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今回「斬る」対象に選んだのは、「東京新聞のコラム」である。斬る対象が、「東京新聞のコラム」である以上、二つのことを述べておくべきだろう。
一つには東京新聞と言う新聞社を私は「脱原発原理主義」と断じておること。私がそう断じる理由は、東京新聞の幾つかの記事及び社説が、「脱原発を金科玉条の最優先目標として居り、それに伴う犠牲やコストを不当なまでに軽視ないし無視し、形振り構わないから」。典型的なのは「原発容認と脱原発を掲げた町長選で、原発容認町長候補が勝った直後の社説で、「町内融和の為に脱原発に転じろ」」と民意もヘッタクレも無い社説(*1)を挙げる事が出来よう。
もう一つは、これがコラムである、と言う事だ。当ブログでシリーズ化している記事は幾つかあるが(*2)、「社説を斬る!」はその一つである。こちらの方が斬るのは、当然ながら社説。さらにその社説を私が「斬る」のは、「社説こそ、新聞の存在理由の少なくとも一半である」と断じる事もさることながら「新聞社自身公認の、新聞社の主張である」から。いわば「新聞社の公式見解」だから、相応に真面目に、真剣に書かれた筈であり、さらには点検・推敲された「筈」であるから(*3)、斬る方も相応に真剣だ。
だが、今回「斬る」対象としたのは、コラム。新聞社=書く側からすれば社説ほどにはしゃちほこばって真剣には書かないだろうし、またそうだからこそ「コラム」としての味も出そうだ。社説が「新聞社の公式見解」とするならば、コラムは「新聞社のオフレコ発言(*4)」と言えるかも知れない。だから当ブログでも、「コラムを斬る!」なんてシリーズ記事にはしていない。
していないが・・・今回のコラムはチョイと看過し難い。
先ずはその東京コラム、御一読願おうか。
一つには東京新聞と言う新聞社を私は「脱原発原理主義」と断じておること。私がそう断じる理由は、東京新聞の幾つかの記事及び社説が、「脱原発を金科玉条の最優先目標として居り、それに伴う犠牲やコストを不当なまでに軽視ないし無視し、形振り構わないから」。典型的なのは「原発容認と脱原発を掲げた町長選で、原発容認町長候補が勝った直後の社説で、「町内融和の為に脱原発に転じろ」」と民意もヘッタクレも無い社説(*1)を挙げる事が出来よう。
もう一つは、これがコラムである、と言う事だ。当ブログでシリーズ化している記事は幾つかあるが(*2)、「社説を斬る!」はその一つである。こちらの方が斬るのは、当然ながら社説。さらにその社説を私が「斬る」のは、「社説こそ、新聞の存在理由の少なくとも一半である」と断じる事もさることながら「新聞社自身公認の、新聞社の主張である」から。いわば「新聞社の公式見解」だから、相応に真面目に、真剣に書かれた筈であり、さらには点検・推敲された「筈」であるから(*3)、斬る方も相応に真剣だ。
だが、今回「斬る」対象としたのは、コラム。新聞社=書く側からすれば社説ほどにはしゃちほこばって真剣には書かないだろうし、またそうだからこそ「コラム」としての味も出そうだ。社説が「新聞社の公式見解」とするならば、コラムは「新聞社のオフレコ発言(*4)」と言えるかも知れない。だから当ブログでも、「コラムを斬る!」なんてシリーズ記事にはしていない。
していないが・・・今回のコラムはチョイと看過し難い。
先ずはその東京コラム、御一読願おうか。
<注釈>
(*1) 「脱原発」の自己目的化-東京新聞社説「上関町長選 原発マネーと別れよう」を斬る! http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36039847.html(*2) まあ、あまり数はないが。(*3) 中には、到底そうは思われないような社説も散見されるが。(*4) 「コラム」として公開されているのだから、オフレコでもなんでもないのだが、喩えとして。
転載開始=========================================
【東京コラム】筆洗 2012年7月2日=================================転載完了
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012070202000111.html
名人と呼ばれた落語家の八代目桂文楽師匠が晩年、評論家の矢野誠一さんと鰻(うなぎ)屋で杯を傾けていた時の話だ。「近頃、耳が遠くなりまして」と文楽師匠がぽつりとつぶやいた後、こう言った、と矢野さんが自著『落語商売往来』に書いている
▼「きこえなくても、きこえたふりしてしゃべってますとね、どうしても返事をしなきゃならないときがある。そんなときは『近頃はたいていそうだよ』と、いってやるんです。ほとんどこれで用が足ります」
▼矢野さんは「すごい老人の知恵だと思う」と感心している。ただ、ともすると、この言葉は現状追認になってしまいがちだ
▼総選挙での約束は果たさず、やらないと言った増税に血道を上げる野田首相。原発事故の原因も未解明なのに、安全対策を先延ばしにしてまで再稼働を急ぐ政府と関西電力。「近頃はたいていそうだよ」とは、言いたくない
