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本件については「これでいいのか委員会」様より転載させていただいた先行記事で端的(*1)に評されているのだが、それでも判らない輩も居る様なので、私は私なりに、改めて評するとしよう。
<注釈>
(*1) 左様、私がやるような粘着質で執拗にではなく、簡潔に直轄に。
転載開始=========================================
福島の花火、苦情で打ち上げず 愛知・日進市の祭り
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110919/dst11091913470009-n1.htm
2011.9.19 13:44
愛知県日進市で18日夜行われた花火大会で、放射性物質の拡散を心配する苦情を受けた実行委員会が福島県で製造された花火の打ち上げを中止していたことが19日、分かった。「にっしん夢まつり・夢花火」で、東日本大震災の被災地の復興を支援しようと、福島の花火の打ち上げを予定していたが、直前になって取りやめた。打ち上げられた計2千発のうちの80発で、愛知県内の業者の花火に差し替えたという。
=================================転載完了
風評助長で何が復興支援なものか
全く呆れたもんだ。花火が、原爆とは言わぬまでもコバルト爆弾扱いとはな。
さて、今回問題となっているのは福島産の花火である。それもイベントの花火大会に使うような打上花火だ。この花火は食べる物でも飲むものでも勿論なく、大概の人にして見れば遠くに打ち上がって音と火花を楽しませてくれる爆発物だ。打ち上げる前の花火の大きさは大小種々あろうが、半径10センチ直径20センチだと六寸玉って所か。一寸小さめだが、先ず標準的な大きさと言えよう。此の花火が夜空に大輪の花を咲かした時、その組成はどんな範囲に拡散するかは一寸予想が難しい。時間軸を無限に取れば全地球規模まで拡散しそうであるが、「夜空に咲く大輪の花」の大きさを念頭に、半径20mの球内に一様分布するものと仮定しても、さして嘘にはならなかろう。此の後徐々に拡散しそうである此の花火の組成だが、当面の間此の濃度で大気中に漂う物と仮定しよう。
以上の仮定からすると、花火の成分は、打ち上げ前の800万倍の体積に拡散して、約3.4万立方メートルの大気中にある計算だ。
さて、此の花火の見学者。此処では仮に「あ」さんとしよう。この人が花火を見学して、此の花火の組成、例えば放射性物質の影響を受けるのは、一体どのくらいの範囲だろうか。
さて、今回問題となっているのは福島産の花火である。それもイベントの花火大会に使うような打上花火だ。この花火は食べる物でも飲むものでも勿論なく、大概の人にして見れば遠くに打ち上がって音と火花を楽しませてくれる爆発物だ。打ち上げる前の花火の大きさは大小種々あろうが、半径10センチ直径20センチだと六寸玉って所か。一寸小さめだが、先ず標準的な大きさと言えよう。此の花火が夜空に大輪の花を咲かした時、その組成はどんな範囲に拡散するかは一寸予想が難しい。時間軸を無限に取れば全地球規模まで拡散しそうであるが、「夜空に咲く大輪の花」の大きさを念頭に、半径20mの球内に一様分布するものと仮定しても、さして嘘にはならなかろう。此の後徐々に拡散しそうである此の花火の組成だが、当面の間此の濃度で大気中に漂う物と仮定しよう。
以上の仮定からすると、花火の成分は、打ち上げ前の800万倍の体積に拡散して、約3.4万立方メートルの大気中にある計算だ。
さて、此の花火の見学者。此処では仮に「あ」さんとしよう。この人が花火を見学して、此の花火の組成、例えば放射性物質の影響を受けるのは、一体どのくらいの範囲だろうか。
人間と人間に直接影響する大気の範囲を半径0.3m、高さ2mと仮定しよう。人間の大きさよりも一寸大きめに設定した。此の円筒の中の花火組成全てが「あ」さんの健康に影響する物と考えて、さらに人間は動き回るものだから、此の円筒の4倍の大気まで「あ」さんが吸着・吸収する物と仮定すると、「あ」さんに影響する大気の体積は、2.3立方メートルと計算できる。
