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(1)全国紙からして此の体たらく

 案の定評価が分かれたのが、評価項目(3)「移設問題の原点・基本目標」。産経が明確に「日本の安全保障第一」を掲げ、視点の明確さが光る(*1)。これに比べれば、他の評価項目にある通り沖縄駐留の米海兵隊の抑止力を評価しながらも、評価項目(3)では普天間移設は米軍再編の出発点であり、根幹でもある。移設先は今でも辺野古が最善だ。」とする読売は焦点が幾分甘い。「沖縄の米軍再編の原点は、住宅や学校が密集する普天間の危険を取り除くことにあった。」とする日経は、私に言わせれば、「普天間問題の本質がわかっていない」のである。
 
 況やその他の新聞、三アカ新聞筆頭朝日とその子分毎日や東京に至っては、「市街地の真ん中にある飛行場の危険性除去こそが、日米合意の原点であることを忘れてはいけない。(朝日)」「毎日新聞は普天間移設について、沖縄が反対する「名護市辺野古への県内移設」の見直しを視野に入れて再検討するよう求めてきた。(毎日)」「議論されるべきは普天間か辺野古ではなく、沖縄県民の基地負担軽減だ。野田内閣は普天間返還問題の本質を見誤るべきではない。(東京)」と来た日には、沖縄二紙張りの「普天間基地の危険性除去が原点」の朝日、「基地負担軽減が本質」の東京、「沖縄県民の声を聞け」の毎日と、モノの美事に「普天間基地問題の本質」を見誤ってくれている。
 
 何度も書くが、普天間基地問題の本質は、「普天間基地に駐留する米海兵隊を何処に配置するか」と言う配置問題であり、そのために真っ先に我が国が考える事は我が国の安全保証だ。基地負担の軽減も、「世界で一番危険な基地の危険除去」も、「やれれば良いが、やれなくても困らない」二義的目標だ。況や「地元沖縄の声」なんぞより「我が国の安全保障」を優先するのは、国として責任だ。
 
 かくも本質を見誤っては、結論とも言うべき評価項目(6)にまともな提案が出て来よう筈も無い。朝日こそ巧妙に「日本政府のしたたかな構想」で以て普天間基地の返還と辺野古案白紙撤回を力説するが、そのしたたかな構想」と鳩山由紀夫が言い出した、言い出しただけの未だに存在しない「腹案」との相違を明確に説明すべきである。
 毎日は「普天間基地固定化回避が最優先」と言うばかりで、何をどうするかさえまともに論じない。
 東京に至っては、「沖縄県民にこれ以上の基地負担を押し付けるのは困難だと伝え、国外・県外移設の検討を堂々と提起すればよい。」と、素面で抜かすんだから恐れ入る。ソリャま海兵隊のグアム移転が当初の方針から変更されようとしているのは事実だし、鳩山由紀夫は戦後最悪の無能首相で会って、現首相の野田氏は一味も二味も違う、と仮にしたとしても、だ。先の衆院選挙から鳩山由紀夫退陣の間までかけて、政府案どころか民主党案一つ取りまとめられなかった民主党が、今更「国外・県外移設の検討」をして、何が出来ると思っているのか。
 翻って、本質を幾許なりとも突いている産経、日経、読売の三紙はと言うと、日経は「日本側はまず、米国の狙いを正確につかむ必要がある。」として現状把握の重要性を説き、「米軍の抑止力は欠かせない。海兵隊の分散移転でそれが弱まることがないよう、日本は米国としっかり協議してほしい。」と言う。「抑止力低減阻止」を打ち出したのは、具体策にかける恨みはあるものの、さすがと言ってよかろう。
 読売は「8000人の移転が実現するよう、日本政府は、米側と粘り強く交渉することが肝要だ。」と「粘り強い交渉」を打ち出す。これだけでは朝日のしたたかな構想と大差が無いが、「中国の軍備増強で沖縄周辺の安保環境が不透明な中、戦闘部隊が移転しても即応能力を低下させない、というメッセージを日米両国が発信することが求められる。」としてやはり「抑止力低下阻止」を求める。日経と同様、ポイントは抑えた、と言うところか。
 産経は一寸経路が異なる。後に詳述するが、産経は「辺野古移設こそ抑止力維持と基地負担低減の両面から最善」としている事から、「抑止力低下阻止」の具体策として「辺野古移設完遂」を打ち出し、此の評価項目(6)では今回の事態を招いた首相たる野田の責任を糾弾し、猛省と共に辺野古移設完遂を要求している。日経、読売が求めるだけの「抑止力低下阻止」に対し具体策を提案した形だ。
 
 一寸面白い結果になったのは、評価項目(4)「想定される憂慮すべき事態」だ。此の欄では、言及していない沖縄二紙を除いた六紙の内、東京を除く五紙が揃って「普天間基地固定化」を挙げている。東京だけは「普天間飛行場が固定化されるという心配がことさら強調され、辺野古移設やむなしという機運が醸成されかねないことだ。」と、普天間固定化よりも辺野古移設強行の方を懸念している。
 朝日から産経まで憂慮してみせる「普天間基地固定化」だが、憂慮する理由は当然の如く異なる。朝日、毎日は「普天間基地の危険性」を唱える。東京、読売は「米軍再編の原点/出発点」とする。これに対し産経は、「日米同盟の抑止力も損なう結果となりかねない」と、抑止力の低下を懸念する。産経は此の件で関連した記事が幾つかあり(*2)、「普天間固定化では抑止力が低下する」と言う此の社説の主張は通底している。つまりは「産経の社を挙げての主張」と言う事であろう。私の見解とは少々異なるところだ。
 
 

