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当ブログでF-4EJファントムの後継であるF-Xを扱うのも久しぶりだ。以前から主張して居る通り、我が国のF-X=F-4EJ後継機について、当ブログは「理想はF-22ライセンス国産。次善はEFA Typhoonで国内防衛産業育成」を主張してきた。その主張は残念ががら通らず/叶わず、F-35がF-Xに選定されてからは、殆どF-Xを記事にしていないと思うから…本当に久しぶりだ。
そのF-35に「武器輸出三原則が障壁」になっているそうだ。
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転載開始=========================================
戦闘機F35の日本製部品提供に暗雲 武器輸出三原則が障壁に
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130129/plc13012908070008-n1.htm
2013.1.29 08:06 )
航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)として導入する最新鋭ステルス戦闘機F35Aライトニング2への日本製部品の提供をめぐる問題が、日米両政府の懸案として浮上していることが28日、分かった。両政府は日本国内に部品製造と修理の拠点を設ける方向で協議中だが、日本政府内で、国内で製造・修理する部品をイスラエルに提供することが「武器輸出三原則」に抵触するとの意見が出されているためだ。来月の日米首脳会談でも厳しい議論になるとみられる。
政府は昨年6月、F35について平成28年度に取得する4機分を米政府と契約、最終的に42機を調達する。FXの選定では国内の戦闘機の「生産基盤維持」も重視し、F35は最終組み立てに加え、機体の4割にあたる部品の製造に日本の防衛関連企業を参画させることを目指している。
日米間では、両国以外でF35を導入する国にも、日本国内で製造した部品を提供する方向で調整が進められている。日本の関連企業が在日米軍や他国軍の機体を修理することも想定しており、日本はF35の「部品製造・修理拠点」と位置づけられる。
武器輸出三原則に抵触するとの指摘は、イスラエルがF35を購入する契約を締結していることによる。イスラエルはイスラム原理主義組織ハマスと停戦中だが、戦闘が再開される恐れがあるほか、核開発を進めるイランを攻撃する可能性も指摘される。
三原則では「国際紛争の当事国かその恐れのある国」への輸出を禁じている。政府は23年12月、三原則を緩和し、米国以外の国と装備品を共同開発・生産できるようにしたが、「国際紛争の助長回避」の原則は維持している。
このため外務省内で「イスラエルへの部品提供は控えるべきだ」との慎重論が出ている。これに対し防衛省側は「現時点で提供国を細かく詰める必要はない」と主張している。
米側も日本政府内の意見対立を把握。日本がイスラエルを部品提供国から除外するのであれば「部品製造・修理拠点」を韓国に置くことを検討しているという。そうなれば防衛関連企業への打撃は深刻で、機体価格のさらなる高騰を招きかねない。
米政府は、日本に拠点を置くことを期待しているが、日本政府高官は「(米国は)意見対立が長引けば見切りをつける」と危惧している。
=================================転載完了
「イスラエルに輸出」って、イスラエルの方がF-35開発計画では先輩だろうが
さて、如何だろうか。
私の所感は、タイトルにした通りである。F-35が、寄って集っての(*1)国際共同開発機であり、F-35の開発について、日本はイスラエルより遥かに後発であるって事は、F-X選定時から判って居た事だ。
そのF-35をF-Xに選定するのは、少なくとも一定の国内防衛産業への波及効果を見込んでの事。F-35が国際共同開発機であり、イスラエルがシンガポール共々優先顧客となっている事は、F-X選定段階でも判って居た事。であるならば、今回槍玉に上がった「F-35の国産部品がイスラエル向けに輸出される可能性」は、少なくとも考慮されて然る可きであるし、それを考慮した上でのF-X選定であるべきだろう。
それが今更問題を蒸し返されているのならば、蒸し返す外務省の方が阿呆だろうが、
1〉 このため外務省内で「イスラエルへの部品提供は控えるべきだ」との慎重論が出ている。
2〉これに対し防衛省側は「現時点で提供国を細かく詰める必要はない」と主張している。
と報じられているから、少なくとも防衛省は外務省に「阿呆!」と言ってはいないらしい。
それどころか上記2〉「現時点で提供国を細かく詰める必要はない」との防衛省の主張は、「F-35の国産部品がイスラエル向けに輸出される可能性」に「目を瞑って/考慮に入れないで F-XにF-35を選定した可能性」を示唆している。
もしそうならば、「阿呆!と罵られるべきは防衛省の方」と言う理屈も、一応成り立つだろう。
だが、防衛省の方を「阿呆!」と罵り、「武器輸出三原則」に則り、「F-35の部品をイスラエルに輸出しない」事に決めた結果、
3〉 日本がイスラエルを部品提供国から除外するのであれば
4〉「部品製造・修理拠点」を韓国に置くことを検討しているという。
5〉 そうなれば防衛関連企業への打撃は深刻で、機体価格のさらなる高騰を招きかねない。
となる事態を、看過/黙許/許容すべきであろうか?
Negative.否定。それは我が国の国益に反する。
上記5〉の通り我が防衛産業への悪影響は、「武器輸出三原則」に則った場合の利益・メリットなんぞでは全く埋められない。「平和国家」と言うイメージは、宣伝には役に立つかもしれないが、いざと言うときは全く当てにならない「抑止力」であり、「武器輸出三原則」が「平和国家」と言うイメージに与える好影響と言うのも甚だ曖昧・観念的・妄想的でしかなく、平たく言えば「タダの願望」でしかない。
従って「武器輸出三原則」と「我が国の防衛産業利益」が相反するならば、優先すべきは後者であって、前者ではない。
端的に言って、我が国が武器輸出三原則を遵守して「イスラエルに日本製武器部品を輸出しない」事によって、何のメリットがあろうか。自己満足と自己陶酔以上のメリットは、私には全く検知・感知・察知できない。敢えて見出すならば、「イスラエルに敵対する回教国及びイスラム過激派に対するアピール」がメリットかも知れないが…回教国は未だしも、テロリストに阿ったって、国益になんかならず、むしろ逆だろう。
武器輸出三原則なんざ、国際公約でもなんでもない。唯の「我が国の内規」でしかない。
従って、F-X=F-4EJ後継機としてF-35を導入する以上、それに伴う「武器輸出三原則違反」は例外とするか、武器輸出三原則そのもを変更するか、何れかを為すべきである。
まあ、今ならまだ「EFA Tyaphoon大復活!」って選択肢も、期待したくはなるが・・・でもねぇ。ダッソー社のミラージュ戦闘機の輸出実績を考えると、Typhoonだってこの先どこへ輸出されるものか、判ったもんじゃぁないよ。
<注釈>
(*1) 主開発国:アメリカ合衆国レベル1:イギリスレベル2:オランダ イタリアレベル3:カナダ トルコ オーストラリア ノルウェー デンマーク優先顧客(SCP):イスラエル シンガポール