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 図らずも半ばシリーズ化している「沖縄・八重山地区教科書選定問題」である。ついでに言えば、「問題化」したのは三赤新聞の下っ端・沖縄二紙=琉球新報&沖縄タイムスが本件を執拗に社説で取り上げているからである。
 
 重複覚悟でその経緯を記すと、以下の通りになる。なお、番号の後にアルファベットが付いている項目は、沖縄タイムス社説による補足・訂正であるから、沖縄タイムス自身の経緯認識( の筈)だ。
 
 (1) 八重山地区は「愛国心を強調し、改憲志向が強い「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社の教科書」を採択した。
 (1A) 上記(1)は「石垣、竹富、与那国の3市町による八重山地区協議会が育鵬社を採択した」である。「教科書の最終的な採択権は各教委にある」
 
 (2) 上記(1)の八重山地区の採択を、石垣市、与那国町の両教育委員会は追認した。
 (2A) 最終的な教科書採択権のある各教委の内、「石垣市、与那国町は育鵬社版、竹富町は東京書籍版を採択した。」
 
 (3) 上記(2)までで八重山地区の教科書選定手続きは完了したはずだが、これが問題視された。
 (3A) 「八重山地区の3市町は同一教科書を採択しなければならない」為、県教委が乗り出した。これは、協議会規約に「県教委の指導・助言を受け、役員会で再協議することができる」とあるためである。
 (3B) だが、その役員会は決裂した。
 
 (4) 上記(3)を受けて、9/8石垣、竹富、与那国3市町の教育委員全員による「全体会合」が行われ、2012年度から使用する中学公民教科書に東京書籍版を多数決で採択した。
 
 (5) 上記(4)の報告を文科省は受けたが、同時にその有効性を否定する文書が石垣市と与那国町の両教委から提出されていたため、上記(4)「全体会合」の決議は「法的に無効」との見解を示した。
 
 (6) 9/16に県教委から文科省に報告しなければならない教科書の需要数について、9/13現在で石垣市教委は「公民は育鵬社」と県教委に報告済みであり、与那国島教委も同様に報告する方針である。
 
 以上までの敬意を受けて、その後に大きな動きは無い中で沖縄二紙の社説を御覧あれ。
 
転載開始========================================= 

沖縄タイムス社説 [八重山教科書問題]3委員長の要請は重い

  http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-09-17_23561/
社会  2011年9月17日 09時55分 Tweet

 ボールは再び地元に投げ返された。
 八重山地区の中学公民教科書採択問題で大城浩県教育長は16日記者会見し、石垣、竹富、与那国3市町の教育委員長に、同一教科書を採択するようあらためて要請したことを明らかにした。
 一本化のための協議が不調に終わり、3市町教育委員会の全員協議の結果も文科相から「協議が整っていない」と突き返され、万策尽きたところで、県がどのような打開策を示すか注目されたが、結論は、差し戻し。一本化に向けあらためて協議してほしい、というにべもないものだった。
 しかし、そのことをもって県教育庁を責めるのは無理がある。
 地方教育行政組織運営法によると、教科書の採択権限は市町村教育委員会にある。文科省や県教育庁が市町村教委から勝手に採択権を奪い取るようなことはできない。
 その一方で、教科用図書無償措置法は、八重山採択地区のように地区内に複数の市町村が存在する場合、同一の教科書を採択しなければならない、と定めている。
 今回のケースでは、諮問機関である八重山採択地区協議会の答申に対し、石垣・与那国2市町と竹富町が異なる教科書を採択し、協議も不調に終わった。
 八重山採択地区のような混乱を、現行法は想定していない。
 今回の混乱は、制度の不備を放置してきたために生じたものであり、早急な見直しが必要だ。
 振り出しに戻ったことで、地元八重山には期待を裏切られた失望感や、解決策の見いだせない焦燥感が急速に広がっている。
 3市町教委による8日の臨時会議の結果について中川正春文科相が「協議は整っていない」と判断したのは、石垣、与那国両教育長から異議申し立てがあったからだ。
 しかし、3市町の教育委員長は、臨時会議における協議結果の有効性を訴える文書を連名で文科省と県教育庁に送った。
 臨時会議での全教育委員による協議で、同一教科書の採択が行われた、というのが県教育庁の見解だ。
 3市町の教育委員長が連名で有効性を主張したことは、この方向での解決以外に道がないとの姿勢を示したものである。
 その場合に問題になるのは、2教育長による異議申し立ての法的組織的な性格だ。果たして彼らはどのような議を経て、異議申し立てに及んだのだろうか。
 石垣市教育長らが文科省に提出した異議申し立ての文書について3教育委員長は「教育委員会の議を経ておらず、公務文書としての機能を有していない」と指摘している。
 繰り返すが、教科書の採択権限は教育委員会にある。教育委員会を代表するのは、教育長ではなく教育委員長である。
 石垣、竹富、与那国3教育委員長の、連名による要請は極めて重い。これを無視してはどのような解決も不可能だ。 
 