<注釈>

 
(*1) 「我が意を得たり」と言うところも、無いではないが。 
 
(*2) 抑止力低下、変わらない基地負担…国益損なう負の連鎖  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120208/plc12020822080028-n1.htm
 グアム先行移転 “一石三鳥”の米戦略  http://sankei.jp.msn.com/world/news/120208/amr12020819400008-n1.htm など  
 
 

(2)況や、沖縄二紙に於いてをや

 一方で・・・題材が題材だけに、頭に血が上ってしまうのだろうが、やっぱり一番中身が薄いのは、「地元」沖縄二紙、三アカ新聞下っ端の琉球新報と沖縄タイムスである。特に琉球新報は、2回に渡って社説で取り上げた内容すら、表にした通りのブランクだらけ。これは上記(1)~(6)に設定した評価項目が琉球新報の評価に適していなかった、と言う事でもあるが、それならば何を主張しているか、と言うと、日本国首相は愚か合衆国大統領にまで「普天間基地撤去」を「お願い」している始末だから、その「主旨」欄に記したとおり、「ケンガイダァコクガイダァ」の社民党流アホダラ経以外の何物でもない。精々それを「民意」と称して飾っているのが、一工夫である程度だ。さらには、その「普天間基地撤去』を、①では「沖縄の広い世論(*1)」と「オバマ合衆国大統領」に依願し、②では首相と「政府が無気力なら国会(*2)に」やはり「決断」を迫ったり「民意の後押し(*3)」を求めている。なんと言う節操の無さか。所詮はアホダラ経を唱えるばかり。語るに足らず。 

(3)沖縄は対大陸の最前線である

 再三繰り返す通り、普天間基地問題とは人権問題でも騒音問題でも基地負担の問題でも差別の問題でもない。普天間問題とは、普天間基地に今駐留している米海兵隊を何処に配置するか、と言う「米海兵隊配置問題」だ。それを検討する上で最優先に考えるべきは、我が国の安全保障である。
 
 今や、大陸支那は沖縄・尖閣すらも「核心的利益」と唱え始めた。これは、チベットやモンゴル、或いは東シナ海や南シナ海の例を引くまでもなく、支那の侵略・併合予告に他ならない。即ち以前から、或いは歴史的にそうである通り、沖縄・琉球は対大陸の最前線なのである。それ故にこそ、琉球王国は大陸と薩摩藩に二重朝貢していたのである。
 繰り返す。普天間問題は、米海兵隊の配置の問題であり、我が国の安全保障の問題だ。現状普天間基地に駐留する米海兵隊の抑止力を維持するのが大前提であり、我が国の安全保障上の戦術目標だ。辺野古移設も、普天間基地継続使用もその戦術目標の為の手段であり、これは、仮に「辺野古移設を白紙撤回(*4)」した所で変わりはない。
 私の主張は再三繰り返すとおりだ。辺野古移設が無理ならば、普天間継続使用であり、日本国としてはそれでさして困らない。米国はもっと困らない。
 
 県外移設、国外移設、普天間基地無条件撤去、言うだけならタダだが、論外だ。「辺野古移設の辺野古撤回」だとて、「普天間基地返還が前提/原点」ならば、同様に論外だ。
 
 そんな論外な主張が全国紙にずらりと並ぶのは、「沖縄の心が日本全国に届いた」と言う見方も出来るのかも知れないが、「普天間問題の本質を全く理解していない/理解しようとしていない」からだ。
 
 以上の通り私の主張は明白であるから、社説比較シリーズの恒例である数式による論評も、自ずと明らかになる。
 
 
 産経 > 読売 ≒ 日経 
 論外:朝日、毎日、東京 
 評価対象外:琉球新報、沖縄タイムス
 
 得に沖縄二紙は、「呪文」「シュプレヒコール」「スローガン」以上の主張が殆ど認められない。これはアジ文・檄文と言うよりも、呪符に近い。
 

<注釈>

(*1) ッて事はだ。「県民の大多数が普天間基地の県内移設に反対」と言うのは、相当程度「嘘でした」と自白している訳だ。何しろ、「今こそ普天間飛行場の閉鎖に向け、県、市町村、政党、団体など県民が心を一つに結束する時だ。」と言う勇ましい宣言は、「未だに県、市町村、政党、団体など県民は普天間飛行場の閉鎖に向けて結束していない。」と言う現状認識の自白だからだ。語るに落ちたり、琉球新報。元々落ちているが。 
 
(*2) と言う事は、「政府が無気力」である以上、野党に、と言う事だろうが。 
 
(*3) 一体なんだって沖縄県民の民意を日本国の国会が後押しする/後押ししてもらえる/後押ししてもらいたい などと思えるのか、「宗教の違う」私には全く理解できない。それこそ「日本は沖縄の植民地ではない」と言うべきではないのか。
 
(*4) はーてな。鳩山由紀夫は「ゼロベースで検討」とか「辺野古移設を前提にしない」とか言っていたのだが。まあ、奴は大嘘吐きの大無能だから、「言うだけで何もしなかった」のは事実としても、民主党党首は野田になったが、議員の面子は殆ど変わらない民主党が、今更「辺野古移設白紙撤回」した所で、何が出来るというのかね。
 ああ、「白紙撤回するだけ」なら、ナントカなるか。だがそれは「普天間基地継続使用」しか意味しないし、日本政府としては、それ以外を、少なくとも当面の間、意味させる可きでもない。 
 忘れたのかね、鳩山由紀夫は、前の前の民主党党首にして恐るべき事に当時日本国首相でさえあった鳩山由紀夫は、一昨年5月までに「普天間問題解決」と吹聴し続けて、遂に政府案どころか、民主党案さえ、出せなかったのだぞ。