は、報じられる事実を冷静に読めば、以下の様に読むのが正しかろう。

 【1】 福島原発事故後の住民避難には、一定の意義があった。但し、地域的にも年齢的にも現在実施されているほどの広範な避難は不要であったろう。これは後知恵でしかないし、広範な避難は「安全側」ではあろうが、今後の参考となろう。

 【2】 現在実施されている福島原発周辺の強制避難は、程なく少なくとも一定範囲で解除できるだろう。福島原発事故からの復興を、スタートできるだろう、という事だ。

 【3】 以前から明白だったことであるが「震災ガレキ受入れ反対」などと言う人非人どもの所業は、益々その人非人さを鮮明にするだろう。



<注釈>


(※1) 当該実験時に日本が北朝鮮ミサイルを迎撃する事態は、北朝鮮ミサイルが予定のコースを逸れて我が国土に落下しかねない事態だ。これを「迎撃するな」と言うのは、「座視しろ」と言うのに等しい。 

(※2) 但し、その二度の相矛盾する「Ady Gill号沈没」記事へのリンクを未だに保存している点は、大いに評価している。朝日なんざぁ見習ってほしいぐらいだ。


(※3) 当然ながら、「報道されない事実」と言うものも、常に存在するだろう。 

(※4) たしか、NHKラジオでは具体的な町名を挙げられ、その町の町長の「遺憾の意」も報じていた。
 さらには、これはうろ覚えだが、「福島原発20キロ圏内でも、その町以外の地点の放射線量では、甲状腺ガン発生率に有意な差は無かった」と報じていた。 

(※5) これもNHKラジオは報じていた。単なる「女の乳幼児」ではなく。 

(※6) NHKラジオニュースでも「最大限の被害」とは報じていた。