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 TOMJI様という方から、久々に長文のコメントを頂いた。頂いたは良いが、どうにも理解しかねるものがあり、返コメでは埒があきそうにないので、記事にすることにした。以下がそのコメント全文である。
 

基本的なことを一言。①福島原発事故は収束どころか、現在メルトダウンした原子炉の実態さえつかめていない。②危険極まりない地震国日本で第二の福島が起きない保障などどこにもなく、もし起きたら日本は即滅亡である。③事故が起きなくても放射性廃棄物は驚異的に増え続け、その処理方法さえ見つかっていない。未来の日本人に毒を日夜増やし続けている。④CO2削減問題は様々な視点があり、日本だけで解決できる問題でもなく、仮に日本が目標を達成したとしても、世界的にはほんの微々たるものであり、本当に日本だけが背負うべき問題なのか、多くの疑問点があり、「京都議定書」は既に破綻している。・・・・二酸化炭素問題と原発や放射能の危険性は同値ではない。原発は間違いなく人類を、地球を汚染している存在であり、どんな英知を結集しても解決できないことが、科学的に自明ではないか。経済生活や自然エネルギーの難しさはあるが、それらは原発の悪魔性と秤にかけられるレベルではない。問題の次元が違うということが何故わからないんだろう。非常に極端に言えば放射能汚染のなかで札束数えてもしょうがないということ。福島の現実が語っている。  
2012/9/26(水) 午後 6:40 [ TOMJI ]


 一言で評するならば、「悪文」と言うのがふさわしかろう。これは、この文章の趣旨主張とは関係なく、「読み難さ、判り難さ」故の評価である。コメント欄というきつい字数制限の中で判りやすくまとめるには相応に技量も努力も必要だが、「一言」と言いたいことが決まっているならさほどの努力は必要ないはず。「一字」に数えられるので厳しいところであるが、数カ所「改行」を付け加えるだけでも、読みやすさ・判り易さは劇的に向上しよう。

 例えば、これならどうだろう。


 
基本的なことを一言。
①福島原発事故は収束どころか、現在メルトダウンした原子炉の実態さえつかめていない。
②危険極まりない地震国日本で第二の福島が起きない保障などどこにもなく、もし起きたら日本は即滅亡である。
③事故が起きなくても放射性廃棄物は驚異的に増え続け、その処理方法さえ見つかっていない。未来の日本人に毒を日夜増やし続けている。
④CO2削減問題は様々な視点があり、日本だけで解決できる問題でもなく、仮に日本が目標を達成したとしても、世界的にはほんの微々たるものであり、本当に日本だけが背負うべき問題なのか、多くの疑問点があり、「京都議定書」は既に破綻している。・・・・
二酸化炭素問題と原発や放射能の危険性は同値ではない。
原発は間違いなく人類を、地球を汚染している存在であり、どんな英知を結集しても解決できないことが、科学的に自明ではないか。
経済生活や自然エネルギーの難しさはあるが、それらは原発の悪魔性と秤にかけられるレベルではない。問題の次元が違うということが何故わからないんだろう。
非常に極端に言えば放射能汚染のなかで札束数えてもしょうがないということ。福島の現実が語っている。  
2012/9/26(水) 午後 6:40 [ TOMJI ]



 増えたのは8字の「改行」だけ。読みやすさ・判り易さの判断は読者諸兄にお任せしよう。

 閑話休題(それはさておき)・・・
 
 読み難さ・判り難さよりも問題は主張の中身だ。大江健三郎なんざぁ日本語はド下手であるというのに「ノーベル文学賞」なんて頂いてしまっているぐらいだから、きっとその作品にはすばらしい中身が詰まっているのだろう(読んだことがないので知らない。読もうという気にすらならない )で、当該コメントの中身を見れば・・・

