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 東京新聞は、当ブログの言う「三アカ新聞」には入っていない。が、やはり「アカ新聞」である事は再三記事にしてきたところ。分けても凄まじいのがその脱原発原理主義ぶりだが、脱原発と並んで「義務として言わねばならない事」と言うのが「オスプレイ配備反対」と「消費税値上げ反対」なんだから、全く度し難い。
 そのアカ新聞たる東京新聞のコラムが、珍しく自衛隊を誉めているのは、「救難機としてのオスプレイ導入を断念したから」と言うのだが、これまたひどいコラムで…まあ、御一読、願おうか。


転載開始=========================================
【私説・論説室から】 オスプレイやめた自衛隊
2012年11月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2012110502000129.html

正しい判断だったと思う。一九九〇年代前半、海上自衛隊は開発中だった米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの導入を検討したが、「ふさわしくない」として見送った。

当時、海自は海上救難に使う大型飛行艇US1の後継機選びを始めていた。US1は海に着水して遭難者を救出する。ただ、波が高いと降りられない。ヘリコプターなら波に関係なく作業できるが、固定翼機のように高速で長い距離を飛ぶことはできない。

欠点を打ち消すと期待されたのがオスプレイだ。主翼の両端にあるプロペラの角度を変えることで、離着陸時はヘリに、上空では固定翼機に変身する。

海自は調査員を米国に派遣した。当時を知る幹部が言う。「結論はバツでした。ヘリモードで下に吹きつける気流がすさまじく、救難を待つ人が窒息する」

二〇一〇年五月、米ニューヨークのデモ飛行でのこと。高度を下げたオスプレイが木々をなぎ倒し、十数人の観客がけがをした。猛烈な熱も襲った。沖縄の普天間飛行場に配備されたオスプレイが緊急着陸した場合、同じ場面が再現されるのは間違いない。

導入を断念した海自は大型飛行艇US2を開発した。飛行艇は「武器」とみなされておらず、東南アジアのブルネイから購入の打診があった。一機百二十五億円の高価格が障害となり、輸出が実現しないのが残念ではある。 (半田滋)


=================================転載完了

コラムとは言え、ひどい情報操作


 さて、如何だろうか。

 章題にもした通り、当該コラムを「酷いモノ」と私が批難するのは、当然触れて然る可き情報に触れておらず、「故意に情報を操作している公算大」だからである。無論、短いコラムであらゆる付帯情報を詰め込むことは不可能ではあろう
が・・・

1〉 US1は海に着水して遭難者を救出する。ただ、波が高いと降りられない。
2〉 ヘリコプターなら波に関係なく作業できるが、固定翼機のように高速で長い距
離を飛ぶことはできない。

 上記1〉~2〉だ真っ先に気付く可きは、「救難飛行艇US-1」と「-(ハイフン)」が抜けているなんて些事ではなく(※1)①「新明和US-1は世界で最も高い波でも離着水できる飛行艇である事」。それもダントツの離着水性能である事だ。大東亜戦争中の傑作飛行艇・川西二式大艇(※2)の血を脈々と受け継いだ我らが新明和US-1とその発展型US-2は、他の追随を許さない離着水性能を誇っている
 無論、波の高さと天候の間に直接の相関はない。「天気晴朗なれども波高し」と言う事もあり得る。が、「悪天候だが波は穏やか」なんてことは先ずない。悪天候は風が強い、或いは風が強いが故に「悪天候」なのであり、風が強ければ波も高いのが道理である。であるならば、上記①の裏返しであるが、②「新明和US-1が離着水できないほどの海面は、相当な悪天候である」。
 一方で、一般的に③「回転翼機の耐候性は、固定翼機よりも良くない。」理由は考えて見れば当たり前で、垂直離着陸が可能な回転翼機は、固定翼機で言う「翼面荷重=主翼面積当たりの飛行重量」に相当する「ローター回転面積当たりの飛行重量」が小さく、「軽く」なっている。この意味するところは、「風、突風の影響を受けやすい」である。

 上記2〉ヘリコプターなら波に関係なく作業できると言うのは間違いではない。が、東京新聞コラムが触れ様ともしなかった事実=上記①~③が意味するところは、「航続距離ばかりではなく、救難性能と言う点で回転翼機が新明和US-1に比肩しうる可能性は低い」である。少なくともUS-1、US-2は救難飛行艇として、或いは救難固定翼機として、救難性能では世界一であり、史上最強なのである。

