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「恐れていた事態だが、最悪ではない。」今年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原発事故について、私は何度かそう考え、何度かは記事にもした。ある意味「負け惜しみ」の発想であり、絶望を回避する防衛反応である。ひょっとすると、現実逃避か言い訳と言う要素も含まれているかも知れない。
だが、絶望しないからこそ、前進できる。明日への希望も、道筋も見えてくる。「今尚原発推進論者」と言う一種の楽観主義を声高に(*1)吹聴できるのも、今回原発事故に限らず、人類の英知と科学技術の未来に対し、希望を抱いているからだ。
今回放射性キセノンの検出により判明した、自発核分裂の可能性或いはさらには再臨界の可能性と言うのも、やはり私にして見れば「恐れていた事態だが、最悪ではない。」のであり、人類の英知と科学技術の未来に対する希望を、小揺るぎにもしないのである。
先ずは、その報道記事を御照覧あれ。
だが、絶望しないからこそ、前進できる。明日への希望も、道筋も見えてくる。「今尚原発推進論者」と言う一種の楽観主義を声高に(*1)吹聴できるのも、今回原発事故に限らず、人類の英知と科学技術の未来に対し、希望を抱いているからだ。
今回放射性キセノンの検出により判明した、自発核分裂の可能性或いはさらには再臨界の可能性と言うのも、やはり私にして見れば「恐れていた事態だが、最悪ではない。」のであり、人類の英知と科学技術の未来に対する希望を、小揺るぎにもしないのである。
先ずは、その報道記事を御照覧あれ。
<注釈>
(*1) 少なくとも当人はその心算だ。こんな弱小ブログで主張しても、その声はたいした高さにならないが。
転載開始=========================================
冷温停止に「黄信号」 2号機の核分裂反応継続
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111102/dst11110221140025-n1.htm
2011.11.2 21:13 [放射能漏れ]記者会見で、福島第1原発2号機の状況などについて説明する原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監=2日午後、経産省
福島第1原発2号機で核分裂反応が明らかになったことで、年内を目標としていた「冷温停止状態」の達成に「黄信号」がともっている。冷温停止は原子炉が安定した状態であることを意味するが、核分裂反応が止まっていない状況では、とても安定とはいえないからだ。(原子力取材班)2号機は津波で冷却機能を喪失。核燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底や、外側の格納容器の底にまで漏れ出していると推定されている。溶けた燃料は落ちて微粒子化しているか、塊となって冷え固まっているとみられているが、どの程度水に漬かっているかなど、実際には「原子炉の中がどうなっているのかは分からない」(東電)のが現状で、まさに「ブラックボックス」だった。ただ、原子炉への注水を続けた結果、9月末には圧力容器下部の温度は100度を下回り、圧力も安定。表面上は落ち着いた状態とみなされていた。それだけに今回、核分裂に伴って発生する放射性キセノンが検出された衝撃は大きい。東電は「臨界があったとしても一時的か局所的」と強調したが、九州大の工藤和彦特任教授(原子力工学)は「核分裂反応が継続しているとみなさざるを得ない」と厳しい見方を示す。再臨界が起きていた場合、今後の原子炉冷却にも影響を及ぼす可能性がある。気体はキセノンと確認 保安院「自発核分裂の可能性高い」
