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 軍事関係の日本のマスコミ記事(*1)、それも女性記者の記事に多くを期待はできないとは承知しているが、こいつはチョイと・・・
 
 まあ、御一読あれ。

<注釈>

(*1) と言うと、WSJ紙だから語弊はありそうだが、日本人記者がWSJジャパンに寄稿している記事だから「日本のマスコミ記事」としても宜しかろう。 




転載開始========================================= 

【津山恵子のアメリカ最新事情】143万人を集める米軍のPR術 NY空軍ウィークにみる
  http://jp.wsj.com/US/node_498692?mod=Right_Column
2012年 8月 22日  15:33 JST 

 米空軍の展開や規模を理解する3D(3次元)ゲームに、実物の武器、医療チームの最新訓練機器―。それをいくらでも写真に収めてもいいというので、驚いた。ニューヨークで開かれている「空軍ウィーク」の会場だ。 

 会場は、マンハッタンの西側に流れるハドソン川桟橋にあるイントレピッド海上航空宇宙博物館。海軍の空母イントレピッドを博物館に改良したもので、空軍ウィークは、空母が係留される埠頭全体を使って、8月19日から3日間開かれた。 
 
 空軍ウィークで装備を見学する子どもたち

   驚かされるのが、兵士や士官、武器、装備類に対する市民の親近感だ。 

 イントレピッドは観光名所タイムズスクエアにも近く、現在はスペースシャトル「エンタープライズ」を展示しているため、いつも家族連れで賑わっている。しかし、空軍ウィークは通常の2倍近くの人出になるという。 

 兵士に対し、市民が出身地を聞いて、同郷だと話し込んだり、子どもが戦闘車両に乗せてもらい、親が写真を撮ったりというのは当たり前の光景。まるで遊園地にいるような雰囲気だ。2009年に戦艦ニューヨークが寄港した際も、同様のイベントが開かれ、海兵隊が銃器や装備まで子どもに持たせてくれるサービスをしていた。もちろん、どれほどの重さか知るために、大人にも大人気のコーナーだった。 

 今回は、ただ装備をみせるだけでなく、空軍の活動や、装備の役割を分かりやすく紹介するため、「コマンド・センター・アルファ」という、3D映像を使った教育センターすら設けられていた。入り口で渡されたiPadとイヤホンを付けて、センターに入ると、壁一面にさまざまな装備や戦闘シーンの3D映像がある。そこのコードをiPadに認識させると、それぞれ音声の説明が聞けるという仕組みだ。例えば、兵士の映像の前では、装備の一つ一つについて説明を聞けるし、輸送機の映像の前では、中でどんな形で待機し、上陸の際にどんな装備を使うかも仔細に分かる。一番人気があったのは、輸送機からパラシュートを使った上陸シミュレーション映像だった。 

 ハイライトは、空軍デモチーム「サンダーバード」の「F16ファイティングファルコン」6機による空中デモだ。3日間で初日の式典と、大リーグのヤンキース戦、メッツ戦の3回に飛行を展開した。 

 ハイライトを仕切るサンダーバード・エグゼキュティブ・オフィサーのジョシュア・ホーキンス大尉は、チームの役割についてこう説明する。 

 「市民が見たこともないF16 の性能を見せて、それを知ってもらうのが目的。それには訓練の積み重ねと、ニューヨークのような忙しい都会では、事前の調査とシミュレーションが欠かせないが、空軍と市民の対話のためには大切なこと」 

 大尉によると、F16の一回の飛行にはパイロット以外に約120人の手がかかっており、会場では、22に分かれた空軍におけるキャリアを理解してもらい、リクルートにつなげるのが狙いだという。では、市民の反響はと尋ねると、大尉は満面の笑顔になった。 

 「すごい反響だ。ツイッターやインスタグラムで写真がたくさん出回っていた。これこそが、あらゆる空軍の職域で働くみんなのチームワークを示すもの」

 技術コーナーの士官もこう説明してくれた。 

 「特に子どもたちが大切だ。子どもに理解してもらわなければ、誰が爆発物探知ロボットのようなものを作る科学者になろうと思うだろうか」 

 私が訪れた日は、子どもと言っても小学生になるかならないかといった子が多く、感想を聞いても「分からない」という程度。しかし、親の方は「滅多に見られない装備が見られた」とみな興奮気味で、笑顔が絶えない。こうした親に連れられて、何度も米軍関連のイベントに行くうちに、子どもも軍隊を身近なものに感じていくようになるのだろう。 

 そう考えると、空軍ウィークをはじめ、米軍の並ではないイベントへの力の入れ方は、理解ができる。なにしろ、米軍全体で、志願だけで約143万人を集めて、世界中に兵士を送り出しているからだ(外務省、2010年12月31日現在)。 

 イントレピッドを後にした時には、空軍の携帯ストラップや戦闘機の絵はがき、シールやパンフレットがバッグにいっぱいになっていた。これも、米軍143万人を支える膨大な国防予算から出ているものだと思うと、複雑な気持ちだ。

