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さて、次に記者自身だが・・・
1〉 現場で発見された拳銃2丁とセミオートマチック・ライフル1丁は、容疑者の母親が合法的に購入したものとみられている
2〉 容疑者が犯行で使ったとされるブッシュマスター(Bushmaster)0.223やM4カービンといったアサルト武器の所有や譲渡は禁止されている。
次に、より重要・致命的な点なのが、上記1〉と上記2〉の「齟齬」である。この「齟齬」には少々説明が必要だ。
① 上記1〉で言う「現場で発見された拳銃2丁とセミオートマチック・ライフル1丁」と言うのは、当然「犯人が犯行に使用した銃」と解釈できる。上記1〉ではこの「拳銃2丁とセミオートマチック・ライフル1丁」を「合法的に購入したもの」と報じている。
② ところが、上記2〉で「容疑者が犯行で使ったとされるブッシュマスター(Bushmaster)0.223やM4カービンといったアサルト武器」が登場する。でさらに「所有や譲渡は禁止されている」とまで報じられている。
③ さて、ここで妙な疑問が発生する。上記①で言う「セミオートマチックライフル1丁」と、上記②で言う「容疑者が犯行で使ったとされるブッシュマスター(Bushmaster)0.223やM4カービンといったアサルト武器」は、同じ銃を指すのか、否か。
④ 上記③の疑問が「Yes 同じ銃を指す」ならば、普通に考えても妙な事になる。上記1〉で「合法的に購入した」銃が、上記2〉では「所有や譲渡は禁止されている」となって居る。この二つの記述を矛盾させないためには、「購入は合法だが、所有や譲渡は違法になって居る」と言う「超法規的措置」が必要になる。購入したものは、普通は所有する事になるのだから。
⑤ 銃に関するある程度の知識があると、上記③の疑問に「Yes 同じ銃を指す」と言うのはさらに混乱を引き起こす。「アサルト武器」なる訳のAssault Weaponの定義は中々難しいと上掲記事にもあるが、それは兎も角、「ブッシュマスター(Bushmaster)0.223」「M4カービン」は、普通は「全自動射撃ができる銃」であり、上記1〉の「セミオートマチック・ライフル」=「半自動射撃しかできないライフル銃」と言う表現に該当しない。
⑥ 上記④、⑤からすると、上記③の疑問は「No 違う銃である」と考える方が筋が通ってしまう。即ち、上記1〉「現場で発見された拳銃2丁とセミオートマチック・ライフル1丁」の他に「ブッシュマスター(Bushmaster)0.223やM4カービンといったAssault Weapon」が(少なくとも)もう1丁あり、それが犯行に使われたのだ、と解釈したくなる。
ところが、AFP通信の続報があって・・・
転載開始=========================================
【2】凶器は米軍使用「M16ライフル」の民間モデル、米小学校銃乱射事件
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2917477/10015162
2012年12月19日 17:39 発信地:ワシントンD.C./米国
【12月19日 AFP】米コネティカット(Connecticut)州ニュータウン(Newtown)の小学校で起きた銃乱射事件で使われた銃は、米軍がベトナム戦争以来使用している殺傷力の高い「M16アサルトライフル」の民間向けモデルで、米国内のどこでも合法的に購入できるものだった。
警察当局の発表によると、アダム・ランザ(Adam Lanza)容疑者に殺害された犠牲者の大半はブッシュマスター・ファイアアームズ・インターナショナル(Bushmaster Firearms International)製のライフル「AR-15」で撃たれていた。AR-15は.223口径の弾薬を使用するが、これは北大西洋条約機構(NATO)軍の5.56mm弾と同等のものだ。
AR-15は第2次世界大戦や朝鮮戦争で使われたライフルよりも軽く、その弾丸は防弾チョッキや鉄製ヘルメットを貫通し、秒速1000メートル近くの速度で600メートル先の敵兵を倒すよう設計されている。
■多くの銃乱射事件で使用
AR-15はまた、M16ライフルの銃身を短くした「M4カービン」の基になったモデルでもある。M4は現在、米軍によりアフガニスタンなど世界各地で使用されている。今年7月、映画「バットマン(Batman)」シリーズ最新作の公開初日に米コロラド(Colorado)州オーロラ(Aurora)の映画館で銃を乱射した犯人もAR-15を使っていた。
