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 福島原発事故に端を発する放射能パニックは猖獗を極めていると言うべきだろう。市販の放射線計測器がやたらに売れて、それ持ってどこかに放射線量が高いHot Spotが無いかと探す人もあるようだから、相次いでHot Spotが「発見」され、報道されている。ま、報道関係者としてはニュースの種に困らないのだから、一種の理想状態だろう。
 
(1) 東京・世田谷区道で毎時3マイクロシーベルト超の放射線量 地上1メートル 理由は「不明」  http://sankei.jp.msn.com/life/news/111013/trd11101311270013-n1.htm

(2) 千葉・船橋「アンデルセン公園」で5・82マイクロシーベルト 各地で高線量検出相次ぐ  http://sankei.jp.msn.com/life/news/111013/trd11101314080016-n1.htm

(3) 足立区立小で毎時3マイクロシーベルト超 プール隣の雨どい下  http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111017/dst11101722390036-n1.htm

(4) 幼稚園内で2マイクロシーベルト超 長野・軽井沢  http://sankei.jp.msn.com/life/news/111019/trd11101920530014-n1.htm

(5) 千葉県柏市で高い放射線量…原発事故と無関連?  http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111021-OYT1T01148.htm
 
 何てことを言うのだ!市民は放射能の恐怖から自衛しているんだ!!」なぁんて声も聞こえてきそうだが、何しろ当記事のタイトルは放射線Hot Spot、だから何?(*1)と銘打っている。もう一寸砕けた言い方ならば放射線Hot Spotがナンボのもんじゃい!である。何故そう断言してしまうかと言えば、福島原発事故から放射性物質がどう拡散しているかを冷静に考えるからだ。
 
 今回の福島原発事故で最も大量に放射性物質が拡散したのは、水素爆発で建屋の一部が破壊された際の使用済み核燃料からによる飛散だろうと推定できる。フクシマはチェルノブイリと違って炉心が剥き出しにもなっていないし、お陰で直接放射線による死者はいまだ一人も出ていない。水素爆発時以外の拡散は、喩え格納容器に亀裂が入っていようとも、その亀裂とベントにより「放射性物質を含んだ水蒸気ないし水」として噴出し、漏れ出てきていた分だけ。冷温停止も指呼の間に見えてきた現状では、最早水蒸気噴出の可能性も低いから、出て来ているとしたら高濃度汚染水ぐらい。後は水素爆発時に飛散し周囲の地表にある放射性物質が大気に拡散するぐらいだ。
 
 左様、拡散だ。エントロピーは増加傾向なのだから、基本的に福島原発原子炉からの放射性物質供給が制限されている以上、放射性物質の濃度は基本的に減って、薄まっていく。かてて加えて放射性物質は本質的にドンドン減っていく=放射線を出す事で別の元素に変わるモノなのだから、幾ら「周囲よりも放射線量が高い」Hot Spotと言えどもそうそう問題になる理由が無い。
 
 以上が福島原発事故による放射性物質拡散に対する私の「計算」だ。だから、「放射線Hot Spot、だから何?」なのである。そりゃ雨水をためておいてフィルタにかけるような仕掛けを作れば、そのフィルタに雨水から集められた放射性物質がつくだろうから、Hot Spotになるだろう。だから雨樋だとか側溝だとかがHot Spotになることはあるだろう。どんな条件で、どんな場所がHot Spotになるかと言うのは学術的興味の対象ではある。が、安全上の問題にはならない。一応の基準として広く知られるようになった「年間1ミリシーベルト」とかようなHot Spotの放射線量を比較するのも、実質殆ど意味が無い。雨樋を抱いたまま24時間過ごす人や、側溝に住んでいるような人ならば別かも知れないが、最大限に大いにマージンぶっ掛けて見積もったところで、せいぜい「ドブネズミのガンが増える」ぐらいが関の山だろう。(*2)
 
 無論、私のこの「Hot Spot軽視論」は、「福島原発事故による放射性物質拡散による影響を、人為的操作を別にして評価」した結果である。世田谷のHot Spotの様に「放射性物質の現行法では不法管理」によるHot Spotや、柏市の様に汚染土を集めて捨てたのかも知れない」Hot Spotは想定していない。前者は福島原発事故とも原発とも無関係であるし、後者は「悪意さえあればHot Spotぐらいは比較的容易に作れる」と言う事である。
 それにしても以下の報道にある専門家と来た日には・・・
 
1>  今回の原発事故が原因である可能性が高い。
2> 表層よりも地中の線量が高いのは、放射性物質を含んだ大量の土砂が埋まっているためではないか。
3> 放射線量の高い地域の学校や住宅で削った表土の処理に困って捨てたことも考えられる。
 
 「表土の処理に困って捨てた」結果できあがったHot Spotならば、それは「放射性物質を集めて纏めて捨てた」Hot Spotなのだから、「纏めて捨てた」奴が主犯であって福島原発事故そのものは従犯にもなるまいに、「原発事故が原因と評してしまうのは、余りに原発に対し不公平であろうが。
 
 確かに放射線と言うものは新奇な「脅威」であるから、我々人類はこれを検知するセンサーを保有していない(*3)。「見えない脅威」であるから放射線計測系を買い込んで計測する人があるのはしかたがないが、唯測って「Hot Spotだぁ!この放射線を浴び続けると1年間に1ミリシーベルトを超える!」と騒いだところで、意味は無い。
 
 「吼たえなや」 
 土佐弁ではそう言うのであろう、我が友よ。
 

<注釈>

(*1) 今頃気がついてなんだが、此のタイトル、五七五で俳句になっているな。
 
(*2) でもSpotだしなあ。
 
(*3) あるとしたら「第六勘」だろうな。