応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
「未来の党」の主張する「電力供給地域の経済・雇用対策」
「卒原発」と言いながら、まともに代替エネルギーを考えていない割には、「電力供給地域の経済・雇用対策」はいくらか項目があるようだが…やはり上掲【2】から拾っていくと、以下の通り。
【2】(1)②「電力システム改革の断行」は「再生可能エネルギーの普及、新しいエネルギー産業の創造の基盤をつくる。」そうだが、「電力システム改革の断行」自体はやはり経済・雇用対策でもなんでもなくて、唯の「経済・雇用対策支援」でしかない。「ビジネスチャンスを作る」ではあるかも知れないが、それが「経済・雇用」につながると言うのは、捕らぬ狸の皮算用だ。
【2】(1)⑦「廃炉地域経済シフトプログラム」は…『原発停止及び廃炉に伴う原
発立地地域の雇用や経済への影響緩和と活性化のための地域経済シフトプログラムを実施する。』…これで全文。呆れる他ないトートロジー・同義反復の見本、というより「廃炉地域経済シフトプログラム」を『』内では「地域経済シフトプログラム」としか言ってないから、「廃炉」の有無が違うだけ。「同義反復」どころか「同語反復」と言うべきで、これがまだ出来たばかりとは言え相応の数の議員様を擁する政党の公式HPに、その政党のブレーンとされる人の氏名・履歴・顔写真入りで公開されているんだから、厚顔無恥と言うか、無知は力と言うか…
まあ、「未来の党」が厚顔無恥だろうが無知だろうが、私の知った事ではないが、少なくともこの【2】(1)⑦「廃炉地域経済シフトプログラム」と言う項目で同党は、「地域経済シフトプログラムを実施する」と言うばかりで、どんなプログラムを実施するかさえ記述していないのは、疑いようのない事実だ。
【2】(1)⑧「廃炉・廃止に伴う財政支援措置」と言うのも、同様だ。全文で『過渡期の混乱を避けるため、発送電分離を含む電力システム改革を前提に、原発廃炉や六カ所再処理工場の廃止措置に伴う財政支援措置を実施する。』では「財政支援措置を実施する。」としか言っておらず、こちらの方は正真正銘掛け値なしの「同語反復」。ま、「財政支援措置」と言うのは、要は「国から金を出す」しかないから、「地域経済シフトプログラム」よりは遥かに具体的であり、東京新聞の言う「大きな枠組みとして統一的な考え」レベルである、とは言い得そうだが。
【2】(2)⑤「地域分散型の再生可能エネルギーの飛躍的な普及環境」により「内発的・創造的なエネルギー産業を創発し地域の雇用拡大と経済の活性化を図る。」と言うのだから、これも「電力供給地域(を含む地域)の経済・雇用対策」と見なす事にしよう。「再生可能エネルギー」は、発電源としては先述の通り屁のツッパリにしかならないが、「経済・雇用対策」とはなり得る。その理由は「再生可能エネルギーによる発電量は、全量強制的に電力会社が強制的に高価買取させられているから。」管直人がその退陣条件とした再生エネルギー法のお蔭であり、孫正義がぶち上げている「メガソーラー」と同じ穴の貉となる「電力会社による発電全量高価買い上げを前提とした」エネルギー産業だ(*1)。
なるほどこれは、上記【2】(1)⑧の「財政支援」と違って「国の金が直接ばら撒かれる」訳ではない。が、「電力会社に強制的に全発電量買い上げさせている」のだから、「法律による電力会社に金をばら撒かさせている」のである。当然ながらその金は電力会社から出ているのだから、電力会社の唯一の商品・電力の対価・電力料金に反映される。「政府による税金ばら撒き」が上記【2】(1)⑧であるのに対し、こちらは「電力会社による電力料金ばら撒きの強制」と言う事だ。
そんな「ばら撒き強制制度」を「電力供給地域の経済・雇用対策(*2)」として認めたとしても、だ。【2】(1)②「電力システム改革」及び【2】(2)②「開かれた競争的な電力・エネルギー市場の確立」との関係が大問題になる。今でこそ電力会社は地域独占だから、「再生可能な自然エネルギー発電量の全量強制買取」はどの会社に強制すべきかは明白だ。これを「電力システム改革」で発送電分離したとしても、強制すべき相手は決めるだけの話だろう。ところが、「開かれた競争的な電力・エネルギー市場」となると、少なくとも発電会社は複数あろう(*3)。現状では地域独占電力会社に全発電量強制的に高価買取させている「再生可能エネルギー発電量」は、どの会社にどう強制買取させるのか。発電量比例で配分するのか、どこか一社に全量買い取らせる(*4)のか、或いは強制買い取り制度を廃止するのか。