大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は「水の量が増えると核分裂が促進される懸念がある。また、水温が低いと中性子がより減速されて核分裂が進む場合もある」と解説する。つまり水量が増えたり、水温が下がったりしても、核分裂や再臨界が起きる可能性が高まるのだという。東電は注水量を増やすことで原子炉を冷却してきたが、今後は原子炉の冷却をしつつ、核分裂の抑制にも気を配る必要が生じ、冷温停止に向けて新たな変動要因を抱えた形だ。東電も「注水量の検討をする必要があるだろう」としており、今後、難しいかじ取りが予想される。キセノンが検出されたきっかけは「格納容器ガス管理システム」と呼ばれる、格納容器の気体を吸い出して放射性物質を除去する装置。先月28日、2号機に初めて設置されたが、1、3号機にはまだ設置されていない。1、3号機でも同様に、核分裂が発生している可能性があるが、調べる手段はまだない。政府と東電は年内の「冷温停止状態」の達成を目指していたが、事故から7カ月以上が経過した今もなお原子炉の中は不明な点が多く、安定とはいえない状況が今回露呈した。工藤教授は「中性子の発生と臨界を把握できない状態で、冷温停止を宣言して安心だとアピールすることは拙速だ」と指摘している。
=================================転載完了
キセノン検出で漸く判明―福島原発2号機で核分裂反応判明。1,3号機も可能性、と言うが・・・
「管直人の真似」とか思われるのは業腹なのだが、私の原子物理学に関する知識が最新のものではなく、多分に古典的なものでしかない事を認めるに、私はやぶさかではない。何しろ核物理の基礎を知ったのは小学生の頃、原爆の爆発原理として知ったのが最初であり(*1)、中高生時代に物理の授業や核シェルター(耐核退避壕)の知識を通じて、その他の核反応や放射線の種類と特性を覚えた事が基礎であり、其処からは折に触れての科学記事などで知識を更新する程度。Nature誌もNewton誌も定期購読もせず、偶に立ち読みする程度だから「多分に古典的」でも誉めすぎかも知れない。
事実、今回キセノンが検出され、核分裂反応の可能性が報道された際は、聊か驚いた。
何度か書いている通り、今回福島原発事故における私が考える最悪事態とは、以下の事態である。
(1)原子炉の炉心が溶融して下に溜まり (これは既に発生)
事実、今回キセノンが検出され、核分裂反応の可能性が報道された際は、聊か驚いた。
何度か書いている通り、今回福島原発事故における私が考える最悪事態とは、以下の事態である。
(1)原子炉の炉心が溶融して下に溜まり (これは既に発生)
(2)溶融した核燃料が再臨界に至って発熱し始め
(3)再臨界した核燃料が冷却水を熱分解して水素を発生しつつ、原子炉の格納容器・圧力容器下部、さらにはそれらが乗る土台や地面を溶かしながら以下の何れかの事態に至る
①水素爆発が再び発生し、格納容器・圧力容器が大規模に破壊する。
この場合核燃料が露天する可能性があり、そうなれば正しくチェルノブイリ級の大事となる。
②発熱した核燃料が周囲を溶融しながら沈下していく。そのまま何処とも知れぬ地中に埋もれていてくれると言う保証はない。
「地球の反対側に突き抜ける」=チャイナシンドロームは冗談としても。
上記の事態を生起させないための、自衛隊から警視庁、消防庁まで「総動員」で実施し、海水まで突っ込んだ冷却であり、その甲斐あって「年内に冷温停止」などと言う、聊か楽観的な予定にも、一定の真実味を与えていた。
「放射線キセノンが検出された」と言う報道は、上記(2)の再臨界から核燃料の発熱が始った疑いを抱かせた。「大規模な臨界状態ではない」と言う強調も、「ならば、小規模の臨界状態か?」との疑義を拭えなかった。
但し、少なくとも原子炉全体は温度計測されているし、周辺部の放射線も厳重な監視下にある。放射線は兎も角、温度の異常が計測されないのに、再臨界して発熱し始めたとは非情に考え難い。熱分解で水素発生を始めるのも、周囲の鉄なりコンクリートなりを溶かし始めるのも、局所的にとは言え1000度近い高温が必要だから、これが見過ごされるとは、特に「年内に冷温停止」とまで言われる現状では考え難い。
一体何が起こっているのかと、報道をモニターしていたら、新たな説明が出てきた。即ち、「キセノンは自発核分裂による」と言う説明で、だから臨界ではない、と言うもの。此の説明は後に確報となる。
恥ずかしながら、私は「自発核分裂」なる現象を知らなかった。泥縄ながら検索かけてみると・・・要は、放射線を出すような核物質の原子核は、相応に不安定なのであるから、中性子がぶつからなくても核分裂を一定割合で起こすのだそうだ。原因が中性子の衝突でないだけで、後は普通の核分裂と同じだから、エネルギーも出れば、中性子も出る。臨界量以上に集まった核燃料が臨界に至って発熱するのはこのためだ、と言うから、考えてみれば当たり前の話。我が不明を恥じる他ない。