 問題は、固定翼機と回転翼機の中間的存在であるオスプレイはどうか、と言う事だ。オスプレイの「ローター回転面積当たりの飛行重量」は普通の回転翼機よりも高く、それ故に風には強い筈であり、それ故にダウンウオッシュが強くなっている。

3〉 「結論はバツでした。ヘリモードで下に吹きつける気流がすさまじく、救難を待つ人が窒息する」

と言うのはその「ダウンウオッシュの強さ」を意味しているのだろうが、「救難を待つ人が窒息する」と言うのは衰弱した救難者を想定したものだろう。そうでなければ、ホバリングしながらロープを伝って兵士を降下させる「ラペリング」は行えない筈だ。
 だが、「衰弱した救難者」と言うのは想定すべき条件であるから、これは「情報操作」とはみなせない。上記3〉「ダウンウオッシュが強くて救難機として導入を断念」と言うのは、ありうる判断理由ではあろう。但し、上記①~③から「オスプレイの耐候性がUS-1と同等ではなかったから断念」と言う公算は相応に大きく上記3〉で「ダウンウオッシュ」を理由にし、上記①~③を「隠蔽」するのは、次の節につなげるため、との疑惑は十分すぎるほどある。

 何しろ、当該東京新聞コラムと来たら、

4〉  二〇一〇年五月、米ニューヨークのデモ飛行でのこと。
5〉 高度を下げたオスプレイが木々をなぎ倒し、十数人の観客がけがをした。
6〉 猛烈な熱も襲った。
7〉 沖縄の普天間飛行場に配備されたオスプレイが緊急着陸した場合、同じ場面が再現されるのは間違いない。

と、墜落の危険性も、騒音も、低周波もダメならばダウンウオッシュと熱風がある!と言わんばかりに「オスプレイの危険性」を強調し、それ故に「オスプレイ導入を断念した自衛隊」を称賛している。

 が…④「海自が救難機として断念した理由のダウンウオッシュも、けが人を出した低空飛行のダウンウオッシュも、全推力発揮可能な状態のオスプレイだ。」このは「意図的な情報操作」とは言い難い。何故ならば、冷静に考えれば上記④は明らかで、その裏返しである⑤「不時着を余儀なくされるオスプレイの推力は、全力の半分以下である公算大」共々、「考えて見れば当たり前の事」だからだ。だが、「印象操作」とは言えそうだ。

 再三繰り返すとおり、オスプレイの双ローターは機械的にリンクしており、そのリンクに支障が無い限り、二つあるエンジンの片方が止まっても推力が半減するだけで大概の飛行は行えるし、不時着も行える。無論、この場合のダウンウオッシュは、全推力発揮垂直飛行時の半分以下である。二つともエンジンが止まる可能性は低いが、そうなったらそもそも問題になるようなダウンウオッシュは発生しない。無論、「猛烈な熱」も同様だ。従って上記⑤の通りとなり、そのことを当該東京コラムは全く無視している。

 而して上記①~⑤の情報操作が、東京新聞が「義務として言わねばならない事」と抜かす「オスプレイ配備反対」を目的としている事は、ほとんど自明である。何しろ、東京新聞自身が「自白」しているのだから。

 ああ、もう一つ情報操作があったな。

8〉 飛行艇は「武器」とみなされておらず

 ⑥「新明和US-1、US-2が「武器」と見なされないのは、救難飛行艇だから。」新明和US-1の兄弟分PS-1は対潜哨戒飛行艇であるし、過去に遡れば戦闘飛行艇=戦闘機として空中戦をする飛行艇もあれば、マーチンP6Mシーマスターの様に核爆弾投下による核攻撃を任務とする爆撃飛行艇だってあったのだから、上記8〉少なくとも説明不足である。


<注釈>

(※1) どう言う訳か世の多くのマスメディアは、この正式名称中の「-(ハイフン)」を省略したがる。ソリャ字数節約にはなるだろうが・・・ 

(※2) どころか、レシプロ飛行艇で二式大艇に勝る飛行艇を、私は知らない。