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以前にも書いたところだが、当ブログの記事で最も手間がかかるのは「社説比較シリーズ」である。而して、その「社説比較シリーズ」記事が題材として面白くなるか否か(*1)は、各紙社説が比較して面白い程度に差があるか否かにかかっている。なろうことなら差は大きい方が良いし、対立している方が良い。往々にしてそんな差や対立は、産経と朝日が提供してくれる事が多いから、「社説比較シリーズ」の比較表は、産経主張とその類似主張を青字、朝日主張とその類似主張を赤字で示すという形式を取っている。
だが、各紙の主張が判で押したように類似の場合や、類似した主張の社説しか共通の問題を扱わない場合は、「社説比較」してもあまり面白くない。少なくとも、題材としては。
沖縄で米海軍所属の米兵二人が性的暴行事件を起こし、逮捕された。これを受けての社説を早速10/18付で掲げたのは、後述の通り、朝日、琉球新報、沖縄タイムス、毎日、東京新聞。前三社は「三アカ新聞」と当ブログでは呼びならわしているし、東京新聞も脱原発原理主義とオスプレイ配備反対を「義務として言わねばならない事」に掲げているぐらいだから立派なアカ新聞(*2)。毎日もアカ新聞仲間と言って良いから、モノの美事にアカ新聞揃揃い踏み。
殆ど生まれつきの右翼である私なんぞとは宗教が違い且つ同じ「アカ教」の新聞ばかり。となるとその主張は大差ないモノでしかない。そうでなくても性的犯罪者なんてのは「女性の敵」として批難の対象となるのは左翼右翼を問うまい。
だが、その「米兵の性的犯罪」をどこまで批難するか、は、アカ新聞の中でも異説があるようだ。
<注釈>
(*1) 記事として面白くなるか否かは、筆者たる私の責任だ。逆に、題材として面白くなくとも、文才によっては、記事として面白く仕立てることが可能であろう。私には、そんな文才はないが。(*2) この二つと並んで「義務として言わねばならない事」と言うのが「消費税増税反対」だと言うのだから、度し難い。
転載開始=========================================
【朝日社説】米兵の犯罪―沖縄の怒りに向きあう 平成24年10月18日(木)
沖縄で、米海軍兵2人が女性への集団強姦(ごうかん)致傷の疑いで逮捕された。
「正気の沙汰ではない」と、仲井真弘多(ひろかず)知事が述べたのは、当然だ。
容疑者2人は米国本土から出張で来ていた。事件がおきたのは未明。その日の午前中に沖縄を出てグアムへ行く予定だったという。「沖縄を出てしまえばわかるまい」とでも考えたのだろうか。
沖縄では、1995年に米海兵隊員3人による少女暴行事件がおき、県民の怒りが燃え上がった。基地の再編や、事件をおこした米兵の扱いをめぐって日米間の交渉が行われた。
だがその後も、米兵による犯罪はなくならない。性犯罪に限っても、この10年余りで中学生への強姦や強制わいせつ、ほかにも強姦致傷、今年8月にも強制わいせつ致傷の事件がおきた。被害者が泣き寝入りし、表に出ない事件もあるとみられている。
沖縄では、米軍によって女性や子どもの身の安全を脅かされていると受けとめる人がふえている。
仲井真知事は「日米地位協定を改定しない限り問題は出てくる」と述べた。
今回の事件は容疑者を基地外で見つけて警察が逮捕したが、もし基地内に入っていれば、米兵や軍属を手厚く守る協定によって、引き渡しに時間がかかっただろう。ほかの事件では、地位協定があることで米兵や軍属が「軍の公務中だった」といった言い分で、日本側が捜査できなかったことがある。
重大な事件がおきるたびに少しずつ運用で見直されているとはいえ、沖縄をはじめ米軍基地を抱える自治体は、協定そのものを変えなければ犯罪は減らないという強い思いがある。
そして沖縄には、安全への心配がぬぐえぬ新型輸送機オスプレイが配備されたばかりだ。不信が募っているときの、この卑劣な事件である。
日本と米国の協調は大切だ。そのことを多くの人が感じている。だが、今回の事件が火種となって、再び沖縄で反基地の思いが爆発することは十分に考えられる。
日米両政府は真剣に対策を講じる必要がある。
沖縄で米兵による事件が多いのは、国土の面積の0.6%にすぎないこの島に、在日米軍基地の面積の約74%が集中している現実が根底にある。
沖縄の負担をどう分かつか。沖縄の外に住む一人ひとりが考えなくてはならない。
【毎日社説】:相次ぐ米兵事件 米政府は深刻さ自覚を
毎日新聞 2012年10月18日 02時30分 http://mainichi.jp/opinion/news/20121018k0000m070131000c.html
繰り返される事件に強い憤りを覚える。「再発防止」はかけ声だけではないか、と思わざるを得ない。
沖縄県で16日、米海軍兵士2人が女性に性的暴行を加え、首にけがをさせたとして、沖縄県警に集団強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された。2人は米テキサス州の基地所属で、任務のため14日に米軍嘉手納基地に入り、16日にグアムに向かう予定だった。