琉球新報社説 文科省通知 越権行為も甚だしい/沖縄の自治力を示そう 

 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-181744-storytopic-11.html
2011年9月17日      Tweet
 地方教育行政への国による介入であり、重大な問題をはらむ。八重山教科書問題をめぐる文部科学省の15日の通知のことである。
 通知は事実上、竹富町教育委員会に採択教科書の変更を求めているとも受け取れる。
 判断変更を求めるのなら、国による介入以外の何物でもない。この介入が許されるのならば、地方教育行政法は無きに等しい。自治の精神に真っ向から対立する行為だ。文科省には、事の重大性をよく認識してもらいたい。
翻った態度
 経過を振り返る。石垣・竹富・与那国3市町の教育委員会の諮問機関・八重山採択地区協議会(玉津博克会長)は8月23日、公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を選び、3市町教委に答申した。
 玉津会長が選定手法を大幅変更した上での選定だった。その一つ「順位付け廃止」は、「『1種絞り込み』を禁じた県教委の通知に違反している」というのが廃止の理由だったが、協議会で、従来も1種絞り込みは行われていないと反論が出ると、玉津氏は「ノーコメント」と説明を避けた。
 教科書を読み込んで推薦する調査員は、協議会の規定で「役員会で選任」となっていたが、役員会を経ず玉津氏が独断で選定した。
 その後、石垣・与那国両市町教委は答申通り採択したが、竹富町教委は育鵬社版を不採択とし東京書籍版を選んだ。
 このため、3市町教委は9月8日に地区内全教育委員による協議を行い、育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した。
 この間、県教育庁は文科省の助言を基に協議の進め方などを3市町教委に助言してきた。
 だが13日になって文科省が態度を翻す。中川正春大臣は8日の採択について「協議が整っていない」との認識を示し、森裕子副大臣は「文科省が認めているのは8月23日の答申」と述べた。
 文科省はさらに、県教育庁に対し、採択地区協議会の「結果に基づき」、同一の教科書を採択するよう3市町への指導を求めた。
 8日の結果は認めず、23日の結果を有効として一本化を求めるのだから、事実上、育鵬社版採択を求めるに等しい。
 地方教育行政法は教科書採択権が市町村教委にあると定める。竹富町教委の決定はそれに基づく。
 一方、地区内の教科書一本化を求める教科書無償措置法はあくまで国の財政措置の要件を定める法だ。それを基に、国が竹富町教委に判断を変えろと求めるのは、越権も甚だしい。
 そもそも、教科書に関する「執行権」を法が明記している市町村教委の判断より、「答申」する諮問機関にすぎない採択地区協の判断を優先すべきだという根拠は何なのか。理解に苦しむ。
国と地方は対等
 2000年の地方自治法改正で、国と地方自治体の関係は対等ということになった。国の通知などは、単なる技術的助言という位置付けだ。
 市町村教委が採択する教科書をめぐり、国が、特定の教科書を選定しなければ補助負担金を支出しない、というのであれば、改正地方自治法の精神に反する。県教育庁は、国地方係争処理委員会に持ち込んで争っていい。
 文科省がこうした論点を把握していないとは思えない。通知が県教育庁の「指導を求める」内容で、自ら「指導」していないのはそのためだ。8日の採択について「整っていない」との表現にとどめ、「無効」としていないのも、市町村教委の判断の重さを知るからだろう。今後、自治を阻害しない判断をするよう期待したい。
 県教育庁は16日、あらためて3市町教委に一本化を求めた。8日の協議は有効という認識だが、文科省の通知を受け、もう一度、3市町教育委員による協議が行われる見通しだ。文科省の不当とも思える通知にめげず、あくまで合議で一本化を目指す姿勢は高く評価したい。
 現在、3市町教委の間はもとより、石垣、与那国両市町教委の内部でも意見が割れている。
 一連の問題は、地方教育行政法と教科書無償措置法の矛盾を明るみに出した。県教育庁も3市町教委も、法の不備を乗り越えて粘り強い議論、「熟議」を展開し、一本化を成し遂げ、沖縄の自治能力の高さを示してほしい。
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つまらぬ物は斬りたくない

 さて如何・・・もなにもないなぁ。実につまらない。
 
 前者の沖縄タイムスは、タイトルにネタバラシした通り、「3教育委員長殿の御威光」に縋るばかりで全く以って権威主義的。「教育委員長は教育委員の長だから、教育委員を代表する!」と言わんばかりだが、それならば教育委員会なんてものは不要だろう。教育委員長がこれと決めたら御仕舞いだ。何て民主的なんだろう。

 後者の琉球新報は「政府対地方」の図式に持ち込んで文科省を「越権行為」と非難する。規約にも何もない「教育委員全体会合」については今回は一言半句も触れないままに知らぬ振りだから、いつもの「横暴な日本政府と可愛そうな沖縄県」の自己憐憫と言うよりは自己陶酔に持ち込んでいる。
 
琉1>  一連の問題は、地方教育行政法と教科書無償措置法の矛盾を明るみに出した。
琉2> 県教育庁も3市町教委も、法の不備を乗り越えて粘り強い議論、「熟議」を展開し、一本化を成し遂げ、
琉3> 沖縄の自治能力の高さを示してほしい。
 
 等と尤もらしく琉球新報はその社説を〆るが・・・・賭けても良い。その議論・熟議が「育鵬社教科書」を選択した日には、琉球新報はまたぞろ「沖縄の自治はどこへ行った」とか「現場の声を無視するな」とか「子供達がかわいそう」とか、あれこれ理屈をこねて反対し、決してその議論も熟議も認めたりはしないだろう。
 
 それで居て自治能力の高さだの、民主主義だの、声高に叫ぶのだから、片腹痛いでは済まされない。