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どうもある種の人間、特に自称「人権団体」と言う方々の一部は、無人機と言う奴を目の仇にしているらしい。分けても「無人機による攻撃」となると、以前記事にもした「自律無人兵器による攻撃は条約で禁じるべきだ」と言う結構な無理難題を主張する「人権団体」まである始末。
だから、なんだろうな。「無人機攻撃」に対し、国連の調査が入る、んだそうな。
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転載開始=========================================
米空軍無人機は違法ギリギリ… 専門家「絶望的なほど透明性に欠けている」
http://sankei.jp.msn.com/wired/news/130205/wir13020507130000-n1.htm
2013.2.5 07:13 [米国]
無人機は近年、米国がますます利用を増やしている技術であり、多くの法律専門家が反感を示している。
無人機「MQ-9リーパー」も、まもなく国連の調査対象になる。
国連は、以前から違法性が指摘されている米国政府の標的殺害プログラムに対し、調査に乗り出すことを明らかにした。
今回の調査は、国連でテロ対策や人権問題に関する特別審査官を務めるベン・エマーソンの主導で行われる予定。調査対象地域にはアフガニスタン、パキスタン、イエメン、ソマリアなど、米国の武装した無人航空機や特別作戦部隊が活動する国々が含まれる。また、パレスチナ自治区もこのなかに入っており、ハマスに対するイスラエルの標的攻撃も調査対象になると見られている。
エマーソン氏らにとっては、特に無人機を利用した標的殺害に対して、どんな法的枠組みを適用できるかが焦点となりそうだ。無人機は近年、米国がますます利用を増やしている技術で、多くの法律専門家が反感を示している。現時点で、国際的に認知されている武力紛争の事態にあるのはアフガニスタンのみだが、米国ではアフガニスタン外での攻撃も合法となっている。この合法性は2001年の議会制定法に基づいたものだが、米国の攻撃が今年パキスタンにまで広がっていることを認識している国々は多くはない。
また、国連は民間人の犠牲に関する実質的証拠を厳密に調査する予定だが、その結果、無人機や奇襲部隊の攻撃で死亡した民間人犠牲者の数に関する、国際的な基準が初めて作られる可能性がある。無人機による民間人犠牲者の増加には大きな非難が集まっているが、米政府はこれまでほとんど正式に認めていなかった。
エマーソン氏はロンドンで行われた記者会見のなかで、まずは無人機の攻撃で犠牲が出たと見られる25件のケースに注目するつもりだと語った。Guardian紙は、エマーソン氏がいわゆる「ダブルタップ」攻撃--無人機が一度攻撃した場所へ短い時間の間にあらためて攻撃するというもの。救助員など、集まってきた人々が犠牲になることも多い--に懸念を示していたと報じている。
無人機の利用に批判的な専門家たちは、今回の調査開始報道に歓迎の声を上げている。米国の無人機利用に関して、違法ギリギリのものだとする警告も、国際法の専門家の間から挙がっていた。米国自由人権協会のヒナ・シャミは、「一部の人々を密かに敵と断定し、彼らを関係の無い民間人も含めて殺害するという米国が主張する権限には、事実上どの国も賛成していません」と話す。「これまで米国政府の標的殺害プログラムは、絶望的なほど透明性と説明責任に欠いていたのです」(シャミ氏)
※この翻訳は抄訳です。
=================================転載完了
違法性の根拠が曖昧
さて、如何だろうか。
私は、法律に関しては素人だと告白しなければならない。それにしても当該記事で無人機攻撃に対して懸念を表明していると言う「法律専門家」達の主張は非常に曖昧だ。当該記事を私が読む限り、「違法」とされる根拠は以下の何れかのように思われる。
(1) 「無人機による攻撃・殺害」であるから「違法」
(2) 紛争地域と認定されているアフガニスタンのみならず、周辺諸国でまで「攻撃」が実施されているから「違法」(※1)
(3) 「民間人を攻撃・殺害」しているから「違法」