この「自発的核分裂」の発生確率はWikipediaによると、ウラン235で5.60 × 10-3 回/s-kgとある。凡そ1kg当たり200秒に1回と言うから、原子炉内なんていうウラン豊富な状況では、微量のキセノンが検出され、核分裂が観測されるのは、当たり前、と言う事になる。
上掲記事は以下のパラグラフでその記事を〆るが・・・・、
1> 政府と東電は年内の「冷温停止状態」の達成を目指していたが、
2> 事故から7カ月以上が経過した今もなお原子炉の中は不明な点が多く、安定とはいえない状況が今回露呈した。
3> 工藤教授は「中性子の発生と臨界を把握できない状態で、冷温停止を宣言して安心だとアピールすることは拙速だ」と指摘している。
「放射線キセノンが検出された」と言う報道は、上記(2)の再臨界から核燃料の発熱が始った疑いを抱かせた。「大規模な臨界状態ではない」と言う強調も、「ならば、小規模の臨界状態か?」との疑義を拭えなかった。
但し、少なくとも原子炉全体は温度計測されているし、周辺部の放射線も厳重な監視下にある。放射線は兎も角、温度の異常が計測されないのに、再臨界して発熱し始めたとは非情に考え難い。熱分解で水素発生を始めるのも、周囲の鉄なりコンクリートなりを溶かし始めるのも、局所的にとは言え1000度近い高温が必要だから、これが見過ごされるとは、特に「年内に冷温停止」とまで言われる現状では考え難い。
一体何が起こっているのかと、報道をモニターしていたら、新たな説明が出てきた。即ち、「キセノンは自発核分裂による」と言う説明で、だから臨界ではない、と言うもの。此の説明は後に確報となる。
恥ずかしながら、私は「自発核分裂」なる現象を知らなかった。泥縄ながら検索かけてみると・・・要は、放射線を出すような核物質の原子核は、相応に不安定なのであるから、中性子がぶつからなくても核分裂を一定割合で起こすのだそうだ。原因が中性子の衝突でないだけで、後は普通の核分裂と同じだから、エネルギーも出れば、中性子も出る。臨界量以上に集まった核燃料が臨界に至って発熱するのはこのためだ、と言うから、考えてみれば当たり前の話。我が不明を恥じる他ない。
この「自発的核分裂」の発生確率はWikipediaによると、ウラン235で5.60 × 10-3 回/s-kgとある。凡そ1kg当たり200秒に1回と言うから、原子炉内なんていうウラン豊富な状況では、微量のキセノンが検出され、核分裂が観測されるのは、当たり前、と言う事になる。
上掲記事は以下のパラグラフでその記事を〆るが・・・・、
1> 政府と東電は年内の「冷温停止状態」の達成を目指していたが、
2> 事故から7カ月以上が経過した今もなお原子炉の中は不明な点が多く、安定とはいえない状況が今回露呈した。
3> 工藤教授は「中性子の発生と臨界を把握できない状態で、冷温停止を宣言して安心だとアピールすることは拙速だ」と指摘している。
少なくとも、「キセノンは自然核分裂による物」即ち「原子炉内に残っている核燃料の量からして、検出されたキセノンの量は自然核分裂から発生が予想される値を超える物ではない。」と断ぜられたのならば(*2)、上記2>「安定とはいえない状況が今回露呈した。」と言うのは煽り以外の無いものでもない。
此の私は今回知った自発的核分裂の定義からすれば、それを止めるのはそもそも不可能であり、発生確率を下げるのでさえ、核燃料を直接扱えるようにならなければ出来そうにない。それは廃炉処理もある程度進んだ段階でこそ可能あり、現状でそれを求めるのは、ないものねだりも良いところ。
そもそも、臨界量以下の核燃料全体が冷却されているのならば、自発的核分裂には何の問題でもない。
プルトーンの火、尚我が掌中にあり。
炎よ、行け!!
此の私は今回知った自発的核分裂の定義からすれば、それを止めるのはそもそも不可能であり、発生確率を下げるのでさえ、核燃料を直接扱えるようにならなければ出来そうにない。それは廃炉処理もある程度進んだ段階でこそ可能あり、現状でそれを求めるのは、ないものねだりも良いところ。
そもそも、臨界量以下の核燃料全体が冷却されているのならば、自発的核分裂には何の問題でもない。
プルトーンの火、尚我が掌中にあり。
炎よ、行け!!
<注釈>
(*1) 「どんな小学生だよ!」と言う突込みには、「そんな小学生も居ると言う事さ。」と返そう。「ウランに中性子が当たって核分裂が起き、莫大なエネルギーが発生すると共にウランは分裂して別の物質になる。と同時に中性子を出す。」さして難しい話ではない。原子核模型による説明共々、鮮やかに覚えている。(*2) 現状はそう報道されていると、私は解釈しているが。