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 産経新聞の「環球異見」は、アメリカ、EU、中国を中心として共通のテーマで世界がどう報じているかを比較した記事だ。勿論産経記者がそれぞれ要約している記事だから、「産経カラー」は出るであろうし、そもそも共通テーマの取り上げ方からして「偏り」は免れないだろう。それでも異国の異なる新聞による異見を報じることは、日本書紀に於ける「一書に曰く」にあい通じる「異論・移設に対する寛容」であり、それが特に中国のような「マスコミは党の口舌=宣伝航法機関」を原則とするような国ならば、国情・国勢が其処に現れよう。
 
 今回取り上げるのは、その「環境異見」から、中国紙の報道ニ題。取り上げられたテーマは、「反格差デモ」と「米国赤字削減協議決裂」である。
 
 まあ、先ずは産経がセレクトし、要約した中国紙の報道を、御一読願おうか。
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【環球異見】
ウォール街発 反格差社会デモ

21世紀経済報道(中国)
 米ウォール街を震源地とした反格差社会デモは発生から2カ月目に突入、世界の80カ国以上に波及して勢いが衰える気配はない。米国では来年の大統領選に与える影響が論議され、中国は自国への飛び火を恐れて、米国流資本主義への批判に転嫁。債務危機の渦中の欧州では、世界中の民衆の不満を反映した動きと好意的にとらえる傾向がある。
 ▼21世紀経済報道(中国)

証明された孔子の教え

 米ウォール街から世界に飛び火した反格差社会デモについて、中国紙はおしなべて資本主義がもたらした必然的な事態との見方を示す。その論評の中で、中国の経済紙、21世紀経済報道(14日付)が持ち出したのは儒家、孔子の思想だ。
 同紙は、米国の第3代大統領、トーマス・ジェファソンが起草した「独立宣言」の前文に書かれている「幸福の追求」を「富の創造と所有」と解釈。これが米国建国の基本論理の一つだとしている。
 米国人の幸福観は中国人の伝統的な考え方と異なるという。中国では「論語」の中で孔子が説く「寡(すくな)きを患(うれ)えずして均しからざるを患え、貧しきを患えずして安からざるを患う」という言葉が幸福の“定義”。少ないことや貧しいことではなく、不公平や不安定こそが問題だとする孔子の教えと米国の幸福観が、反格差社会デモとしてウォール街でひとつになったと指摘する。
オバマ政権が誕生してから、米国の各家庭の国債負担は3万5835ドル(約275万円)増えたという。リーマン・ショック後、ドルを増刷して米国債を買う量的緩和策を講じてきたことにより一般労働者が背負う債務が増加。「貧しきを助長し、富裕層を救済した」と非難している。
 12日付の中国紙、経済参考報も「米国の自由資本主義は権力者資本主義に向かっている」と断じている。
 21世紀経済報道によると、反格差社会デモはもともと文芸サイトから発信された。当初の参加者は世の中を知らない“文芸青年”だった。それが拡大して労働者や教師が参加するようになり、「行動芸術」が本当の社会運動に変わったと分析する。孔子の教えに反する道を進んでいる中国も“対岸の火事”ではいられない。(北京 川越一)
 

【環球異見】
米赤字削減協議の決裂 「米国式民主主義の限界」中国紙 

「環球時報」
 米財政赤字削減策を協議していた議会超党派の特別委員会が21日、合意断念を発表、米財政の不安が再燃している。協議決裂に伴い、削減目標額と同額の1兆2000億ドル(約92兆円)の歳出が強制削減される見通しで、米国政治に対する不信感は国内だけでなく、債務危機が続く欧州や、米国債最大保有国の中国にも広がっている。
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環球時報(中国)

 ■米国式民主主義の限界
 23日付の中国の国際情報紙「環球時報」は、米国の赤字削減協議の決裂を受け、「債務危機は米国式民主主義の問題点を露呈させた」と題する政府系シンクタンク、世界発展研究所の丁一凡副所長の論評記事を掲載した。
 記事は冒頭で「協議の失敗は、米経済がしばらく衰退への道から離れられないことを意味する」と指摘。米国債の最大保有国として米国の財政状況から目を離せない中国の危機感をにじませた。
 記事はまた、合意に達しなかった削減案について「社会福祉面での削減が大きく、共和党の右翼分子の求めにあわせており、社会の不公平感をさらに大きくするものだ」と分析した。
 その上で、「金融危機を創り出したエリート集団は、近年で最も収入が増えた人たちであったが、金融危機発生以降、彼らは何らの罰を受けることなく、逆に政府の助けを受けた」とし、米国社会で蔓延(まんえん)する不公平感が、協議決裂の背景にあると説明した。
 記事はさらに、「米政府は今、二重の政治信用危機に直面している」と指摘。
 ひとつは「政治家が選挙など自らの政治ゲームに明け暮れ、(米国債の)投資者たちの利益を守ろうとせず、世界中の不満を買った」という信用不安。もうひとつは「政治と金融のエリートが一緒になって納税者からお金をとろうとすることに一般民衆が不信感を膨らませている」という国内的な政治危機だという。
 記事は、米国の現状について「政府の行政能力の低下を意味している」とし、「米国式の民主主義は限界を迎えた」と手厳しい。巨額の財政赤字を放置する一方でアジア太平洋で中国包囲網を築こうとする米国への反発も読み取れる。(北京 矢板明夫)
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