 そして、計11年以上に及ぶイラクとアフガニスタンにおける2つの戦争。ニューヨークで生活をしていると、とても戦争をしている国だと思えないと感じることがよくある。しかし、当事者の米国人の多くはそうは思ってはいない。それが、空軍ウィークのイベントで見た「明るさ」にもつながっている。 

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津山恵子(つやま・けいこ) ジャーナリスト 

 
東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、AERAに執筆した。米国の経済、政治について「AERA」「週刊ダイヤモンド」などに執筆。著書に『モバイルシフト「スマホ×ソーシャル」ビジネス新戦略』(アスキーメディアワークス)など 


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=================================転載完了

空母は博物館に「改装」される事はあっても「改良」されない


 さて、如何であろうか。
 
 なんと言うか、「戦後平和教育の弊害」を目の当たりに見るようだな。軍事忌避が高じて基本的・根本的な軍事知識が欠如しているのもさることながら、国防とか軍隊に対する感覚が、ものの美事に平和ボケしている。

 感覚の平和ボケは一朝一夕では治らないだろうし、治す気も無いのかもしれない。だが、基本的・根本的軍事知識を欠いたまま記事を、文章を書いて金を取ると言うのは、プロとして、記者として、失格と言うべきだろう。

1> 2009年に戦艦ニューヨークが寄港した際も、同様のイベントが開かれ

 ???戦艦ニューヨークはアメリカ海軍初の超弩級戦艦ニューヨーク級の1番艦。1948年7月8日に標的艦として沈められている。「ヤマタイカ」かアイアンロック、はたまた宇宙戦艦ヤマト宜しく、海底から浮上し復活した、訳ではあるまい。

イメージ 1
    ニューヨーク級戦艦ニューヨーク(先頭) 時計型射撃指示盤がお茶目
 
 州名はミサイル原潜の名前が原則(*1)だし、幾らなんでも潜水艦を「戦艦」と呼ぶ事はあるまい。第一、ミサイル原潜なんて機密の固まりだから、「同様のイベント」は開かれそうにない・・・と調べたら、米海軍現役艦艇でNew Yorkと言うとLPD-21、San Antonio級ドック型揚陸艦の5番艦だ。潜水艦を「戦艦」呼ばわりするよりはマシだろうが、ドック型揚陸艦を「戦艦」呼ばわりするのは、軍艦ファン/軍艦マニアの健康に悪いぞ。ソリャ「軍艦色」に塗装されては居るが、機銃とRAM短SAMとESSM用VLSしか持たない軍艦を「戦艦」って・・・・水上艦艇は皆「戦艦」と思っているんじゃなかろうか。イヤ、きっとそうに違いない。

イメージ 2
ドック型揚陸艦ニューヨーク・・・・戦艦???

 だがそれは、明らかな軍事知識の欠如であり、知識を欠いたままの上記1>表現だ。 
 
2>  会場は、マンハッタンの西側に流れるハドソン川桟橋にあるイントレピッド海上航空宇宙博物館。
3> 海軍の空母イントレピッドを博物館に改良したもので
 
 上記2>~3>は今度は日本語の問題だ。章題にもした通りだが、空母が博物館に改良されると言う日本語は根源的におかしい。何故ならば、「博物館になった空母は、空母としての機能( 洋上を航走し、艦載機を発着艦させる )を失う」から。本質的な機能を失う変化の事を、「改良」とか「改善」とかは言うまい。「改良」「改善」は、機能・性能の向上に対して使われる表現だ。
 そんな変な「改良」表現が出て来る背景は、武器が武器でなくなることは良い事だ」と言う思想があろうと、推定出来る。だから、「戦後平和教育の弊害」であり、「平和ボケだと私は断じるのだ。「武器が武器でなくなること」は自己否定であり、いわばアイデンティティの喪失だ。それは「良い事」である場合もあろうが、「無条件に良い事」ではない。
 
4> 驚かされるのが、兵士や士官、武器、装備類に対する市民の親近感だ。 

 上記4>表現に現れるのは、正に軍事忌避であり、平和ボケである。「兵士や士官、武器、装備類に対する市民の親近感」に「驚かされる」のだから間違いない。
 その軍事忌避や平和ボケが今の日本人の「平均」かも知れない(*2)し、津山景子記者自身その「平和ボケ」を治す気も無いのかもしれない。当該記事としては、平均的な「平和ボケ」した日本人に「米国人の驚くべき兵士や士官、武器、装備類に対する親近感」を伝えれば事足りるのかも知れない。

 だが、左様な親近感を醸造して軍のリクルートにつなげるのは、志願兵制の国ならば当たり前の事だ。
 それは我が自衛隊とて事情は同じ。ただ予算がないので「空軍ウイーク」の様な大規模イベントは出来ない。まあ予算以外にも、あれこれ障害はありそうだが。



<注釈>

(*1) 最近はその命名基準も当てにならないが。 

(*2) ああ、急いで付け加えるならば、私は私自身を誇りを以って日本人だと断言する。が、私の「兵士や士官、武器、装備類に対する親近感」を「日本人の平均」と称する心算は毛頭無い。