AR-15は、「ベルトウエー・スナイパーズ」として知られるジョン・アレン・ムハマド(John Allen Muhammad)元死刑囚とその義理の息子リー・ボイド・マルボ(Lee Boyd Malvo)受刑者が2002年に首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)近郊で10人を殺害した連続狙撃事件でも使われた。
M16はこれまで『地獄の黙示録(Apocalypse Now)』や『ランボー(Rambo)』など、数え切れない数の映画のほか、人気戦争ゲーム「コール オブ デューティ(Call of Duty)」にも登場している。
M16の民間モデルは、米軍が1960年代から使用しているものと事実上同一のモデルで、フルオートマチックでない点だけが異なる。M16は引き金を引き続けることで連射が可能だが、セミオートマチックの民間モデルは、1発ごとに引き金を引く必要がある。
■10万円未満で購入可能
米議会は1994年にアサルトライフルや10発を超える弾丸が入る大容量弾薬装填装置を禁止したが、この措置は共和党政権下の2004年に期限切れを迎えた。米国では軍用アサルトライフルの所持は現在も違法だが、セミオートマチック・アサルトライフルは全く合法的に所持することができる。
ブッシュマスター社の親会社であるフリーダム・グループ(Freedom Group)は、自社を米国最大のセミオートマチック銃器製造業者だとしている。
セミオートマチック・ライフルは「モダン・スポーティングライフル」とも呼ばれている。ブッシュマスターのAR-15は「ハンティング、競技、自宅防衛、そして戦術的仕様」に適したモデルとうたわれて、インターネット上で1000ドル(約8万4000円)を下回る価格で販売されている。
■増える米国内の銃器
米司法省のアルコール・たばこ・銃器取締局(Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives)によると、2011年に米国で製造されたアサルトライフルは約230万丁に上り、これとは別に約100万丁が輸入された。
米国立司法研究所(National Institute of Justice)によると、米国人が所有する銃器の数は1994年には1億9200万丁だったが、2007年には2億9400万丁に増加。うち1億600万丁が拳銃、1億500万丁がライフル、8300万丁がショットガン(散弾銃)だった。米国に出回っている銃器の数は、民間人2人につき約1丁の割合だった1968年からほぼ倍増し、現在はおよそ1人につき1丁という計算になる。(c)AFP
=================================転載完了
解決した疑問、残った疑問
と言う事だそうで…上記③の疑問に対する答えは「Yes 同じ銃を指す」であり、その銃はブッシュマスター社製のAR-15。原型を米軍制式軍用自動小銃M-16(*1)とするが民間用に「全自動射撃能力」を外した銃、と判明する。従って、これは上記1〉「セミオートマチック・ライフル」であり、且つ上記2〉「ブッシュマスター社製Assault Weapon」でもある。この点で上記1〉及び2〉の記述に矛盾はなく、その意味では上記③の疑問は「私(ZERO)の銃知識が中途半端なモノであった」事を示す証左だったことになる。
然り。私は「M-16の民間向けモデルに、全自動射撃機能を無くした=半自動射撃のみとした=セミオートマチック・ライフルとしたモデルがある」とは知らなかったし、半自動射撃しかできなくても「Assault Weaponと定義される」とも知らなかった。その意味で、我が不明を恥じる他ない。
だが…上記④の視点に立った場合の、「普通に考えただけ」の場合の疑問は、まだ残るのである。即ち、この「M-16をセミオートマチック・ライフル化した」Assaulte Weaponは、「購入は合法だが、所有・譲渡は違法」等と言う奇怪な「超法規的状態」にあるんだろうか。
だとしたら、そんな「超法規的状態」こそ正に、報道すべき事象ではないのだろうか。上掲【1】【2】記事共に「米国における銃規制」を主題にしているのだから。
如何に、AFP通信。
<注釈>
(*1) その発展型がM-4カービンで、こちらは現用だ。