「一国脱原発」の限界―剣は、自らの手にあるべきだ
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さて、如何であろうか。
前者の記事は如何にも産経らしいといえば産経らしい記事だ。ドイツ・メルケル首相に対するシンガポール・シェンロン首相の言葉「アジアで日本を除いて原発建設をやめた国はない」を冒頭に置いた書き出しで、原発の建設、さらには輸出に積極的な国の事例を、シンガポールやベトナムなどを引き合いに報じる。最も注目すべきなのは、次の一行だろう。
1> 日本が足踏みしているのを好機とばかり、フランスやカナダなど欧米諸国だけでなく、韓国や中国が原発輸出に意欲をみせる。
1> 日本が足踏みしているのを好機とばかり、フランスやカナダなど欧米諸国だけでなく、韓国や中国が原発輸出に意欲をみせる。
即ち、原子力技術を持ちながら「脱原発」を国が宣言し、為に企業が原子力事業から撤退を余儀なくされたドイツ(*1)なんてのはむしろ例外的で、フランスやカナダは愚か中国、韓国までもが原発輸出に積極的であり、一方受け入れ側でも少なくともシンガポールとベトナムは原発輸入に積極的であるとする報道だ。
2番目の記事は、1番目の記事に対するささやかな反論・反発・反動と言えよう。中華民国・台湾の馬英九総統は、「今計画中の(日の丸)原発は建築するが、
2> 以降は現在稼働中の原発は耐用期限内に順次廃炉とし、代替エネルギーを求めてゆく原発漸減方針」
2番目の記事は、1番目の記事に対するささやかな反論・反発・反動と言えよう。中華民国・台湾の馬英九総統は、「今計画中の(日の丸)原発は建築するが、
2> 以降は現在稼働中の原発は耐用期限内に順次廃炉とし、代替エネルギーを求めてゆく原発漸減方針」
を発表したと言うから、「長期的脱原発論」とでも言うべき方針。意味する所は、「今計画している以上の原発を、中華民国・台湾は建造しない。」であると同時に「今稼働中若しくは計画中の原発は、寿命一杯発電する。」である。ま、現実的といえば現実的な話しだ。今計画中の「日の丸原発」は「2016年までの商業運転開始をめざす」そうであるから、原発寿命を40年として「2056年までは脱原発を実現しない宣言」とも言える。これぐらい長いスパンを取れば、「代替エネルギーを求めてゆく」のも実現味がある。否、それどころか、「代替エネルギー」とハッキリ言って居り、今をときめく「再生可能な自然エネルギーで代替」等とは言っていないから、原子力を火力で代替していく事も、此の方針ならば可能だ。
言い換えれば、後者の記事は「今後半世紀をかけての脱原発を中華民国・台湾は方針とした」のであり、前者は「今後、シンガポールとベトナムは原発を新設するであろうし、原発輸出に積極的なフランス、カナダ、中国、韓国は原子力技術と原発を維持するだろう」と言う事である。後者の「中国、韓国は原発を維持するだろう」は、記事には書かれていない私の推測ではあるが、ドイツ政府が脱原発方針を打ち出してから、殆ど間髪を入れず(*2)にドイツ・シーメンス社が原子力事業からの撤退を宣言しているぐらいだから、「国は脱原発方針だが、原発輸出はする」なんてドイツ政府が当初言っていた虫の良い状態は、、非現実的と断じざるを得ないかのである。従って、「中国、韓国は原発を維持するだろう」と言うのは、妥当な推論であろう。
であるならば、
一世を風靡して居ると言うか、猖獗を極めて居ると言うか、世上かますびしい「脱原発」が我が国の方針となって実現化してしまい、我が国の全原発は停止して廃炉の憂き目にあい、我が国から原子力技術が失われた(*3)世界・脱原発世界は、一体どんな世界であろうか。
国内の状況(恐らくは惨状)は先ず於いて、海外に目を向ければ、上掲二番目の記事によれば中華民国・台湾の原発は徐々に減っていっているかも知れない。だが、ヴェトナムとシンガポールに新たな原発が立ち、輸出に積極的な中国・韓国の両国内の原発も、増えこそすれども、減りはするまい。而して、前述の通り中国も韓国も我が国に吹き付ける偏西風の風上にある。さらには、此の両国以外の国に両国製の原発が建造されている可能性は多分にある。
実に、心楽しい世界ではないか。(勿論皮肉)
私は本章のタイトルを、「一国脱原発の限界」とした。「一国脱原発」なる言葉は、ドイツが脱原発を宣言し、「ドイツ発の原発事故を起こさない」等と偉そうにのたもうた時に思いついた言葉だ。言わんとする所は、「西欧には国際的な送電網があって、ドイツもベルギーも、電力不足はフランスなどから電力を買えば賄える。フランスの電力は8割が原発に拠るのに、電力不足の際にはフランスの電力をあてにしておいて、「脱原発」とは片腹痛い。」であり、「ドイツやベルギーの一国脱原発は、フランスに原発の発電も、運用も、技術も押し付けた、自己満足だけの欺瞞的脱原発である」と言う意味であった。
であるならば、
一世を風靡して居ると言うか、猖獗を極めて居ると言うか、世上かますびしい「脱原発」が我が国の方針となって実現化してしまい、我が国の全原発は停止して廃炉の憂き目にあい、我が国から原子力技術が失われた(*3)世界・脱原発世界は、一体どんな世界であろうか。
国内の状況(恐らくは惨状)は先ず於いて、海外に目を向ければ、上掲二番目の記事によれば中華民国・台湾の原発は徐々に減っていっているかも知れない。だが、ヴェトナムとシンガポールに新たな原発が立ち、輸出に積極的な中国・韓国の両国内の原発も、増えこそすれども、減りはするまい。而して、前述の通り中国も韓国も我が国に吹き付ける偏西風の風上にある。さらには、此の両国以外の国に両国製の原発が建造されている可能性は多分にある。
実に、心楽しい世界ではないか。(勿論皮肉)
私は本章のタイトルを、「一国脱原発の限界」とした。「一国脱原発」なる言葉は、ドイツが脱原発を宣言し、「ドイツ発の原発事故を起こさない」等と偉そうにのたもうた時に思いついた言葉だ。言わんとする所は、「西欧には国際的な送電網があって、ドイツもベルギーも、電力不足はフランスなどから電力を買えば賄える。フランスの電力は8割が原発に拠るのに、電力不足の際にはフランスの電力をあてにしておいて、「脱原発」とは片腹痛い。」であり、「ドイツやベルギーの一国脱原発は、フランスに原発の発電も、運用も、技術も押し付けた、自己満足だけの欺瞞的脱原発である」と言う意味であった。
だが、今回章題にした「一国脱原発」は我が国の事であり、ドイツやベルギーのように欺瞞的・独善的ではないが、深刻ではある。何しろ島国日本は電力輸入するのは困難だから、電力不足は即座に停電を意味する(*4)。そのくせ大陸発・半島発の原発事故による影響は、日本海と言う距離分の減衰のみで、直に喰らうのである。
