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 くどいようだが私は福島原発事故を経てなお原発推進論者だ。私のような意見が少数派であろう事は百も承知であるが、私の意見は多数派であることの方が少ないんだから今更少数派だろうが反主流派だろうが歯牙にもかけない。
 そんな私であるから、「原発新設への賛否が地域を二分する山口県上関町長選は、推進派の現職が三選を果たした」と言うニュースは朗報として聞いた。逆に「浜岡原発は永久停止すべきだ」という無責任な決議を浜岡原発10キロ圏の近傍にある牧之原市が決めたというのは凶報とは言わぬまでも悪いニュースではある。だが、牧之原市の決議は近隣都市の参考意見でしか無く、上関町長は建設予定地の町長選だ。朗報の方が大きかろう。
 
 だが、そうなると気に入らないのは世の「脱原発」論者達。今回取り上げるのは東京新聞の社説だ。まずはご一読願おうか。

転載開始============================================

東京新聞社説 上関町長選 原発マネーと別れよう 

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011092602000039.html
   
2011年9月26日
 
 原発新設への賛否が地域を二分する山口県上関町長選は、推進派の現職が三選した。だが今や新設は不可能だ。原発で町はつくれない。脱・原発マネーの先駆けになるような町政の転換を望みたい。
 上関町が原発誘致を表明したのは、一九八二年のことだった。
 瀬戸内海を埋め立てて、出力百三十七万キロワットの原発二基を建設する計画で、二年前から敷地の造成が始まった。来年六月に1号機の本体工事に着手し、二〇一八年三月の営業運転をめざしてきた。
 原発は小さな町を推進派と反対派に引き裂いた。町長選も両派の対決が続いてきた。予定地から四キロ沖、反対派が多い祝島では、祭礼さえ両派に色分けされるほど、その溝は深まった。
 過去八回の町長選はすべて、推進派が勝ってきた。今回も推進派と呼ばれる現職が、反対派を退けて三選を果たしたかたちだが、これまでとは背景が大きく変わり、推進派の九連勝とは言い難い。
 福島第一原発の事故を受け、野田佳彦首相も「新規原発建設は困難」と表明した。山口県知事は周辺市町にも配慮して、来年十月に期限が切れる海面の埋め立て免許を更新しない方針だ。原発ができないと、交付金や固定資産税など「原発マネー」も入らない。
 現職も選挙前から「交付税が入らない場合のまちづくりを同時に考えなければならない」と、脱・原発マネーに含みを持たせ、推進、反対の立場を超えた地域ビジョン検討会の設置を決めていた。
 原発誘致表明後、町税収入二億五千万円の上関町に、計四十五億円の交付金のほか、中国電力から多額の寄付金が支給され、温泉施設の建設などが進められてきた。それでも当時約七千人いた人口は半減し、高齢化率は県内一で五割に近い。
 原発マネーは、まちおこしの特効薬にはなり得ない。
 新町政の課題は脱・原発マネーの意志をこのまま強くして、住民の心の溝を埋めていくことだ。
 祝島では、太陽光パネルで電力の自給をめざす「自然エネルギー100%プロジェクト」が始まった。推進派と呼ばれる町長が後押しすれば、融和は進む。
 地域に溝を掘ったのは、安心安全と財源をてんびんにかけ、住民の心を揺らし続けた原発推進の国策だ。祝島の自然を生かした持続可能な地域おこしに、法外な原発交付金を付け替えるなど、政府も責任を負うべきだ。
 
==================================================転載完

「何が何でも脱原発」の愚かさと危うさ


 さて如何であろうか。
 
 東京社説の言いたいことは、ほぼ頭の数行に尽きるようだ。
 
東1>  原発新設への賛否が地域を二分する山口県上関町長選は、
東2> 推進派の現職が三選した。
東3> だが今や新設は不可能だ。原発で町はつくれない。
東4> 脱・原発マネーの先駆けになるような町政の転換を望みたい
 
 果たして、東京新聞社説氏は正気なのだろうか。上記東2>で東京社説自身が認めるとおり、町長選に勝ったのは推進派の現職町長だ。それも上記東1>の通り「原発新設への賛否が二分する」選挙で、だ。
 