▼全国各地の抗議活動を無視し、関電はきのう、大飯原発3号機の原子炉を起動させた。八木誠社長は株主総会で「原発は重要な電源。脱原発は全く(考えに)ない」と言い切り、なし崩し的な再稼働への意欲を隠していない
▼未来のエネルギー政策は、経済界だけではなく、国民の声に耳を傾けて決めなければならない。声を聴いたドイツとイタリア政府が選んだのは「脱原発」の道。文楽師匠の決めぜりふはここで使いたい。
重大な事実誤認、ないしミスリード―「脱原発」は「近頃はたいていそう」ではない
さて、如何だろうか。
前半で落語家・桂文楽師匠の決め台詞「近頃はたいていそうだよ」を紹介し、一転して後半で、「消費税増税」で1クッション置いて「原発再稼動」に話を持っ行き、以下の締めで「脱原発」につなげる。仲々美事な「脱原発原理主義」ブリだ。
1> ▼未来のエネルギー政策は、経済界だけではなく、国民の声に耳を傾けて決めなければならない。
2> 声を聴いたドイツとイタリア政府が選んだのは「脱原発」の道。
3> 文楽師匠の決めぜりふはここで使いたい。
前半で落語家・桂文楽師匠の決め台詞「近頃はたいていそうだよ」を紹介し、一転して後半で、「消費税増税」で1クッション置いて「原発再稼動」に話を持っ行き、以下の締めで「脱原発」につなげる。仲々美事な「脱原発原理主義」ブリだ。
1> ▼未来のエネルギー政策は、経済界だけではなく、国民の声に耳を傾けて決めなければならない。
2> 声を聴いたドイツとイタリア政府が選んだのは「脱原発」の道。
3> 文楽師匠の決めぜりふはここで使いたい。
こんなコラムにだまくらかされる「出羽之守」も巷間は多かろうし、東京新聞読者ならばなおさらだろう。だが、章題にもした通り、「脱原発は『近頃はたいていそう』」ではない。
例に上がっている2国の内のドイツは、現状原発を稼動していながら、脱原発を決めた。足りない電力はフランスの原発から買えるから『ナンチャッテ脱原発』と私は呼んでいるが、ま、脱原発は脱原発だ。脱原発の例として数えてよかろう。
もう片方の例、イタリアは、現状稼働中の原発が無い。チェルノブイリ事故の後「脱原発」を決めて原発稼動を停止した。福島原発事故後に行われた国民投票は、その停止している原発を再稼動するか否かを決める投票だ。結果、再稼動は否定された訳だが。「従来の脱原発方針が堅持された」だけ。イタリアの脱原発は「近頃」とは言い難いだろう。
で、ドイツ、イタリア、以外の「脱原発」国は?
ノルウエーがバイオマスを中心とした再生エネルギーに2050年までに全面的に切り替えると言う「野心的計画」が報じられたが、ノルウエーは現状でも水力がその電力の90%を賄っている( http://www.no.emb-japan.go.jp/Japanese/Nikokukan/norue_enerugi_jijou.pdf )。残り10%の内、現状の火力発電をバイオマス燃料に切り替えるだけ、と考えれば、当初私が考えていたほど野心的な計画でもないようだ。何れにせよノルウエーは、「脱化石燃料」であり「再生エネルギー推進」ではあっても、間違っても「脱原発」とは言われまい。せいぜいが「原発拒否」だ。
後はトンガだかどこかの島国が、太陽光・風力とココナツ油のバイオ燃料でのエネルギー供給を目指すとか報じられていた(*1)が、ここにも原発は無いから、やはり「原発拒否」にしか過ぎない。
他に何処かあるか?
無いのならば、「脱原発」と言えるのは、上掲東京コラムにも上がるドイツとイタリアのみであり、「今回脱原発を決めた」と言えるのは、ドイツのみだ。
逆に、今後も原発を建造・更新する方はどうだろうか。
アメリカは、スリーマイル島事故以来新規の原発建造を停止していたが、先頃34年ぶりに新規原発建造を認可した(*2)。チェコは現状ロシアからのガスパイプラインに頼る火力発電から脱却する為、原発を新規建造する(*3)。
日本国産の原発は、ベトナムへの輸出が決まっているし(*4)、先頃はリトアニアの代替原発を受注している(*5)。ベトナムの原発は、先行してロシアに発注があり、これがベトナム初の原発となるから、「脱原発」ならぬ「入原発」がベトナムの方針だ。
ロシア、中国、韓国はいずれも原発増設を計画中で、「脱原発」の「"だ"の字」すらない。ああ、韓国には「"だ"の字」ぐらいはあったか。原発1基分の電力を太陽光発電と節電で稼ぎ出す事でソウル市が「脱原発」を宣言すると言う、「ドイツ以上のナンチャッテ脱原発(*6)」は「"だ"の字」と言っても良かろうが、「"だ"の字」にしか過ぎないぞ。
例に上がっている2国の内のドイツは、現状原発を稼動していながら、脱原発を決めた。足りない電力はフランスの原発から買えるから『ナンチャッテ脱原発』と私は呼んでいるが、ま、脱原発は脱原発だ。脱原発の例として数えてよかろう。
もう片方の例、イタリアは、現状稼働中の原発が無い。チェルノブイリ事故の後「脱原発」を決めて原発稼動を停止した。福島原発事故後に行われた国民投票は、その停止している原発を再稼動するか否かを決める投票だ。結果、再稼動は否定された訳だが。「従来の脱原発方針が堅持された」だけ。イタリアの脱原発は「近頃」とは言い難いだろう。
で、ドイツ、イタリア、以外の「脱原発」国は?
