応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/  
 以前紹介した漫画「テルマエ・ロマニ」の主人公、古代ローマ人にして浴場設計技士・ルシウスが知ったら大喜びしそうなニュースがAFPで報じられている。なんでも、京都府長岡京市の宇津久志古墳(5世紀)から古代ローマ帝国産のガラス玉が出土した、と言うのだ。
 
1>  薄い黄色をした直径5ミリほどのガラス玉の中央には穴が空いており、全体に細かな金箔が見られる。
2> 同研究所が成分を分析したところ、
3> 「ナトロン(蒸発塩)」と呼ばれる帝政ローマの職人がガラスを溶かす際に使用していた化学物質が見つかっており、
4> また金箔を間に挟むなどしながらガラスの層を重ねていく「重層ガラス」という比較的高度な手法が用いられていた。
 
 上記1>~4>の報道からする限り、今回宇津久志古墳から発見されたガラス玉は、「帝政ローマで作られたのと同じ手法で作られた」と言う事であり、「帝政ローマ製のガラス玉が日本の古墳で見つかった」と断言するには、尚疑問の余地があるように思う(*1)が、「紀元5世紀以前に斯様な高度なガラス玉を作れたのは帝政ローマだけだった」と言う確信ないし定説があるのだろう、と「俄か考古学者」にして「歴史マニア」たる私は推論する。
 ガラス玉と言うハードウエアが直接日本に運ばれて来たにせよ、ガラス玉製造技術と言うソフトウエアが技術伝播(*2)したにせよ、「ローマ帝国の栄光が極東は日出る処日本に届いた」ことに変わりがないから、「浴場設計技士・ルシウスの喜び(想像)」は道理であろう。
 
 端倪すべからざるのは、「古代ローマの栄光」が影響範囲の広さ(*3)もさることながら、日本から見ればユーラシア大陸の反対側に近い古代ローマからの「栄光」伝播を、我が日本が受け取った/受け入れた事にもあろう。

 それ即ち、我が国と、恐らくは大陸との間の相当な規模の通商貿易を意味しそうである。
 
 ああ、海賊による略奪品と言う可能性もあるか。それにしたって一種の文化交流には違いないし、我が日出る処・日本の影響が外洋に及んだ証左ではあるのだが。

<注釈>

(*1) 極端な話、ガラス玉製造の技術だけが日本に伝播していて、発見されたガラス玉は日本製と言う可能性も、この報道だけでは排除できない。 

(*2) そのためには、ローマ帝国から日本に至る間に、幾つかの「技術中継点」が必要でありそうだから、それだけ伝播速度もおそくなる、のだろう。 

(*3) それは、地中海からユーラシア大陸東端まで届いた事になる