見敵必殺

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 さて如何であろうか。
 
 転載した後者の記事は世論調査結果だ。「産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同調査」だそうだから、相応にサンプリングの偏りはあると考えるべき(*1)だが、相応に世論を反映していよう。
 後者記事の眼目はその冒頭数行に集約できそうだ。即ち、以下の三行だ。
 
1> 小沢一郎元民主党代表は「議員辞職すべきだ」と答えた人が81・1%に上った。
2> 野田佳彦内閣の支持率は56・0%で前回調査から3・9ポイント減。
3> 政党支持率は民主党の支持率が自民党を逆転し、0・6ポイント上回る20・5%だった。
 
 未だに高い野田新首相の支持率も、それ以上に自民党を上回ってしまったと言う民主党支持率(*2)も大いに気になるところだが、今回の主題は「我が敵」小沢一郎であるから、取り上げるべきは上記1>即ち「小沢一郎は議員辞職すべき:81.1%」だ。
 無論私は既に「小沢一郎の政治的無力化」を目標に、宣戦布告を為しているぐらいであるから、かかる問いに対してはYesと答えるし、同様の答えが八割を超えると言う世論調査結果は、朗報ではある。
 
 かかる世論調査結果に危機を抱いたかどうかはわからない(*3)が、前者記事の小沢一郎は元秘書有罪判決への批判と自己弁護に忙しい。
 
> 元秘書3人への有罪判決について
小1> 「何の証拠もないのに裁判官が独断、推測に基づいて有罪を決めるのは民主主義国家では考えられない」
 
 上記小1>発言は、以下の二つの事を語っている。
 
 ① 民主主義国家では裁判官の独断・推測で有罪とすることはない。 
 ② 日本は民主主義国家ではない
 
 
 上記①からして私にはサッパリ判らない。判らないからこその今回記事タイトルの「乱心」。「裁判官の独断推測で有罪とはしない」と言うのは平たく言えば「裁判官の公平性」と言う事だろう。神ならぬ身の人が為す事、裁判官が独断・推測に拠らず公平で在る事は非常に難しいことであることは認めるが、それを制度として保証とは言わぬまでも補助するのは、司法の独立であろう。なるほど独裁国家で独裁政権が司法に介入すれば、当然裁判官の公平性は損なわれる。逆に民主主義国家では司法が独立しているから、政府による裁判への介入はない・・・筈だ。

 ところが「我が敵」小沢一郎は「裁判官の独断・推測で」元秘書達は有罪にされたと主張し、それは民主主義国家では考えられないとまで言っている。しかしながら、「裁判官の独断・推測による判決」を戒めるのは何も民主守護国家ばかりではない。独裁主義国でもそれは戒められる。民主主義国でこれを防ぐ制度は、検事側と弁護側による法廷論争と、三審制であろうが、三審制とて個々の審議に「裁判官の独断・推測による判決」を完全に防げる訳ではない。言い換えれば、民主主義国家といえども「裁判官の独断・推測による判決」はありうる。三審制でその数を減らせるだろうと言うだけだ。
 
 端的に言うならば、民主主義と裁判官の独断・推測による判決は、殆ど関係ない。
 むしろ独裁国家の方が国家による司法への介入がある分、「裁判官の独断・推測による判決」を減らせる(*4)、と言う点で、漸く相関がつく程度だ。それは、「我が敵」小沢一郎の上記小1>「民主主義国家では考えられない」には程遠いどころか、逆だ
 
 上記②は私としては「あってはならない状態」と考えるが、先の尖閣諸島沖体当たり攻撃中国「漁船」船長を政治介入で釈放した疑惑濃厚とあっては、少なくとも「司法の独立が危うい民主主義」といわざるを得ない。また、現民主党に対し「民主主義の敵」として宣戦布告もして居るぐらいだから、現民主党政権下の日本が「民主主具国家ではない」と断じられても、無念ながら致し方ない部分がある。
 とは言え、その日本の民主主義制度をフル活用して「政権交代」を果たし、民主党を政権与党の座に据えた役割の一端は「我が敵」小沢一郎が果たしているのだから、上記②の日本批判は、精神分裂と言うか、「利用できる時は民主主義制度を利用し、政権を奪取したらこれ幸いと独裁制度に移る」と言う功利主義・機会主義。ワイマール憲法下の国家社会主義労働党・ナチ党を手本にしたとしか思えない手法である。その手法を実施した主役が「我が敵」小沢一郎であるから、上記②「日本は民主主義国家ではない」は正しくない。「我が敵」小沢一郎の言うべきことは「日本を民主主義国家ではなくした」である。
 その意味では、上記②は、表現の誤りはあっても、「言っていることは正しい」と言う事になる。憤懣やるかたないどころか、憤怒に耐えないところであるが。
 