それこそ、「大きな枠組みとして統一的な考え」レベルであれ、示すべきところであろう。
以上の通り、「未来の党」が挙げる「電力供給地域の経済・雇用対策」は、【2】(1)⑧の「国の金ばら撒き」と、【2】(2)⑤の「電力会社に金ばら撒きを強制する制度」だけ。しかも後者は、【2】(2)②「開かれた競争的な電力・エネルギー市場の確立」との間に大いに齟齬を生じている。
<注釈>
(*1) 脱原発への一歩だが、一歩のみ-孫正義の「赤字にならないメガソーラー経営法」 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35344184.html(*2) 理の当然ながら、このばら撒き強制制度で金ばら撒かれるのは、電力供給地に限らない。「再生可能エネルギー」発電者ならば、その「恩恵」にあずかれる。(*3) ひょっとすると、ちょっと想像を絶するが、送電会社も複数化する/させるかも知れない。(*4) その場合、その一社は「不当な競争を強いられる」事になる。下手すると、「強制買い取りを課した会社から次々倒産していく」事になろう。
判定2:「未来の党」の主張は、震災復興の迅速化を妨害している
東京新聞がその「未来の党」発足を寿ぐ社説で挙げた「原発ゼロまでのスケジュールや代替エネルギー、電力供給地域の経済・雇用対策」について「大きな枠組みとして統一的な考え」レベルどころか上述の通りの惨状なのが上掲【2】「未来の党 卒原発カリキュラム骨子」であるが、さらに私が特筆大書したいのは、【2】(1)⑥「震災復興のための震災がれき処理」である。その全文を再録すると、以下の通り。
1〉 震災復興のために被災地のガレキ処理が重要かつ不可欠だが、
2〉 全国各地の国民に不安を与えている現状の広域処理は見直す。
3〉 放射能汚染の拡散リスクを最小化することを最優先した上で、
4〉 廃棄物処理の原則(3R=減らす・再利用・リサイクル)や化学物質・重金属汚染のリスクを慎重に見極めながら、
5〉 柔軟に多様な処理方法を適用しつつ、迅速に進める。
あれこれ述べているが、要は上記2〉であり、早い話が「震災がれき処理受入反対」であろう。上記5〉「柔軟に多様な処理方法」だの上記2〉「全国各地の国民に不安を与えている」だの言い訳しているが、震災からの復興さえままなって居ない被災地での震災がれき現地処理が「現状の広域処理」よりも「迅速になる」訳が無い。それは現時点に於いて震災がれき処理を受け入れている自治体がごく少数であっても、だ。
上記5〉「柔軟に多様な処理方法を適用しつつ、迅速に進める。」などと抜かしているが、「柔軟に多様な処理方法を広域処理に適用」した方が、「柔軟に多様な処理方法で現地処理のみで実施」するより迅速な処理が可能である事は明白だ。にも拘らず上記2〉の通り主張すると言う事は、「全国各地の国民の不安のために、震災がれき処理を遅らせろ」と言う主張・公言・断言に他ならない。それでよくもまあ「震災復興のために被災地ガレキ処理を迅速に進める」などと、言えたものだ。
辛うじて「国民の不安」を「震災ガレキ広域処理見直し」=「被災地以外の震災ガレキ処理禁止/中止」の理由としているから「人非人=人に非ず」と言う非難(*1)を免れているが、人非人或いは無知にして無恥なる「国民」に阿っての「被災地以外の震災ガレキ処理禁止/中止」では、最大限好意的に評価しても大衆迎合・ポピュリズムであろう。
尚且つ、章題にした通りだ、大衆迎合・ポピュリズム・人気取りで、被災地の復興を遅らせようと「公約」している訳だ。「未来の党」は。
<注釈>
結論:「未来の党」は「過去の党」とし、忘却土に叩き込むべきだ
以上長々と述べてきた議論は、全て「未来の党」が掲げるほとんど唯一にして最大の金看板「卒原発」政策、その実現のための「工程表」と「カリキュラム骨子」に基づいている。「未来の党」が実質我が敵・小沢一郎の「今度こそ多分最後の」新党である事も、選挙公示締切に名簿が間に合ったか否か怪しい事も、関係なく、唯、その主張・「卒原発」政策の「実施計画」のみに基づいている。
而して、その「卒原発」政策故に、その「卒原発」政策のみでも、「未来の党」は「過去の党」とされるべきであり、一議席だって与えるのは惜しいぐらいの党である、と当ブログは主張する。理由は先述の通り、その「卒原発」政策の荒唐無稽さ、その具備すべきスケジュールも代替エネルギーも発電地域の雇用経済政策も曖昧にしか提示していない事、加えて「大衆迎合・人気取り・票集めのために震災復興を遅らせよう」と言う厚顔無恥な主張故、である。
如何に、国民。
如何に、「未来の党」。
如何に、我が敵・小沢一郎。