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 コダックといえば、アメリカのカメラフィルムメーカー最大手であって、「頭痛持ちのアヒル」ではない。最大手も最大手、かつてはカメラフィルムでは全世界的にほぼ独占企業であり、数少ない例外が、欧州はドイツのAGFA社と、我が日本のフジフィルム、サクラカラー。殊に、フジとサクラと言う国産メーカーを二社も持つ日本市場は、コダックにとって鬼門とも言える(*1)日本の牙城であった。
 
 無論、資本主義の原理から言って、独占市場と言うのはろくな事が無い。独占企業が価格を相当コントロールしてしまうから高く付くし、競争がないんだから新製品開発による品質向上も期待が薄くなる。だが一方で、資本主義の原理から言って、一反独占市場が成立してしまうと、そう簡単にはこれを崩せないと言うのも道理。実際、カメラフィルム全盛時代には、コダックの「カメラフィルム市場ほぼ独占」と言う状態は、仲々崩せなかったと聞く。
 
 だが、驕る平家も久しからず。諸行無常は日本特有の現象ではなく、かつての世界的独占企業コダックが、「破産法の申請を検討」つまりは「倒産するかも知れない」と言うのが以下の報道である。
 

<注釈>

(*1) AGFAにとっては、もっと鬼門だったようだが。 

転載開始=========================================

米コダックが破産法申請か 業績低迷、数週間内と米紙報じる

2012.1.5 10:14 [倒産・破産]
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は4日、米写真用品大手イーストマン・コダックが数週間以内の連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請を準備していると報じた。
 写真用フィルム大手だったコダックは、デジタルカメラ時代への対応が遅れ、業績が低迷。資金確保のため保有特許の売却交渉を進めている。
 同紙によると、特許売却がうまくいかない場合に破産法の申請を検討。その際に金融機関からつなぎ融資を受ける交渉をしている。
 申請後に裁判所の管理下で、1100件の特許を売却することもあり得るという。
 コダックは3日、株価の平均終値が30営業日連続して1ドルを下回ったことから、ニューヨーク証券取引所から上場基準に抵触する恐れがあるとの通知を受け取ったと発表していた。(共同)
=================================転載完了

富士と桜の勝利

 何度も書くとおり、私は「魂の自由を愛する者」だ。それゆえもあって資本主義の自由競争経済を基本的に支持しているし、現在に至るも最も市場競争力の強い経済体制であり、それ即ち「企業の生き残りやすい」経済体制であると、考えている。その市場競争原理が、独占企業の出現を促進し、自由競争が窒息させられかねないと言うのも充分理解している心算だが、その原理的矛盾は、「独占禁止法」の様な、対症療法で姑息かも知れないが、社会主義や共産主義のような「原理的対処」より遥かに実害の少ない、実用的実利的な方法で対処出来ると考えている。
 
 或いは、今、正にその資本主義の原理に拠って独占企業となったコダックが倒産の危機に瀕しているように、「デジタルカメラ」の様な技術革新に拠って生起される「パラダイムシフト」によって独占企業が倒されるもの、と。その技術革新は、前述の通り競争原理が働くが故に、活発化するとも考える。
 
 故に私は、魂の自由を愛する私は、資本主義市場経済を支持するし、報じられるような「独占企業の黄昏」には快哉を叫んでしまうのである。
 それはまた同時に、我が国の、かつてコダックから日本市場を守りきったフジフィルムやサクラカラーの勝利なのであるから、なおさらだ。
 
 Freiheit in der Hand!
 自由を、我が手に。