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言うもサラナリであるが、私は福島原発事故を経てなお原発推進論者だ。「脱原発なぞ愚挙にして暴挙」と主張している。だから、東京新聞なんぞは「脱原発原理主義」として糾弾し続けているが、無論「脱原発原理主義」は東京新聞ばかりではない。三アカ新聞筆頭の朝日新聞もそうならば、毎日だって良い勝負である事は、幾つもの記事から明らかだ。
今回取り上げる二本の毎日社説もまた、毎日の「脱原発原理主義」ぶりを鮮明にしている、と、私には思われる。
転載開始=========================================
①【毎日社説】:省エネ・節電 成長との両立を目指せ
http://mainichi.jp/opinion/news/20120803k0000m070128000c.html
毎日新聞 2012年08月03日 01時31分
政府が示した新しいエネルギー政策に関する三つの選択肢は、いずれも2030年の電力使用量を10年に比べて1割削減することを前提にしている。
原発依存を減らしながら、地球温暖化対策も進めるには、省エネが欠かせない。国民一人一人の自覚的な取り組みとともに、エネルギーの利用効率を上げる技術革新で、国民経済への負の影響を抑えたい。革新的な省エネ技術を開発できれば、経済成長にもつながるはずだ。それには政府の支援も欠かせない。
三つの選択肢が示す30年時点での原発依存率0%、15%、20?25%は、いずれも原発事故前(10年)の実績26%を下回る。それによる電力不足を火力発電で補うとすると、CO2排出量が増えてしまう。
そこで、太陽光、風力発電といった再生可能エネルギーの普及促進と省エネ・節電が、大きな役割を担うことになるわけだ。
一方で、電気は国民生活に欠かせないエネルギーだ。猛暑の際のエアコンなど健康を守るための適切な使用まで抑制すべきではない。肝心なのは、無理なく効果的な省エネ・節電をどう実現するかだ。
日本は、73年の石油ショック以降に、官民挙げての省エネ努力で世界最先端の省エネ国家になった。同年から09年までに国内総生産(GDP)は2・3倍に増えたが、エネルギーの消費量は1・3倍にとどまった。省エネと成長の両立を実現したといえる。
とりわけ産業界はその間、技術革新や合理化努力で、エネルギー消費量を15%も削減した。そこから、「一段の省エネは、乾いたタオルを絞るようなもの」という限界論も唱えられ、経団連など経済界からは、「経済成長を阻害する」といった批判が出ている。
しかし、最先端の省エネ技術は、国内に新規需要を生み出すだけでなく、海外市場への展開も期待できるはずだ。そうした技術開発に前向きに取り組んでほしい。
例えば、電気の利用効率を上げるには、使用量が少ない夜間にため、昼間に使うための蓄電池が有効だ。小型大容量の蓄電池開発を急ぐ必要がある。蓄電池の技術は電気自動車にも応用可能で、自動車メーカーの国際競争力向上にも資する。
ITを活用し、最適な電力量を調整できる次世代送電網(スマートグリッド)の普及も電力利用を効率化するための鍵を握ると思われる。
政府は、規制改革や財政面でこうした取り組みを支援し、省エネと成長との両立を目指すべきだ。
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②【毎日社説】:太陽光発電 再生エネの先導役に
http://mainichi.jp/opinion/news/20120806k0000m070123000c.html
毎日新聞 2012年08月06日 02時34分7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、今年度の導入見込み量が最も多いのが太陽光発電だ。経済産業省資源エネルギー庁の推計では計200万キロワット(出力ベース)で、既存の太陽光発電設備(約480万キロワット)の4割に達する。再生エネの先導役として活用し、地域活性化や災害対策にもつながる取り組みを広めたい。
群馬県太田市は制度の開始に合わせ、自治体単独では全国初となるメガソーラー発電事業に乗り出した。出力は1500キロワットで、市内の工業団地の一角に太陽電池パネル約1万枚(約1万3000平方メートル)を敷き詰めた。年間1800万?1400万円の利益が出る見通しだ。市民が太陽光発電を導入する際の補助金などに活用する予定で、エネルギーの地産地消を進め、財源としても生かすねらいがある。
太田市に隣接する栃木県足利市は、学校や体育館など市内の公共施設約70カ所の屋上を太陽光発電用に貸し出すことにした。対象事業者は市内に本社を置く法人とし、災害などによる停電時は、公共施設に電気を供給することが条件だ。こうした試みは、再生エネに関する住民の理解を深め、導入促進にもつながるはずだ。再生エネ発電に参入する事業者が相次ぐが、自治体の役割も極めて大きいと言える。