1> ①福島原発事故は収束どころか、現在メルトダウンした原子炉の実態さえつかめていない。

 さーて困った。ノッケからサッパリ判らないぞ。何しろ福島第一原発は、事故発生以降おおよそあたう限り厳重な監視体制下にある。だから冷却水の温度が「上昇」しただけでも、自発核分裂によるエネルギーガ観測されただけでも「すわ、再臨界過!」とニュースになる。ニュースになる/ならないはマスコミの恣意的基準によるから、「今ではニュースにならない」と言うことはありうるが、冷却水温もエネルギーも監視されていることは疑いようが無く、例えば再臨界なんて大事は見逃しようがない。再臨界さえ起きなければ「チャイナシンドローム」なんて最悪の事態は回避できる。第一、問題の一号基格納容器内の映像まで撮影され、公開されている( http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120928/k10015347291000.html )と言うのに、何を以て実態さえつかめていないと言われるのか、サッパリ判らない。
 
2> ②危険極まりない地震国日本で第二の福島が起きない保障などどこにもなく、
3> もし起きたら日本は即滅亡である。

 福島原発事故でさえ、放射能による死者はただの一人も出ていない。従って、福島原発事故がもう一度起きたとて、何をどう考えても「日本は即滅亡」なんかにならない。
 極端な話、広島や長崎が喰らった核攻撃=原子爆弾投下さえ一時的に全滅させた範囲は限られるというのに、一体どんな原発事故をどう起こせば「日本列島が即全滅する」事態に至るのか、是非とも伺いたいものだ[Q1]。

4>  ③事故が起きなくても放射性廃棄物は驚異的に増え続け、
5> その処理方法さえ見つかっていない。

 放射性廃棄物の問題は、原発の「古くて新しい」問題だ。基本は長期保管であり、その成否が尽きせぬ議論の対象になっている訳だが、福島原発事故を契機に「脱原発」方針を打ち出した国が、ドイツ、スイス、それに(断固、数えたくないがあえて数えれば)日本だけ、と言う事実や、日本が原発を輸出するベトナムのみならず、半島、大陸、アメリカ、トルコ、ウクライナなど多くの国で「新規原発計画を遂行中」であるという事実は、一つの事しか意味しない。

 「人類の大半は、放射性廃棄物の管理と言う代価を払っても原発によるエネルギーを欲している。

 さらに言えば、ドイツもスイスも欧州にあり、その発達した電力網のおかげで「電力の輸入」が出来る事も想起すべきだろう。ドイツやスイスの「脱原発」は、電力が不足したら「フランスの原発に助けてもらえる脱原発」だ。「我が国由来の原発事故は起こさない」なんて息巻く者のも居るようだが、フランスなどに原発も原子力技術もそれらのリスクも押しつけて、「脱原発」とは片腹痛い。それを自慢するようならば恥知らずと言うべきだし、「電力の輸入」すらできないのにそれに追従するというのは,愚挙にして暴挙としか評しようがない。

 挙げ句の果てに、「原発の悪魔性」と来たもんだ。まさに、信仰と忌避の問題だが、「異教徒」である私にはてんで通用しない。

 原発は発電手段の一つであり、その敷地面積当たり抜群の発電密度も、放射性廃棄物も二酸化炭素排出量や煤煙などと同様、ほかの発電手段と「同じ土俵」で評価されるべきだ。そのためには冷静で定量的な評価が必要であり、原理主義や「信仰」は、不要どころか有害でしかない。

 但し、当該 TOMJI様コメントにも、同意できる点はある。

> ④CO2削減問題は様々な視点があり、日本だけで解決できる問題でもなく

 然り。地球上の二酸化炭素排出量が問題であるならば、真っ先に何とかしなければならないのは中国だ(※1)。
 とは言え、二酸化炭素排出量取引だの、炭素税だのの「ルールづくり」が取り沙汰される以上、それは火力発電所にとっての逆風であり、原子力発電所にとっての順風でもある。脱原発原理主義者としては、都合の悪いところだろう。

 然り。私は TOMJI様を、東京新聞と同様の「脱原発原理主義者」と断じている。異論反論があれば、承ろう。


<注釈>

(※1) 中国の暴走-COP15直前 各国二酸化炭素排出数値目標の比較 見える化版-   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30844339.html