ノルウエーがバイオマスを中心とした再生エネルギーに2050年までに全面的に切り替えると言う「野心的計画」が報じられたが、ノルウエーは現状でも水力がその電力の90%を賄っている( http://www.no.emb-japan.go.jp/Japanese/Nikokukan/norue_enerugi_jijou.pdf )。残り10%の内、現状の火力発電をバイオマス燃料に切り替えるだけ、と考えれば、当初私が考えていたほど野心的な計画でもないようだ。何れにせよノルウエーは、「脱化石燃料」であり「再生エネルギー推進」ではあっても、間違っても「脱原発」とは言われまい。せいぜいが「原発拒否」だ。
後はトンガだかどこかの島国が、太陽光・風力とココナツ油のバイオ燃料でのエネルギー供給を目指すとか報じられていた(*1)が、ここにも原発は無いから、やはり「原発拒否」にしか過ぎない。
他に何処かあるか?
無いのならば、「脱原発」と言えるのは、上掲東京コラムにも上がるドイツとイタリアのみであり、「今回脱原発を決めた」と言えるのは、ドイツのみだ。
逆に、今後も原発を建造・更新する方はどうだろうか。
アメリカは、スリーマイル島事故以来新規の原発建造を停止していたが、先頃34年ぶりに新規原発建造を認可した(*2)。チェコは現状ロシアからのガスパイプラインに頼る火力発電から脱却する為、原発を新規建造する(*3)。
日本国産の原発は、ベトナムへの輸出が決まっているし(*4)、先頃はリトアニアの代替原発を受注している(*5)。ベトナムの原発は、先行してロシアに発注があり、これがベトナム初の原発となるから、「脱原発」ならぬ「入原発」がベトナムの方針だ。
ロシア、中国、韓国はいずれも原発増設を計画中で、「脱原発」の「"だ"の字」すらない。ああ、韓国には「"だ"の字」ぐらいはあったか。原発1基分の電力を太陽光発電と節電で稼ぎ出す事でソウル市が「脱原発」を宣言すると言う、「ドイツ以上のナンチャッテ脱原発(*6)」は「"だ"の字」と言っても良かろうが、「"だ"の字」にしか過ぎないぞ。
以上の通り、今後も原発を建造するないし今後に原発を建造すると判明している国は、アメリカ、チェコ、リトアニア、ベトナム、ロシア、中国、韓国と枚挙に暇が無い。
これで「脱原発」を「近頃はたいていそう」と言うのは、章題にもした通り、重大な事実誤認ないしミスリードであろう。
これで「脱原発」を「近頃はたいていそう」と言うのは、章題にもした通り、重大な事実誤認ないしミスリードであろう。
尤も、言い訳ないし逃げはありそうだ。
上記3>の通り「文楽師匠の決めぜりふ」=「近頃はたいていそうだよ」を「ここで使いたい」と言うのは「願望・希望の表明」であるから、現実・事実とは異なっても構わない、と言う「言い訳」が可能だろうし、コラムならばそんな「願望・希望の表明」である事も許されよう。
但し、そんな言い逃れに対しては、私は「菅直人級」と言う賛辞を献じざるを得ないな。
如何に、東京新聞コラム「筆洗」。
上記3>の通り「文楽師匠の決めぜりふ」=「近頃はたいていそうだよ」を「ここで使いたい」と言うのは「願望・希望の表明」であるから、現実・事実とは異なっても構わない、と言う「言い訳」が可能だろうし、コラムならばそんな「願望・希望の表明」である事も許されよう。
但し、そんな言い逃れに対しては、私は「菅直人級」と言う賛辞を献じざるを得ないな。
如何に、東京新聞コラム「筆洗」。
<注釈>
(*1) 風・太陽・ココナツ油が握る南洋の島国の運命 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2877776/8941592(*2) アメリカ前進―アメリカで34年ぶりに原発着工へ http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36685754.html(*3) 原発に未来を託すチェコ、「他に道はない」 http://www.afpbb.com/article/economy/2838390/8015106(*4) 四大紙マイナス1プラス3紙.社説比較-ベトナム原発輸出 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36278737.html(*5) 前進せよ、日本。―日立がリトアニア原発を海外初受注 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/37210626.html
(*6) ドイツ以上のナンチャッテ脱原発 http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36983211.html