援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/  http://www.269rank.com/

 ま、どうせこんな事になるだろうと、半ば以上予測はしていたのだが・・・北海道電力の泊まり原発が定期点検の為に停止した。福島原発事故以来、定期点検に入った原発は、点検が終了しても( 管直人の政権延命策「脱原発」の性で )再稼動できぬまま今日に至り、我が国に50基ほどもある原発が尽く稼動停止=全く発電していない状態に至った。東日本大震災とそれに伴う津波、さらに恐らくは加えて「菅直人」と言う人災を喰らって炉心溶融に至った福島第一原発以外の50基以上の原発は、殆ど「安全点検の為に」止めているのだから、少なくとも電力供給に関する限り、東日本大震災や津波と言う自然災害よりも、管直人の政権延命策「脱原発宣言」に端を発する人災の方がはるかに大損害を与えている、と言えよう。ま、それでも、ドイツのように「ナンチャッテ脱原発」を宣言し(*1)原子力技術を放棄するに至って(*2)いないのだから、まだ我が国や民主党政権は「マシな方」と言えようが。(勿論、大いに皮肉を込めて)

閑話休題(それは兎も角)、その「原発稼動ゼロ」を受けて新聞各紙の社説が出揃った。四大紙+産経のレギュラーメンバー五紙に東京、琉球新報、沖縄タイムスを加えた八紙。社説比較としてはフルレンジと言うことになる。各紙社説タイトルとURLは以下の通り。

(1)産経 「原発ゼロ」 異常事態から即時脱却を 安全技術の継承は生命線だ  http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120506/biz12050603100001-n1.htm

(3)読売 全原発停止 これでは夏の電力が不足する(5月5日付・読売社説) http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120504-OYT1T00811.htm

(4)毎日 エネルギー 原発「出口戦略」を練ろう  http://mainichi.jp/opinion/news/20120506k0000m070099000c.html

(5)朝日 「原発ゼロ」社会:上 不信の根を見つめ直せ  http://www.asahi.com/paper/editorial20120505.html
「原発ゼロ」社会:下 市民の熟議で信頼構築を  http://www.asahi.com/paper/editorial.html
夏の節電―関電こそ先導すべきだ  http://www.asahi.com/paper/editorial.html

(6)東京 泊停止・原発ゼロへ 私たちの変わる日  http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012050402000102.html

(7)琉球新報 全原発停止 再稼働なき安定供給追求を  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-190849-storytopic-11.html

(8)沖縄タイムス [全原発停止]ふらつくな対策たてよ  http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-05-06_33381/

 ま、社説のタイトルだけで大凡中身のわかってしまうような社説もある。特に三アカ新聞(*3)筆頭の朝日何ざぁ「「原発ゼロ」社会」と銘打って2回シリーズにした上、関連社説まで掲げる力の入れようだが、その力の入れようとタイトルから、中身の方は見当が付いてしまい、期待は出来ない。
 社説タイトルだけで、産経―読売―日経 対 朝日―毎日―東京―琉球新報―沖縄タイムス と言う対立関係も対立軸も見えてきそうだが、例によって比較表の評価項目は、産経と朝日の社説を横目で見ながら以下の通り決めた。

(1) 原発再稼動の賛否

(2) 民主党政権の責任

(3) 今夏の電力需給見通し

(4) 原発稼動ゼロに対する評価

(5) エネルギー政策決定法

(6) その他特記事項

 

イメージ 1

  
 比較表の方は例によって、朝日の方の主張を赤字で、産経の方の主張を青字で、両紙にはない主張で各紙独自の物は太字下線で示した。

【1】「脱原発」五紙の惨状

 概観するならば・・・全原発稼動停止を寿ぎ、「この機に脱原発社会」と意気込む朝日―毎日―東京―琉球新報―沖縄タイムスと言う三アカ新聞の拡大版・五アカ新聞の社説の中身の無さ、密度の低さが目立つ。殊にアカ新聞筆頭・朝日新聞の社説は、三本分で漸く社説一本分と言う感じだ。斯くも密度が低いのは、一つには「「原発ゼロ」社会:下 市民の熟議で信頼構築を」なる社説がノンベンダラリと「欧州を手本としたエネルギー政策『市民会議』の提案』だけに費やされているため。社説一本丸々この『市民会議』に当てているのだから、朝日新聞としては相当気に入った提案なのだろう。

しかしながら、脱原発各紙にほぼ共通する「民意に従ってのエネルギー政策決定 = 脱原発」と言うのが、私には胡散臭くて仕方がない。今現在の風潮が「脱原発」にある、少なくともそう主張出来るような統計データがあるから「民意だぁぁぁ!」と喚いているように見える。だから、朝日新聞お気に入りの「エネルギー政策『市民会議』」も上手く行けば「裁判員制度の拡大版」になろうが、「事業仕分けのエネルギー政策版」となってロクでもないことになろう。また、その「ロクでもないことになる」のを正当化出来てしまうが故に「朝日新聞お気に入り」なのだろう、と言う邪推も働く。
第一、「我が国のエネルギー政策」とは、果たして「民意の反映=民主主義的決定」になじむ物なのだろうか、と言う根源的疑問を免れない。「原子力ムラなる閉鎖的専門家集団による従来のエネルギー政策決定法」を非難するあまり、「一般大衆=素人による民意偏重を正当化」する事は、「民主的」かも知れないし「一般人の常識に基づく」かも知れないが、これだけ放射能アレルギー及び反原発ヒステリーが猖獗を極めている中では特に、「正しい判断を下す」とは全く信じられない/到底思えない。