東5> これまでとは背景が大きく変わり、推進派の九連勝とは言い難い。
 
と後の方で書き、野田首相も慎重だとか、県知事が原発建設に必要な埋立許可を延長しないかも知れないとか、色々言い訳を述べているが、上記東3>の東京社説独断の元、上記東4>の主張は、今三選を果たしたばかりの上関町長に「さっさと選挙公約を破棄して脱原発になれ」と要求しているのである。一体何の権威権限があって東京新聞社説は正しく選挙によって示された民意を蹂躙して良いと考えているのか。脱原発原理主義にも程があろうが。
 
 さらに東京社説はもっともらしくも原発新設の賛否を巡って対立した町民の融合を訴え、上記東4>の主張、私が「正気か」と質した主張、公約の即座放棄を正当化しようとする。
 
東6> 祝島では、太陽光パネルで電力の自給をめざす
東7>「自然エネルギー100%プロジェクト」が始まった。
東8> 推進派と呼ばれる町長が後押しすれば、融和は進む。

 
 上記東8>の「町長の後押し」は私もあって良い話だと同意する。なぜならばそれは、原発新設と殆ど矛盾しないからだ。世上言われるとおり、原発の発電量の大半は原発建設地では消費されず、大量消費地・都市部に送電される。原発建設地の地元が「脱原発」を果たすことと、国が脱原発を実施するのとはレベルが違う事だ。太陽パネルだって発電は出来るのだから発電量の足しにはなろう。但し、「自然エネルギー100%」は相当眉唾だ。太陽光パネルは夜間は発電不可能で、曇天時にも発電量が落ちるから、水力なり地熱なりの他の自然エネルギーと併用しなければならない。併用する方の電力が余程大きくない限り、祝島には新たな工場も鉄道も建設できないだろう。現状技術の蓄電池と併用しても、だ。それでも祝島が「自然エネルギー100%プロジェクト」を推進するのならば、それは祝島の勝手であって、私が口を挟むところではない。だがそのプロジェクトは、興味深い実験ではあっても、原発新設反対の根拠とはならない。
 
 上記東4>につながる上掲社説の〆になるとさらに非道くなる。
 
東9>  地域に溝を掘ったのは、
東10> 安心安全と財源をてんびんにかけ、住民の心を揺らし続けた原発推進の国策だ。
東12> 祝島の自然を生かした持続可能な地域おこしに、
東13> 法外な原発交付金を付け替えるなど、政府も責任を負うべきだ。
 
 言っていることは一見尤もらしいが、「要は金が欲しいだけなんだから、脱原発の方に金を付けろ。そうすりゃ原発推進派なんていなくならぁ。」と言っているのである。此処に於いて東京新聞にとって「脱原発」が自己目的化していることが改めて判る。「自己目的化」というと何か良い事にも聞こえるが、要は本末転倒。何が目的かさえ、判らなくなっていると言うことだ
 
 何度も繰り返すが、国のエネルギー政策の目的とは、見通せる将来に渡り電力の安定供給だ。安定供給というのには、安価な供給を含んでいる。「再生可能な自然エネルギー」では、現状も、当面の間も、この電力の安定供給は不可能だ。制御可能な発電力が必要であり、制御する自由度の高い発電力は火力と原子力であり、安価なのは原子力だ。燃料の安定供給も勘案すれば、安全性を高めて原発のシェアを拡大するのが正しい。と、当ブログは主張し続けている。
 
 だから、東京新聞社説の脱原発第一主義、脱原発原理主義には真っ向から反対する。
 
 上関町長選結果について言うならば、斯様な東京新聞社説のような言辞を為す輩が跳梁跋扈する昨今に、現職とは言え原発新設派の町長を是とした勇気を多としたい。
 原発マネーではなく、その勇気が、上関町を活性化するだろう。

当ブログの原発関連記事(抜粋

(1) 朝日社説 「原発をどうするか-脱・依存へかじを切れ」を斬る http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35116184.html
 参考 平成22年度電力供給計画の概要について http://www.enecho.meti.go.jp/policy/electricpower/100414-h22.pdf   
 
(2)NHK AMラジオ 内橋克人 「カリフォルニアは原発を市民投票で停止と絶賛」に異議あり!  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35067228.html
 
(3)原発如きが人類を滅ぼすオーバーテクノロジーなものか  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35039419.html
 
(4)石棺幻想 -福島原発事故処理法としての石棺方式を考える  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166775.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166813.html
 
 (5) 私の原発推進論―または私が福島原発事故を経てなお原発を推進する理由。―前進せよ、人類。   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35630668.html
 
 (6)余剰電力は防衛力である-脱原発騒動と電力不足に状況によせて   
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35687699.html