 とは言え、上記②が正であるならば上記①の主張は日本には適用されないから、「日本は民主主義国家ではないから、裁判官の独断・推測による判決はありうるし、実際そうなった。」と言う主張となり、一応の筋は通る。(*5)だがしかし、もしそうならば、日本の政治家として真っ先に問題にすべきは日本の民主主義であって、「裁判官の独断・推測による判決」の方ではなさそうに思うが(*6)・・・自らが独裁者になろうと言う、民主主義の敵なれば、これも止むを得まい。
 
小2> 「一方的な意見だけで判決が左右されれば本当に暗黒社会になってしまう」
 
と、あくまでも「我が敵」小沢一郎が拘るのは「裁判官の独断・推測による判決」であり、恐れているのは多分、小沢一郎自身への有罪判決でしかない。
 
小3> 「今までの体制で既得権を持ってきた人は、
小4> 私を国政の先頭に立たせてはいけないという意識を働かせている。
小5> 政権交代のスケープゴートにされた」
 
 とも小沢は抜かしているが、上記小3>~小4>もよく判らない。何しろ「我が敵」小沢一郎は、あの日本史上最低首相の座をルーピー鳩山と争うゾンビ菅と民主党代表=首相の座をかけて直接対決したのだから、「私(小沢一郎)を国政の先頭に立たせてはいけない」と意識する「今までの体制で既得権を持ってきた人」と言うのは、全国の民主党員とそのシンパ、並びに民主党議員と言う事になる。特に反小沢票が多かったのは民主党議員よりも民主党員とそのシンパだから、民主党員とそのシンパは「今までの体制で既得権を持ってきた人」と言う事になるるが、それは一昨年夏の衆院選挙で大々的に掲げたスローガン「政権交代」と言うのが如何に虚しいか自白している。
 ま、民主党なんて、民主党員なんてそんなもので、「政権交代」のスローガン(*7)に期待をかけたのは非民主党員ばかり、と言う事だろうか。ありそうな話ではあるが。民主党議員が斯くも権力亡者の「合法的」利益追求集団であるのも、そんな民主党員が支持母体ならば、納得は出来ないが、理解できる。
 
 益々民主党が嫌いになるな。宣戦布告した相手では、致し方ないところではあるが。
 
 上記小5>は、早い話何で菅直人ではなく此の俺を民主党代表にしなかった。」と言う愚痴であり、ぼやきである。と同時に、「政権交代は俺が果たしたんだ」と言う自負でもあろう。が、「スケープゴート」ってガラかね。「我が敵」小沢一郎が。
 
小6> 「テレビ、新聞は偏向した報道になるから真意が伝わらない」
 
 この点だけは、「我が敵」小沢一郎に、私も同意するな。
 
 さて、以上の如く今回報じられる「我が敵」小沢一郎の発言を俯観すると、見えてくるのは以下の項目である。
 
 (1) 「我が敵」小沢一郎の反民主主義的思考と小心ぶり小物ぶり

 (2) 民主党の既得権益への執着

 (3) 「我が敵」小沢一郎の影響力低下
 
 つまり、前者転載記事もまた、小沢一郎に対して宣戦布告を為している私にとっては、朗報と言うことだ。
 

<注釈>

(*1) 世論調査なんてのは所詮サンプリング次第なのだから、常に「偏りはある」と考えるべきだ。
 
(*2) 言うまでもないんだが、民主党は民主党であって、ルーピー鳩山の頃ともゾンビ菅の頃とも、大差があるわけではない。
 
(*3) 報道の時系列からすると、世論調査結果記事の方が後だが、世論調査結果を記事より早く知る可能性はないでもない。そうでなくても政治家と言うか小沢一郎のような「選挙屋」は、世論の動向には敏感だろう。
 
(*4) 独裁国家は三審制を必要としないだろうから、三審制による「裁判官の独断・推測による判決」低減効果分は、民主主義国家の方が有利だろうが。
 
(*5) 前述の、民主主義国家で司法が独立している方が、「裁判官の独断・推測による判決」は多くなる、と言うのを別にすれば、だが。
 
(*6) 日本の民主主義の危機と、我が身の有罪判決とを天秤にかけて、後者を取ってしまうような奴バラを、政治家にしてしまった選挙民も選挙民だが。
 
(*7) 「政権交代」と言うスローガンの持つ新鮮さと「今までの体制で既得権を持ってきた人」は、相反する物である。如何に民主党が既得権堅持政党であろうとも、政権交代は政権交代だから、「嘘をスローガンにした」とは言い難いがね。