もう一つ、脱原発各紙=五アカ新聞に共通するのは、上記評価項目(3)「今夏の電力需給見通し」に対する楽観論=大いなる甘さ、だ。なにしろ

毎1> 今後、短期的には電力不足のリスクと原発のリスクをはかりにかけざるを得ない場面があるだろう。

と、原発再稼動の可能性を曲りなりにも認めているのは毎日ぐらいなモノで、

朝1> 関電は発想を転換し、夏を乗り切るために必要な情報を出し、自治体と対話すべきだ。

琉1> 節電を促す具体的な方策をはじめ、電力各社の供給力にはまだ改善の余地があるとの指摘もある。

沖1>  個人、企業・団体の節電を推し進める。特にピーク時の電力消費量を減らすための具体策を打ち出す。
沖2> あわせて電力会社間の電力の融通態勢を構築する。決して不可能な対策ではないはずだ。

と、三アカ新聞は揃って「節電努力」ないし「節電を促す方策」で夏の電力需要ピークを乗り切れと抜かす。琉球新報が「電力供給改善の余地」を、沖縄タイムスが「電力会社間の電力融通」を挙げているのがいくらかマシなぐらいだ。「電力供給改善の余地」とは「電力会社がサボっていた効率向上」に他ならないから、ソリャないコトは無いだろうが何%だろうかと言う世界だし、「電力会社間の電力融通」は「他の電力会社には発電余力がある」からこそ出来ること。であるというのに朝日と来たら、

朝2>  だが電力使用がピークとなる日時は地域によって違う。
朝3> 大阪が猛暑でも九州が平年並みなら電力各社の融通幅も広がる。

と楽観し出来てしまうのだから凄まじい。五百年に一度とか千年に一度とかの大地震に備えて「原発止めろ」「脱原発」と喚くくせに、「全国的な猛暑は想定しない」と公言してしまえるのだから、ダブルスタンダードとは便利なものだ。一昨年夏の猛暑が空前の猛暑であろうとも、絶後とは限るまいが、そんなことは「不都合な真実」なのでおくびにも出さない。
 さらに凄まじいのは東京新聞だ。何しろ一読したぐらいでは「今夏の電力受給見通し」について全く触れていないと読める。ニ、三度繰り返し読んで漸く「発見」したのが・・・

東1>  浜岡原発の全面停止を受けて名古屋では、原発推進、反対双方の市民有志がこの三月、
東2> 地域にふさわしい電力供給と消費のあり方を事業者とともに考えようと、「中部エネルギー市民会議」を発足させた。
東3> 「エネルギー自治」を目指す新たな試みだ。同様の活動は各地で始まっている。


・・・東京新聞社説に従えば、「エネルギー市民会議」で話し合いさえすれば、電力需要は供給量を下回って安定するモノらしい。日本人の「話し合い至上主義」は井沢元彦氏も指摘しているところであるが、「話し合いさえすれば電力不足は解消できる」らしいのだから、実に全く恐れ入るしかない。

「中身の薄さ」と言うならば、三アカ新聞下っ端の沖縄二紙=琉球新報&沖縄タイムスも朝日に勝るとも劣らない(*4)。先述のあるかなしかの「今夏電力不足解消策」の他は、「これで原発再稼動なき電力安定供給が可能」と断言しているだけ。説得力も何もない。呪文・スローガン・キャッチコピーで全て解決するつもりらしい。こちらは「言えば出来る」と言う言霊思想の発露、だろうか。いや、「最初から原発を持たない沖縄電力所轄下の、傍観者ゆえの無責任さの発露」でしかない。 
     
 

<注釈>

 
(*1) 私がドイツの「脱原発」を「ナンチャッテ脱原発」と揶揄するのは、欧州の先進的電力網のお陰で「電力が不足すれば他国から電力を買う事が出来るから」。特に、フランスの原発から不足分の電力を買いながら「脱原発」宣言とは、片腹痛いと言うしかない。その事情はイタリアの「脱原発」でも同じ事だが。 

(*2) ドイツ降伏-独シーメンス社 原子力事業から撤退   http://www.afpbb.com/article/economy/2828751/7793213   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36006950.html    

(*3) 朝日、琉球新報、沖縄タイムスを纏めて私はこう呼んでいるが・・・東京新聞を加えて「四アカ新聞」、或いはさらに毎日を加えて「五アカ新聞」とすべきではないかと、思い始めている。 

(*4) 「中身の薄さ」で「勝って」いるのだから、「尚薄い」と言う事であるが。