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    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120904/biz12090415370027-n1.htm  より続く
 

「民意の暴走」を回避せよ

 前掲記事の中では、さらに、
 
③1〉 原発の代替となる太陽光など再生可能エネルギーの拡大には、2030年までの累積で50兆円の投資が必要と試算した。
 
などと報じられているのだが、私に言わせれば噴飯ものだ。
 
 何しろ「太陽光などの再生可能エネルギー」の「太陽光」は、夜間は全く発電不可能であり、電気炉や電車を動かせるような大容量の電力蓄積技術が確立普及するまで「原発の代替」になんぞなりようがない(※1)。仮にそんな「夢の大容量畜電技術」が確立普及したとしても、太陽光自体が不安定なエネルギー源であるから、大凡4倍の発電容量が必要であろう、とも推算した(※2)。
 即ち、上記③1〉の試算がどのような根拠によるか、果たして「大容量畜電技術の開発確立普及」を含んでいるのか、太陽光発電自身の原理的不安定性・変動性を考慮に入れているのか不明であるが、後者だけ入れ損なっているだけでも(※3)50兆円が200兆円へと跳ね上がり、なおかつその結果現出する脱原発日本」は、「電力料金が現在の2倍で、原発ゼロだからちょっと安心と言うだけ」の世界である。
 
 「電力料金2倍」を、「大したことない」とか「国民は電力用金より安心を求めている」と主張する輩は多い。何しろ大半が「2030年に於ける原発依存度0%」を「支持」してしまうような国民だから、そんなこともありうるだろうし、倍の電力料金も黙って払うかもしれない。
 だが、「倍の電力料金」は、「倍の電力コスト」でもある。国際競争力激しい現代世界で、「国の決めた脱原発方針」により「2倍の電力コスト」と言うペナルティーを課される事は、大きなハンデだ。「民意」が「脱原発」かますびしいのに対して、経済界からは反発が起きているのも、「2倍の電力コスト言うペナルティー」を恐れるが故であり、家庭の電気料金2倍は許容できても電力コスト2倍には耐えがたい、と言う事であり、「一市民としてよりも、一経営者としての方が冷静冷徹な判断ができる」ということであろう。
 
 それはそうだろう。家庭の電気料金が2倍になってもその分ほかへまわす食費だと被服費だとかを切り詰めれば何とかなりそうだが、「電力コスト2倍」となるとたちまち利益が吹き飛び廃業倒産に至りかねない会社は多かろう。
 
 さらには、我が国の場合「脱原発」したところでさして「安心」にはならない。日本海挟んで対岸の半島、大陸は今でも電力不足気味で原発大増産を計画中であり、「脱原発」なんて国力と国際競争力をを落とす愚行は、選択する気配すらない。なおかつ高空風は偏西風で、半島・大陸からわが日本列島側に吹いている。かてて加えて「脱原発日本」で維持できる原子力技術なぞ多寡が知れているから、大陸・半島原発の安全性向上に貢献もできなければ、万一の原発事故には手も足も口も出ない。
 
 そんな「「電力料金が現在の2倍で、原発ゼロだからちょっと安心と言うだけの日本」を実現してしまう原発ゼロを、「将来的」などと婉曲表現を付けた所で目標」に掲げてしまうのは、正しく、狂気の沙汰。
 
 而して、そんな狂気の沙汰でさえ、考えなしに選んでしまえるのが「民意」であり、そんな「民意」に阿る事しかしないのが大衆迎合政治だ。
 
 大衆迎合は、民主党の大看板でもあるし、次の衆院選挙で敗北確実視されているようではなおの事「人気取り」に走りやすいだろう。
 
 だが、人気取りに走り、大衆迎合政治に邁進する民主党が、「将来目標」とはいえ「原発ゼロ」などと言う愚挙にして暴挙を為さんとする責任の、少なくとも一端は、「原発ゼロ支持」などと言う、冷静さを欠いたというよりは狂気に満ちた、「民意」にあるのだ。
 
 先回の衆院選挙で民主党が大勝したとき、私は、我が国における民主主義に絶望しかけた(※4)。主党政権が決めようとしている「原発ゼロ」なる目標を、わが国民が支持するようならば・・・・今度こそ、我が国の民主主義には、絶望すべきなのかもしれない。
 
 如何に、国民。

 

<注釈>

(※1) 私の「自然エネルギー推進論」―フクシマ後も原発推進の立場から― http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778036.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778053.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778071.html 
 
 
(※3) 前者なんて影も形も概念もないのだから、試算になんか組み入れようがない、と私には思われる。 
 
(※4) 失望すれども、絶望せず1-衆院選自民惨敗民主大勝を受けて-   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29646281.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29646287.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29646294.html