沖縄では、8月18日に米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)所属の海兵隊員が女性に暴行し、強制わいせつ致傷容疑で逮捕されたばかりだ。この時、米側に抗議した日本政府に対し、米政府は事件の再発防止を約束していた。
それから、わずか2カ月後の事件再発である。仲井真弘多沖縄県知事は17日、森本敏防衛相に「正気の沙汰ではない。綱紀粛正という生やさしい言葉でなく、もっと厳しい対応を強く米側に申し入れてほしい」と求めた。再発防止という米側の言葉が信じられないのは当然だろう。
防衛相は、日米合同委員会の開催を米側に求める考えを示し、パリを訪問中の玄葉光一郎外相は「綱紀粛正や再発防止という言葉で片付けられない。抜本的な対策を考えないといけない」と語った。
「抜本的な対策」の中身は不明だが、兵士の教育や私生活を含めた管理強化にとどまらず、日米地位協定の改定を含め、考えられる限りの対策を講じるべきである。
仲井真知事は防衛相に「協定を改定しない限り、彼らは基本的に日本の法律は守らなくていいことになっている」と改定を求めた。協定は、公務外の米兵士が基地の外で起こした犯罪について、基地に逃げ込むなどして米側が先に身柄を確保した場合、日本側が起訴するまで米側が身柄を確保することを認めている。これが日本側の捜査の障害になっている。日米両政府は運用改善によって重大犯罪については捜査段階から身柄を日本側に引き渡すことで合意しているが、協定そのものを改定して日本側の捜査権を強化すれば、事件に対する抑止効果が期待できる。
沖縄では、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備強行や、米軍普天間飛行場の移設難航で、日米両政府や米軍への不満が高まっている。背景には、沖縄に米軍基地が集中することによる過重な負担がある。
ルース駐日米大使は事件について「米政府は極めて強い懸念を持っている」と述べたが、相次ぐ事件は、米軍への信頼を失わせ、日米安保体制そのものをむしばむ。米政府と米軍は事態の深刻さを自覚すべきだ。
米側が被害者に誠意ある対応を示すのはもちろん、日米両政府には、事件根絶のための、納得のいく対策を打ち出してもらいたい。
【東京社説】 米兵女性暴行 沖縄に基地がある限り
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101802000114.html
2012年10月18日
あってはならない事件がまた起きた。米海軍兵二人が二十代の女性に対する集団強姦(ごうかん)致傷容疑で沖縄県警に逮捕、送検された。沖縄に重い米軍基地負担を強いる限り、県民の痛みはなくならない。
米兵による事件・事故の後、繰り返される「綱紀粛正」の言葉がむなしく響く。事件の報告を受けて東京滞在を延ばした仲井真弘多沖縄県知事は、斎藤勁官房副長官を首相官邸に訪ね、「(在沖縄米軍基地は)安全保障上必要だから理解してくれと言われても、こういう事件が起きると無理な話だ」と強く抗議した。
知事に代表される県民の怒りは当然だ。日米両政府に加え、日本国民全体が重く受け止め、自分の痛みとして感じる必要がある。
米軍基地は周辺地域の住民にさまざまな負担を強いる。平穏な生活を脅かす日々の騒音や事故の危険性、米国の戦争に加担する心理的圧迫、それに加えて、今回のような米兵の事件、事故などだ。
日米安全保障条約で、日本の安全と、極東の平和と安全を維持するために日本に駐留する米軍が、日本国民の生命を脅かす存在にもなり得ることは否定しがたい。
在日米軍基地の約74%は沖縄県に集中する。米軍の世界戦略に加え、本土では基地縮小を求める一方、沖縄での過重な基地負担を放置することで平和を享受してきたわれわれ本土側の責任でもある。
沖縄では今、米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備に反対する動きが強まっている。
安全性が確認されたとは言い難い軍用機を、人口密集地が迫り、危険な飛行場に配備することへの反発はもちろん、日米安保体制に伴う負担を沖縄県民がより多く負う差別的政策への怒りでもある。
普天間飛行場の名護市辺野古への「県内移設」では、沖縄県民の負担軽減にはならない。日米両政府は普天間飛行場の国外・県外移設の検討を手始めに、在沖縄米軍基地の抜本的な縮小に着手すべきだ。普天間でのオスプレイ運用も直ちに中止すべきである。
今回は沖縄県警が米兵を基地外で逮捕したが、日米地位協定では米側が先に身柄を拘束した場合、起訴まで米側が拘束できる。日本側は殺人、強姦など凶悪犯罪では身柄引き渡しを要求できるが、米側は拒否できる。
治外法権的な協定は沖縄県民が不平等感を抱く一因にもなっている。運用見直しではなく、抜本的改定に踏み出さねばならない。
=========転載継続==========