で、冒頭に掲げた設問に戻ろうではないか。
中国製或いは韓国製の原発は、日本製の原発よりも安全だろうか。それも、遥かに安全だろうか。
私の答えは明白だろう。中国製や韓国性の原発が、日本製より安全な訳がない。新幹線、自動車、水晶時計など、枚挙に暇が無い日本の工業製品Made in Japanの山がそれを証している。それどころか、「人類最高の安全な原発を製造するのは日本人だ」と信じられるほどであるし、それ以上に中国製・韓国製の原発が信じられない。
技術的には中国や韓国に建造される原発も、日本製原発とした方が安全であろうが・・・・政治的にはお薦めできない。彼奴らは、態と誤操作して事故を起こし、日本政府に賠償請求ぐらいやりかねないから。
だが、中韓両国が輸出する相手国には。より安全性の高い日本製原発を輸出し、中韓両国製であることによる分のリスクを低減するのは、その国にとっても我が国にとっても人類にてとっても利益であろう。
「剣は、自らの手にあるべきだ。」とはフランスの大統領であったシャルル・ド・ゴールの言葉。彼は、フランス独自の核武装を決断した際に、その理由を斯様に説明したと言う。
原発は核兵器ではないが、似ている部分はある(*5)。脱原発が、核兵器廃絶に似るのも、ある意味当然であれば、核兵器輸出と原発輸出に共通する物があるのも道理であろう。
我が国は、福島原発事故によって得た教訓に基づき、より安全性を高めた原発を作り、運用し、輸出すべきである。
それこそが、福島原発事故を含む東日本大震災の犠牲者に対する、我ら生者・残りし者の、負うべき責務であろう。
前進せよ、人類。
炎よ、行け!
原発は核兵器ではないが、似ている部分はある(*5)。脱原発が、核兵器廃絶に似るのも、ある意味当然であれば、核兵器輸出と原発輸出に共通する物があるのも道理であろう。
我が国は、福島原発事故によって得た教訓に基づき、より安全性を高めた原発を作り、運用し、輸出すべきである。
それこそが、福島原発事故を含む東日本大震災の犠牲者に対する、我ら生者・残りし者の、負うべき責務であろう。
前進せよ、人類。
炎よ、行け!
<注釈>
(*1) ドイツ降伏-独シーメンス社 原子力事業から撤退 http://www.afpbb.com/article/economy/2828751/7793213 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36006950.html(*2) 尚且つ、ドイツ政府が脱原発方針を打ち出した当初は、「原発技術は維持する」=「原発輸出は続ける」(ドイツ国内に原発がなくなる以上、ドイツの原発メーカーは、海外に原発を輸出しなければ、商売にならない。)と、虫の良い事に宣言していたにも拘らず(*3) 先述のドイツの例に見るとおり、国が脱原発方針を確定したら、原子力技術の喪失は殆ど自動的だ。(*4) 大容量の蓄電技術が確立普及するまでは。(*5) 作動原理の根本は一緒だ。
【参考】当ブログの原発関連記事(抜粋)
(1)「原発如きが人類を滅ぼすオーバーテクノロジーなものか http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35039419.html
(2)石棺幻想 -福島原発事故処理法としての石棺方式を考える http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166775.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166813.html
(3) 私の原発推進論―または私が福島原発事故を経てなお原発を推進する理由。―前進せよ、人類。 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35630668.html
(4)原発如きが人類を滅ぼすオーバーテクノロジーなものか-ホーキング博士「銀河系の知的文明はオーバーテクノロジーで100年と持たずに絶滅」 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35039419.html#35711429
(5)余剰電力は防衛力である-脱原発騒動と電力不足に状況によせて http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35687699.html
(6) 私の「自然エネルギー推進論」―フクシマ後も原発推進の立場から― http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778036.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778053.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778071.html
(4)原発如きが人類を滅ぼすオーバーテクノロジーなものか-ホーキング博士「銀河系の知的文明はオーバーテクノロジーで100年と持たずに絶滅」 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35039419.html#35711429
(5)余剰電力は防衛力である-脱原発騒動と電力不足に状況によせて http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35687699.html
(6) 私の「自然エネルギー推進論」―フクシマ後も原発推進の立場から― http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778036.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778053.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778071.html
(7) ドイツ降伏-独シーメンス社 原子力事業から撤退 http://www.afpbb.com/article/economy/2828751/7793213
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36006950.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36006950.html