太陽光発電は工期が短く、日射がある所なら設置場所を問わない。規模も自由に決められる。当面は風力や地熱より導入が早く進むだろう。政府のエネルギー・環境に関する選択肢案では、太陽光発電量を2030年に10年比で15?20倍近くに増やすシナリオを描くが、耕作放棄地や売れ残った工業団地の利用を進めたい。建物の屋根や壁面への設置は他の土地利用との競合を避けられる。日本の戸建て住宅は約2700万戸だが、太陽光発電を設置済みはまだ100万戸余りだ。住宅の耐震性を考慮しても、拡大の余地は大きい。
発電効率や品質など太陽電池に関する日本企業の技術力は世界トップレベルにある。コスト競争力のある中国企業などの台頭で世界シェアを落としたが、国内で太陽光発電が普及し、コスト削減も進めば、海外展開力も増すはずだ。
再生エネ発電の買い取り費用は電気料金に転嫁される。太陽光発電は導入量が多い分、買い取り価格の設定には特段の配慮が必要だ。高ければ消費者の負担が増えるし、低ければ導入が停滞する。さじ加減が難しい。政府には、事業者の採算やコスト削減を見定め、適切に買い取り価格を見直すことが求められる。
=================================転載完了
「欲しがりません勝つまでは」の精神論と、何が違うのかね
さて、如何であろうか。
ま、殆ど章題で言いたい事は尽きているな。なんとも酷い毎日社説だ。上掲①は「省エネ・節電 成長との両立を目指せ」と銘打っているが、其処は東京新聞と良い勝負の毎日の事。社説本文では
①1> 原発依存を減らしながら、地球温暖化対策も進めるには、省エネが欠かせない。
①2> 国民一人一人の自覚的な取り組みとともに、エネルギーの利用効率を上げる技術革新で、国民経済への負の影響を抑えたい。
①3> 革新的な省エネ技術を開発できれば、経済成長にもつながるはずだ。それには政府の支援も欠かせない。
と、タイトルにもある「省エネ・節電」と「成長」を、「脱原発と二酸化炭素放出量削減」を前提として「両立させろ」と言う、凄まじい主張なのである。
ところが、その凄まじい要求を達成する為に上掲①社説が唱えるのは・・・・
(1) 国民一人一人の自覚的な省エネ取り組み/無理なく効果的な省エネ・節電
(2) エネルギーの利用効率を上げる技術革新/革新的な省エネ技術
(3) 政府の支援
(4) 太陽光、風力発電といった再生可能エネルギーの普及促進
(5) 小型大容量の蓄電池開発
(6) 最適な電力量を調整できる次世代送電網(スマートグリッド)の普及
これだけである。
上記(2)「革新的な省エネ技術」の具体化が上記(5)「小型大容量蓄電池」と上記(6)「スマートグリッド」と、最大限好意的に考えれば解釈できようが、上記(6)「スマートグリッド」は「今ある無駄を無くす」効果しか期待し得ない。上記(5)「小型大容量蓄電池は上記(4)太陽光・風力発電をまともな発電源として扱う上では必要不可欠(*1)であるが、そのために必要な「大容量」は、
①4> 蓄電池の技術は電気自動車にも応用可能で、自動車メーカーの国際競争力向上にも資する。
なんて生易しい物では済まない。工場を動かせて、電気炉や電車を動かす「大容量蓄電池」でなければ、上記(4)「太陽光、風力発電」をまともな発電源としえないし。そんな「大容量蓄電池(*2)」は、現状実用化どころか概念設計さえ怪しい。つまり、上記(4)「太陽光、風力発電」をまともな発電源・電力供給源に出来る上記(5)「小型大容量蓄電池」は、上記(3)政府の支援があろうがなかろうが開発に何十年かかるか検討もつかない(*3)「革新的技術」だ。
かてて加えて福島原発事故以前・2010年時点での原発が担っていた発電シェアは大凡3割。原発の大半が稼動停止している現状は、当該毎日社説指摘の通り火力発電フル稼働で凌いでいるが、「二酸化炭素排出量削減」の為には今追加稼働している火力発電を全部止めた上に以前から稼動している火力発電所を天然ガス化などで効率化しないことには追いつかない。今年が2012年だから、2030年までとして18年しか余裕がないにも関わらず、だ。
尚且つかつての原発分の発電量を「成長」を実現しつつ「省エネ・節電」と「大容量蓄電池」つき「太陽光、風力発電」で稼ぎ出さないと、毎日新聞当該社説の「主張」は成立しない。太陽光・風力発電に必要な広大な敷地面積だけ考えても、「絵に描いた餅」と呼ぶのさえ恥ずかしいような大風呂敷・大ボラだ。
「言うだけならタダ」とは言うし、上掲①毎日社説は「毎日新聞の主張」でしなく、「電力供給計画」でもなんでもない訳だが、幾らマスコミが口舌の徒とて、無責任が過ぎよう。
<注釈>
(*1) 私の「自然エネルギー推進論」―フクシマ後も原発推進の立場から― http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778036.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778053.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778071.html(*2) 電力を蓄えさえすれば、別に電池でなくても良いのだが。だから、はずみ車の回転運動量にして保存するとか、超伝導コイルとか言うコンセプトまで搭乗し、未だコンセプト段階でしかない。(*3) 「何十年」は一寸オーバーに感じなくも無いが、「十年以下」なんてのは凄まじい奇跡と思えるから、やはり普通に考えて「十年単位」だ。