当該記事のタイトルからすると、上記(1)が「違法である理由」でありそうである。以前記事にした「自律ロボットによる攻撃・殺人は非合法とすべきだ」と言う「人権団体」とも相通じるものがある。だが、先行記事に「非合法とすべき」とあったぐらいだから、未だに「非合法になって居ない」筈であり、上掲記事で「国連でテロ対策や人権問題に関する特別審査官を務めるベン・エマーソンの主導による調査」が実施される理由にはなりそうにない。
上記(2)は、中ほどのパラグラフにある事から、「ひょっとして」と考えたが、無人機攻撃に限らず「殺害場所情報」の隠匿・改竄は事後ならば容易だろうし、「これから実施される/実施されそうな越境攻撃」を妨害・阻止するぐらいしか効果は望めそうにない。それとて「基地から離れた遠隔地への攻撃」となると、調査側からすると「お手上げ」だろう。
上掲記事にある通り、「国連は民間人の犠牲に関する実質的証拠を厳密に調査する予定」だそうだから、「違法」とする理由はどうやら上記(3)であるらしい。だが、
1> 無人機や奇襲部隊の攻撃で死亡した民間人犠牲者の数に関する、
2> 国際的な基準が初めて作られる可能性がある。
とまで報じられて居るが…ソリャ「可能性」位ならあるかも知れないが、そんな基準が「作られる」なんて、或いはそんな基準が米軍なりほかの軍隊なりを規制できるなんて全く信じられない。「規制して欲しい」と言う願望・希望は理解できるが、第2次大戦中からベトナム戦争まで、「民間人を殺傷する目的」で実施されたのが戦略爆撃・「北爆」である。ベトナム戦争時代の「北爆」は、第2次大戦程遠慮なく戦略爆撃した訳ではないが、「民間人を殺傷する目的」で実施された爆撃である事に相違はない。
第一、「無人機や奇襲部隊の攻撃で死亡した民間人犠牲者の数に関する、国際的な基準が初めて作られる」ならば、これまた「そんな基準は今は無い」のだから、東京裁判宜しくその「基準」が「過去に遡及して適用」でもされない限り、「今まで実施された民間人に対する攻撃・殺害」は「違法」になりようがない。まだ「法律(基準)が無い」のだから。
となると…最初の疑問に逆戻り。当該記事タイトルにもなっている「法律専門家が違法ギリギリと評価する米空軍無人機」と言うのは、一体何を以って「違法」ギリギリとされているのか。
3〉 「これまで米国政府の標的殺害プログラムは、絶望的なほど透明性と説明責任に欠いていたのです」
と言うのも「無人機による民間人攻撃」を違法とする根拠にはならないし、
4〉 「一部の人々を密かに敵と断定し、彼らを関係の無い民間人も含めて殺害するという
5〉 米国が主張する権限には、事実上どの国も賛成していません」
と言うのも、「米国以外の賛成が無い」と言うだけで、国際的非難は浴びるかもしれないが、いかなる法律にも「反している」とは言えない。
無論、上記3〉~5〉は上掲記事にある通り、「米国自由人権協会のヒナ・シャミ氏」の言葉であるから、「違法性の根拠」を示して居なくても、異とするには足らないが、
6〉 米国の無人機利用に関して、違法ギリギリのものだとする警告も、
7〉 国際法の専門家の間から挙がっていた。
と報じられた「国際法の専門家」は、一体どこのなんという「法律」に基づいて「米国の無人機利用」を「違法ギリギリ」と断じたのかね。
「ギリギリ」なんて微妙な判定ができる以上、その「法律」は極めて明確明白にある筈、なんだがね。
<注釈>
(※1) 最初は、こう解釈したのだが・・・・
補足
ウィキペディアの「戦時国際法」によると、「主に1977年に署名された「1949年8月12日のジュネーブ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書」によって、(中略)攻撃実行においては主に3つの規則が存在する。第1に軍人と文民、軍事目標と民用物を区別せずに行う無差別攻撃の禁止を定めている。これによって第二次世界大戦において見られた都市圏に対する戦略爆撃は違法化されている。」そうである。署名されたのが1977年であれば、ベトナム戦争は終わっているから、「北爆」も第2次大戦の戦略爆撃同様にこの「国際条約」には抵触していない。
とは言え・・・その後もしばらく続いた冷戦時代の攻撃目標が、上記「国際条約」を遵守していたとは、到底思えない。
戦略爆撃は、上記「国際条約違反」であろうとも、必要とあれば実施されるものと、考えるべきであろう。
さはさりながら、上記「国際条約」が、上掲記事にある「民間人攻撃の違法性」の根拠たり得るとは、言えそうだ。
人間、一生勉強の種は尽きないねぇ。