客が涙を流すパリの洋菓子店、その訳は「グルテンフリー」  http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2863072/8601565

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 日本三大随筆の一つ(*1)「徒然草」によれば、「病なく、身強き人」は、「酒を好む人」「たけく、勇める兵(つはもの)」共々「友とするに悪きもの」七例の一つなのだそうだ。

 であるならば、私なんざぁ「友とするに悪きもの」を三つばかりも兼任している事になりそうだが、そんな私でも花粉症ぐらいはもっているから、アレルギーと言う奴は事ほど左様に「現代病」なのであろうと、勝手に解釈している。
 
 尤も、私の花粉症はクシャミと鼻水程度で済んでいるが、喘息のような傍目から見ても苦しい、当人はもっと苦しい症状もアレルギーの一種であるから、決して侮れない。その「決して侮れない」アレルギーを侮ってしまえるからこそ、「病なく、身強き人」は「友とするに悪きもの」と、700年近く前から断ぜられてしまうのだろう。
 
 AFP通信が報じるのは、その現代病を患うアレルギー患者達への朗報。フランスはパリに開店したグルテンフリー即ちグルテンを含まない洋菓子を売る菓子店の話し。何しろその菓子を作るマリー・タリアフェロ(Marie Tagliaferro)さん自身が重度のグルテンアレルギーで、一時は菓子作りを諦めかけたと言うのだから、記事にもある通りその「グルテンフリー」ぶりは保証付きだろう。また一方で、自分自身が重度のグルテンアレルギーであればこそ、「グルテンフリー洋菓子」のニーズを痛切に感じ、その「開発」に邁進した、トも言えそうだ。
 尤も、私自身は「病なく、身強き人」なものだから、グルテンアレルギーなんて物もピンと来なければ、一体どういう作り方をすれば「グルテンフリー」になるのかも見当が付かない。グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質だから、ナントカして除去するか、分解してしまうか、或いはそもそも小麦などを使わない代替食材によるのだと思うが・・・
 

1>  非常に感激した様子で食べ始め、
2> 中には、ルリジューズ(シュー菓子)やレモンメレンゲタルトを15年間も食べてないといって、涙を流す方たちもいます」
 
と言う同記事が伝えるグルテンアレルギー患者達の反応は、彼らの人知れぬ(*2)苦悩と、フランスに於ける洋菓子の重大性・致命性を、端的に現している。

 尤も、上記2> 「涙を流す方たちもいます」と言うのは同洋菓子店オーナーであるフランソワ・タリアフェロさんの言にしか過ぎず、「AFP記者が目撃した事実」ですらない事には、留意が必要だろう。
 
 「病なく、身強き人」にして「酒を好む人」である私には、「久々に食べた洋菓子に涙を流す」などと言う状況が、想像こそ出来るものの、実感できないのである。



<注釈>

(*1) にして、多分随筆としては世界でも有数の古典。モンテーニュがエセー・随想録を書き始めたのは1572年。これに対し徒然草は1331年に纏められたそうだから、240年ばかり先輩だ。 

(*2) 少なくとも私なんぞには想像する事しか出来ないような 



文学的補記 徒然草


「徒然草」第一一七段
友とするに悪(わろ)き者、七つあり。一つには、高く、やんごとなき人。二つには、若き人。三つには、病なく、身強き人。四つには、酒を好む人。五つには、たけく、勇める兵(つはもの)。六つには、戯言(そらごと)する人。七つには、欲深き人。
よき友、三つあり。一つには、物くるゝ友。二つには、医師(くすし)。三つには、知恵ある友。