以上の仮定の下、計算結果を比較すれば、「あ」さんに影響する花火組成は、花火の約1.5万分の一の量でしかない事がわかる。一万分の一以下だ。此の福島産花火に人体の健康に影響するほどの充分な放射性物質が含まれていたと仮定しても、それを打ち上げ前の花火のまま扱う花火を打ち上げる人や、花火を運ぶ人や、花火を作った人に対して花火を見学しているだけの「あ」さんが犯すリスクは、上記仮定の下の単純計算でも、1万分の1以下なのである。
さらに時間軸を取ってみよう。
まず此の花火大会を見学して花火の組成を吸収・吸着した「あ」さんは、その影響を何時まで受けるだろうか。
衣服についた分は着替えればおしまいだろう。体の表面の方は風呂にでも入ればチャラだ。呼吸で吸込んでるともう少しかかるが、排気排泄で体外に出されるまでだから、平均して24時間と考えて良かろう。
それに対して、花火を打ち上げる人、運ぶ人はまだしも、此の花火を作った福島の花火職人さんはどうだろうか。
私の知る限り、花火と言うものは製作に相当時間も手間もかかる。貯蔵し、寝かしている時間もあろうから、影響を受ける範囲、例えば花火を組み立てる仕事場にある時間と考えると、1日8時間で週5日の3週間と言うのは、仮定として許される範囲と思われる。
以上の仮定に従うならば、花火職人が「あ」さんに対し問題の福島産花火の影響下にある時間は、5倍と言う勘定になる。
先述の花火成分濃度による影響と合わせて考えるならば、花火見学者「あ」さんがこの花火によって受ける影響は、此の花火を作った福島の花火職人さんの七万分の一以下なのである。
では、福島の花火職人さんは放射性物質を恐れて鉛のスカートに防塵マスクとゴーグルの完全装備で、此の花火を作ったのだろうか。此の花火を運ぶ人は鉛の完全密封ケースで運び、この花火を打ち上げる人は防護服を着用する計画だったのだろうか。
そんな事が在る訳がない。
であると言うのに報じられる「放射性物質の拡散を心配する苦情」を寄せた者は (*1)、上記計算どおり福島の花火職人の七万分の一以下の影響さえも「心配して苦情を寄せた」のである。最早、福島に対する差別だとか、放射能アレルギーだとか放射線ヒステリーだとか言う評価を超えている。それは完全な思考停止であり、狂気だ。
だが、本件の問題は「放射性物質の拡散を心配する苦情」を寄せた者の狂気ではない。俗に「気違いと間違いはどこにでもある」と言うように、斯様な、思い切り好意的に言えば「心配性」、平たく言えば馬鹿は、何処にでも居る。
問題はその馬鹿の言うことを真に受けて、本当に福島産花火の打上を中止してしまった日進市実行委員会である。章題にもした通り、風評被害を助長するような決定をしておいて復興支援などと、よくもまあ抜かせたものだ。
「来年打ち上げることに計画変更しました」は詭弁である。来年は来年で福島産花火を買ってこそ復興支援だろう。残念ながら来年ぐらいでは、まだ福島の復興は完了すまい。来年打ち上げられるぐらいならば、何故今年打ち上げなかったのだ。言い訳にも何もなりはしない。
「福島の花火を買ったのだから、それだけで充分復興支援だ。」と言うのは福島県人を、なかんずく福島の花火職人を乞食扱いする愚論だ。卑しくも自分の職業に誇りを抱く職人が、その作品である製造物を死蔵するために買い上げられたとて、喜ぶものかよ。
繰り返すが、福島産花火に人体に影響するほどの放射性物質が含まれていたとしても、花火見学者がその影響を受ける程度は福島の花火職人の七万分の一以下である。此の数字は仮定し計算しないことには出て来ないが、「微々たるもの」と言う感覚は、ざっと定量的に考えるだけでもわかる筈だ。それすらもせずに、此の馬鹿の言うことを真に受け、福島産花火の打上を中止し、風評被害を助長した日進市実行委員会の責任感と、思考能力は、大問題である。
気違いには、「気違い」と言ってやるべきなのだ。
当人が気付いていないのならばなおさらだ。
<注釈>
(*1) ああ、それを言うならば「顧客満足度」の美名の下、福島から出る全ての物産は放射線検査をしろと主張される実在の「あ」さんも、だが。