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 再三当ブログでは東京新聞を「脱原発原理主義」として糾弾してきている。その東京新聞が「千葉のメガソーラー第1号始動」なんて事象を報じれば、そりゃもう手放しの絶賛になることは間違い様がない。事実、後掲の通りメガソーラー万歳」記事になって居る訳だが、それが如何に「手放し」であるかを脱原発原理主義ならぬ「異教徒」の私としては指摘しない訳には行かない


転載開始========================================= 

【 千葉】メガソーラー始動 県内1号 市原、佐倉で
   2012年10月5日  http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20121005/CK2012100502000115.html?ref=rank

 
県内で稼働し始めたメガソーラーの太陽光パネル=いずれも市原市山田で
 
 
県内では第一号となる大規模太陽光発電施設(メガソーラー=千キロワット超の施設)が今月、市原市と佐倉市で相次いで稼働を始めた。住宅メーカーとNTT子会社による事業で、いずれも異業種からの電力事業参入となる。ほかに少なくとも県内四カ所で稼働準備が進んでおり、六カ所分の出力は三千世帯をまかなう電力に相当する見込み。東日本大震災後に広がる、原発に頼らない社会をにらんだ動きが、県内でも目に見え始めた。 (白名正和)

市原市山田では四日、住宅メーカー「新昭和」(君津市)が遊休地に建設したメガソーラー発電所が開所した。出力は約千九百キロワット。年間発電量は、約六百世帯の一般家庭の消費量にあたる二百十万キロワット時を想定する。

同社のメガソーラーは、県が太陽光発電などの新エネルギーを普及しようと設置したプロジェクトチームの支援も受けた。県は昨年から公募で選んだ太陽光、小水力発電の六つの事業の用地紹介や法令手続きなどを側面支援している。新昭和の事業は、支援する中で初めて稼働したケースだ。

県環境政策課は「新エネルギーの広がりは歓迎する。今後も県として必要なサポートをしていきたい」と話している。

一方、佐倉市江原新田でも、NTTの100%子会社「NTTファシリティーズ」(東京都港区)が建設したメガソーラーがすでに発電を開始。出力約千五百キロワットで、数百世帯分の消費電力を発電すると見込む。

資源エネルギー庁によると、七月から始まった再生エネルギーの固定価格買い取り制度を利用するため、登録手続きした県内のメガソーラーは八月末現在、このほか未稼働の施設が四カ所ある。出力は六カ所で計一万三百九十二キロワットあり、三千世帯の電力をまかなえる計算。県内の総世帯数(約二百五十五万世帯)には遠く及ばないが、世帯数だけで換算すれば、御宿町(三千百四十八世帯)に相当する。

また千葉市は、市の遊休地にメガソーラーを設置する事業者の公募を近く始める。このほか県内では、アウトレット施設や物流倉庫の屋根に発電パネルを置き、数十~数百キロワットとまとまった発電を可能にする取り組みも盛んになってきている。


=================================転載完了

冷たい計算式

 さて、報じられている「千葉で第1号のメガソーラー」について計算により検証してみよう。
 
 出力 1900kW= 1.9MW
 
であるから、一応「メガソーラー」とは名乗れようが、わずかに「2MW」足らず。この「メガソーラー」が1年365日24時間定格発電できると、SF的なまでの仮定(※1)をすると、その「理想的年間発電量」は、 
 
理想的年間発電量 1900kW × 24H  × 365日 = 16644000 kWh
 = 166644 MWh

となる。無論これは「仮想の数字」だ。太陽光発電は原理的に一日の半分、夜間は発電できない。1.9kWの定格出力を発揮できるのは真夏の晴天の昼近くに限られる。だから以前の記事「入・原発論L: http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36713808.html 」 では日本での日照条件を元に、「原発或いは火力発電と同等の発電力を確保するには、大容量畜放電技術が完成した後でも、太陽光発電では約4倍の発電容量が必要。」と推定していた。

 これに対し、報じられる「千葉で第1号のメガソーラー」は

1〉 年間発電量は、約六百世帯の一般家庭の消費量にあたる二百十万キロワット時を想定する。

と報じられているから、見込まれる年間発電量は「二百十万キロワット時」だそうだ。これを上記の、「理想的年間発電量」と比較すると、
 
稼働率  210万kWh ÷ 16644000 kWh = 0.12617 = 12.6%

となり、稼働率は約13%。定格定常運転に対して約1/8である。

 つまり、報じられる記事からわかる事は「千葉にメガソーラーをいくら設置しようとも、フル稼働の火力発電や原発ならばその1/8の発電容量で代替できる」である。それも先述の通り「大容量畜放電技術」と言う未だコンセプトさえ見えない理想的技術が完成普及した後の話であるから、現状に於いては「設置するメガソーラーと同じ発電容量のバックアップ発電所=火力若しくは原発が必要」と言う事である。
 
 これは、現状の太陽光発電が、火力や原発の4倍の高い価格で全量電力会社が強制買い上げしているという、高コストは別にして、である。さらに言うならば、その「火力・原子力の4倍の高価格全量強制買い上げ」制度がなければ、用地代が無料であっても太陽光発電は商売にならないという事実も別にして、である。
 
 当てにするには同容量のバックアップ発電所が必要で(※2)、稼働率は1/8。
 
 事エネルギー政策、電力の安定供給に関する限り、「太陽光発電」と言うのは、趣味若しくは宗教であると、断じるべきだろう。
 
 さすがは脱原発原理主義の東京新聞。しかし発電源として当てにならないんだから、いくらメガソーラーが増えても、「脱原発」とはあまり関係がないぞ・・・と、原理主義者に理を説くのは無駄か。


<注釈>

(※1) 仮定はSF的だが、原発ならばこんな稼働は屁でもないし、火力発電でも燃料供給を絶やさなければ斯様な運転は可能だ。発電手段として火力や原子力と太陽光発電を比較するならば、その土俵はそろえるべきだろう。 

(※2) 否、「同容量のバックアップ発電所が必要」なんだから、「全く当てにしていない」と言うべきだな。